アナザイーター   作:ア・ラ・カルト

1 / 1
プロローグ

 

―― もう終わりにしよう。こんな世界なんか、要らない。

「母さん、もうすぐ行くからね」

俺はそう言って、ビルの屋上から飛び降りようとした――

 

その時だった。

 

「まだ死ぬのは早いんじゃね?」

 

そう、男は言った。

 

「……何だよ、お前」

 

「お前、生きるのに嫌気が差しちまったんだろ? だったら手を貸すよ。俺がこんな世界よりもっとスゲェ世界に連れてってやる!」

 

彼は救う価値の無い俺に救いを手を差し伸べてくれた。

 

「その代わり、お前の大嫌いな世界を、喰らい尽くしてやる」

 

男の言葉と共に世界が暗転する。

人が、街が、自然が、次々と壊されていく。

凶悪な侵略者によって、世界は喰い尽くされていった。

だが、そんなことはどうでも良い。こんなガラクタの世界、どんな風に壊れたって良い。

俺は、悪魔の囁きに乗ってしまった。

 

「俺を、この世界から救ってほしい」

 

「了解した」

 

一ノ瀬蓮司の物語は、ここから始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰かぁ! 助けてくれぇえええええ!!」

「嫌だぁ、死にたくないっ!」

「痛い…お母さん、お母さぁん……!」

「誰か、息子を! 息子を知りませんか……!?」

「いやっ、来ないで! 来ないでよぉ!」

 

街の方から悲鳴や断末魔が聞こえる。人々は逃げ惑い、殺され、攫われ、喰われていった。

 

「ギャアアアアアアッ!! 痛い! 痛いよぉおおおおお!! お母ちゃああああ――」

「クソッ、何で俺がこんな目に…チクショオオオオ――」

「ちょっ押さないでよっ! 私だって死にたくないのに…いだっ、何しやがんだテメェエエエ!!! こちとら社長令嬢なんだぞゴラァ!! テメェらみたいなゴミなんかの命よりもアタシの命の方が何倍も――」

「や、止めてくださいっ、お願いしますっ! 許してくださいっ! 助けて、助けて、お願いしま――」

「ハハハッ、お、俺……終わった――」

「何で、何でよ! 私は何にも悪い事なんかしてないのに、人生で何にも悪い事なんか一度も足りともしていないのに! 神様の嘘――」

 

嘆きを叫ぶ前に一人がグシャリ、また一人がグシャリと殺されていく。

 

「アハハハハッ! 殺せ殺せー!!」

「新鮮な内に皆殺しにしろー!」

「顔が良いのや体格が良いのは残して置け! 後で性処理用にして愛でてやるからよぉ!」

 

侵略者たちは、笑いながら惨殺していった。大量の殺戮兵器を使って、笑顔で、殺しまくった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと、俺はベッドの上だった。

 

「おっ、起きたか」

 

見知らぬ男が、俺の様子を窺う様に顔を覗き込んだ。長く眠り過ぎた為か、暫く身動きが取れない。

 

「こ、此処は……」

 

俺は、男に尋ねる。

 

「ここは俺達の……アナザイーターの世界だ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。