有馬かなに転生したので、俺の意識が消えるまで彼女を守護ろうと思う   作:雑穀ライス

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風邪が全く治らないのでかなり遅れました。

今回の話に合わせて、42話のツクヨミちゃんは親御さんに迎えに来てもらって帰ったとこっそりと変更しています。


再走案件

 その後の流れは前回と同じだ。

 かなちゃんがキレて、早口でまくし立てているところに謎の集中豪雨が到来して、なんやかんやで言いくるめて、終わり。俺の記憶にあった展開から外れることはなく、改めて説明するまでもないような顛末だった。

 俺はゴールドシップと違ってノリと勢いで歴史改変するような問題児じゃないからな。やるときはやるのだ。この俺に精神的動揺による演技ミスは決してないと思っていただこうッ!

 

 

「それで、神様への願い事は決まったかな?」

 一応聞いてみる。歴史改変するなら今のうちだぞ、かなちゃん。

 

「別にいらないわよ。もう貰ってるし」

 思った通り、かなちゃんの答えは俺の記憶にある内容と変わらなかった。勝ったなガハハ。いやー正体がバレる覚悟でここに来たのに残念だなー。

 

「…ふぅん。じゃあ、願い事はそれでいいんだね?」

 さぁて、最後のひと踏ん張りだ。俺はカラスの少女らしい不遜な態度を崩さず、最後の念押しをした。肉体的にはただの三歳児でしかないツクヨミちゃんの身体にとって、この時間に起きていることは少々辛い。正直かなり眠たくなってきたので電池が切れる前にかなちゃんの前から逃げ出す必要がある。

 俺は大人たちに話が終わったことを連絡して事務所の前まで迎えに来てもらう。限界が近かったので、大人に抱きかかえて貰って車まで運んでもらった。あ、もうダメだ。おやすみなさーい。zzz…

 

 

 …多少小降りとなった雨の中、俺は帰路を走る車の中で爆睡していた。

 だから、俺のスマホからメールの着信通知音が鳴ったことに全く気付かなかった。

 

 

 

 

 

――それから、6年の月日が流れた。

 

 

 

 

 時は西暦2023年。俺の未来知識もすっかり陳腐化してしまったので、今ではただの女の子として暮らしている。

 未来知識を使って稼いだお金は凄いことになっていた。2017年に14ドルで買い込んだテスラ株が2022年には350ドルになったわけだが、大人たちは俺の言葉を1ミリたりとも疑うことなく信じてキタサンブラックで稼いだ金を1500万円ほどブチ込んだらしい。

 1500万×25倍=3億7500万円。しかも1ドル115円の時代に買った株なので、円安ドル高の為替レートの差額だけで税金と手数料の支払いが出来るおまけ付きだ。うまい棒3750万本分か…食べきれるかなぁ……

 えっ?うまい棒は2022年に1本12円に値上げされたって?こまけぇことはいいんだよ。

 

 大人たちは「次の投資はどこにすればいいのでしょうか?」と聞いてくるが、こっちの未来知識は2023年で打ち止めだ。知らねぇよ。任天堂株でも買ってろよ。

 

 …あの日以降、俺はかなちゃんに会っていない。元々ツクヨミちゃんは苦悩するアクアを神様(読者)目線で煽るだけの狂言回し役だ。ストーカー殺人事件も未遂に終わり、家族が欠けることなく幸せに過ごしている彼ら彼女らの物語に俺の出番はない。

 だから、俺はかなちゃんの活躍をモニター越しに観ながら応援している。

 

 

「どすこぉーい!どすこぉーい!」

 

 俺は今、かなちゃんのアーマードコア6のライブ配信動画を見ていた。内容はチャプター1、最終ミッションの悪名高き凶悪ボス「バルテウス」との決戦だ。このゲームをプレイした人の3割がバルテウスに勝てずに挫折したと言われるほどの強さを誇るボスであり、アーマードコア6の配信動画の一番の取れ高ポイントでもある。

 すでにかなちゃんはバルテウスに17連敗中であり、バルテウス戦だけでも配信時間が1時間を超えている。業を煮やしたかなちゃんは己の魂とも呼べる日本刀(パルスブレード)を捨て、弱点武器(パルスガン)を両手に持ってバルテウスに勝負を挑んでいた。

 

 弱点武器による集中砲火によりバルテウスのAPを残り20%まで追い詰めるが、そこでパルスガンが弾切れとなってしまった。普通の人ならばそこで諦めるところだが、かなちゃんは自分の中に宿る大和魂を相撲魂に昇華して素手による戦闘を続行していた。

 何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何が起こっているのか理解出来ていないからそこは勘弁してほしい。いやマジで。

 

 

チャット▼

・草

・エドモンド有馬、降臨

・これが有馬山親方のKAWAIGARIか

・乙女の恥じらいとかないんか?

・蹴りも使え

・かなちゃん、頑張って!

・最高に笑えるねぇ、ビジター

・朝の稽古より楽勝でごわす

 

 

 ほぼ丸腰状態にもかかわらず、あのバルテウス相手に善戦しているためチャットがどんどん盛り上がっていく。やはりかなちゃんはエンターテイナーとしての才能もすごい。この展開は完全に偶然の産物なのに、見せ場がくればチャンスを掴んで離さない。

 力士のように舞い、力士のように刺す。空中に浮かぶバルテウスに上手く纏わりつき、時には自由落下をしてブンブンと狂ったように振り回すバルテウスの炎の剣を見事に掻い潜っていた。狙ってやっているならマジで凄いんだが、相撲魂を解放しただけでこんな動きが出来るようになるのかよ!?凄いなスモウパワー!!?

 

 たまらずバリアを張って逃げるバルテウス。追いかけて両手で突っ張り(パンチ)を連打するかなちゃん。バルテウスがミサイルを乱射するが、そのすべてをかなちゃんは無視してバルテウスに襲い掛かる。

 かなちゃんの強烈なぶちかましがバルテウスのバリアを破壊し、そのまま敵の頭部に直撃した。強打を喰らったバルテウスがスタッガー(よろめき)状態になる。

 

 

「ドスコイ☆マイマーインド!!!」

 

 相撲魂に己の肉体をすべて任せたかなちゃんが意味不明な絶叫を上げながら放ったダメ押しの一撃が致命傷となり、バルテウスは爆散した。

 

 

チャット▼

・うおおおおおおおお

・殴り倒したw

・なんであそこから勝てるんだよwwww

・素敵だぁ…ご友人……

・嘘だろwwwww

・ドスコイ☆my mind(訳:私の心は力士です)

・おめでとう!かなちゃん!

・やはり相撲…相撲はすべてを解決する…!

 

 

 

 ボス戦までの道のりを含めて、1時間半近くもかなちゃんを見守ってた視聴者から歓声が上がった。戦闘時間が長引き過ぎるのも駄目だが、あっさり倒してしまっても盛り上がりに欠ける。弾切れを起こした後に素手で撃破したことを含めて、取れ高としては最高の出来だろう。

 ちなみに俺はバルテウスを倒すのに2時間ぐらいかかった。なんだよその目は4脚AC使いだからスピード足りなくてバルテウスと相性悪いんだよこの野郎。

 

 

「疲れた!もーやだ!もう戦いたくない!!」

 

『…レイヴン、あなたには休息が必要です』

 

 

 かなちゃんの心の底からの叫び声に対してゲームキャラ( エア )からツッコミが入り、チャットで更に笑いが起こる。チャプター1のエピローグまで配信して、そこで今日のかなちゃんの配信は終了となった。いやぁ楽しかった。「持っている」人は何をやらせても面白いなぁ。

 

 バルテウスとの死闘がそこそこ長引いたせいで、かなり遅い時間になった。そろそろ寝るかと布団に入ろうとすると、俺のスマホにメールが届いていることに気づいた。

 送信元はかなちゃんのメールアドレス。そして、メールに書かれていた文章はこれだ。

 

 

 

 

『あなた、本当はメフィストなんでしょ?』

 

 

 

 …ははっ、ついにバレたか。

 

 

 

 アーマードコア6は、強化人間C4-621が「(レイヴン)」の名前と身分(ライセンス)を奪うところから物語が始まる。2023年に発売されるゲームの主人公の名前を2017年の時点でメールアドレスに使っていたことから、俺がツクヨミちゃんの名前と身体を奪っている可能性にようやく気付いたというところだろうか。

 ま、6年も経てば時効でいいだろ。

 

 『気づくの遅すぎ』…っと。メール送信、ぽちっとな。

 フフフ、どういう反応を返してくるのか少し楽しみだな。

 

 

「…ん?」

 俺はメールを返信した直後に、かなちゃんから届いたメールに妙な部分があることに気づいた。

 

「…メールの送信日が、2017年になってる?」

 いや流石に6年間もメールに気づかなかったということはないだろう。日付設定のバグか?

 この不可解な状況に俺が首を傾げていると、急に強烈な眠気が襲ってきた。俺はその眠気に抵抗出来ず、気絶するかのように眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――窓から射す太陽の光で、目を覚ます。

 気づいたら朝だった。ああ、電池が切れるように寝落ちするのは久しぶりだな。

 布団の誘惑を振り切って身体を起こして辺りを見回すと、なんだか今までよりも部屋全体が大きくなったような妙な違和感を覚えた。

 

 …違う、部屋が大きくなったんじゃない。俺が小さくなったんだ。

 スマホを起動して今日の日付を確認すると、2017年の〇月×日。俺がカラスの少女の物真似をしてかなちゃんに出会った日の翌日だ。

「…まーた、タイムリープかよ」

 

 流石に元ネタ抜きでかなちゃんの土俵入りシーンを夢で見られるほど俺の想像力は達者ではない。かなちゃんのAC6ライブ動画配信は確かにあったし、きっちり記憶に残っている。これで何回目の周回だ?それよりも俺の3億7500万円返して?お金を使う前に過去の世界に戻すのは酷すぎないかな?

 そんな益体も無いことを考えていた俺だが、ふと嫌な予感がしてスマホのメール受信ボックスを覗いてみる。

 

 

 

『あなた、本当はメフィストなんでしょ?』

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 脂汗を流しながら、今度はメール送信ボックスを確認する。

 

 

 

 『気づくの遅すぎ』

 

 

「なんでぇえええええええええええ!!!!????」

 歴史改変……いや、()()()()()されてるぅうううう!!!!??

 

 2023年に送信したはずのメールが6年前の世界に送信されていて俺はパニックを起こした。シュタインズゲートのDメールかよ!?もうなんでもありだな世界観混ぜすぎだろ加減しろ馬鹿!

 あたふたしている俺に追い打ちをかけるかのように、ピロン♪と俺のスマホからメールの着信音が流れた。

 当然、かなちゃんからのメールだ。

 

 

『絶対に見つけ出してやるから覚悟してね』

 

 

 ヒィイイイッ!!!!




やりたかったことリスト27
かなちゃん土俵入り。これも声優ネタです。

やりたかったことリスト28
メフィスト絶対ガバらせるマンと化した2周目の神。株と競馬で稼いでだらだらスローライフ?却下で。
さあ、メフィストの戦いはこれからだ!
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