有馬かなに転生したので、俺の意識が消えるまで彼女を守護ろうと思う   作:雑穀ライス

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作者が曇らせ展開に耐えられなくなったので砂糖を足して口直し。
2章を書くのが面白くなかったら書いてて面白い内容を差し込めばいいじゃない。


黒川あかねとのファーストコンタクト

 仕事のストレスで心身ともに疲労した俺は、癒しを求めてアクアの家に訪れた。

「かんぱーい!ゴクゴクゴク…プハー!麦茶だこれ!!」

「人の家でくつろぎ過ぎだろ」

「知ってる?麦茶をサイダーで割るとノンアルコールビールになるんだよ?くそマズいけど」

 

 アクアをホスト代わりに侍らせて麦茶をガブ飲みする。あぁ~癒されるわぁ~~

 ちなみに手土産にお高いアイスを10個ほどアイに渡したら快く買収に応じてくれた。世の中金が正義だ。俺はアクアの太ももを枕にして猫のように纏わりついた。

 

「お兄ちゃんが幼稚園児を侍らせて楽しんでる…キモっ」

「いやどう見てもペットの世話だろこれ」

 

 アクアを人間のクズ(ロリコン)を見るような目で見つめるルビー。

 おやぁ~いいのかなぁ~?そんな態度取ってると君の大切なゴローせんせいをNTRしちゃうぞぉ~~?

 

「今ならホストに有り金全部貢いで風俗堕ちする女性の気持ちがよく理解できる」

「理解したらダメなやつだから妄想の世界から戻ってこい」

 

 俺のツッコミ役に徹するアクア。こういうやり取りに幸せを感じてる時点で男として手遅れなような気がするが、もう知らん。

 肉体がイケメンショタを求めてるんだ。俺は悪くない。有馬かなが悪い。

 

「…ところで、本当に大丈夫なのか?結構厳しい状況になってるみたいだけど」

「んー?想定内。へーきへーき」

 この程度ならまだ原作で起こったことの範囲内だ。というか原作でどんだけ地獄見てきたんだよ有馬かなは。

 

「私には未来知識(原作知識)があるから大丈夫…あっ」

「どうした?」

 毎日がトラブル続きで大変で、重要なことをすっかり忘れていた。

 

「…私の両親、もうすぐ離婚するんだった」

 

 

――有馬かなの苦難は、まだまだ続く。

 

 

 

 

 また一年が過ぎた。この一年間の評価は、まあよく凌いだというところか。両親はまだ離婚はしていないが、もう時間の問題だというところには行き着いていた。気分が滅入る。

 夫婦として生活を続けるというのは、相手の欠点をどれだけ許容できるかが重要だと思っている。離婚によるデメリットを許容してでも相手と別れたいと思っているのならば、俺が介入できる余地はないのであろう。

 子供を理由に離婚を考え直させるには、俺という存在は成熟し過ぎている。俺が有馬かなの足を引っ張ってしまった。

 陰鬱な気分でオーディション会場に入る。

 

「…かなちゃんを選ぶことはもう決まっているしね。これ形だけのオーディションだから」

 …休憩所の前で、なんだか不穏な言葉が聞こえた。

 

「かなちゃんはリラックスして…」

「私がどうかしたの?」

 会話に割り込む。オーディションの審査員であろう大人と、俺に似た髪型と服装をしている女の子が話をしていた。

 

「あれ…?やっべ……」

 余計な事を話してしまった。そんな気まずそうな表情で大人が去っていった。

 残ったのは、俺と、女の子だけ。

 

 黒川あかねだ。

 

 

「かなちゃん…ほんもの……」

 黒川あかねがキラキラした目でこちらを見てくる。

 

「えっと…わたし、かなちゃんのファンで……」

「うん、見たらわかる」

 根拠は原作知識だけどな。

 黒川あかねは、なんとかして俺との会話を続けたいという感じで必死に話題を探していた。

「えっとね…あはは……あの人、変なこと言うんだよ?このオーディション、かなちゃんを選ぶことはもう決まってるって……かなちゃんはそんなズルしないよね?」

 

 その言葉を聞いて、()の怒りが沸騰した。

 正しいことは正しいと疑わない。育ちの良さそうな、両親に愛されて育ってきたその雰囲気。すべてが気にくわない。

 この女の子を泣かしてやりたい。そんな、嫉妬と逆恨みが混ざった感情が()の中に燃え広がる。

 

 そして…()は、その怒りを辛うじて呑み込んだ。

 アンガーマネジメントだ。最初の6秒を耐えれば我慢できる。炎の妖精もそういっていた。素数を数えろ。2,3,5,7,9,11…って9は素数じゃねぇ!!

 よし、セルフボケツッコミでいい感じに頭が冷えた。

 

「別にいいんじゃない?結果は変わらないんだし」

 頭を冷やした状態で出た言葉がこれである。有馬かなェ…

 

「…それとも、あなたなら私に実力で勝てると思っているの?」

「そ、そんな…わたし、オーディションは初めてで…」

「ああ、これじゃ虐めているみたいね。じゃあ一緒に考えましょう。どうやったら、あなたが私に勝てるかを」

「で、できるわけがないよぉ…」

 

 実はこっちも黒川あかねと会話出来ていることに多少テンパっていたが、なんとか会話のラリーを続ける。限界ファンと限界ファンの対話。会話が成立するヴィジョンが見えねぇ。

 

「あなたが私に勝ちたいと思うなら…まずは私の真似をやめなさい」

「えっ…」

 そう言って、俺は黒川あかねから帽子を取り上げてその手に持たせる。

 黒川あかねが被っていた帽子は、有馬かなが愛用しているデサインだ。

「あなたに出来て、わたしに出来ないことをやるのよ」

 

 原作知識を使って、まだ何も知らない黒川あかねにアドバイスをする。俺のアドバイスなんかなくても自分で答えに到達するのは知っているが、ここで恩を売っておくのも悪くない。

 払い戻し額10倍のディープインパクトみたいなものだ。そんなもん給料全部突っ込むに決まってるわ。

 

「大事なのは努力の仕方を間違えないこと。あなたが私の才能の半分しか持ってないと思っているなら、あなたは私の2倍考えなさい。それで、あなたは私と対等になれるわ」

「かなちゃんの2倍、考える…」

「登場人物になり切って、その人が何を考えているか想像するの。どんな食べ物が好きなのか、どんな絵が好きなのか…どんな男の子が好きなのか。

 その人の内面に深く深く潜り込めば、どんな表情で、どんな言葉を言えばいいのか自然にわかるようになるわ」

「わぁ…かなちゃん、すごい……」

「じゃあね。あなたと一緒にお芝居する日を楽しみにしているわ」

 

 そう言って黒川あかねと別れた。よし、ちょっと危ないところもあったがパーフェクトコミュニケーションだ。黒川あかねと共演出来る日が楽しみだというのも噓偽りない本音だ。

 誰がメインヒロインなのか白黒つけてやる…!

 ちなみにオーディションは黒川あかねと勝負する気持ちで本気でやった。流石にあそこまで先輩面して情けない演技を見せるわけにはいかない。

 

 

「…ついにこの日が来たか」

 そして黒川あかねと出会ってからしばらくした後、俺のところに()()のオファーが届いた。

 

 ピーマン体操だ。

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