有馬かなに転生したので、俺の意識が消えるまで彼女を守護ろうと思う 作:雑穀ライス
はいみなさんおはようございます。有馬かなです。
前回母親からの特に理由のない暴力を顔面ブロックし、「10秒で泣く演技」のスキルをラーニングしたところからの再開です。
「10秒で泣く演技」は天才子役の称号を手に入れるために必須技能になるので、RTAしない場合でも取得推奨です。
優良スキルをくれるマッマはとてもいい人。毒親とか言ってはいけない、いいね?
ちなみに芸能界での挨拶は朝昼晩すべて「おはようございます」が常識です。
芸能人のイクサにおいて、自分より先に出社している人に対して「お早う御座います」のアイサツは絶対の礼儀だ。古事記にもそう書かれている。
なお自分より先に「おはようございます」と言われた場合、会話の文脈が成立しなくなるので注意。アンブッシュは1回まで許されるので必ず自分からアイサツしよう!(n敗)
…現在の自分の状況をRTA走者風にまとめることで、現状把握と現実逃避を同時に行う。どうやら自分が思った以上に母親に叩かれたことをストレスに感じていたらしい。
アレで得たものも大きいのでコラテラルダメージだと割り切ってしまいたいが、どうも感情の抑えが利かない。
有馬かなは…有馬かなの肉体は、感受性が高い。
それだけではなく、自分の感情を増幅させて表現することに長けている。喜びや楽しみを増幅させればキラキラの笑顔を見せられるし、悲しみの感情を増幅させれば10秒で泣くことも出来る。
この技術を転生チートもなしで3歳の年齢で習得した原作の有馬かなは本当に凄いと思う。天才子役だともてはやされるわけだ。
とりあえず、今はこの怒りと不満の感情を抑える訓練から始めるべきだな。
アンガーマネジメントは大事!出来ないやつから死ぬ!!ホント、芸能界は地獄だぜ! フゥハハハーハァー!!!
――俺は2歳になり、正式に芸能事務所に所属した。
子役の仕事を紹介されたので、一般オーディションを感情演技のゴリ押しであっさり突破。
感情演技は多少演技力が足りてなくてもサマになるのでかなり楽だった。
元々備わっている役者としての才能に大人の知性がインストールされているのだから、むしろ落ちるほうがおかしいレベル。
ちなみに先日、オタ芸を披露する双子の赤ちゃんの映像が盛大にバズっていた。
【推しの子】世界確定だよ!やったねかなちゃん!
なお現在は2007年前後という時代背景にもかかわらず、SNSのツールとしてツィッターが普通に使われている。フェイスブック君は犠牲になったのだ…【推しの子】読者への理解しやすさの犠牲にな…
撮影現場では、カメラが回れば俺の独壇場だ。笑えと指示されたら笑い、泣けと指示されたら泣く。
演出家も2歳のガキに演技力を求めるほうが無理筋だと理解しているので、指示も台詞もすべて簡潔なもの。感情が声に乗るだけで棒読み感がなくなるので、その辺はかなり高評価だった。俺ぐらいの年齢で棒読みを克服出来ている子供はかなり希少とのこと。
まあ幼児期の物心がついてくるのはだいたい3歳ぐらいからなので、当然と言えば当然のことだ。
演技などしなくても「泣いたり笑ったりする可愛い女の子」という評価が勝手についてくる状況で、まさに入れ食い状態。
求められている役割の属性が違うため、たとえ主役より目立ってしまってもドラマが成立するやり得な状況なのがかなり美味しい。
「嘘の仮面」なんか被る必要などない。「有馬かな」を演じるだけで俺の評価はどんどん上がっていった。
有馬かなの評価が上がるにつれて、段々と重要キャラの役を与えられるようになった。
しかしやることはこれまでとほとんど同じ。キャラの背景を読み取り、キャラとシーンに合わせた感情演技を披露していく。
…原作の展開を考えれば、数年後には「何をやらせても『有馬かな』の演技しか出来ない」といった、前世の木〇拓哉みたいな評価を受けることはだいたい確定しているような感じだが、今はボーナスステージだ。
遠慮する理由はどこにも存在しない。稼げるときに、稼げるだけ稼ぐ。俺の目的のためにも必要なことだ。
――1年も経たずに、無事に業界から「天才子役」の評価を得ることに成功した。
泣き芸にばかり注目が集まっているのが原作通りの展開でこれからの未来を考えると少々不穏ではあるが、これで数年分のアドバンテージは確保出来た。
有馬かなは、もうすぐ3歳になる。
星野アクアとの会遇は、すぐそこまで迫っていた。