アナザイーター   作:ア・ラ・カルト

1 / 1
プロローグ

 

―― もう終わりにしよう。こんな世界なんか、要らない。

「母さん、もうすぐ行くからね」

俺はそう言って、ビルの屋上から飛び降りようとした――

 

その時だった。

 

「まだ死ぬのは早いんじゃね?」

 

そう、男は言った。

 

「……何だよ、お前」

 

「お前、生きるのに嫌気が差しちまったんだろ? だったら手を貸すよ。俺がこんな世界よりもっとスゲェ世界に連れてってやる!」

 

彼は救う価値の無い俺に救いを手を差し伸べてくれた。

 

「その代わり、お前の大嫌いな世界を、喰らい尽くしてやる」

 

男の言葉と共に世界が暗転する。

人が、街が、自然が、次々と壊されていく。

凶悪な侵略者によって、世界は喰い尽くされていった。

だが、そんなことはどうでも良い。こんなガラクタの世界、どんな風に壊れたって良い。

俺は、悪魔の囁きに乗ってしまった。

 

「俺を、この世界から救ってほしい」

 

「了解した」

 

一ノ瀬蓮司の物語は、ここから始まった。

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

「誰かぁ! 助けてくれぇえええええ!!」

「嫌だぁ、死にたくないっ!」

「痛い…お母さん、お母さぁん……!」

「誰か、息子を! 息子を知りませんか……!?」

「いやっ、来ないで! 来ないでよぉ!」

 

街の方から悲鳴や断末魔が聞こえる。人々は逃げ惑い、殺され、攫われ、喰われていった。

 

「ギャアアアアアアッ!! 痛い! 痛いよぉおおおおお!! お母ちゃああああ――」

「クソッ、何で俺がこんな目に…チクショオオオオ――」

「ちょっ押さないでよっ! 私だって死にたくないのに…いだっ、何しやがんだテメェエエエ!!! こちとら社長令嬢なんだぞゴラァ!! テメェらみたいなゴミなんかの命よりもアタシの命の方が何倍も――」

「や、止めてくださいっ、お願いしますっ! 許してくださいっ! 助けて、助けて、お願いしま――」

「ハハハッ、お、俺……終わった――」

「何で、何でよ! 私は何にも悪い事なんかしてないのに、人生で何にも悪い事なんか一度も足りともしていないのに! 神様の嘘――」

 

嘆きを叫ぶ前に一人がグシャリ、また一人がグシャリと殺されていく。

 

「アハハハハッ! 殺せ殺せー!!」

「新鮮な内に皆殺しにしろー!」

「顔が良いのや体格が良いのは残して置け! 後で性処理用にして愛でてやるからよぉ!」

 

侵略者たちは、笑いながら惨殺していった。大量の殺戮兵器を使って、笑顔で、殺しまくった……。

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

目を覚ますと、俺はベッドの上だった。

 

「おっ、起きたか」

 

見知らぬ男が、俺の様子を窺う様に顔を覗き込んだ。長く眠り過ぎた為か、暫く身動きが取れない。

 

「こ、此処は……」

 

俺は、男に尋ねる。

 

「ここは俺達の……アナザイーターの世界だ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。