有馬かなに転生したので、俺の意識が消えるまで彼女を守護ろうと思う 作:雑穀ライス
「私は、西暦2023年までの記憶を持っているの」
嘘ではない。ただ、持っているのはこちらの世界で生きた記憶ではなく、第4の壁を越えたあちらの世界で生きた記憶というだけだ。
「嘘だろ…いや、タイムスリップ転生だけだと俺の前世を知っていることに説明がつかない」
その質問をされるのは想定内だよ、アクア。
「あなたが教えてくれたのよ。
「!!!!?」
ここで特大の嘘を投下。正確には「そういう関係になりたかった」だが、それを訂正できる人間はこの世界にはいない。
……いや一人いたわ。話がややこしくなるから出てこなくていいよ疫病神ちゃん。
「いや…そんな…えぇ……おまえが?」
「オイコラなんで嫌そうな顔してるんだアゴにジャブ入れて脳揺らすぞあと私のことはかなと呼べ」
うみねこ式悪魔の証明の罠を食らって混乱するアクア。冷静に考えられると今までの会話の内容と矛盾が見えてくるのでここは勢いで押し切る。ついでに有馬かなの名前を下の名前で呼ばせるように誘導しておく。悪いな黒川あかね、この世界はアクかなルートで確定なんだ。
アクア君……もう黒川あかねとキスはしたのかい?初めての相手は黒川あかねではないッ!この有馬かなだぁーッ!!
あ、キスするのは本来の人格が目覚めてからでお願いいたします。かなちゃん先輩が野獣になっちゃう。
「ああ…うん、俺がかなとそういう関係だったというのはさておき、俺の事情を知っている理由は理解したくないけど理解出来た信じたくないけど」
「そこはさておくな。あと最後まで諦めが悪い!」
肝心の話をそっちのけにして、他愛もない会話を続けて時間が過ぎていく。
この会話のやりとりと距離感が、原作のアクアと有馬かなの関係を彷彿とさせて心が安らぐ。
……この距離感から前に踏み出せないから負けヒロイン呼ばわりされるんだぞ、有馬かな。
そして本題、ストーカー男からの襲撃からアイをどう守るかの話題になった。
Q1:セキュリティ対策のしっかりしているマンションに引っ越せば?
A1:そんな金あるか
Q2:アクアが子役で稼げばいいんじゃない?
A2:超特殊な役しか出来ない俺に無茶言うな。あと苺プロには子役部門はないぞ
Q3:アイに格闘技を覚えさせよう!
A3:せめて護身術と言え。あと不意打ちの刃物には無力だ
あーでもないこーでもないと議論を続けた結果、最後に単純な結論に行き着いた。
「襲撃日が分かってるなら、前日から社長の家に泊まらせて貰えばいいんじゃないか?」
「あっ」
……根本的解決とはならないが、とりあえずの対策の目途は立った。
① ドームライブ前日に社長の家に泊めさせてもらう。
もしくはアイの家に社長が泊まってもらう。
② 自宅のドアチェーンは絶対忘れないように!
③ 金銭の都合が付き次第、セキュリティ対策のしっかりしている物件に引っ越す
「……出来ればストーカー男を現行犯逮捕までもっていけないかなぁ」
「その場合は社長の腕っぷしに期待するしかないわね」
アイの代わりに苺プロの社長が刺されるのも、その後の展開が読めなくなるから勘弁してほしい。
……アクアとおしゃべりしているうちに、いつの間にか日が暮れて晩御飯の時間になっていた。
「晩御飯を一緒にどう?」という母の提案をアクアが固辞して帰宅の準備を始める。
アクアとの連絡方法は、有馬かなが仕事で使っているツィッターアカウントにDMを飛ばして取り合うことに決定。(アクアは自分の携帯電話を持っていなかったので)
とりあえず子供の身体で出来る対策はこのぐらいか。あとはご都合主義の神様に祈るぐらいしか出来ない。俺は然程信じてもいない神様に祈りを捧げた。
……どこかでカラスの鳴き声が聞こえた気がした。
RTA走者「ストーカー襲撃日とお泊りイベントの日程を重ねることで襲撃イベント自体をスキップ出来ます。だからこの段階でアクアとのフラグを立てる必要があったんですね」