あっベリルは不在です。
「ということで君にはイギリス異聞帯を破壊してほしい」
ヴォーダイムの依頼は意外なモノだった。クリプターは異星の神とやらに蘇らせて貰った代わりに担当する異聞帯を育てるって言う話だったはずだ。それをリーダーが反故にするってんだからまあ驚いた。
「あれは残ってはいけない異聞帯なんだ。君にしか頼めない。やってくれるね?【術師殺し】禪院甚爾」
「報酬は?」
「任務後は私の異聞帯で不自由ない暮らしを保証する」
「異聞帯の状況次第じゃ時間かかるぞ」
「構わないよ。すぐに行けるかい?」
「あぁ。移動は任せた。」
「カイニス!彼をイギリス異聞帯へ!」
「大声出さなくても聞こえてる!おら行くぞ!」
こうして口調が乱暴なキリシュタリアのサーヴァントに連れられてイギリス異聞帯に到着したのであった。ぐるっと周りを見て一言
「人選ミスだな」
手練手管、口八丁手八丁、時々ゴリ押しで人を殺すことを得意としている甚爾の目の前の世界はただ荒野が広がるだけ要人らしい人も難民らしき人も誰もいない世界。残された仕事は空想樹の破壊だけ。
「だいたい何が『やってくれるね』だ。やらなかったら殺されるのは俺だったろうが」
かつて魔術師殺しを生業としてた頃の依頼者たちを思い出す。その手の魔術師は出し抜いて1番利益が出るようにしてきた甚爾だがキリシュタリアにはそんなことできる隙はなさそうだった。
「どうやって壊すかな。爆弾でちまちまやってもいいが、せっかくだコレでも使うか」
魔力のない甚爾の手に魔力を帯びた紋様。すなわち令呪が宿ってた。
「人生初の魔術だ。成功しろよ」
生まれつき魔力のなかった甚爾にとってこれは最初で最後の魔術。だが彼の心にはなんの感慨も湧いていなかった。
「えーっとカンペは…これか」
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する。」
用意された魔法陣が光る。令呪に熱が篭る。
「告げる。汝の身は我が元に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば答えよ」
息を吸う。熱が全身に巡り、令呪は一層熱くなる。
「誓いを此所に。我は常世総ての善と成る者。我は常世総ての悪を敷く者。
汝三代の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
瞬間、光が満ちた。
「サーヴァント、ルーラー。妖精妃モルガン、召喚に応じ参上した」
モルガン。イギリスで有名なかのアーサー王伝説に出る邪な魔女。
(だったはずだが妖精妃?てことは元々の神話よりか?)
実際の偉人ではなく、物語の登場人物になると原典が存在ことも多い。昔々の物語なら尚更その元は神話から引っ張られたものもある。
「魔力がないとは奇妙な奴め。あまり視姦するな。貴様が私の召喚者か?」
不遜な振る舞いのサーヴァントの発言はスルーして、さっさと用件だけ伝えるべきだと判断した。
「そうだ、俺がマスター、禪院甚爾だ。早速で悪いが仕事だ。あのバカでかい樹を破壊し…いやその前に少し調査を頼みたい。」
あのキリシュタリアが危険視したものとはいったいなんだったのか。手駒になるような物なら手に入れておきたい。モノによっては今後の優位性が変わるかもしれない。
「了解した。2,3日程度時間をもらうぞ」
「現界は令呪が維持してる、おそらくバックアップはできないからな。あの樹を破壊する分は残しとけよ」
最低限必要なことを伝えた甚爾はこの日少し早めに休んだ。特に敵がいないのであれば調査は明るい時間のほうが適している。全ては計画通り進めるための行動だった。
予想外だったのはイギリスの有名な敵役がこの地を愛していたこと。
目が覚めるとそこは荒野ではなく荘厳な城の中だった。
初っ端から派手な戦闘シーンをと思ってたけど入りは丁寧にね。
早くキャラの口調をつかみたいです。
今回の召喚が最初で最後の魔術っぽいシーンの予定です。あとはゴリラさせます。
呼び方がコロコロ変わってるように見えますが一応文章中ではfgo内で一番呼ばれてる呼び方の使用を心がけています。
感想と誤字脱字も教えていただけると幸いです。