仮面ライダーガルム   作:眼鏡侍

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お待たせ致しました第二話です!

今話は色々説明メインになるかも?
という訳でどうぞ!




第二話『アニマ因子』
Chapter1


天条市は新興都市として今なお発展を続ける街である。

 

『誰もが心地良く暮らせる次世代都市』を目指して造られたその街は、様々なテクノロジーを集結させ移り住んできた人々の暮らしを豊かにしてきた。

 

しかし、10年前に起きたとある事件により都市開発は停滞。

ならず者や犯罪者が集まるようになり、治安は悪化の一途を辿った。

 

今でこそ警察組織の介入により改善が見られるが、今天条市では新たな問題が浮上していた。

 

──それこそが、異形の怪物『アニマトゥルム』である。

 

●●●●

 

深夜になり、辺りが静まり返った再開発エリア。

その中を上機嫌で進む一人の青年がいた。

所々が紫に染まった白衣を身に纏い、ダークパープルの髪が目を引く。

青年は誰もいない路地裏を時々スキップで進みながら今日の成果である映像データを再生する。

 

「ようやく僕も見れたけど…これは凄いねえ、スパイダーボッコボコで笑えちゃうねぇ」

 

彼はスパイダーアニマキーをとある青年に渡した後、その動向を密かに観察していた。

彼に暴れてもらい、その戦闘データを記録すれば良い…彼もそう思っていたが、偶然例の戦士が戦う場面に立ち会えた。

 

思わぬ収穫に顔を綻ばせながら青年はとあるビルの中に入る。

そのまま奥へと進みエレベーターを起動。

ボタンを乱雑に押し、最後に何も表記されていないボタンを押した。

するとエレベーターは地下へと直行、ボタンに記載されているB3を超えても尚下降は止まらず、そのまま十数分経過した。

 

その後、青年が押した表記のないボタンが点灯すると同時にエレベーターは停止。

ドアが開くと同時に通路の照明が作動、奥へと順に点灯し始めた。

 

青年は何も気にすることなく通路を進み、突き当たりにある『第四ラボ』と表記されたドアの前へ辿り着いた。

 

(これを見せれば教授も驚くだろうなぁ、楽しみだなぁ)

 

逸る気持ちを抑えながらドアノブに手を掛ける。

そしてそのまま勢いよく扉を開き。

 

「みんなー!たっだi」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

自動車か何かに衝突したような、とても人を殴ったとは思えない様な音が響き渡り青年は数メートル先を転がり、そのまま動かなくなった。

 

そして、扉の向こうから青年を殴り飛ばした下手人が現れる。

 

シンプルなシャツに白衣と、服装は普通の科学者とそう大差はない。

しかしスキンヘッドにサングラス、筋骨隆々で鍛え抜かれた肉体、そして何より纏う雰囲気はとても学者のものとは思えないものである。

 

男は床に転がる青年の首を掴むとそのままラボへと入り、適当に床へと転がす。

 

室内は様々な計器が密集しており、その隙間を縫うように研究者達が忙しなく動いていた。

 

「貴様、またキーを持ち出したらしいな。しかも今回は碌に調整も施していないスパイダーだそうじゃないか」

 

男は未だ動かない青年へと声をかける。

いつもの事なのか、研究者達はその光景には目もくれない。

 

「あれは侵食速度の速さから廃棄されたものだ。回収するに飽き足らず無断で実験に使うなど…」

「だって普通に実験してもつまらないだろぉ?ここ最近は研究行き詰まってたんだしさぁ」

 

男の言葉を遮る様に、青年が起き上がりながら間延びした声を上げる。

殴られたダメージを意に介さず、体の調子を確かめる青年に、男は忌々しそうに舌打ちをする。

 

「そもそもあんな楽しそうなキー、何も使わずに捨てちゃうのは勿体無いじゃんか、モルモットに使っただけじゃあ、何もわかんないのと同じだぜ?」

「そうして貴様が使った結果、警察だけでなくあの連中にも勘付かれただろう。キーの残骸も回収されたそうだが?」

「見た感じ結構粉々になってたからあれを解析したところで何もわからないよ。分かったところで、僕達には繋がらないだろうさ」

 

それともあれかい?と青年は男を小馬鹿にした様な表情で見つめて続けた。

 

「連中に気づかれたら、必然的に()も君の存在に気づく訳だけど……それが怖かったりするのかなぁ?」

 

その言葉を聞いた瞬間、途端に男の殺気が膨れ上がる。

サングラスの奥の目は青年を捉え、溢れんばかりの怒りをぶつける。

 

「──誰が、奴如きを恐れてるって?」

「その態度が答えなんじゃないかなぁ」

 

対する青年はにやにやとした笑みを崩さず、更に男を煽る。

 

その光景に周囲の研究者達は顔を青くさせながら、自らに被害が来ない様静かに二人から距離を取った。

 

そうして辺りが静まり返ったとき、二人は懐からアニマキーを取り出した。

青年は尾の先から毒を滴らせる蠍のレリーフが刻まれた紫がかった配色のアニマキー。

対する男は黒ずんだ配色の犀がレリーフとして刻まれたアニマキー。

 

そのまま裏面のスイッチを押し込もうとして。

 

「はい、そこまで」

 

いつの間にか間に割り込んだ少年の存在に気付いた。

 

見た目は高校生程であろう少年であり、黒く染め上げられた白衣を学ランの上から纏っている。

その両手には機械的なパーツが取り付けられた細身の剣が握られており、二人の喉元に突きつけられていた。

 

才蔵(さいぞう)、気持ちは分かるけど少し抑えてほしいな。貴方が暴れるとまたラボを変えなきゃいけないから」

「……そうだな、すまない」

紫苑(しおん)も不必要に煽らないで。後いい加減勝手にキーを持ち出すのも勘弁してほしいんだけど」

「うーん、黒羽(くろは)がそこまで言うならしょうがないかなぁ」

 

間に割り込んだ少年『黒羽』が深くため息をつくと、二人の間に漂う張り詰めた空気が少し緩む。

それを感じた研究者達も安堵した様子でそれぞれの持ち場に戻って行った。

 

「それにしても黒羽もここにきてたなんてね?いつもは教授の護衛してる筈なのに」

「その教授からお話があるからね。二人にそれを伝えに来たのさ」

「教授が?つまり……」

 

「そう。今後の方針についての説明さ」

 

●●●●

 

ラボの奥にある会議室。

黒羽達三人はそれぞれ席に着き、正面のモニターを注視する。

 

そこにはカメラに背を向け、澱みない動きで様々な計器を操作する初老の男性が映し出されていた。

 

『やあ、二人とも。いつも通り、このままで失礼するよ』

「いえ…教授はお忙しい身、我々の事はお構いなく」

「そうですよぉ?なんならメールとかそういうのだけにしてくれても良かったんですから」

『そうしたいのは山々なんだがね…特敵対も動き出した事だし、我々も本格的に動かないといけないからね』

 

特敵対。

教授と呼ばれる男の口からその名前が出た途端、三人の目つきが鋭くなる。

 

『紫苑が送ってくれたデータ、見せてもらったよ。ライダーシステム、まさか完成まで持っていくとはね』

「完成度も中々のものでしたよぉ?少なくともスパイダーを圧倒するぐらいですし」

『そうだね。だからこの先、場当たり的に実験を行ってもすぐに対処されるだけだろう』

「つまりこれから先は、計画を次の段階へ移すと?」

『その通りだよ才蔵』

 

教授はモニターの一つを操作して画像を拡大。

あるデバイスの設計図を表示した。

 

『これからは実験と並行してこれの開発を進めて欲しい。完成し次第、君達による性能試験も予定している』

「わぁお…これがあれば奴にも勝てると?」

『それは君達次第さ』

 

教授はそう区切ると、手元のパソコンの電源を落としデスクの背もたれにもたれかかる。

 

『暫くはキーの性能実験と並行して、例の彼の戦闘データの方も回収してくれ…そういえば『女王様』はどうしたんだい?』

「『繁殖』の為に一度天条を離れると」

『ああ…もうそんな時期なんだね…彼女にも仕事を頼もうと思ったんだけどなぁ』

「連れ戻しますか?」

 

スキンヘッドの男『才蔵』が尋ねると、教授は静かに首を振る。

 

『いや、そうして機嫌を損ねてしまう方が危険だ。帰ってくるのを待つことにしよう…黒羽、君も暫くそっちに留まる様に。彼等の手助けを頼むよ』

「承りました」

 

黒羽がそう頷くと、教授は頼んだよと一言呟き通信を切った。

 

会議が終わり三人が一息つくと、紫髪の青年『紫苑』が手を挙げる。

 

「それじゃあ、次の実験も僕が行っていいかな?もう対象の目処も立ってるし」

「貴様…今度は何をするつもりだ」

「怖いなぁ、これを使うだけだよ」

 

そうして紫苑が取り出したキーを見て、二人は怪訝な表情を浮かべる。

だが、それを意に介さずに続けた。

 

「折角あそこまで行ったんだし…彼には行くところまで行ってもらおうかなってね」

 

その顔は、愉快そう笑みを浮かべ歪んでいた。




今回は敵側のお話でした。
次回からは特敵対サイドへ視点が戻ります!

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