透き通る世界で、月の香りがした。   作:エヴォルヴ

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ティーパーティーへの制裁などは後々やります。精々噛み締めろ。


現状のアラヤちゃんに関わってるもので、フロムっぽいブルアカアイテムテキスト作れねぇかな……


18.弔いを

 苦々しい表情を浮かべるサクラコ────呼び捨てで問題ないと言われた────の後に続き、シスターフッドの管理している広い倉庫へと足を踏み入れた私は、懐かしい気配を大量に感じ取っていた。

 

「……」

 

 ローレンス、エミーリア、アルフレートを始めとした聖者達だけではなく、聖歌隊やメンシス学派、さらにはカインハーストの気配まで、呪いと血の気配のオンパレードである。

 

「サクラコ、貴公ら、よく狂わなかったな?」

 

「狂う……ですか?」

 

「ああ。これだけの呪いが集まっているのだ。人体に影響があってもおかしくはあるまいよ」

 

「そう……なのでしょうか。確かに、シスターフッドの所属となってから数回、脳の奥が開くような感覚がありましたが……」

 

 ………………………………まさか、彼女が勘違いされがちのコミュ障な理由は、中途半端に啓蒙を手にしているからか? 発狂していないのは少々疑問だが、あり得んわけではあるまい。ヘイローがある人間は啓蒙────神秘────そういったものへの耐性が存在する。発狂していないのもそれが理由だろう。

 

 直接ではなく、間接的に啓蒙を手にしたのであれば啓蒙0.2~0.5の間を行き来しているかもしれないな。だからこそ勘違いされがちになる。彼女は恐らく、無自覚に自分の思考と相手の思考が同じ次元にあると仮定して「こう言えば伝わるだろう」、という思い込みをしてしまうのだ。ヤーナムにはそういう類いのやつらがいた。メンシス学派、聖歌隊、ビルゲンワース……………………進化論を唱える連中は引っ括めてクソだな。

 

「ところで、アラヤさん、あの亡骸を埋葬した後はどうするおつもりですか?」

 

「ゲヘナ学園へ向かう。転入手続きがあるからな」

 

「なるほど。……ああ、だからティーパーティーも躍起になっていたのですね」

 

 ん? シスターフッドとティーパーティーが共謀していたわけではないのか。

 

「シスターフッドは貴公の勘違いされがちのコミュ障が原因として……」

 

「はぐっ……」

 

「ティーパーティーが躍起になっていたのは、私が秘匿を暴こうとしていたからではないのか?」

 

「いえ、私も全てを知っているわけではないのですが……」

 

 曰く、私という存在────接触禁忌の天使(アンタッチャブル)がゲヘナ学園に転校すると、エデン条約の調印を控えているのにゲヘナ学園に付け入る隙を与えてしまう。だから何とか引き留めて、エデン条約の調印が済んでから転校なりさせようとしていた────らしい。他にも理由はありそうだが、サクラコが知るのはこれくらいだそうだ。

 

「下らんな」

 

「あっさりと言い切りますね」

 

「私が制御不能と知りながら、縛り付けようとする感性が理解できん」

 

 そんな会話をしている間にも、私が感じる血と呪いの気配が濃くなってきた。間違いなくヤーナムの産物がこの先にある。

 

「サクラコ、ここにある物の由縁をどこまで知っている?」

 

「そう、ですね……あの亡骸はシスターフッドの長達にのみ伝えられてきた代物なことくらいでしょうか?」

 

「そうか。……アルフレートの手記とデュラの嘆きはどうした? あれには亡骸を火葬し、埋葬せよと書いてあったはずだが?」

 

「あれに関しては、かつて、聖者の亡骸が盗まれた際、紛失したと聞いています。教会の聖書に載っているものは、当時の長が何とか復元したものだとか……デュラ、という方に関しては分かりません」

 

「────愚かさここに極まれり、だな」

 

 全くもって愚かな話ではないか。尻切れトンボになっている時点で何となく察していたが、ここまで愚かだとは思わなかったぞ。

 

「…………ああ、しかし、あの方のものは残っていたような……」

 

「ん? 誰かね」

 

「教会の守護者、ブラドー様の手記です」

 

 ああ、ブラドーか……ブラドーの手記ね。

 ………………………………………………ブラドーだと? しかもサクラコは何と呼んだ? ブラドー様、だと? 

 

「クヒッ……ヒヒッ、ハハハハハハハ!!」

 

「え、えーと、どうしました?」

 

 これが笑わずにいられるか! ブラドーが! あの教会の刺客だった追跡者、私の師ブラドーが、様付けで呼ばれているのだから! あの狂人も、まさか後の時代で様付けで呼ばれているなど想像もできまい。

 

「クヒッ、クヒッ……! ああ、すまない。それで? ブラドーの手記には何が?」

 

「確か……『いつの日か、月の香りが来る。遺体は月の香りに処理させれば良い』……と」

 

「……なるほど」

 

 ブラドー、さては貴公、私がキヴォトス────未来から訪れた狩人だと理解して押し付けたな? 彼の先読み能力は狩人の中でも群を抜いていた。ローレンスとエミーリアの亡骸が保管されていた理由も恐らく……いや、それでもアルフレートの手記とデュラの嘆きを見れば処理しようと考えるだろうに。……だがブラドーだからなぁ……他にもひねくれたことを書いているに違いない。

 

「ところで、なぜ私が月の香りだと?」

 

「アリウスの生徒会長は代々月の香りと呼ばれる香水の香りを纏っていました。あなたからは、それよりも濃い香りがしましたから」

 

 ふむ……月の香り……確かに生前の母が何か言っていたような気がしなくもない。いかんせん遥か昔の話。朧気にしか覚えていないが。

 

「……さぁ、着きました。ここが────」

 

「彼らの、亡骸が保管されている場所か」

 

 ヤーナムの感覚だと……ここはエーブリエタースがいた辺りか? 懐かしいことだ。

 

 厳重に封がされている扉の鍵を開けて、私は力を込める。ギギッ、と軋む音がした後、開かれた禁庫は小綺麗にされてはいるが、血と呪いの気配が凄まじい。

 

 む、あれは死血花か? その近くには実験棟の屋外にあったヒマワリ。カインハーストの遺物は工芸品やレイテルパラッシュだったか。処刑隊の手袋は無さそうだ。

 

 ……そういえば、女王は未だ健在なのだろうか。アルフレートが叩き潰した後、私が蘇生させてしまったからなぁ……カインハースト、あとで探してみるとしよう。座標としてはレッドウィンターの付近のはずだ。

 

「……ああ、久しいな、ローレンス……エミーリア。そしてアルフレート」

 

 あの日見た焼けた頭蓋骨ではなく、鎮火している獣の頭蓋に寄り添うように置かれた、鹿のような角が生えた頭蓋骨。そしてその隣にはミイラのようになった、かつての師の姿があった。ああ……ローレンスとエミーリアの亡骸はこれだけしかないが、アルフレートの亡骸は全て残っている。……ルドウイークの遺体がないのは、なぜだ? 悪夢の産物とはいえ、残っているはずだが……盗まれたのか? 

 

「……はぁ。まぁいい」

 

 サクラコは空気を読んだのか外へ出ている。とりあえず、儀式素材やら何やらを回収してしまおう。……というかどうして儀式の血がここにあるのだ……ヘイローがあるとはいえ、よく発狂しなかったな。レッドゼリーもあるではないか。

 

「……メンシスと聖歌隊の遺物は……クヒッ、予想通りか」

 

 メンシス学派はメンシスの檻で、聖歌隊の遺物は星の瞳のペンダント。予想通りというか、何というか……やつらめ、私が去ってからもヤーナムで研究でもしてたのか? 上位者達は私という存在が生まれた影響で、ヤーナムから興味を失ったというのに? ────まぁ、するか。あいつらなら。

 

「さて、待たせたな、三人とも」

 

 弔いを行う方法は簡単だ。形式的なものになってしまうが、あの場所に咲いていた花を添えてから、一礼する。その後、葬送の刃を構え、変形。大鎌へと姿を変えたそれを振り上げ、彼らの周囲に蔓延する呪いの残滓に振り下ろすだけである。

 

 これでゲールマン式の葬送は完了したが、私の弔いはまだ終わらない。悪夢は巡り、そして終わらないのだから。悪夢に二度と目覚めぬよう、私は月の神秘────上位者としての神秘を一瞬だけ解放する。そして、一言を添えるのだ。

 

「さようなら、我が師達。あなた達の眠りが、目覚めが、安らかで……そして有意なものでありますように」

 

 

『────────ありがとう、ゲールマンの友人よ……君の歩みに、血の加護がありますように……』

 

 

『────────ありがとう、友よ……最期にあなたと会えて、本当に良かった』

 

 

 …………ああ、私もだよ、アルフレート。あなたと会えて本当に良かった。

 

「……まだ、心残りはあるが……それは調べるとして……」

 

 もうここには用はない。亡骸は私の弔いにより、跡形もなく崩れ去った。血と呪いが彼らを縛り付けていて、それを私が断ち切ったのだから、当然であろう。残念だったな、盗人よ。ローレンス達の呪いは私が断ち切ったぞ。何かの探求はもうできんだろう。あの冒涜も、ローレンスやエミーリアを使うことはできまい。灰も残っていないのだからな。

 

「……行こう」

 

 ゲヘナ学園へ。私はこの腐りきった鳥籠から解放されるのだ。ハナコがここを変えて、大笑いするのを楽しみに待つ。次にここへ訪れる時は、きっとその時だ。

 

 ティーパーティーへの制裁など、もうどうでもいい。精々この結果を噛み締めておけ。

 

 

 

 ────────────────────────────────────

 

 

 

1:名無しの先生

 えー、我々はキヴォトスに染まっていたと自覚しました。

 

2:名無しの先生

 確かに交渉じゃねぇや……

 

3:名無しの先生

 ハハッ……

 

4:名無しの先生

 アハッ,アハッ,(精神が)コンナニナッチャッタ……

 

5:名無しの先生

 なっちゃったからにはもう、ネ……? 

 

6:名無しの先生

 イヤッ、イヤッ! イヤッ! 

 

7:名無しの先生

 プルアアアアアアアアイイイイヤハアアアアアアアア!!!! 

 

8:名無しの先生

 いっつも発狂してんなこいつら

 

9:名無しの先生

 オマエモナー

 

10:名無しの先生

 朗報、サクラコ様、アラヤちゃんとならコミュニケーションが取れる

 

11:名無しの先生

 悲報、サクラコ様、思考の次元が上にあるせいで、ほぼ全員に勘違いされる。

 

12:名無しの先生

 よく分からない? オレモソーナノ

 

13:名無しの先生

 サクラコ様に必要なのは表情筋とかではなく、その思考の次元を落とす方法だと思う。

 

14:名無しの先生

 ある程度賢ければ伝わる……てコト!? 

 

15:名無しの先生

 なおトリカスムーブ

 

16:名無しの先生

 トリカスさぁ……

 

17:名無しの先生

 トリカスは醜いゲヘねぇ……

 

18:名無しの先生

 ゲヘナの蛮族は醜いですわねぇ……

 

19:名無しの先生

 同族嫌悪って言葉知ってる? 

 

20:名無しの先生

 いや、ゲヘナの方がいいだろ。力こそ全てなおかげで陰湿ないじめはないぞ

 

21:名無しの先生

 なおテロ

 

22:名無しの先生

 ヴッ……

 

23:名無しの先生

 正直我々はキヴォトスに染まっていたよね。確かにあれは交渉じゃなくて脅迫だわさ。

 

24:名無しの先生

 それに気付けたからこそ、次に活かせる……活かせるか? 

 

25:名無しの先生

 活かせ。

 

26:名無しの先生

 活かさないと獣やぞ。

 

27:名無しの先生

 獣ってなんだよ……

 

28:名無しの先生

 分からん

 

29:名無しの先生

 アラヤちゃんの獣の判定が分からねぇ

 

30:名無しの先生

 ところで、アラヤちゃんが禁庫へと足を踏み入れた後の動向が分からないんだが? 

 

31:名無しの先生

 ブラックアウトして、サクラコ様視点での独白が来た後、白目を向いてるナギサ様だからな。あと負傷者を見て絶句してる先生とミネ団長。

 

32:名無しの先生

 救護! 

 

33:名無しの先生

 あの人本当に救護の人? 

 

34:名無しの先生

 団長やぞ

 

35:名無しの先生

 でも脳筋────

 

36:名無しの先生

 それ以上はいけない。

 

37:名無しの先生

 アッ、ハイ。

 

38:名無しの先生

 でもあれだよなぁ……マジでハッとさせられたというか……ゲームではあるけどさ、敵を倒して敵に要求を飲ませるって、交渉とは違うよね

 

39:名無しの先生

 それな。悪い大人とほぼ同じ手段じゃん。

 

40:名無しの先生

 キヴォトス全体がそれを肯定しちゃってるからなぁ……

 

41:名無しの先生

 ところでブラドーって誰だ

 

42:名無しの先生

 また未知のキャラが……

 

43:名無しの先生

 美少女と見たね

 

44:名無しの先生

 アルフレート

 

45:名無しの先生

 あれは例外だろうが!! 

 

46:名無しの先生

 透き通るような世界観の学園RPGやぞ。さすがにブラドーは美少女だろう。

 

47:名無しの先生

 でもよぉ、忘れたのか? 

 

48:名無しの先生

 何を

 

49:名無しの先生

 ブルアカ、フロムが関わってるんだよ? 一部シナリオとかのみらしいけど。

 

50:名無しの先生

 ずっと目を逸らしてたこと言うなよッッッッ!!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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