有馬かなに転生したので、俺の意識が消えるまで彼女を守護ろうと思う   作:雑穀ライス

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最速炎上RTA

 鏑木プロデューサーが手掛ける恋愛リアリティーショーこと「今からガチ恋♡始めます」に参加するイカれたメンバーを紹介するぜ!

 

 まず私!天才女優の有馬かな!

 同じく女優、黒川あかね!

 ファッションモデルの鷲見ゆき!

 YouTuber、MEMちょ!

 現役ジュニアアイドルの星野アクア!

 あとモブ男が3人!以上だ!!

 

 

 えっ?野郎の扱いが雑過ぎる?仕方ないじゃん私にとってはアクア以外の男なんて全員モブキャラなんだし。男どものフォローはゆきとMEMがなんとかしてくれるはずだ。多分。

 原作の「今ガチ」の出演者は男女3:3の6人で番組を回していたが、私が参戦したことで男の子が一人増えていた。もしかしたら追加枠にメルトが入る可能性も少しだけ考えていたが、流石にそれはなかった。ぶっちゃけ現役アイドルが参加していい企画ではないので当然の結果である。

 取り敢えずこの番組で私が気を付けることは、なんといっても黒川あかねのケアだ。黒川あかねの存在感が番組から消えると原作であったような悲劇が起こる可能性があるので、まずは黒川あかね炎上フラグを潰す。アイツは頭はいいので最初に番組での立ち回り方を少しアドバイスすればきっと大丈夫だろう。

 アクアについては問題ない。いつも通りの対応でも十分番組になるだろう。強いて言えば、視聴者に飽きさせないように1シーズンを乗り切るプランを考えるぐらいか?それこそアクアと相談しながら視聴者ウケする演出を考えるのもアリだ。

 

「…アクアと黒川あかねはいいんだけどさ」

 今私が抱えている悩みのタネはこの二人のことではない。私にとって深く関わりのある、もう一人の人物…MEMのことだった。

 彼女は原作の「推しの子」の世界で、私とルビーと一緒に「B小町」を結成したもう一人のメンバーだった。本来ならMEMは「今ガチ」終了後にアクアがB小町にスカウトして、私たちと一緒にアイドルデビューを果たすことになる。しかし私はすでに役者として成功を収めているためアイドルに転向する予定も必要もないし、肝心のルビーはアクアと一緒にアイドルデビュー済だ。

 

 この世界で新生B小町が結成されることは、ない。(メフィスト)が原作の展開を変えてしまった結果、彼女の夢を潰してしまった。私は彼女の運命を大きく歪めてしまったことに対して、後ろめたさを感じているのだった。

 

「『私は、この結末に辿り着いたことに後悔はない』…なんて、とても言えないなぁ」

 だからといって、MEMの夢のためにアイを見捨てるという選択肢なんて存在しなかった。あー、やめやめ。私もルビーも、そしてメフィストも自分の夢と目的のために努力した結果がこれなのだ。原作知識があったとはいえ、自分がすべてを救える存在だと思いあがるのはあまりにも傲慢過ぎる。私は頭を切り替えることにした。

 これから「今ガチ」出演メンバーとの顔合わせがある。そこで、もう一度MEMと友人になろう。大丈夫、私なら出来る。

 

「有馬かなです。女優をやっています。よろしくお願いします」

「星野アクアです。アイドルをやっています。よろしくお願いします」

「黒川あかねです。主に舞台での演劇をやっています。よろしくお願いします!」

 

 「今ガチ」出演メンバーとの顔合わせにて、私たちはお互いに簡単な自己紹介をする。黒川あかねは私の姿を見つけたときにあからさまにホッとした表情を見せた。そんな顔を見せるほどにこの番組の企画が自分の苦手分野だと自覚しているならば、きっぱりとオファーを断れば良かったのに。律儀というか、不器用な奴だ。

 そんな益体も無いことを考えている間にも出演メンバーの挨拶は進んでいって、そしてMEMの番が回ってきた。

 

「MEMちょでーす。Youtuberやってます、よろしくお願いしまーす♪」

 この世界で彼女と私たちが同じアイドルグループで活動する未来が訪れる可能性は限りなく低い。いくら私が言い訳を重ねて駄々をこねても、これはもはや変えることの出来ない事実だ。

 MEMと友人になれるタイミングはこの「今ガチ」収録中でしかない。そのために取った私の行動とは、

 

「MEMちょさんだぁ…ファンです。お逢いできて凄く嬉しいです」

 不知火フリルのリアクションを、真似し(パクっ)た。

 

「へ……?」

「ユーチューブ見ています。初期のころからずっと追っかけてるファンで…あっ、握手してください」

 私はMEMに向かって手を差し出す。MEMは一瞬呆けたような顔をした後、

 

「全然いいですよ~~~?」

 ドヤ顔で握手に応じてきた。

 

 

 よっしゃあ!勝った!第三部完!!!

 

 

 

 

「へぇ~!収益化通ったときに真っ先に赤スパくれた人、かなさんだったんだぁー!!」

「覚えていてくれて嬉しいです。あっ、私のことは『かなちゃん』って呼んでください」

 十二単ぐらいの分厚さで猫を被りながらMEMと会話する。この化けの皮は「今ガチ」収録中に脱皮してタメ口に移行する予定だ。私は悪くない。私の演技にチョロく騙されるMEMが悪い。

 ちなみに私はMEMに対する負い目もあって、結構な額を彼女にスパチャしている。だいたい2年間で3桁万円近く払ってるんじゃないかな?まあスマホゲーに課金するよりは有意義なお金の使い方だろう。多分。

 …さて、これでMEMに対する悩みはある程度解消した。これからは仕事(れんあい)の時間だ。

 

 

「ねーねーアクアー、最近調子どぉー?」

「まぁ、ぼちぼちだな」

 

 「今ガチ」第一週目の撮影にて、私は早速アクアの攻略にかかった。

 私はアクアの事務所から「恋愛OK」の許可が出たかどうかをアクアに聞いていない。どう考えてもアイドル業への影響が大きすぎるので十中八九は駄目だろうとは思っている。まあそれならそれで、私がイケメンアイドルに熱を上げてすげなく断られるピエロ役の演技をするだけなので何も問題はない。

 これは単なる恋愛ごっこ。結果を求めるのは筋違いというものだ。だから、私はこの瞬間を全力で楽しむことにした。

 

「ていうか、最近の『Twin☆Stars!』のパフォーマンス凄いよね。歌い終わった後にルビーとキスする直前まで顔を近づけるなんて演出、誰が考えたの?」

 せっかくなので、最近気になっていたアクアとルビーがやり始めた過激な演出について聞いてみた。普通のアイドルがやれば炎上間違いなしのパフォーマンスだが、パートナーが恋人関係に発展しようがない双子の兄妹であるため「過激な演出」以上の意味に捉えているファンはごく少数だ。『Twin☆Stars!』のファンにはガチ恋勢も厄介ファンもそれなりにはいるが、全体的に見ればファンの民度は高い。

 ちなみに『Twin☆Stars!』のファンの間では、アクアのファンからはルビーは「義妹」と呼ばれていて、逆にルビーのファンからはアクアは「お義兄さん」と呼ばれている。なんだか闇が深そうで怖い。

 

 …なんだかルビーの正妻アピールに腹が立ってきたので、こちらも実力行使に出ることにする。アクアと腕を組んで、アクアの二の腕に自分のおっぱいを押し付けてやる。うりうり、当ててんのよ。ほらほら私の成長具合をその身で確かめるがいい。

 そんな感じで、私は撮影時間が終わるまで恋人アピール全開でひたすらアクアとイチャイチャしておいた。これだけやっておけば視聴者ウケも抜群だろう。いやあアクアとイチャつくだけでお金が貰えるなんていい仕事だなぁ。

 

 しかし、私の露骨で過剰な好き好きアピールはアクアのファンたちにとっては気に入らなかったらしい。

 

 

『有馬かながウザい』

『逆セクハラが癪に障る』

『身体を使ってアクアに言い寄るな』

 

 

 「今ガチ」第一回が放送された直後、私は速攻でSNSで吊し上げられていた。

 フラグ回収が早すぎるぞ歴史の修正力ェ!

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