有馬かなに転生したので、俺の意識が消えるまで彼女を守護ろうと思う   作:雑穀ライス

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声優ネタです。
合法的にAC6を布教出来るネタが転がり込んできたら、そりゃあ書くしかないよなぁ?


後日談
鴉の少女


――そうだ、ゲーム実況者になろう。

 第四の壁の向こう側から電波が飛んできたので、私はゲーム実況者デビューすることにした。

 

 …事の発端は、私がメフィストの夢を見たことだ。

 2023年8月25日、「ARMORED CORE VI」というゲームが発売された。自分でカスタマイズした人型兵器を駆り、傭兵となって戦場へと赴くメカアクションゲームであり、10年ぶりの続編発売ということでゲーマーたちは歓喜の雄叫びを上げた。世界観と()()()()()()()()(フロム基準)で旧作のファン以外からも人気を集めて、2か月で推定280万本を売り上げた大ヒットゲームである。

 私が見た夢とは、私たち(推しの子)の世界を去って元の世界に戻ったメフィストがAC6のラスボスの声優を担当しているという夢だった。

 ちなみに夢の中に出て来たメフィストは女の子だった。あいつが男の姿をしているところは何故か想像できない。

 

 そんな経緯で、私はこのゲームに興味を持った。ただゲームをプレイするだけではなくゲーム実況をしようなどというトチ狂った結論に至った理由は、そっちのほうがメフィストに楽しんでもらえるんじゃないかという思いつきだ。

 思い立ったが吉日、私はPS5本体とAC6のソフトをまとめて通販で購入した。金なら人並以上に持ってるぞ(ドヤ顔)。

 

 とりあえずぶっつけ本番で実況配信をやるつもりはないので、ブツが届くまでの合間に他の人の動画を見て予習する。

 …ふむふむ、なるほど。無言になる時間を極力作らないようにしてしゃべり続けるのが基本テクニックなのか。Vtuberさんの配信は参考になるな。勝ったり負けたりしたときは大袈裟に喜んだり悲鳴を上げたりする。つまり感情演技をやればいいということか。任せろそこは私の得意分野だ。

 色々プレイ動画のアーカイブを漁っていると、とあるVtuberさんがバルテウス相手に33敗していた。やべぇこれ死に覚えゲーかよ。不安になってきた。

 

 3日ほど待って、PS5とAC6のソフトが到着した。さあ配信開始だ。

 

 

 

 

『621、仕事の時間だ』

 

 

 PS5のセッティングと配信の準備とやり方を覚えるのに悪戦苦闘すること丸1日。ようやくゲーム開始までこぎ着けた。電源を入れてゲームスタート。自慢の大きなテレビにオープニングムービーが流れる。

 AC6の舞台となる惑星ルビコン3は、「惑星封鎖機構」と呼ばれる組織が管理しているため組織外の人間には惑星間の渡航許可は下りない。なので、主人公たちは非合法な手段で「密航」することになる。その「密航」の手段とは、大気圏突入用のポットに人型兵器(AC)を載せて宇宙から突っ込ませることだった。みんなACは持ったな!!行くぞォ!!

 

 

『ISB2262 惑星ルビコン3に着陸』

 

 

「はい、ついにやってきましたルビコン3。ダイナミックかつエレガントなやり方でこの惑星にエントリーしたわけですが、途中で『惑星封鎖機構』の保有する衛星砲に狙撃されたせいでAPが1/3ほど減った状態でスタートです。衛星砲に撃たれて生きているので実質ノーダメージですね。死ななきゃ安い、これ常識です。ここテストに出ますよ?」

 

 予習した通りに、とにかくゲームの内容について喋り続ける。こちとら女優歴19年だ。台本のないトークでもズブの素人には負けていられない。

 

『座標は……グリッド135。誤差はあるが許容範囲だ。この先のカタパルトを使え。それで帳尻が合う』

「わあイケボ。この人が私のご主人(ごすずん)様なんですね」

 

 他の人より2か月遅れでプレイしているため、巷ではすでにネットミーム(コーラル)汚染が広がっている。ご主人様(ウォルター)戦友(ラスティ)等、魅力的な男性キャラが多いので女性プレイヤーもかなり多いとの噂だ。公式キャラデザインがほぼ存在しないゲームなのにキャラ人気が爆発してるってヤベェなオイ。

 

「それでは、カタパルトを探して探索を開始します。マーカーの方向に移動すればいいのかな?」

 

 コントローラーの左スティックを動かしてのっしのっしと前進。次のエリアへ移動するための入口が高いところにあるのでジャンプで飛び上がる。

 

「あ、推力足りない。落ちるぅううううう!」

 段差を乗り越える前に飛ぶためのエネルギーがなくなって垂直落下した。のっけからグダグダである。

 

 

 

「第一村人発見!射殺します!!」

 次のエリアに入ると雑魚敵がわらわら(たむろ)ってたので、ミサイルとライフル弾で殲滅する。殺戮者のエントリーだ!ハイクを詠め!!

 私はR1ボタンとR2ボタンの区別がついていないので両方のボタンを連打して弾があるだけ敵に撃ちこんだ。アクションゲームなんて普段やらないんだから仕方ないじゃん。勝てば良かろうなのだぁ!

 雑魚敵を殲滅して次のエリアへ移動。目標のカタパルトを発見したので、△ボタンを押してカタパルトにアクセスして起動する。

 

「アムロ、いっきまーす」

 ACのプレイ動画投稿者の何番煎じなのかわからない使い古したネタを言いながら、私はカタパルトからACが発進するムービーを眺めていた。

 

 

 

『仕事を続けるぞ。ACの残骸を漁り生きている傭兵ライセンスを探せ。密航者には身分証が必要だ』

「死体漁りとは、感心しないな…しかしこの機体と傭兵ライセンスは頂いていく、ジオン再興のために!!」

 

 カタパルトの射出先にて、ウォルターさんからの指令が入ってミッションが更新された。新しいマーカーが表示されたので、オタワードを使ってトークしつつも雑魚敵を倒しながら進めていく。

 ちなみにACの残骸からパーツを抜き出すことは出来ないみたいです(残当)。あと傭兵ライセンスも使用できませんでした。ぴえん。

 

『盾持ちがいる。ブレードを忘れるな621』

「あいあいさー。ボス(ごす)

 

 盾持ちの雑魚にはライフル弾が弾かれてしまう。だから近接武器を使う必要があったんですね。オラァ私のパルスブレードを食らえぇ!!!

 

「着★剣!」

 

 私の中の大和魂を解放して吶喊して突貫した。展開したパルスブレードで盾ごと切り裂かれてスタッガーし(よろめい)た雑魚敵を返す刀で切り裂く。フゥー!気持ちいい!!やだこのゲームたのしい。

 

 

『惑星封鎖機構の巡回か? 戦闘は避けろ』

「やべぇ警察(サツ)だ!ずらかれ!!」

 

 先に進むと、なんかヤバそうな大型戦闘ヘリ(ルビコプター)がきたので犯罪者になった気分で隠れてやり過ごす。いや実際に不法入国しているんで犯罪者なんですけどね。ぶっちゃけ力こそが正義の無法地帯なんで遵法精神なんかトイレットペーパー(ケツを拭く紙)にもなりゃしねぇ。

 戦闘ヘリが去っていったのを確認して死体漁りミッション再開。反応の鈍い雑魚敵を着剣して処理しながら死体漁りを続けていると、ウォルターさんが新しいACの残骸を見つけてくれたのでマーカーの位置までアサルトブースト(全力加速)でカッ飛んでいく。

 垂直カタパルトで飛び上がった先に倒れている朽ち果てたACを調べると、先ほどすれ違った戦闘ヘリがこちらにやってきた。

 さあ、ボス戦開始だ。

 

「しかし、お前の弱点はすでに分かっている!」

 配信動画のやり方を予習するついでにボスの倒し方も確認しておいたのだ。私の辞書にガバという文字はない!

 

「ルビコプターの弱点は近接攻撃に弱いこと!私のブレードを食らえぇ!着★剣!!

 戦闘ヘリがやってきたところにジャンプで接近し、不意打ち気味にブレードを叩きこむ。2段斬りが直撃してボスのAPゲージが10%ほど減少した。

 

「オラァこのまま膾斬りにしてやるぜぇ!…あれ、オーバーヒート?何それ?」

 続けてルビコプターにブレードを叩きこもうとしたら、オーバーヒートと表示されて着剣に失敗した。ちょっと?近接攻撃にクールタイムがあるとか聞いてないんですけど?

 

「だったらクールタイムが回復したあとにもう一度斬ればいい…ふぎゃあ!エネルギー足りなくてジャンプ出来ない!!」

 最低品質の初期装備ジェネレータが限界を迎えてあっさりとガス欠に陥ってしまった。攻撃手段と回避手段を同時に失った私はルビコプターの機銃とミサイルを避けられずに直撃し、そのまま爆散した。

「…死にました~」

 

 ま、まあみんな最初のボスで大苦戦してるって言ってるから。このぐらい普通だし?

 気を取り直して再戦を選択。ボス戦直前から再開できるのはいいね。

 

 

「あうちっ」

 2戦目。正面からアサルトブーストで突撃して「着★剣!」しようとしたら妙に攻撃力の高い機銃でハチの巣にされて死亡。

 

「あべしっ」

 3戦目。開幕の近接攻撃を空振りしてそのままダメージレースに負けて死亡。

 

「ひでぶっ」

 4戦目。良い感じに戦っていたのにアサルトブーストが暴発して距離が離れたのをきっかけに調子を崩して死亡。

 

「うわらばっ」

 5戦目。アサルトブーストが誤作動して死亡(2回目)

 

「逃げるな卑怯者ぉおおおお!!!!逃げるなァアアア!!!」

 6戦目。ノーダメージで5割ぐらいAPを削って「いける!」と思ったらルビコプターに進入禁止エリア(お空)の向こう側に逃げ込まれた状態でミサイルを連打されて爆死。

 

 

 やべぇこいつ強ぇ。

 

 

 …ちなみに私がアサルトブースト(L3ボタン)を暴発して死にまくっているのは、AC6のキーコンフィグのデフォルト設定が「PS5のコントローラーをテレビと()()(つまり真横)に構えて持つ」ことを前提としてセッティングされているため、「PS5のコントローラーをテレビと()()(縦向き)に構えて持つ」癖を持つ人はキーコンフィグの変更が必要だということを知らなかったからだ。

 私がそれに気づいたのは12時間以上プレイした後の話だった。泣いていいかな?

 

 

 

 

『あれだ。あの残骸にアクセスしろ』

「諒解、ウォルターさん。…うーん、これN回目の挑戦なんですよねー。もう諦めかけております私」

 時刻は午前4時。いい加減に少し疲れてきた。そしてそれ以上に怒りが溜まってきた。あの野郎(ルビコプター)を撃墜するまで後に引けん。

 

「しかしですよ~?この残骸の情報を吸収し終わったらぁ~…」

 何度もリスキルされて覚えてしまったルビコプターの出現位置に向かってカメラを向ける。

 

「そっちから来るのはわかってんだよォォオ!こっちから先手じゃあああ!!」

 疲労と眠気が反転してハイになったテンションの命じるままに、こちらに迫ってくるルビコプターに向かってミサイルとライフル弾を掃射。エリアに入ってくるまえに少しでもダメージを稼ぐ。

 

「あっ、外したw」

 …つもりだったが、ロックオンするよりも早くミサイルを撃ってしまったため明後日の方向に飛んで行ってしまった。駄目ですねクォレハ…

 

「気を取り直してぇ…着★剣!!

 ルビコプターの正面に立って、垂直ジャンプからパルスブレード2連斬り。散々リトライさせられたおかげで完全にタイミングを覚えてしまった。

 

「もう一回いきます!着★剣!!

 ブレードのオーバーヒートが回復するのを待ってからアサルトブーストでルビコプターに接近し、もう一発。ゴミ品質のジェネレータが息切れする直前になんとか2発目を叩きこむことに成功した。

 

「この先がちょっと不安なんですけど…がんばります!」

 ここから先はアドリブだ。そろそろ勝たせてくださいお願いしますなんでもしますから!

 

 

――逃げ回る。逃げ回る。大丈夫、死ななきゃチャンスはある。

 

「さてさて全然削れていませんが…あっ当たった!?」

 アサルトブーストからのブレードが偶然ヒットした。これでルビコプターのAPは残り半分だ。

 

「いけぇ私の『ドントマインド』!竜騎士(リューサン)のように飛ぶんだぁ!!」

 アサルトブーストでぶっ飛んで、「着★剣!」するが、ルビコプターがスッと後ろに下がったせいでブレードが届かず空振りする。オイコラァ!動くと当たらないだろォ!?

 ブレードを空振りし、エネルギー切れで落下していく私のACにミサイルが降り注いだ。

 

「回復するしかない…あっ、あっ、あっ、嫌っ、受けすぎ!」

 ミサイルが全弾直撃して一瞬でAPを50%ほど溶かされたので変な声が出た。もうやめて!今何時だと思ってるの!?早く寝させてよ!!

 

「なかなか近づけない…しかし、諦めない!」

 こちらの残りAPは20%。ミサイルをあと2発食らえば終わりの危険領域だが、イチかバチかのアサルトブーストからのブレードが急所にヒットして、ルビコプターがスタッガー(よろめき)状態になった。

 

 

『効いてるぞ。畳みかけていけ621』

「そんなことウォルターさんに言われたら…行くっきゃなぁあああい!!」

 ルビコプターの上に一瞬着地してジェネレータに一息いれる。すぐに振り落とされて落下するが、その一瞬の休息でエネルギーがわずかに回復した。そしてパルスブレードのオーバーヒートが回復するのと同時にアサルトブースト再点火。

 

 …アサルトブーストの勢いを乗せたパルスブレードが、ルビコプターのコクピット部分を両断した。

 

「あっ…倒せた…?」

 敵機撃墜の瞬間がスローモーションで流れる。大型兵器がパルスブレードで破壊されて火花を散らすシーンは、凄くカッコよかった。

 私の駆るACを何十回も破壊してきた悪魔の兵器が爆散する――直前で、カメラが障害物の後ろに隠れて肝心のシーンが映らなかった。台無しじゃねーか!!

 

『惑星封鎖機構SG。大型武装ヘリの撃墜を確認した。621、今日の仕事は終わりだ』

 

「…うっ、うはははははははは!ようやく勝ったぁああああ!!ばんざぁああああい!!!」

 ステージ1のボスにしていい強さじゃねーな!ゲームを始めたばかりのプレイヤーに空中戦を強要するとかドS過ぎるわ!!

 

『手に入れたライセンスの識別名を伝える』

 カタルシスから解放されてハイになっている私を無視して、ウォルターさんが語り掛けてくる。

 

 

レイヴン()……これがお前の、ルビコンでの名義だ』

 

 

「…(ようや)く!私も!『鴉の少女(レイヴン)』になったんだぁあああ!!!」

 

 …「鴉の少女」とは、ハンドラー・ウォルターがAC6の主人公である強化人間621に対して自分の娘のように親身に接する態度からプレイヤーたちが想像した「621は病弱美少女車椅子AC乗りである」という概念の一種なのだが、当然私はそんなことを言いたいわけではない。

 私とメフィスト(とあと一人)にだけ通じるこの言葉をメフィストに伝えるために、私はこのゲームを徹夜でプレイしていたのだ。

 

 貴方は私を忘れない。私は貴方を忘れない。

 貴方との絆を思い出すたびに、私はこんなことを続けていく。それが私の選んだ道だ。




やりたかったことリスト24
着剣オールマインド

AC6未プレイの方は、「オールマインドちゃん」でググって画像検索結果を見ると作者のやりたかったことが理解出来ると思います。
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