異世界卜部 〜異世界でもコードギアスの世界でも四聖剣は虚名にあらず!〜 作:シャール
「よし!こちらは焼き上がったぞ。」
千葉が振り向く。
「こっちも切り終わった。もうそろそろ皿に盛ろう。」
時計を見ると既に11:30を指し示している。あと30分でここは戦場と化すだろう。
「えっと、順番は何でしたっけ?」
「まずはパンの底。下から肉。その上にソース。チーズにトマト、レタスを入れて上から蓋をするようにパンを被せる。」
「えっとパン、肉、ソース、チーズ、トマト、レタス、パンですね!」
「ああ。頼んだ。」
「しかし慣れたものだな。お前の得意料理。」
「分量を計らなくていいからな。数が用意できる。」
よし、後20個だ。
「何やらうまそうな匂いだな。」
「C.C.!?」
「一つ寄越せ。」
彼女はそう言うと、作ってあったそれを取って頬張る。
「お、美味いじゃないか!褒めてやろう。ピザの次ぐらいに美味いぞ。」
「ふ。勝手な女だ。」
「いいのか?卜部。」
「構わん。それに俺たちが文句を言ったって聞くような女じゃ無いしな。」
そう。彼女は中華街に潜伏した時だって、ずっと好き勝手にしていた。
ブリタニアにバレないか心配になる程にな。
「この味。どこかで・・・。まあいい。いずれ分かる。」
そのまま彼女はそれを咥えたまま外へと出ていった。
「好き勝手な女だったな。」
「ああ。本当にな。」
「あっ!もうそろそろ早飯組が来ます!」
もうそんな時間か。早く残りを片付けないとな。
「あー。腹減ったぁ〜。」
「ん?いつもと香りの感じが違うぞ。」
「おいおい。そんなの分かんのかよ。」
どうやらその早飯組とやらが来たらしい。
「千葉。頼んだ。」
「分かった。」
千葉はそう言うとお盆に皿を乗せて配膳所へと行く。
「えっ!?確か四番体隊長の。」
「バカっ!失礼だろ!お疲れ様です!」
「お、お疲れ様です!」
やはりまだ恐縮されているな。
「そんなに畏まらなくていい。さあ、たんと食え。」
「あ、ありがとうございます!」
千葉ももっと柔らかい態度ができると良いんだが。
「では、俺たちも急ごうか。」
「はい!」
・
・
・
まるで戦場だった。この潜水艦に乗っている人数は幹部除いておおよそ160人なのだが、そのほとんどが押し寄せた。
炒飯を作った時は遅い時間だったのでまだ少なかったとの事だ。
「お疲れ様。」
俺は千葉に氷で冷やした麦茶を手渡す。
「助かる。やはり別のことをすると気晴らしになるな。」
「何か悩みでもあったのか?」
「最近考えていたんだ。藤堂鏡志朗についての事を。」
「ん?それなら俺が相談に・・・。」
「いや、私の気持ちは果たして本当なのだろうかと。」
「本当?」
どういう事だ。
「私が藤堂中佐に抱く感情は果たして『恋愛』の物だろうか。ひょっとして『憧れ』から生まれた物じゃ無いだろうかとな。」
憧れ。確かにそれは人の目を曇らせる。だが。
「お前はもうかれこれ7、8年藤堂中佐が好きだろう。今更どうした。」
千葉は困ったように微笑む。
「最近な環境に色々変化があっただろう?もう一度考え直そうかとな。」
「そうか・・・。ただ『憧れ』も立派な愛だろう。現に朝比奈は藤堂中佐に尽くすため、ここまで来ている。まあ仮に奴が女だとするのならひょっとしたら一番愛が強いのは奴だろうな。」
「ふっ。そうだな。たまにあいつはとんでも無い事を言うからな。」
二人で笑う。
「さて、俺たちも食べるとしようか。そうだな。この一番大きいやつを貰うとしようか。」
「じゃあ私はこの次に大きいのにしよう。」
二人で皿を持ち食堂の机へと向かう。
未だ食堂には人が溢れていたが、端の方に席がいくつか空いていた。
俺たちはそこへと向かい、机に皿を置いて座った。
「さあ、頂こうか。」
「ああ。いただきます。」
早速、一口。
おっ、これは。やはりまだ腕は衰えていないと言う事だ。
ヘラで混ぜられて作られたパティは脂が抜けておらず、肉汁がうまく閉じ込められている。現に口の中では噛むたびに肉の旨みと脂を感じる。
「やはり美味いな。卜部特製のハンバーガーは。」
そう。確か俺が昔サセボに行った時に買ったハンバーガー。アレの衝撃が忘れられずに研究して作った品がコレなのだ。
まあ、ブリタニア方式ではあるが美味い物に罪はない。俺は堂々とその技術を使い、そして日本人の舌に合うように昇華させた。
この口の中に広がる肉汁と共に醤油の風味。
俺は日本人の舌に合うように醤油ベースのソースを作った。
材料は醤油、みりん、酒、砂糖。いわば、すき焼きなどで使われる基本的な物なのだが、やはりコレが肉と合うのだ。
ではもう一口。
我ながらやはり美味い。
「そういえば卜部。お前の月下乙式はもう無いだろう。新しい機体はどうするんだ?」
「何やら新しい『流水型』のフレームを使った実験機体のようだ。重くて動きの遅い機体だから連携は難しいだろうな。」
「大丈夫なのか?やはり私は速い方が好みだが・・・。」
「しかし重武装らしい。ナイトメア界の重戦車みたいな物だな。」
「なる程。では卜部が仙波さんの穴埋めに?」
「鋭いじゃないか。そうだ。まあ、本陣の守護部隊。頭を叩かれないようにな。」
そうだ。俺達の総大将ゼロは自ら動き、前線で指揮する。彼を零番隊が護る。
しかしそうなると後方の守りは手薄。ラクシャータに始まり、この先の未来でいえば神楽耶様。後方に控える非戦闘員達の護衛は誰もいない。
厳密に言えばいるのはいるのだが、やはり手練れのパイロットがいなければ心許ないと言う事だ。
「しかし責任重大だな。お前にできるのか?」
千葉にしては珍しく、ふざけたように言ってきた。
「俺を誰だと思ってる。四聖剣が一人。卜部巧雪だぞ。」
「四聖剣か・・・。最近はあまり皆んなで集まれてないな・・・。」
「そうだな。皆が己の部隊を持つと自ずと会う機会は減るだろう。大切にしなくてはな。こういう時間を。」
「そうだな。」
8年間以上戦場を共にした仲間達。やはり家族といっても過言ではない。
大切にしなくてはな。この絆を。
・
・
・
「我々は澤崎の日本には参加しない!」
「え〜。そりゃつまり・・・。」
「澤崎には合流しない。アレは独立ではなく傀儡政府だ。中華連邦のな。」
しかし日本を名乗っている。厄介だ。
「我々は無視するべきだ。あの偽りの日本を。」
「ふ〜ん。でもさそれって。」
朝比奈が口を開く。
「ブリタニアを放っておく訳にもいかないだろう。」
「ゼロ。そろそろ組織としての方針を明確にして置いた方が・・・。」
ディートハルトが言った。
「そうだな。澤崎の件は置いておくとしても当面の目的ぐらいは・・・。」
扇もそれに同意した。
「トウキョウ独立国を造る。」
「え?」
「独立!?」
周囲がざわめきだす。無理もないだろう。
「国を?」
「本気か!?」
「待ってくれ!いくら黒の騎士団が大きくなったと言っても!」
扇が叫ぶ。
「敵は世界の三分の一以上を占める大国。」
「俺たちだけでそんな事を!?」
ここぞとばかりに皆の不安が膨れ上がっていく。
「では聞こう!お前達は誰かがブリタニアを倒してくれるのを待つつもりか?誰かが自分の代わりにやってくれる。待っていればいつかはチャンスが来る・・・。甘えるな!!自らが動かない限りそんないつかは絶対に来ない!」
その言葉を聞いて皆の口が閉じる。
そうだ。ゼロの言っていることは正しい。
日本解放戦線が崩壊した今。日本最大のレジスタンス組織は黒の騎士団。そのトップが待ちの姿勢に入っていては日本は取り返せない。
トップの黒の騎士団だからこそ、その『いつか』を引き寄せることができる。
「しかし、トウキョウに独立国を作るというプラン。今ではまだ難しい。条件をクリアする為にも今回私はブリタニアに協力する事にした!」
再び周囲がざわめく。
「おいおい!どういう事だよ!?」
玉城が叫ぶ。
「我々反体制派のヒーローはこの私ゼロだが。」
「恭順派にはスザク君がいる。」
藤堂中佐の言う通りだ。そう。この作戦で恭順派を取り込む。
恭順派に黒の騎士団は悪ではないと教えるのだ。皆が望んでいるヒーローとして。
「作戦には直接私が赴く。それにこのガウェインの機体性能があれば造作でもない。」
完成したのだな。ハドロン砲が。
「でも総大将自らっていうのも。ねぇ?」
確かに。
「私はゼロだ。不可能は無い。今度も奇跡を起こして見せよう。」
「「「おぉ・・・。」」」
そうだ。このカリスマ。俺には無いものだ。
「それでは解散!私は早速出撃するとしよう。」
「「「はい!」」」
そうして団員達は散り散りになり、それぞれ作戦行動の為の準備に移るのだった。
結果から言えばこの作戦は成功する。しかし、恭順派を上手く取り込んだとしても『行政特区日本』のせいでパーになる。
幸か不幸かあの虐殺のお陰で全国の日本人が立ち上がったのだ。
果たして俺は止めるべきなのだろうか・・・。
またしても仙波さんの時のように時代からのしっぺ返しを食らうのではないのか。
「どうした。卜部。」
「中佐。」
「浮かない顔をしているが、昨日はしっかりと睡眠を取ったか?」
中佐は中佐なりに心配してくれているのだな。
「ええ、気が晴れました。」
「ん?そうか。それならば良いが。私達は待機になるが万が一の時に備えるようにしよう。」
「ええ。分かりました。」
「ではまた後でな。」
俺は確かめなければな。ユーフェミアの真意を。
あの会場に潜り込んでみせる。
・
・
・
「む。貴様は確か四聖剣が一人。卜部巧雪。最近の活躍は目覚ましい物と聞き及ぶが。」
「はい、実はお願いの儀がありまして・・・。」
「お主!何故それを!?」
・
・
・
「よろしいのですか?桐原公。」
「奴には奴なりの考えのあっての事。」
「しかし表向きに我々NACはブリタニアに忠誠を誓った身。」
「・・・先程かのコーネリアの騎士、確かダールトンといったか。其奴に問い詰められてな。最早言い逃れは不可能よ。」
「しかし・・・。」
「行政特区日本。神楽耶様はどうお考えですか?」
「・・・私は。」
・
・
・
布石は打った。上手くいく事を願うだけだ。
「ちょっとちょっと。意識の数値が下がってるわよ。別のこと考えすぎなんじゃ無い?」
気がつくと周囲には敵が出現していた。そして集中砲火を受けて機体は破壊されてしまった。
「あ〜あ。言わんこっちゃ無い。アンタ今日はもう出なさい。」
「す、すまん。」
いくらシュミレーターとは言え攻撃されたり破壊されたりするのは気持ちがいい物では無い。次はもっと集中しなければな。
俺はコックピットの形をしたシュミレーターから降りる。
「最近データ取ってて気づいたんだけれど、アンタって集中してればしている程機体スペックが上がっているわね。やはり脳の分野なのかしらね〜。」
何やら寒気がする。
「ま、それは置いといて、もうそろそろかね。」
その時だった。ゼロの機体がハンガーの中に入ってくる。
どうやら作戦は成功のようだな。
ゼロはガウェインから降りるとすぐに。
「次はトウキョウ租界に向かう。ディートハルト。準備はいいか。」
「ええ。いつでもできています。」
相変わらず忙しない奴だ。やはり学生である事を世間にバレないように二重生活を続けているようだ。
「・・・確か紅月が通っていた学園の祭りとやらは明日だったか・・・?」
そう、そこでユーフェミアは行政特区日本を発表する。
潜り込んでみるか。
・
・
・
「卜部チャンどこ行ったの?」
「それがどうやらこの船を降りてしまったようで・・・。」
「そうかい。最終チェックがあったってのに困ったね。」
ラクシャータは電子キセルを一息吸った。
・
・
・
・・・平和なものだな。
シンジュクゲットーの横に建てられた傲慢の街。たしかに技術は進んでいる。人々も活気に満ち溢れている。だがここは日本だ。
決してブリタニアでは無い。
「で、卜部さん。何か意図があるんだよね?」
朝比奈が茶化す。
「いや、俺は純粋に。」
純粋にユーフェミアの様子を。
「わかった!余暇を持て余した男の暇つぶし。さては女子高生を狙って・・・。」
ふざけた事を。だが今は合わせておくか。
「ああ。少しな。」
「えっ!?本当に!?ちょっとびっくりだなぁ。南と気が合うんじゃない?」
少し誤解されたが仕方がない。今は放っておこう。
「ん?あれは扇さんじゃない?」
確かに扇だ。そしてそこの横にいるのは・・・。ブリタニア人?随分と仲が良さそうだが。
「あっ。引き込まれた。」
ブリタニアの学生によって無理やり引き摺り込まれたようだ。
「これは目的変更だな。俺たちも行こう。」
「え?いいのかな?僕たち一応指名手配犯でしょ?バレちゃったらさ、即逮捕なんだけど。」
今一度返送を確認する。
朝比奈は普段の髪を後ろ縛りにして、髪もオールバック。さながら武士のような髪型だ。それに黒いサングラス。
服はいつも通りの白シャツ。
一方の俺は普段通りの髪型に柄物のシャツ。もちろんサングラス。
「っていうかさ、僕は良いにしても卜部さんは怪しすぎじゃ無い?見る人が見ればそっちの筋者と勘違いされそうだけど・・・。サングラス信用しすぎじゃない?」
「そうか?」
完璧な変装の筈なのだが・・・。
「おっ、強面の人たちはっけーん!どうですか?ちょっと寄っていきません?」
物怖じせずに学生達が話しかけてくる。
「ちょっと!僕達は!」
「どうぞ!どうぞ!ウチのクラスのお化け屋敷に是非!」
「ウチはオープンですから!」
そしてお化け屋敷の前まで無理矢理連れて行かれる。
「はあ、何が楽しくて男二人お化け屋敷に入らなきゃいけないんだよ・・・。」
「同感だ。怖くても抱きついてくるなよ?」
「僕を何だと思ってるのさ!」
しかしこれは好機。バレずに潜入完了だ。
「次の方〜。えっと・・・カップルですか?」
「違うよっ!!」
「す、スミマセーン。」
こうムキになってしまうところが朝比奈らしいというか何というか。
「では行こうか。」
「ま、たまには学生気分ってのもね。」
教室に入るとひんやりとした空気が頬を撫でる。
中々良くできた雰囲気作りだ。
ほう。これは墓場か・・・?
「早くしろおー!!」
遠くから叫び声が聞こえる。
何あったのか!?
「ちょ、卜部さん待って!!」
俺は走ってその声の元へと向かう。
「大丈夫かっ!!って、扇じゃないか。」
「えっ、そっちは卜部さん?」
その前には、何だ?こんにゃくに扮したカルメン?
「どうしたカルメン。その格好は・・・。」
「私はカレンですよ。って・・・。そっちこそ何ですか?その姿は。」
やはりおかしいか?
「ちょっと!卜部さん。前のカップルの邪魔に・・・って扇さん。それに・・・誰?」
状況がよく分からない。しかしとりあえず。
「移動しましょうか。」
流石紅月。状況の飲み込みが早い。しかし。
「大丈夫か?シフトに代わりは・・・。」
「もう、この事態に比べたら一人いなくたって回るでしょう。」
「・・・確かにね。」
そういうものなのか。しかしシフトに穴を開けたら困るのは級友だろう。そうだ!
「朝比奈。頼んだ。」
「あ、え?」
「あ、助かります!!これを着て、カップル驚かすだけですから。」
「ちょっと待って!!」
俺たちは嫌がる朝比奈を押さえつけて無理矢理衣装を着せる。
「これ、軽いですけど何か熱いですよ。無頼の初期型ぐらいに。それに何か甘い香りが。」
「嗅ぐな!」
カレンの蹴りが背後から炸裂。朝比奈は見事に窪みにハマる。
「じゃあ行きましょうか。」
「ああ。」
「行こうか。千草。」
このブリタニア人は千草と言うのか。偽名だろうか。
俺たちは紅月に連れられて校内を歩く。
その光景は異様だっただろう。
そして、何らかの倉庫に辿り着く。
もうそろそろ良いだろう。
「扇。教えてもらおうか。彼女は日本人では無いだろう。」
「あ、その。彼女は俺の・・・。」
扇の何だ。
「カレンか?ここは関係者以外は立ち入り禁止だから早く外に・・・!」
ゼロ!?いや、ルルーシュか!?まさかここにいるとは・・・!
「予備は確か奥の方に・・・。」
この声は枢木スザクか・・・!
まさに修羅場。どう乗り切る・・・。
この期に及んでは・・・。
俺は懐に手を入れ、銃を掴む。
「あれ?カレン?」
「あ、あの、こんにちは。」
上手いこと死角になってはいるが、これではバレてしまうのも時間の問題だ。
「そっちに予備のボンベ無い?リヴァルが探してて・・・。」
女学生の声。カレンの友達か?
「ああ、反対側じゃ無いかしら・・・。」
良し、よくやった紅月。これで・・・。
ルルーシュの裏にいるのはC.C.か?何か気配を感じる・・・。
「お前は、今の状況を!」
「ルルーシュ?そこにいるの?いるなら話したいことがあって・・・。」
「一騒ぎ起こします。その隙に・・・!」
紅月が囁く。
「シャーリー。後でいいかな?」
「何よ今更。こんな時じゃないと会えない癖に。」
「ああ!!」
カレンが虚空を見て叫ぶ。
「大変!パネルが!逃げて!」
「きゃあ!!」
「こら!そこで止まるな!!」
まずい!このままでは無実の女学生が・・・!
「『身体強化』!!!」
周りの物の動きが遅くなる。
よし、これで間に合う!
俺は優しく女学生を抱き上げると、障害物の無いところに彼女を移動させる。
この速度ならばバレていない筈・・・。何だと!!
枢木スザクと目が合う。
目で捉えたというのか?身体強化無しで?
クソっ。このままでは!
その時周囲からピンク色の煙が上がる。
俺は煙に紛れて窓から外に出た。
身体強化を解いて屋根から扇達が出ていくのを観察した。
彼らは少し遠くの木の下へと走っていく。
俺は静かにその後をつける。
「すみません。変なことに巻き込んでしまって。」
「いえ、こういうドキドキって久しぶり。」
すると扇は真面目な顔をする。
「出ませんか?エリア11を。」
「聞き捨てならんな。」
俺は扇の前に姿を現す。
「卜部さん!どうして!」
「覚悟を捨てるか。扇。」
俺は懐から拳銃を取り出して扇に向ける。
腑抜けた奴なら今ここで・・・!
「お、俺は・・・!」
「扇副司令。選んでいただこう。売国奴として死ぬか。日本人として生きるか。」
扇と俺の間に褐色の女性が割って入る。
「私。イレヴン。いいえ、日本人になっても構いません。だから・・・。」
「千草・・・。」
フ。肝が据わっているな。
俺は銃を下げる。
「いいだろう。しかしこれからは黒の騎士団で身柄を預からせて貰おう。現地協力員としてな。」
「し、しかし。抵抗勢力の副リーダーがそんな。」
律儀な男だ。
「好きなんだろう?」
「え!お、俺はそんな事・・・無くて・・・。」
「バレバレだ。お前千草と言ったか。」
彼女を見る。
「はい。」
「扇は優しい男だ。だか人の悪意に弱い。お前が支えてやってくれ。黒の騎士団でな。」
「黒の・・・騎士団・・・。」
ディートハルトに任せるとしようか。
「千草。少し外してくれないか。」
彼女は不思議そうな顔をする。
「はい?分かりました。」
そう言うと彼女は俺たちの会話が聞こえない所まで距離を取った。
暇を持て余しているのか花を摘んでいる。今時あのような女性がいるのだな。
「彼女は・・・ゼロの正体を知っているかもしれません・・・。」
「ゼロの正体を知っている!?だがそんな風には・・・。」
「記憶を失っているんです。」
記憶を失っている。つまりはいつ思い出すかも分からない。爆弾になりかねん。という訳か。
「ゼロはそれを知っているのか?」
「・・・。」
沈黙が答え。つまり扇はゼロに隠し事をしている。
「その様子だと然るべき対処は出来なかったようだな。」
「ええ。俺には出来なかった・・・記憶喪失の。無垢な彼女に手を掛けることが。」
俺は扇の肩に手を置く。
彼は何処まで普通なのだ。そんな事ができる筈ない。
「扇。これはお前の責任だ。だからしっかりと手が届く所で面倒を見ろ。いいか?責務を放棄した人間にできる事はそれをいかに修正できるかだ。」
「そう、ですよね・・・。」
「勿論ゼロには報告しなくてはいけない。だが戦え。扇。譲れない物の為にな。お前はもう優柔不断では済まされない地位にいるんだ。」
そう。黒の騎士団。副司令。そのポストは重い。
「分かりました。俺は俺なりに考えてみます。」
「頑張れ。俺は陰ながら応援している。」
「ありがとうございます。頑張ってみます!」
扇要。まだまだ若いな。元教師とて学ぶ事は沢山ある。
みなさん投稿遅れて申し訳ありません!
引っ越しのバタバタで中々筆が進みませんでした・・・。
前ほど連続で投稿はできませんがスキマ時間を見つけては書いていこうと思ってます!
そう言えばちょっと休んでいる時に初コメント頂きました!
本当にありがとうございます!
モチベに繋がります!
これからもどうぞこの作品をよろしくお願いします!