有馬かなに転生したので、俺の意識が消えるまで彼女を守護ろうと思う 作:雑穀ライス
粉ミルクのCMが終わった後も、俺は色々な商品のCMに出演を続けた。
ニコニコ笑顔を振りまきながら、大人の言うことに従ってリアクションするだけの簡単なお仕事です。撮影が終わった後、母親が満面の笑みを浮かべながら「この子は将来大女優になるわ!」とスタッフに吹聴しまくっている。大女優になれるかどうかはまだ未定だが、天才子役と呼ばれるぐらいにはすぐに成長してみせるよマイマザー。
そんなこんなで俺がCM撮影に参加して我が家の家計を助けることはや1年。
事件は起こった。
…子供の肉体は敏感だ。
痛みに対して耐性がなく、すぐに泣きわめく。
あるとき、母が泣いている俺をあやすためにお菓子を与えていたときにふと気づいてしまった。
『この子は、泣いていてもお菓子をあげればすぐに泣き止む』
「哀」の感情が一瞬で「喜」に切り替わる子供の姿は、見ていて微笑ましく、面白い。
これをCMで使えば、かなりいい感じの商品PRになるのではないか?
思い立ったが吉日、母は速攻で会社に売り込んだ。
母の提案は受け入れられ、すぐに撮影の準備が行われた。
カメラのスタンバイはOK。後は俺のアクション待ち。
「じゃあ、
…母の言葉の意味が一瞬理解できず、宇宙猫みたいな表情をしている俺に対して
ずびし。
かなり強めのデコピンを、母がお見舞いしてきた。
「ふぇ…ふぎゃああああああああ!!!!」
痛みと動揺でガチ泣きする俺。
何の躊躇もなく自分の娘を暴力行為で泣かせる母親を目の当たりにして、撮影スタッフ全員の顔が凍り付いた。
「はい、お菓子あげてくださいー」
「は…はい」
母の行動にドン引きしながらもプロ意識で撮影を続けるスタッフ一同。あるいは流れに身を任せることを選んだだけかもしれない。激流に身を任せて同化し、常識を投げ捨てて戦うのも芸能界で生きるための秘訣なのだろう。
お菓子を渡されて、自分が何をしなければならないのか思い出した俺は全力で表情筋を動かして笑顔を作った。
頑張れかなちゃん!嘘の仮面を被って耐えろ!君は完璧で究極のアイドルだ!ゲッタースマイルで明日の希望を取り戻せ!!(錯乱中)
「きゃはははー、あははー」
お菓子を握りしめて、やや棒読み気味の作り笑い。OKが出るかかなり不安だったが、どうやらセーフ判定だったらしい。助かった。
「んー、もう一本撮っておいたほうがいいかな?」
「ふぎゃあああああ!!!」
母がまたデコピンの構えを見せたので護身のため全力で泣き叫ぶ。母よ、貴方は人の心とかないんか?「芸のためなら女房も泣かす」という言葉があったが、それが許されるのは昭和までだぞ。
ギャン泣きする子供の扱いに困惑していたスタッフだったが、結局2本目の収録を行うことになった。スタッフの、いろいろと何かを諦めたような疲れた表情が印象的だった。
自分では結構書いたつもりなのに実際は1500文字にも届いてなかったときの絶望。
毎日投稿している人たちは一体どんなスピードで書いているんだ…