有馬かなに転生したので、俺の意識が消えるまで彼女を守護ろうと思う   作:雑穀ライス

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カミキヒカルが救済される作品がほとんどなかったから自分で書いた。
なおガチの初投稿なので超遅筆です。


第一章 星野アイ救済ルート
TS転生


――気が付いたら赤ん坊になっていた。

何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった。

 

 目覚めて最初に目に入ったのが、天井からぶら下がったやや古めかしい型の蛍光灯。

自宅の蛍光灯はずいぶんと前にLEDに交換していたはず。ここは何処だ?

 

「あー、あぅー」

 

 とりあえず起き上がろうとするが、思うように身体が動かない。それどころか言葉もまともに喋れない。かろうじて視線を自分の身体に向けると、ずんぐりむっくりした赤ちゃんボディが視界に入った。

 ……頭がポルナレフ状態で全く状況が理解出来ない。ひょっとすると何者かの『スタンド攻撃』を受けているのかもしれない。第三部にそんな能力を持っているスタンド使いがいたはず。

 

「あらあら、どうしたの?かなちゃん?」

 

 現実逃避を続けていると、大人の女性が近づいてきて抱き上げられた。この赤ん坊の母親だろうか。未だに頭の中が混乱していて自分が赤ん坊であることをいまいち実感できない。

 

「あー、なぁー、にぁー!」

俺は女性に抱かれながら、尻尾を掴まれた猫のような鳴き声を上げ続けた。

 

 

 

 

 

 とりあえず猫の物真似を続けていても進展がないので、自分が赤ん坊になってしまった事実を受け入れて現状把握を試みる。部屋の様子と、女性が日本語を話していることからここは日本と断定。残念ながら異世界転生は出来なかったようだ。

 カレンダーがかかっていたので年代を確認すると、今は西暦2004年だと判明。どうやら俺は19年前の世界にタイムスリップしていたようだ。

 

 くっそ、タイムスリップするとわかっていたら必死に競馬のレース結果を覚えておいたのに。シンデレラグレイから入ったにわかウマ娘ファンだったから2004年以降の馬なんかゴールドシップぐらいしか知らねぇぞ。

 アイツは未来知識を頼りに大金をぶち込んだ途端に歴史改変してでもゲート内で立ち上がりそうな予感がしてなんだか怖い。俺は即座に競馬で金を稼ぐ計画をゴミ箱に投げ捨てた。

 

 そう言えば競馬で思い出したけど、シンデレラグレイの最新話を読むのに19年以上待たないといけないのか…心が滅入ってきた。

 

 

 

……どうやら俺が転生してしまった赤ん坊の名前は「有馬かな」というらしい。

 

 ヤングジャンプ読者として、この名前を持つキャラのことは当然知っている。【推しの子】のヒロインの女の子だ。ということは俺は【推しの子】の世界に転生してしまったということなのだろうか。なまじ舞台が現代日本ということだけあって同姓同名の他人という可能性も捨てきれなくて判断が難しい。

 

 

 

 ……俺が有馬かなに転生してから数か月後、俺の芸能界デビューが決まった。どうやら粉ミルクのCMを撮影するらしい。

 【推しの子】の作中で「哺乳瓶を持ってた時代からこの業界で仕事している」と有馬かなが言ってたので、ここは【推しの子】の世界である可能性がかなり高くなった。

 では、ここが【推しの子】の世界だと仮定して俺はこれから何をすべきだろうか。

 

 まず第一、星野アイを生存させる。【推しの子】を読んだことのあるファンなら誰もが考える行為だ。だが実際にどう動けば星野アイを生存させられるのだろうか。

 ストーカー男の共犯者が星野アイの元カレである「カミキヒカル」である時点で確実に住所はリークする。女性1人と子供2人で刃物を持った男に対抗するのは中々の無理ゲーだ。

 もっとセキュリティ対策がしっかりしている物件に引っ越ししてもらうのが一番手っ取り早いが、それには先立つものが必要。アイの給料が月収20万ぐらいだったか?星野アクアを煽って働かせる?なんにせよ不確定要素が多すぎる。

 

 ……そもそも有馬かなが子供時代にアイとアクアに接触するのは、ホラー映画の撮影ロケのときの一度きり。その後は完全な部外者だ。

 ロケでアクアに入れ知恵して、後は成り行きに任せるしかないか。

 

 

 第二、有馬かながこの先幸せに生きられるように道を切り拓く。

 原作通りだと、有馬かなは子役時代に天国と地獄を味わうことになる。原作では有馬かなの子役時代はほとんど描写されていなかったが、その結末を知っているだけでもある程度は凋落を防げるよう立ち回ることは可能だろう。

 もしかしたら突然本来の有馬かなの人格が目覚めるかもしれない。もしくは精神が身体と環境に適合して、男の人格である俺の意識が自然消滅していくのかもしれない。

 身体を借りている身分である以上、家主に家賃を払う算段はつけておきたい。

 

 

 第三、B小町に「アイドル」を歌ってもらうこと。こっちは完全に俺の趣味だ。

 あの神曲はこの【推しの子】世界では自然発生することはないだろう。「読者」の目線で星野アイに対しての理解を深めたからこそ生まれた奇跡の一曲だ、アレは。

 だから俺がこの世界に「輸入」する。星野アイの生き様に多くの人が涙して生まれたこの曲を、この世界の人にも知って欲しいという俺のエゴだ。

 流石に英語版は無理だが、日本語版の歌詞は完全に暗記しているし、ボカロ編集ソフト用の楽譜を書き起こせるだけの知識と記憶も残っている。

 

 ……転生してからの数か月で、すでに前世の自分の名前も思い出せないほどに前世の記憶が朧気になってきているが、歌の記憶だけは鮮明に残っているのは本当にありがたい。

 この記憶こそが異世界転生特典だというのなら、この世界の神は中々の洒落者であろう。

 

『よんだ?』

 

 ……カラスを従えた少女の声が聞こえたような気がしたが、全力で無視した。

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