絶対中立オーブ!   作:スカウトマニア

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絶対中立オーブ!

 西暦の終わりごろ、第三次世界大戦──再構築戦争が勃発し、最後の核兵器が使用された後、世界はコズミック・イラと呼ばれる時代に移り変わった。

 新たな国家体制と新たな秩序が生まれ、そして高度に発達した遺伝子操作によって、新たな人種コーディネイターが誕生し、そうでない人々ナチュラルとの間に対立が生まれたのは、これまでの人類の歴史を鑑みれば当然の成り行きだったかもしれない。

 

 プラントと呼ばれる人造の大地に押し込めて、コーディネイター達から富を搾取していたプラント理事国は地球連合を結成し、圧倒的な国力によってプラントの反逆を鎮圧するものと思われていた。

 だがいざ開戦となった暁には、核分裂を抑制し、レーダー網を殺すニュートロンジャマーと人型機動兵器モビルスーツを要するプラントの軍事組織ザフトによって、散々に叩き潰されて、多くの将兵と既存の兵器と領土を失う事となる。

 

 かくて地球圏が争いに包まれる中、中立を謳う島国があった。

 オーブ連合首長国である。再構築戦争の折に日本人技術者多数を含む人々が逃げ込み、後に建国した小国だ。

 戦前は国際的な影響力の強い国ではあったが、地上で排斥の対象となっているコーディネイターを積極的に受け入れ、優れた工業力を確保することで技術立国としての立場を確保している。

 またプラントとも表立っては中立を維持しているものの、水面下では交流を継続するなど強かな一面もあったが、それもプラントがニュートロンジャマー(以下NJ)を地球全域規模で撃ち込むまでの話。

 

「オーブは他国を侵略しない、他国の侵略を許さない、他国の争いに介入しない」

 

 以上がオーブの掲げる国是たる中立の内容だ。いかなる事態が起ころうとも独立と中立を守る、というわけなのだが、この『他国の侵略を許さない』にNJの地球降下が抵触する、と解釈されたことで事態は、原典世界と乖離を始める。

 オーブ連合首長国の現首長はウズミ・ナラ・アスハ。長い総髪に、口周りを飾る見事な髭が目を引く偉丈夫である。

 彼の首長就任以前から中立国家として在ったオーブだが、ウズミはオーブの中立性をより強く打ち出す姿勢を見せており、その意志の強固さは他国の人間から『中立を維持する為なら戦争も辞さない』、『オーブの狂い獅子』、『狂人の自覚がある狂人』と腫れもの扱いだ。

 

 オーブは地熱発電を利用しており、NJの投下による原子力発電の強制的な停止によるエネルギー不足の影響を、ほとんど受けずに済んだ。

 だが被害が出なかったからと、オーブ以外の中立国も巻き込んだ史上類を見ない大規模攻撃あるいは大量虐殺行為を受けて、それを許すウズミではなかった。そしてオーブの国是に全細胞が浸かっているオーブ国民ではなかった。

 いわゆるエイプリル・フール・クライシスによって、地球上が大混乱に陥り、悲劇が際限なく拡大してゆく中で、難を免れたオーブは世界各国へ人道的見地から支援を行うことを決定する中、ウズミの怒りが爆発していた。

 

「もはや我らの中立は破られた。ザフトによるNJの投下によって、オーブの大地は、空は、海は、そして国民は侵略を受けた。故に我らは理念を汚された怒りをもって、オーブの意思を示さなければならない。

 これによって我らは残る理念の他国を侵略しない、他国の争いに介入しない、これを自ら破ることとなる。この悲劇を、悲嘆を、屈辱を、忘れてはならない!!

 立てよ、国民よ! ナチュラルとコーディネイターの区別なく、オーブの理念を胸に宿す者達よ!! プラントに鉄槌を! ザフトに応報を! オーブの手で、オーブの怒りで、我らは戦うのだ!!」

 

 オーブ本土のみならず宇宙にあるスペースコロニー・ヘリオポリスや建造途中の軌道エレベーター・アメノミハシラを含め、オーブに属するあらゆる場所でウズミの演説が放映され、それを見ていたオーブの理念に心から賛同し、オーブ菌に体内を汚染されつくしたオーブ国民達は、腹の底からの怒号と賛同の叫びをあげて、そうでない人々をドン引きさせた。

 特にオーブの首都があるヤラファス島においては、たまたま演説の際に滞在していた国の人間達は、あの瞬間、オーブ国民は誰もが正気ではなかった、と顔を青くして語っている。

 中立という理念に酔いしれ、中立という信仰に耽溺するかの国の人々は、この世界においては最もネジの外れたヤベー連中であるのだから。

 

 ウズミが当主を務めるアスハを筆頭とする五大氏族はもちろん、それ以下の下位氏族から一般国民に至るまで、その胸にオーブの理念を宿す全てのオーブ国民はザフトを、ひいてはプラントを崇高なる絶対理念を汚した怨敵であると認識したのだった。

 地球連合側にとっては中立気取りのオーブが明確にプラントを敵対視したのは幸いだったが、あくまでもオーブはオーブとして戦争に参加することを表明し、地球連合軍に正式加盟しないのは悩ましいところ。

 だが同時に国家のトップから末端に至るまで狂気に染まっているようなオーブと、肩を並べて戦いたくない、というのもオーブを知る軍人や政治家達の偽らざる本音でもあった。

 

 一方でプラントにとっては積極的中立を選び、水面下では交流の続いていたオーブがはっきりと、理解しがたい熱意と狂気でもって決別と戦いを選んできたのには、顎が外れるほどの驚きを齎していた。

 オーブには少なくないコーディネイターが在住しており、その技術力はプラントをしても警戒に値していたし、国力で圧倒的に勝る地球連合各国と手を組まれたら、プラントの優位がある程度揺らぐ可能性もある。

 

 プラントの最高評議会議員達の神経にダメージを与えた宣戦布告後、オーブの動きは早かった。

 各国への支援はもとよりザフトの圧倒的勝利の原動力であるMSの開発と、ナチュラルでも扱えるOSその他諸々の開発に向けて、地球連合を構成する三大国大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国とそれぞれ個別に共同開発を持ち掛けていたのである。

 

 オーブ単独での開発はオノゴロ島にあるモルゲンレーテ社で、東アジア共和国とはアメノミハシラで、ユーラシア連邦とはユーラシアの保持する宇宙要塞アルテミスで、大西洋連邦とはオーブの保有するヘリオポリスで共同開発が進められ、各国のスパイが入り乱れては開発情報を巡る諜報戦が行われている。

 オーブとしては大いに結構である。戦後の三大国間で戦争が勃発しようが、知ったことか。 

 オーブ国民の頭には今回の戦争で自分達の中立を脅かしたプラントの破壊と、ザフトの抹殺しかない。

 今回のプラント独立戦争(仮)が終わったなら、またオーブは絶対中立という聖なる道を突き進むのみであり、また中立が破られたならそれに相応しい報いを与えればいいのだ。

 

 他国を侵略しない──侵略する事態になったら徹底的に殺れ。

 他国の侵略を許さない──理念を踏み躙る汚らわしき侵略者は敵である。滅ぼせ。

 他国の争いに介入しない──不遜にも介入しようとするのなら敵である。潰せ。

 この世界のオーブの理念はおおむねこういうもので、オーブ国民の99.999999……%以上はこの理念を心の底から最も優れたもので、守るべきものだと信じているのだから。

 

 他国の人間からすると厄介なのは、オーブ相手に戦争が起きたならばまず負けはしないが、手痛い出血を強いられるのは間違いなく、経済的にも大きな悪影響を及ぼすのが明白といった具合に、オーブが力を持っている点にあった。

 三大国には及ばず、しかし三大国間で争った時、味方につけられれば確実に勝利に近付くだけの力を持った、国民レベルで視野狭窄かつ極端な思考形態なのが、この世界のオーブなのである。本当にもう、疫病神以上の何かとしか言えない。

 

 それでも味方である内は頼もしいのも本当の話だ。

 だからこそ余計に厄介なのかもしれないが、問題を起こしている実例を一つ上げるとするなら、ユーラシア連邦と共同開発を進めているアルテミスでは、有望なテストパイロット同士のいざこざが日常茶飯事と化している。

 戦端が開かれてから数か月も経過すると、撃墜されたり落伍したMSが地球連合側に鹵獲されるケースの他、ザフトの脱走兵がそのまま持ち出したり、ジャンク屋が戦場跡でサルベージするなどして、それなりのMSがザフト以外にも流通している。

 

 そうして入手したMSジンの実機の他、量子コンピューターによる極めて精度の高いシミュレーターでのテストを重ねて、どの陣営もMSの開発を進めているわけだが、このユーラシア連邦ではごく一部の個人間での折り合いがつかずにいた。

 ユーラシア連邦のテストパイロット、カナード・パルスは極めて高い能力を持ったコーディネイターであり、黒い長髪とまだあどけなさを残す少年だ。苛烈な性格と自身の能力の高さへの強烈な自負を持っている。

 

 オーブ側のテストパイロットはカナードと瓜二つの顔立ちながら、野生の獣めいた凶暴さと生命力を併せ持ったコーディネイター、カズマ・ヒビキ。

 口は悪いわ、すぐに手は出るわ、短慮だわ、と困ったところだらけだが、最低限以上の良識と優しさは持ち合わせているので、周囲のフォローもありかろうじて軍人をやれている。

 

「貴様、相変わらずケダモノめいた戦いぶりだな? 獣は狩人に狩られるのが運命だと教育してやる!」

 

 アルテミスの外では、カナードとカズマの乗るジン二機が宇宙の闇を切り裂く鉄の流星となって飛翔し、本気の殺気と共に建前上は模擬戦を行っている。

 一応、実弾は使用されておらず、代わりとなるレーザー照射などを受けたら、機体のコンピューターが被害を計算して機能にロックを掛けるタイプの模擬戦だ。

 まあ、あわよくば殺してしまえ、と双方が考えていても不思議ではないのが問題だが。

 

「は! てめえが狩人だぁ? 笑わせやがる。俺がケダモノだってんなら、見えない首輪で飼われているてめえは飼い犬か? 三回まわってワンと吠えてみろよ! そうしたら失敗作だって言ったのは、撤回してやるよ!」

 

「俺は、スーパーコーディネイターの失敗作などではない!! 貴様こそキラ・ヤマトのクローンの分際で!! 一匹見つけたら三十匹は居るような、ゴキブリモドキが!」

 

「あの青びょうたんと比べんなよ。それとなあ、誰がゴキブリだ!! 俺はカズマだあああ!!!」

 

 アルテミス司令ジェラード・ガルシアの頭痛の種となっている二人の激突は、まだまだ熱を帯び始めたばかりだった。

 さてこの二人の素性はお互いの罵倒の通りだ。遺伝子操作を受けて生を受けたのがコーディネイターであるが、母体の影響によりコーディネイトが予定通りに行かないケースが存在する。

 

 この問題をユーレン・ヒビキ博士が人工子宮を用いることで、コーディネイトを完璧に反映させる研究を行っていた。そうして人工子宮から生まれたコーディネイターは、スーパーコーディネイターと呼ばれる。

 カナードはそのスーパーコーディネイターの失敗作であり、現在は紆余曲折を経てユーラシア連邦に飼われている身だ。故に失敗作呼ばわりは彼の逆鱗を引き剝がす行いである。

 

 一方のカズマだが、話が少々長くなる。ユーレン博士は最初のスーパーコーディネイターを双子の我が子の内、男の子のキラ・ヒビキとした。

 片割れの女の子、カガリ・ヒビキは同僚でもある妻の猛反対もあり、ただのナチュラルとして生まれている。

 およそありとあらゆる才能を持たせ、万能の天才となれるだけの素養を与えられたキラであったが、誕生直後にコロニー・メンデルにあった研究所が思想団体ブルーコスモスの襲撃を受けて、ユーレン博士含む研究所員は死亡、コロニーも放棄される事態となり、事態は一変する。

 

 襲撃直前、母ヴィア・ヒビキによりキラとカガリはヴィアの妹カリダ・ヤマト夫妻の下へ届けられ、『二人とも』ヤマト夫妻の子供として現在に至るまで愛情いっぱいにオーブ国民として育て上げられている。

 実はウズミとヴィアには生前に交流があり、原作ではカガリはウズミの娘として引き取られている。だが、この世界ではそうはならずウズミに子はいない。

 

 そしてまだ生まれたばかりのキラがスーパーコーディネイターであるのを知っていたウズミは、ヤマト夫妻には知らせぬまま彼の遺伝子情報を入手し、あらゆる分野で将来オーブを支える人材を育てるべく、大量のクローンを作りだした。

 カズマはそうしてオーブ軍人となるべく育てられたキラ・クローンの一人にすぎない。

 育ての養父母が多少の誘導こそあれオーブに愛着を持つよう育て、まっとうな愛情も注いだこともあり、カズマ自身は己の出自を問題視してはいない。

 オリジナルであるキラ・ヤマトの事も把握しているようだが、よくもまあ、歪まずに育ったもんだ。

 

 軍人としてオーブに奉職しているキラ・クローンは、カズマ一人ではない。技術者として、メカニックとして、あるいは兵站を担う者として、多くのキラ・クローンが活躍している。

 当然、ヘリオポリスのMS開発の現場にもキラ・クローンの姿はあった。オーブ領のヘリオポリスに大西洋連邦がお邪魔する形での共同開発だが、三大国との共同開発では特に力の入っている開発現場だった。

 

 大西洋連邦がコストを度外視したスペシャルな機体と運用母艦の開発を行う一方で、得られた知見と技術を応用し、オーブ側も秘かに五機のMSを開発していた。

 五大氏族サハク家の次期当主候補ロンド・ギナ・サハクが現場の陣頭指揮を務めるなど、力の入れ具合が分かるというもの。

 

 ただヘリオポリスの開発にも深刻な問題が発生していた。大西洋連邦のパイロット候補生を乗せた艦がザフト所属のクルーゼ隊に尾行を受けてしまい、襲撃の恐れが生まれてしまった。

 大西洋連邦側があくまで警戒を深めて、消極的な対応を検討する一方でオーブは実に積極的な行動に出る。

 ヘリオポリスを監視するように息を潜めるクルーゼ隊に向けて、開発したMSと防衛のために配備されていたイズモ級宇宙戦艦イズモ、クサナギ、更にモビルアーマー・メビウス編隊で襲い掛かった。

 

 クルーゼ隊へ戦闘を仕掛けるのに合わせ、ヘリオポリスは住民達の避難警報を発し、シェルターと救命ポッドへの避難が迅速に進められていた。

 シェルターの一つには優れたプログラミング技術を買われて、秘密裏にオーブ製MSのOS開発を手伝わされているキラ・ヤマトと、その双子の姉カガリ・ヤマトやその友人達の姿もあった。

 

「くそ、ナチュラル用のOSが完成していれば、私だって!」

 

 血気盛んなカガリの言葉にキラはぎょっとした顔になる。アグレッシブさの塊のような姉の性格はよく知っているが、この状況で発揮されると心臓に悪い。もし目の前にMSが落ちてきたら、勢いのままに乗り込んでしまいそうな姉だ。

 

「気持ちは分かるけど、今は駄目だよ、カガリ。素人の僕達が出て行っても邪魔になるだけだ」

 

「分かっている。分かっているが、こうしてただジッとしているのは辛いんだ」

 

「うん。あの忌々しいザフトが来ているっていうのに、僕達には戦う手段がないから、この悔しさを嚙み締めるしかないよ」

 

「ああ。私だってMS適性はあるんだ。MSに乗れるようになったら、プラントのコーディネイターもナチュラルも、オーブの神聖な中立を汚した報いを受けさせてやる」

 

 この運命の双子もまた頭の先までオーブの理念に染まり切り、プラントに対する敵意と憎悪を隠そうともしない。周囲にいる他の避難民達も二人の会話が届いていたら、全面的に同意しただろう。

 なおカガリの言うプラントのナチュラルだが、これは第一世代のコーディネイターの親にあたる者達だ。迫害を受ける子供達と共にプラントに移住した人々で、プラントで六十代以上の人間を見かけたら、まず親世代のナチュラルだと思っていい。

 中には幼い第一世代の親のもいるだろう。プラントの人口の中ではごく少数だが、こういった事情のナチュラルも居るわけだ。オーブにとってはしょせん敵でしかないが。

 

 ヘリオポリスの住人達の避難が終わる頃、いよいよオーブの部隊がクルーゼ隊へ殺意と憎悪をむき出しにして襲い掛かっていた。

 大西洋連邦の開発したGATシリーズに似たデザインのゴールドフレームには、ギナが直々に乗り込み、レッドフレームと呼ばれる機体にはMSパイロットとしての才能を伸ばしたキラ・クローンの一人、ブレラ・ヒビキが乗り込んでいた。

 またブルーフレームには、傭兵部隊サーペントテールのリーダー叢雲劾(むらくもがい)が、テストパイロットとして乗り込み、ザフトとの戦闘に参加したのである。

 

「オーブがここまで強力なMSを開発していたとはな」

 

 クルーゼ隊隊長ラウ・ル・クルーゼは、エースや指揮官を中心に配備されているMSシグーに乗って出撃し、ギナの操るゴールドフレームと激しい戦いを演じている。

 クルーゼはザフトのトップガンであり、ギナもまた最高レベルのコーディネイトを施され、鍛錬を惜しまずに才能を伸ばしたトップクラスのコーディネイターだ。

 

 クルーゼに舌を巻かせたのは、オーブ側のMSがビーム兵器を装備しており、実弾系統の武器しか持たないザフトMSを簡単に撃墜する火力を得ている点にあった。

 しかもレッドフレームとブルーフレームに乗り込んでいるパイロットもまた、仮にザフトに居たらトップエースの仲間入り間違いなしの凄腕達で、優秀なパイロットを揃えたクルーゼ隊は戦闘開始早々に戦死者を次々と出している。

 

「ゴールドフレームのテストには申し分のない相手だ。まずは貴様らを血祭りにあげて、オーブの中立を犯した罰を下してやろう」

 

 本来、オーブの主権のみならず世界の覇権すら望む大きな野望を抱いていたギナだが、彼もまたカガリやキラと同じく足のつま先から頭のつむじまで、体も心もオーブの理念に染まり切っている。

 この時、クルーゼ隊の母艦ナスカ級ヴェサリウス、ローラシア級ガモフから出撃したMSはブレラのレッドフレーム、劾のブルーフレームを相手に翻弄され、更にその隙を突いて接近してきたメビウスに対艦ミサイルとレールガンをしこたま叩き込まれ、危うい場面が多発していた。

 

 イズモ級の二隻も225cm2連装高エネルギー収束火線砲ゴットフリートMk.71二基、更に大型宇宙戦艦を一撃で沈める陽電子破城砲ローエングリンを二基四門搭載しており、その圧倒的な火力でヴェサリウスとガモフを脅かしていた。射線上に乗った不幸なジンが跡形もなく吹っ飛ぶ光景も見受けられた。

 奇襲を仕掛けるはずが逆に奇襲を仕掛けられ浮足立った上に、想定外のトップクラスのパイロットが乗る強力なMSと強力な戦艦、母艦狙いの一撃離脱戦法に徹するメビウスの群れ……。

 

「これ以上は無理か。アデス、撤退するぞ。各機を収容後、ヘリオポリスから退く。連合の新型奪取は叶わなかったが、オーブの新型に関するデータは得られた。オーブの本気とその実力について、評議会の方々にはよく知ってもらわなければな」

 

 随分と数を減らした部下のジンには目もくれず、クルーゼはギナのゴールドフレームを振り切り、ヴェサリウスと共にヘリオポリスからの撤退を成功させる。

 引き換えに出撃したMSの八割以上を失い、更にヴェサリウスとガモフも大きなダメージを負い、しばらくは艦船ドック入りを余儀なくされる事態となる。

 

 ヘリオポリスでの戦いにより、キラ・ヤマトはアスラン・ザラと再会することはなく、またイージス、バスター、ブリッツ、デュエルらGATシリーズの強奪も防がれ、キラがストライクに乗ることもない、という結果となる。

 大西洋連邦の新型艦アークエンジェルは予定されていた通りのクルーが乗り込み、予定を繰り上げて護衛の部隊と共にヘリオポリスを出立し、地球連合軍本部アラスカ基地ジョシュアを目指すこととなる。

 

 大西洋連合と東アジア共和国ではストライクダガー、ユーラシア連邦ではハイペリオン(量産型)、オーブではM1とその派生機が次々とロールアウトし、地球各国はザフトに対抗するMSを手に入れることとなる。

 国民総理念信者と化していたオーブの積極的なプラント殲滅思考が齎す余波は、原作の世界とは異なる潮流を生み出し、その果てに辿り着くのがより平和な世界か、戦火の絶えない地獄の底のような世界なのか。

 それはまだ誰にも分からない。まあ、地獄なんじゃないんですかね。




この世界のオーブには軍人に限っても、キラ・クローンがたくさんいて、エースパイロットがうじゃうじゃ産まれます。一人見つけたら三十人はいると思いましょう。
ブレラとカズマについては中の人つながりです。
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