異世界卜部 〜異世界でもコードギアスの世界でも四聖剣は虚名にあらず!〜   作:シャール

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卜部 の 覚悟

皇暦2018年

 

東京租界。バベルタワー。

 

 突如現れた謎のKMF。それは飛燕四号作戦に馳せ参じたゼロの騎士団、団員達を確実に葬り去っていく。

 そしてそれは神速のような速さですぐにゼロの元に現れた。

 俺は咄嗟にゼロが乗っているサザーランドを突き飛ばす。そしてそのMVSランスを回転刃刀の刃で受け止める。

 

「「卜部!「さんっ!」」

 

 カレンとゼロの声が聞こえる。

 

 かねてより覚悟していた。我らは陽動。すなわち捨て石。いざという時は我が身を切ると。

 そしてそれに値するこの敵こそあの白兜並みの脅威!

 

「ゼロ…お前の正体が学生であろうと構わない。切り捨てるだけではと言った。その言葉に偽りはないと受け取った!紅月!」

 

「は、はい!」

 

 その声は突然の事に理解できないといった感じだった。無理もあるまい。まだ学生として学校に通っていてもおかしく無い歳。

 それがこのような危険な戦場に身を置いている。彼女の日本奪還の志とパイロットとしての腕。

 日本。彼女とゼロならば・・・!

 

「ゼロを頼む。彼だけが・・・。残された希望だ!」

 

 その瞬間。パイロットスーツの安全装置が作動し、ベストと肩当ての部分に空気が送り込まれる。

 胸元に手を当てて安全装置を解除する。送り込まれた空気が排出され、ベストと肩当てが元の大きさに戻っていく。

 

「すまんな。ラクシャータ。」

 

 せっかくの安全装置。ラクシャータが作った生存率を高めるものだが、元より俺は・・・!

 

 目を瞑り、四聖剣の面々を思い出す。朝比奈の憎まれ口。千葉のクールな物言い。仙波大尉の厳しくも想いの籠った説教と手打ち蕎麦。そして我ら日本の希望であった藤堂中佐。

 

 美しかった日本を思い返す。春には桜餅、夏には炙ると結構いけるアブラゼミ、秋には月見に見立てメープルシロップをかけて食べる目玉焼き、冬は塩を粉雪のようにかけた大福。これが塩のおかげで甘さが際立つ。

 

 感傷に浸りすぎだな。

 

 覚悟を決めて俺の意思を彼に託すとしよう。

 

「ゼロよ!日本を!民を!拾ってやって・・・欲しい!」

 

 回転刃刀をまるで切腹のように機体に突き立てる。それは易々と鋼でできたそれを貫通し、後ろで何かに刺さった手応えを感じる。

 

「四聖剣とは虚名にあらず。」

 

 力が抜け・・・。

 

 

 

 

「ッ!!」

 

 突然感じる浮遊感。これは落ちているのか!?

 

 モニター越しに見えるのは森。それもかなりの高度から落ちているようだ。

 

 どうやら月下の中にいるようだが何故だ。あの時。確かに機体のエナジーフィラーを貫いたはず。

 俺は死んだはずだが。

 

 とにかく考えるのは後でも良い。今はこの一大事をどう乗り切るかだ。

 

 パイロットスーツの安全装置が再び作動する。

 

「すまんな。ラクシャータ。」

 

 今度は感謝を伝える。

 

 脱出装置に手をかけるが、故障しているのか作動しない。

 

「このままではッ!!」

 

 地面と激突してしまう!!

 再び覚悟を決めようとしたその瞬間。機体に感じる強い衝撃と共に垂直に落ちていたはずが、なぜか森が並行移動している。

 

 飛んでいるのか。

 

 その時何とも言えない鳴き声が鼓膜を揺らした。

 

 俺は着替えとサバイバル用品が入っている緊急時用の鞄を取り、手動でコックピットを開ける緊急用レバーを引いた。

 すると強風と共にそこに現れたのは巨大な。

 

「トカゲ!だと!?」

 

 そのトカゲの背には翼が生えていて月下の胴体部を後ろ足で掴みながら飛んでいた。

 

「し、信じられん・・・。」

 

 目の前の光景につい声が出てしまう。

 大昔に図鑑で見たプテラノドンのそれとは違う風貌。

 

 オオトカゲは俺に気がついたのか、月下を揺らす。

 

「ぐっ、うあああ!!」

 

 強風と揺れも相まって俺は月下から滑り落ちてしまった。

 

 地面に激突する!俺は強い衝撃を感じてそのまま気を失った。

 

 

 

 

「卜部。お前は何を望む。」

 

 仙波大尉?

 

「卜部。ふっ。これから面白くなりそうだぞ。」

 

 千葉か?千葉なのか?

 

「卜部さんさぁ。もういいんじゃない?楽しんじゃってもさ。」

 

 朝比奈だったのか?

 

「卜部。お前はもう気負わなくていいんだ。日本は彼らが・・・。」

 

 藤堂中佐!!

 

「中佐!!」

 

 俺は叫びながら手を伸ばす。

 

「ッ!」

 

 鈍痛を感じた。手を伸ばした先はどうやら木の幹だったようだ。

 どうやら地面にぶつかる前に木の枝で衝撃が吸収されていたようだ。そして運良く足が引っかかったお陰でなんとか一命を取り留めたようだ。

 

 注意深く足に絡まった枝を取ろうとするが、パキッという音と同時にそのまま背中から落下してしまう。

 

「ぐあっ!」

 

 ラクシャータの安全装置のお陰で落下の衝撃が吸収された。しかしそのまま風船のようにベストは破裂してしまった。

 

 今の自分の身なりを見る。酷いものだ。パイロットスーツはビリビリに破れているし、肩当ての片方はどこかに行ってしまったみたいだ。

 

 脱出時に持っていた鞄も落下時にどこかに落としてしまったみたいだ。

 手を日除けにして上を見上げる。すると10メートルほど上の枝に例の鞄が引っかかっていた。

 

「俺もまだツイているものだな。」

 

 石を拾い上げてその枝に向かって投げつける。

 昔から自信のあった投擲。石は見事にその枝に命中。鞄が地面へと落ちる。

 

「良し。」

 

 鞄を拾い上げ、中を確認する。

 

 どうやら各種装備品及び軍服は無事のようだ。それに。

 

「ふむ。中々の業物だな。」

 

 サバイバルナイフ。これがあるのと無いのでは全く違う。

 

 そして。最後に中に入っていたのは。

 

「ほう。これは。」

 

 14年式拳銃。太平洋戦争時代の骨董品ではあるものの信用に足る性能ゆえにブリタニアによる日本侵略の際も将校に愛用されたものだ。

 

 俺はパイロットスーツを脱ぐと軍服に着替える。

 

「やはりこれが落ち着くな。」

 

 四聖剣のみ着用が許されたこの軍服。俺の誇りであり全てでもある。やはり袖に腕を通すと身が引き締まる。

 

 鞄の中から弾帯ベルトを取り出して、腰に巻く。それにサバイバルナイフ、ホルスターを装着した。

 鞄を背負い、今一度気を引き締める。

 

「さて、行くか。」

 

 卜部巧雪。35歳。異世界に転移。

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