有馬かなに転生したので、俺の意識が消えるまで彼女を守護ろうと思う 作:雑穀ライス
【日本のトレンド】
1.アイドル [エンターテインメント · トレンド]
2.愛してる [トレンド]
3.限界 [トレンド]
4.アイ [エンターテインメント · トレンド]
5.ドームライブ [エンターテインメント · トレンド]
6.ニノ [エンターテインメント · トレンド]
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「ツィッターのトレンドワード総ナメじゃん」
「むしろニノの存在感がヤバい」
ドームライブの翌日、久しぶりにアクアと一緒に遊んでいた。アクアが退院してから遊ぶのは初めてなので、実に2週間ぶりだ。ドームライブで会ったことを数に含めなければの話だが。
苺プロは、ドームライブ終了後、即座にドームライブの映像を配信した。「アイドル」のMVを準備している時間はなかったので、当面はこれで凌ぐつもりらしい。
…まさかドームライブ映像だけで2億再生超える事態になってしまうのだろうか。割とエグいスピードで再生数が伸びているのであり得ないと言えないところが怖い。
ちなみにトレンド3位の「限界」は、「アイドル」を聞いてボロ泣きした限界ファンと赤色のサイリウムで染まった観客席を見てボロ泣きした限界アイドルの話題の2つ分が合算されている。オタクのリアクションと同じジャンル扱いされてるぞ大丈夫かアイ。
一番おいしい思いをしたのはニノだ。「アイの同期で、B小町を後ろから支える影のリーダー役」というイメージをドームライブの一件で見事に作り上げた。もう彼女を引き立て役B扱いする者はいないだろう。
えっ?ほかのB小町メンバー?知らない子ですね……
「…お前がいてくれて助かったよ。ありがとう、かな」
「もしかして惚れた?抱いていいのよ?」
「10年早いっての」
「…10年は長いなー」
アクアと軽口を叩き合う。
…友情と恋愛感情の違いは、執着心の違いだと思う。「コイツに嫌われたなら、それはそれで仕方がない」と思えるほど割り切れるのならば、それは恋愛ではない。
アクアと俺との間には、恋愛感情はない。
アクアを女性として好きになる日が来たのならば、それは俺が消滅して「有馬かな」になったときの話なのだろう。
きっと、死ぬにはいい日になるに違いない。
…今はまだ、男と女の友情が成立する年齢だ。それに甘えることにする。
結論を出すのは「有馬かな」なのだから、今はこのままの関係でいい。
「……優しい嘘の世界の物語、か」
「…なんの話だ?」
「ねぇ、アクア?もしもの話だけど、自分が漫画やアニメの世界の人間だと思ったことはない?」
「4歳の若さで中二病かよ。そういうのは早く卒業したほうがいいぞ」
「黙って聞けやコラ」
原作の「有馬かな」の台詞をパクられたことに少々憤慨しながらも、俺は強引に話を続けた。
「…もしもこの世界が漫画の世界だとして、アイがストーカーに刺されて死ぬのが本当の展開だとして」
俺は大の字になって寝転んで、語る。
「私はアクアに入れ知恵して、アイを助けた。だけどその代わりにアクアは顔を傷つけられてしまった」
俺が介入した程度では、アイもアクアもみんな無事のハッピーエンドにはならなかった。
「もしかしたら、アイが死んだ後の世界で、アクアが苦悩しながらも役者として大成する未来があったのかもしれない。それを、私が壊してしまった。そのことを、私たちの世界を漫画として読んでる人たちは『余計な事しやがって』と怒っているかもしれない」
……もしも俺のやったことを、第4の壁の向こう側から見ていた人たちがいたとしたら「原作こそが至高にして究極の物語なのだから、お前如きが介入するのは思い上がりも甚だしい。付け足すな。書き替えるな」と激怒するのかもしれない。
あるいは「なぜすべてを救えるチャンスがありながら、それを活かすことが出来なかったんだ」と俺の不甲斐なさに対して呆れているのかもしれない。
「それでも」
俺はタブレットに映った「アイドル」を熱唱するアイの姿を見つめる。
「私は、この結末に辿り着いたことに後悔はない」
映像が、赤色のサイリウムで染まった観客席を映した光景に切り替わる。
「死の間際に悟った
原作のアイは、死の間際に子供たちの幸せを願う気持ちを「愛」と呼んだ。だが、
報われない「愛」なんて、見ていて痛々しい。
「たとえご都合主義の神様が見せる嘘だったとしても、これでいい。これがいい」
観客席を見て号泣しているアイの映像を見ながら、俺はそう思った。
「…俺、役者の道を諦めるとか一言も言ってないけど?」
「えっ」
――最後に変なオチがついた。
やりたかったことリストその7
「私は、この結末に辿り着いたことに後悔はない」
「アイ生存」のタグを入れた瞬間に光の速さで☆1評価飛ばしてくる人がいるぐらいなので、解釈不一致の意見を怖がっても仕方ないという話。気持ちは理解出来るので猶更。
むしろカミキヒカル救済概念こそが解釈不一致の塊なのでは?かなは訝しんだ。