仮面ライダーガルム   作:眼鏡侍

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ここの先達方に触発されて書きました。
まずはプロローグをどうぞ。


プロローグ

 

その少年は、ヒーローに憧れていた。

 

誰かが困っている時に颯爽と現れ、あっという間に救ってくれるヒーロー。

 

幼い頃からテレビの向こう側にいたその存在は少年にとって憧れで。

いつか自分も彼らと同じようなヒーローになりたいと、そう願っていた。

──あの日までは。

 

●●●●●

 

目を開けると、辺りは火の海と化していた。

 

警報音が鳴り響き、脱出を促すアナウンスが部屋中に響き渡る。

 

周囲を見渡せば乱雑に置かれていた何かの機械、 それが全て残骸となって積み上げられていた。

 

隙間から何か赤い液体が漏れ出しているのを見るに、研究員が下敷きになっているのだろうか。

一瞬頭の中によぎった考えを『どうでもいい事』として片付ける。

 

後ろを振り返れば先程まで自分を縛り付けていた椅子が見るも無惨な姿を晒していた。

両手足についていた拘束具は椅子から姿を消していた。

誰かが外してくれたのだろうか。

──これも『どうでもいい』か。

 

そこまで考えて、違和感に気づく。

 

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これほどの惨状、火事か爆発か何かが起きたはずだ。

いくら今まで数え切れないほど『実験』を受けて身体が丈夫になったとはいえ、流石に痛みもない、というのはおかしい。

 

自分の身に何が──そうして自分の体を見下ろして、ようやく気づいた。

何が起きているのか。

 

まず、今まで着ていた被験体用の服ではない。

 

体にフィットするタイプの黒のアンダースーツに、その上から銀色の装甲が胸部や腕、脚に取り付けられている。

 

腰には変わったデザインのベルト。

鉄格子の様なデザインのバックルに鎖の様なベルト部分。

上側面には別デザインのパーツに何かが刺さっていた。

 

思わず顔に手をやれば肌に触れる前に何かが手に当たった。

マスクか何かを被せられているのだろうか。

 

 

何がどうなっているのか。

顔に付いたマスクを外そうにも、外れる様子がない。

どうにかしようともがく『彼』の耳が、異音を拾った。

 

方向は自身の真上。

風を切る音と、それを掻き消す様に響く轟音。

まるで誰かが叫んでいる様な──。

 

そこまで理解した瞬間、咄嗟にその場から飛び退いた。

 

 

『───ォォォォオオオッッッ!!!』

 

 

そしてその数秒後、異音の主が地面に激突、周囲を吹き飛ばした。

 

 

次から次へとなんなのか。

吹き飛ばされ、地に伏せる彼が目にしたのは明らかな異形。

 

大人の3倍はありそうな隆々とした灰色の肉体の表面は、あれだけの衝撃を受けながら傷一つついていない。

よく見れば上半身の左側、心臓がある辺りの場所に鍵穴のような紋様が描かれている。

頭部は全体的に角張った様な形になっており、その額からは大きな二本の角が生えていた。

 

まるで犀を人型にしたかの様なその異形は『彼』を見つけるとのそり、とゆったりとした動作で歩き出す。

 

『まさか成──が出─くる───。期待はしてい────が、やはりあの───言っていた事は────たか……こ────損──済むなら───のだな』

 

途切れ途切れで聞こえる声に耳を傾けていると、異形は懐から注射器の様な器具を取り出した。

器具の中には毒々しい色をした液体が詰められている。

 

また何かされるのか。

 

本能か何かか、『彼』はその場から逃げ出そうと身を起こそうとして。

 

その瞬間、異形に片手で押さえつけられた。

 

いくらもがこうと、その丸太のような腕はびくともしない。

それでもなお、その腕を振り解こうとするが万力のような力で締め付けられる事で動きを止めてしまう。

 

『手間を、かけさせるな。モルモットが』

 

今度はっきりと聞こえたその瞬間。

 

首元に針が突き立てられた。

 

 

●●●●●

 

ジリジリと、うるさく響く音を耳にしながら目を覚ます。

 

周りを見渡しても火の海も、残骸も、異形もその全てが消え去っていた。

 

それを夢と判断した瞬間、ふぅ、と思わず息をついてしまう。

 

あれから十年経ったとはいえ、あの悪夢は今でも『彼』を苦しめていた。

 

頭を切り替えようと目覚まし時計を止めてシャワーに向かおうとすると、枕元に置いてあったスマートフォンからピコン、と音が鳴る。

 

確認すると、メッセージが一通。

 

『お仕事、今日からだよね。無理はしないでね』

 

飾り気のない、けれども優しさが込められたメッセージ。

あいつらしいなと独りごち、もう一度部屋を見渡す。

 

無機質なワンルーム。

ベッドとテーブル以外は殆ど物が無いその部屋の入り口。

そこにあるのは普通の扉、ではなく鉄格子。

 

そう、『彼』──狗巻紘人は今。

 

『牢屋』の中にいた。




ひとまずはここまで。

これからのんびりと書いていこうと思います。
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