仮面ライダーガルム   作:眼鏡侍

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お待たせ致しました。

中々執筆に時間が取れなかった…。
短めですが続きをどうぞ。


Chapter3

「彼の話をするには、10年前に起きたある事件の説明をしなければならない」

 

 

紘人のカミングアウトの後、今度は辰正が咲耶と入れ替わる。

彼の顔にはいつもとは違う、どこか張り詰めた様な表情が浮かんでいた。

 

 

「10年前、この街に人が集まり栄え始めた頃の話だ。当時全国各地から様々な企業がこの街に拠点を置き、都市開発は凄まじい勢いで進んでいた。それと同時に、名だたる研究機関が集まり秘密裏にアニマ因子の実験が行われていた」

「そうなんですか!?そんな話聞いたこともないですよ!?」

「さっきの説明通り、アニマ因子はとても危険なものだ。研究を公にすることはしなかったんだろう……そして、アニマ因子を発見したある男も、その研究に参加していた。それが」

「リーダー、それは私が」

 

 

辰正の言葉を遮る様に千和が声を上げる。

彼の気遣う様な表情に「大丈夫ですよ」とだけ告げ、再び口を開く。

 

 

「西園寺吾郎…因子研究の第一人者で、私の父です」

 

 

「当時ある研究機関にスカウトされていた父は、天条でアニマ因子の研究が開始されると様々な実験を通して因子制御の術を探っていきました」

「ライダーシステムやアニマキーも彼が考案したものなんですよ?…いやぁ化学者なのにそっち方面も優秀ってどうなってるんでしょうねぇ」

「アニマキーが開発された後、研究がある程度区切りがつくと…父は実験の対象を増やしていきました。実験用のマウスやモルモットだけでは飽き足らず、様々な動物にアニマ因子を移植していきました」

 

 

そして、と口を開く千和の目は誠実から見ても分かりやすく揺れていた。

それでも意を決して口を開こうとする彼女の声を遮る様に声をあげる者がいた──紘人だ。

 

 

()()()()

「……え?」

「連中はこの街に住んでた人間を手当たり次第に攫った。そんで問答無用でアニマ因子をぶち込んでいった」

「そんな、嘘だろ…?」

「嘘ならどれだけ良かったろうな…、結局、因子を取り込んだ人間は俺以外全員死んだ」

「その後、研究所で原因不明の爆発事故が起きてね、生き残った彼を私が引き取ったのさ」

 

 

あまりの事実に言葉を失う。

何故警察官でも、研究者でもない彼がここにいるのか。

その理由は、あまりにも壮絶だった。

 

 

「どうしてこんな事を…こんな事を平気でできるんだ…!?」

「アンタ…」

「……彼等は散り散りになった後、この数年で再び集結したらしい。今この天条にアニマキーをばら撒いているのも奴等の仕業なのだろう」

「一体…誰なんですか、そいつらは!」

 

 

「『シーカー』。それが今のこの街に潜む、脅威の名前だよ」

 

 

●●●●

憎い、憎イ、ニくイ。

 

A・スパイダーの変身者だった男、真田由紀夫は警察病院のベッドに繋がれながら頭の中を憎悪で満たし続けていた。

 

 

自分はただ彼女と結ばれたかっただけたった。

確かに恋路を邪魔する人は彼女の家族含めて()()()()()()()()()()()()それ以外は何も悪いことなどしていないのだ。

だというのに連中は寄ってたかって自分を取り囲み、挙げ句の果てには拳銃で撃ってきた。

何よりあの仮面を被ったあの男。

奴さえ居なければ、今頃あの場に居た全員を『宝箱』の中に入れることができたのだ──それなのに。

 

 

「…………ッッッ!!───ッッッッ!!!」

 

「…おい、大丈夫なのか?縛りつけてもあんなに暴れて…保つのかあのベッド?」

「大丈夫だろう。鎮静剤の他に筋弛緩剤もぶち込んであるんだ、あれ以上は何もできないさ」

 

 

病室の外で警官二人が偉そうに何かを喚いている。

もし()()があればあんな連中すぐに黙らせるのに─。

 

 

「なら大丈…ん?おい、ここから先は入っちゃ……あ"…が…!?」

「お前何を……ぉ"、ご、ぶ……っ!?」

「…?」

 

何か揉めた様な声と音の後、突然辺りが静かになり、ぐずぐずと何かが解ける音が聞こえてきた。

不思議に思い病室の扉の方へ目を向けると、扉が開き見覚えのある男性が姿を表した。

 

名前は確か──。

 

 

「ヤッホ〜、紫苑さんだよ?久しぶりだねえ由紀夫君?」

「……!?、!!」

「はいはいわかってるから暴れないの。君がやられちゃったって聞いたから居ても立っても居られなかったからねぇ、お見舞いに来たのさ」

 

 

以前会った時と全く変わらないテンションで話す紫苑。

彼は徐に白衣のポケットから何かを取り出した。

 

 

「───!!!?」

「ふふん♪実はこれ、もう一本あるんだよねえ」

 

 

取り出したのは蜘蛛のレリーフが刻まれた鍵──もう一本のスパイダーアニマキー。

 

 

「スパイダーは因子侵食率がやけに高くてねえ、性能をきちんと発揮する前に体を蝕んじゃうから廃棄する予定だったのさ。それでもまぁ何か楽しそうなことに使えるかなーと持って来たんだけど…その様子を見るに、また使いたいみたいだね」

 

 

今にも飛び付かんばかりの勢いで暴れる由紀夫を見て呆れた様に笑う紫苑。

そして、そのまま持ち手裏のスイッチを押し込んだ。

 

 

『SPIDER!』

 

「それじゃあ、心ゆくまで楽しむといい」

 

 

そしてそのまま左胸…心臓のある位置に鍵を突き立てた。

 

 

「───ッッッッ!!!!!」

 

 

メキメキと、異常な音を立てながら人の姿を失っていく『実験体』を眺めながら、紫苑は愉快そうに表情を歪める。

それは、面白そうな玩具を見つけた子供の様にも見えた。

 

 

「さぁ、実験再開と行こうじゃないか…♪」




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