有馬かなに転生したので、俺の意識が消えるまで彼女を守護ろうと思う   作:雑穀ライス

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その所業、まさに悪魔なり

「…どういう意味かな?」

「そのままの意味だよ。お前の神様、仮の人格を創り出すときに条件に一致する人間を適当に選んでそいつの記憶と人格をそのままコピーしただろ。だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 作家気取りで原作(レシピ)を修正したがる癖に、肝心なところを運まかせ(ランダムセレクト)にするから第4の壁の外から悪魔が異物混入してんじゃねーか。しかもそのことに全く気付いてないと来たもんだ。ハハッ、ワロス。多次元宇宙の存在も認識できないとは神の恥晒しよ…!

 さて、俺はこの場でアイと有馬かなの運命を散々弄んできたこの邪神どもを徹底的に理解らせるつもりだ。もちろんカラスの少女を物理的に痛めつける気は全くない。こいつは神様にとってスマホ付きのドローンみたいなものだ。ならどうするかって?精神攻撃(レスバ)(泣か)すんだよ。

 

「しかも、『アイを死なせないことだけを修正する』だって?ストーカー事件を乗り切った後のフォローとか全く考えてなかったのかよ」

 まずは邪神のガバガバ過ぎるアイ救済計画をとことん攻めていく。命さえ無事なら安泰だと本気で思っていたのか?それは人間を買い被り過ぎだと思うぞ。仮の人格の人選もそうだが、すべてにおいて大雑把過ぎるわ。

 

「アイを助けたのも部外者(メフィスト)、心を病んだアイを立ち直らせたのも部外者(メフィスト)、ドームライブを成功させるきっかけを与えたのも部外者(メフィスト)。よくこれで『自分の描いたシナリオ』とか言えたものだな?AIに書かせた小説のほうがもっとマシな展開になると思うぞ?」

 最初から最後まで役者任せのクソ脚本じゃねーか。邪神お前もう船降りろ。

 …さっきまで月が良く見えるいい良い天気だったのに、事務所の外で雷の音が聞こえてきた。あれあれ?もしかして神様おこなの?奇遇だな俺も激おこぷんぷん丸だぞ。有馬かなの物語にも散々悲劇のスパイスを付け加えてくれたみたいだから俺たちにも文句を言う権利はあるはずだ。なくても言うけどな!

 

「解釈一致、不一致以前の問題だ疫病神どもめ。人の人生に悲劇を付け足すことしか出来ないお前らの脚本(りょうり)なんざ、☆1評価で十分だよ!」

 仮にもクリエイターを気取るなら、面と向かっての歯に衣着せぬ☆1評価宣言は痛かろう。俺なら絶対に言われたくない。俺がそう言い放つと、雷の音が大きくなって雨が勢いよく振り出してきた。

 よし、これで一神(ひとり)(泣か)した。娯楽を楽しむために思考レベルを人間に合わせるから痛い目に遭うんだぞ。ざまぁ!

「…2周目の神様も大概だが、1周目の神様はもっと許せん」

 2周目の神様の心をへし折ったので、レスバの対象を1周目の神様に変える。個人的にはこちらの神様のほうが許せないんだよなぁ。

 

「悲劇の分量(味付け)ミスでアイを死なせてしまった?なんだそれ?やってることが、主人公を事故で死なせてお詫びに異世界転生させる系の量産型ポンコツ神じゃねーか!!!」

 お前のせいで【推しの子】の物語が一気にチープなイメージになったじゃねーか!?俺の感動を返せ馬鹿野郎!!

「しかも自分の趣味(くち)に合わなかっただと!?【推しの子】原作の良さが分からないなら脚本家(りょうりにん)なんかやめてしまえこの才能無しが!原作こそが至高にして究極の物語なんだから、お前ら(神様)如きが介入するなんて思い上がりも甚だしいんだよぉ!」

 原作へのリスペクトも思い入れも全く足りてない1周目の神様を、身も心も原作至上主義者の厄介ファンになり切って徹底的にこき下ろす。なんかドームライブ直後に似たようなことを言われて「知るかハゲ」って言ったような気もするけどそれは気にするな。都合の悪いことは忘れろ!悪魔には記憶力の欠如が必要なんだよ!!たとえダブスタクソメフィストと言われても俺は一向に構わんッ!

 俺の怒涛のクレーム攻撃を受けて、雷雨が更に酷くなってきた。よし!二神(ふたり)目も、(泣か)したぞ!俺たちの完全勝利だ!!

 神様連中のスマホの役割に徹していたカラスの少女は、俺の言葉を聞いて表情筋が引きつったような顔で固まっていた。めちゃくちゃレアな表情してるじゃん。写メ撮ってもいいかな?

 

「…勝利の余韻に浸っているところに悪いんだけど、このまま放っておいたら東京が水没しちゃうよ?」

 その言葉を聞いて窓の外に目を向けると、外はちょっとヤバいレベルの集中豪雨状態になっていた。交通機関がマヒするレベルの大災害だわ、これ。

「うわぁああああああ!!!!」

 やりすぎたぁああああああ!!!!!

 

 

 

 結局、有馬かながこれからも神様たちに芸を奉納し続ける…つまり一生役者を続けることを条件にして神の怒りを鎮めてもらった。神を粗末に扱えば祟り神になるとカラスの少女は言ったが、それにしてもレスポンスが早すぎないかな?やっぱり疫病神じゃねーかお前ら。

 どのみち芸能界に骨を埋める覚悟はしていたのでこちらに被害はないが、なんか納得いかん。

 

「あなた、本当に面白い人間ね。神様たちからもますます気に入られたみたい」

 神様からおもしれー女認定されてしまった。だからといってこれ以上悲劇のスパイスを追加するのは止めろよ!絶対に止めろよ!?フリじゃないからな!!!

「そこは安心していいよ。神様もしばらくは悲劇を観たくないってさ。よかったね」

 ゆ、許された。今考えてみればこの世界の神様相手に少し調子に乗り過ぎた気もしないでもないが、ポンコツ神の癖にイキがってる様子にムカついたんだから仕方ないじゃないか。俺は悪くない。邪神どもが悪い。

 

「それで、神様への願い事は決まったかな?」

 あ、ここまでボロカスに貶したのにまだご褒美をくれるつもりなんだ。

 

「別にいらないわよ。もう貰ってるし」

 しかし、()はその提案を断った。

「メフィストはあんなこと言ったけど、私は貴方たちに感謝している。…メフィストに会わせてくれて、ありがとう。それに『アイドル』と『祝福』の歌まで貰ったんだから、これ以上望んだらバチが当たるわ」

 

 神様たちにはこの歌がどんなに価値があるのか理解してもらえなかったみたいだけど、アイも私も、メフィストの世界で作られたこの歌に心を救われた。正真正銘の、神の奇跡だった。

 メフィストがこの世界にやってきたのは偶然だったかもしれないけど、貴方たち神様が世界をやり直してまで私たちに優しい結末を与えてくれようとしてくれたのは、事実だ。

 この感謝の気持ちは、嘘じゃない。

 

「…ふぅん。じゃあ、()()()()()()()()()()()()?」

 意味深なことを言いながら、カラスの少女が私の横を通り過ぎていく。彼女は事務所の扉を開けて外に出ると、廊下で待っていた大人の女性に抱きかかえられてそのまま去っていった。

 それが、私とカラスの少女の最初で最後の邂逅となった。




1週目の神様「量産型ポンコツ神…orz」
2週目の神様「☆1評価…orz」


RTA走者「TRUEエンドの条件はまだ判明していませんが、どうやら最後にカラスの少女と会話する前に黒川あかねと恋バナをすることがフラグになっているようです。だから、黒川あかねの好感度を上げる必要があったんですね。
 しかし好感度を上げ過ぎると黒川あかねエンドが確定してしまうのでここでの好感度調整が腕の見せ所…あっ」
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