有馬かなに転生したので、俺の意識が消えるまで彼女を守護ろうと思う   作:雑穀ライス

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いきなり差別かよ?〇〇〇〇〇らしいな

 前回のあらすじ。黒川あかねにおっぱいを揉まれた。ぴえん超えてぱおん。

 

 私のおっぱい揉み揉み動画は「今ガチ」第二回が放送されたその日のうちに思いっきり拡散された。あっという間に私を叩いていた連中はSNS上から消滅し、そのほとんどが好意的な評価に塗り替えられていた。お前らの掌はゲッターロボかよオイ。

 時間が経つにつれてどんどんと増えていく私のおっぱいが揉まれる動画を死んだ魚のような目で見ながら、私は動画の削除依頼を出そうか本気で悩んだ。しかし、そんなことをすれば世論が再逆転してまた炎上する未来が見えたので泣く泣く諦めた。くやしい…でも感じちゃうビクビクン。

 そして私が手をこまねいているうちに、ついに「恋愛ビターチョコ」で私と黒川あかねがやらかした「ナメクジの交尾のようなねっちょりとしたキスシーン」がSNSに投下されてしまった。ちょっと待って!まだ「今ガチ」放送2~3週目なのにそれ出されたら後半ネタ切れするよ!やめて!?

 そんな具合で、「今ガチ」第二回が放送されたわずか数日の間に事態は完全に制御不能状態になってしまった。あーもうめちゃくちゃだよ。

 私がこの話題性だけがツインターボの開幕爆逃げのようなスピードで突っ走ってるカオスな状況について行けず、どうしたものかと途方に暮れているとまたツクヨミからメールが飛んできた。

 

『止まるんじゃねぇぞ…』

 うっせえわ!

 

 

 気を取り直して「今ガチ」第三回目、今度はアクアと交流のターンだ。

 黒川あかねとの百合営業で炎上の勢いが弱まったのを見計らって、アクアへのアタックを再開する。今度は前回の炎上の再現とならないようにきっちり裏工作をしておいた。

 

 

 『アクアと有馬かなのツーショットシーンの後ろのほうにちょっと黒川あかねが映ってるのがウケる』

 『黒川あかね様がみてる』

 『これはいい三角関係ですね』

 『一方通行の三角関係は切ない』

 『あかね「この泥棒猫め…」 アクア「えっ!俺のことかよ!?」』

 『アクアが被害者枠で草』

 

 

 私はこの撮影の前に、黒川あかねに「男に親友を取られそうになって不安になっている女の子」を演じるよう根回しをしておいた。彼女は快く応じてくれて、しっかりと迫真の演技を見せてくれた。流石は黒川あかね、この出来なら視聴者も演技と見抜けないだろう。

 こうして、私とアクアと黒川あかねの人間関係を「嘘と誇張」で面白おかしくデコレーションしたことによりストーリー性が生まれた。私たちのリアリティを炎上という形で否定したのだから、これから先は「お芝居」を見せられても文句はないだろう。視聴者の求めたエンターテインメント性にケチをつけるつもりはないので、今後は「役者」としての仕事をこなすとしよう。

 

 私たちの「お芝居」は思った以上に視聴者に好評で、「今ガチ」第三回目の放送終了後にはSNS上に「黒川あかね可哀想」「黒川あかね頑張れ」という言葉が溢れ、「黒川あかね」の名前がトレンドワード入りする事態となった。

 ところで、アク×かなカップルを応援する声が全く聞こえないのはどういうことなの?なんなの?馬鹿なの?死ぬの?

 

 

「…うわ、めんどくさいのが絡んできてる」

 「今ガチ」第三回目の放送が終わった後、アクアとイチャついても特に炎上しなかったことに安心していたらSNSに新たな刺客が現れた。

 

 

 『「今からガチ恋始めます」はLGBTを見世物にしている。今すぐ有馬かなと黒川あかねを降板させるべき』

 

 いきなりLGBT差別かよ。クソフェミらしいな。

 というわけで、「今ガチ」と「恋愛ビターチョコ」が同じ番組だと思っている活動家団体様から名指しでお気持ち表明をいただいた。マジかよ。

 私がその発言を見つけた頃にはすでに投稿されてから数時間が経過していて、派手に場外乱闘が起こっていた。普段から色々な人に喧嘩を売っている団体なので燃え広がるのが早い。取り敢えず鏑木プロデューサーに連絡して情報共有をしておく。

 

「なるほど。で、かなちゃんはこの状況でどうしたいのかな?」

「まあ、完全無視が無難な対応ですよね」

 この手の人間は間違ったイデオロギーを発信していると考えると対応を間違えてしまう。「相手は商売でやっている」と考えるのがポイントだ。相手の目的は啓発ではなく、金銭だと考えると別の光景が視えてくる。

 つまりは、奴らは広告収入(インプレッション)目当ての迷惑系YouTuberと同類だ。YouTubeからインセンティブが支払われるか、支援者団体から支払われるかの違いでしかない。自分の給料のために社会に喧嘩を売っている相手と討論するなんて相手を喜ばせるだけだ。だから無視が一番の痛手になるのだが、無視させないために相手を怒らせる戦法を取ってくるのが性質が悪い。

 

 私はふと、「推しの子」に関わる出来事で似たようなことが起こったことを思い出した。

 その出来事とは「推しの子」作中で起こった出来事ではない。メフィストの世界で「推しの子」のアニメが放送されたときの出来事だった。

 「推しの子」のアニメで黒川あかねがネットリンチに合い、自殺未遂を行うシーンが放送された日の数日後のこと。黒川あかねと同じようにネットリンチに合って、そのまま命を絶ってしまった女性の母親が「推しの子」のストーリーを批難するという事件があった。「私の娘が命を失った事件が、勝手に漫画にされた。配慮が欠けている」という旨の発言だった。

 当然、炎上した。

 

 恋愛リアリティーショーは世界中で50人近くの自殺者を出していると「推しの子」作中で語られている。その50人のうちの当事者ならまだしも、シチュエーションが似ているだけの部外者が被害者面したことでファンの怒りを買い、その母親に誹謗中傷が集中した。

 母親の無理解と勘違いから発生したセカンドレイプ事件…と世間では認識されているが、私の認識は違う。

 その母親は、()()()()()()()()()()()()()()()()()というのが私の見解だ。

 

 『あなたの娘が死んだとかいうコンテンツもうみんな忘れてたのに、何を今更言ってるんだ』

 

 

 母親に放たれたこの暴言が、すべての答えなのだろう。少なくとも、私はそう思っている。

 たとえ自分が誹謗中傷を受けることになってでも、死んでしまった自分の娘の名前を憶えて欲しい、思い出して欲しいという想いがあったのかもしれない。勿論ただ単に不愉快だったからという可能性もある。

 結局は私の推論に過ぎない。しかし私は彼女の娘の名前を忘れることはもうないだろう。母親の作戦勝ちだ。見事と言うしかない。

 一見、筋が通ってない勘違い発言に見えてもそこには発言者にとっての利益と目的が隠されている。「相手も馬鹿ではない」と認識するのが重要だ。「推しの子」アニメ運営も基本は無視してその母親の集めたインプレッションにタダ乗りするという作戦を取った。ここは私たちもそれに倣うべきだろう。

 私自身腹立たしい気持ちもあるが、我慢我慢。黒川あかねにも余計なレスをしないように連絡しておかないといけない。

 

「…ああ、そっか。そういうことか」

 そこまで考えて、ようやく自分が無性にイラついている理由に思い当たった。黒川あかねにも矛先を向けられたからだ。

 自分が炎上したところでカエルのツラに小便だったが、黒川あかねを攻撃するのは流石に許せない。私たちは何も悪いことはしていないのに、歴史の修正力の悪意をひしひしと感じる。

 

 お前たちの好きにさせるものか。黒川あかねは、私が守護る。




やりたかったことリスト30
活動家団体、襲来。
感想欄でピタリ賞が出たときはちょっと焦った。

やりたかったことリスト31
木村花さん追悼。
人は二度死ぬ。命が喪われたときと、皆の記憶から忘れ去られたときだ。
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