星に惹かれた蓮の歌   作:紅葉555

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7話 魂のルフラン

 

「それで……」

 

 何となく気まずくなって、なにか喋らなければと思い、俺の方から声をかける。

 

「さっきの伊地知さんの言い方が気になってたんだけど、もしかしてあの人もこのライブハウスでバイトをしてたり?」

 

 一応2人どちらも答えられるように、個人の方へと体を向けるのではなく、2人の空間に向かって体制を整える。

 

「そう。私と虹夏、それとぼっちも来週から」

 

 答えてくれたのは山田リョウだった。

 

「内容自体は簡単だから気にしなくていいよ」

 

「あ、いやそこを気にしてたんじゃなくて……いきなり2人も追加……いや、俺が割り込む形になって良かったのかなって思ってさ」

 

「虹夏も言ってたけど、人手が多くて困ることは無いと思うからレンは何も考えなくていい」

 

「そのさ、気になってたんだけど……なんで急にあだ名を作って呼んだんだ?」

 

「気に入らなかった?」

 

「いや別にいいんだけどさ……」

 

 さっきまでキミって呼ばれてた仲なのに……もしかして最近の女子高生ってこんなラフな感じなのかな。俺が気にしすぎてるだけなのか……? 

 

「呼びやすいから呼んでるだけ。それにファンなんでしょ?」

 

 ファン? 

 

 まぁ次のライブも聴きたいと素直に思ったし、別に話してみて悪い気もしないし……奏でる音も素直に好きだし、フォンになるのか、な? 

 

「うん」

 

「それにぼっちにあだ名つけたばっかりだし、その名残があって」

 

「じゃあ俺も気楽に呼ばせてもらってもいい? ぼっちと伊地知さんはしっくりくる呼び方なんだけど、山田さんってなんか自分の中でしっくり来なくて」

 

「好きにすれば?」

 

「じゃあリョウで」

 

 

 

 

 

《視点切りかえ》

(ぼっち脳内)

 

 え? 何か2人の会話が少し盛り上がってるんだけど……なんで!? 私が会話の中に入る隙を伺ってる間にコロコロと話題がころがっていつの間にか1人だけ蚊帳の外にぃ…………!!! 

 

 せっかくバンドを組んでライブもしてこれから私自身が変わるって覚悟をした直後なのにぃ……! せめてクラスの人と挨拶できる程度にはって決めたはずなのに……!! 

 

 いや! 嘆いても仕方ない! とにかくあの輪の中に入れなければ陰キャ一族の代表みたいな私がこれから先変われるはずがない!!! 

 

 それに2人は同じバイト先で一緒に仕事をすることになる友達。これから何度も挨拶をすることになる……リョウさんに至ってはバンド仲間だから!!! 

 

 何とか頷きだけでも……………………って、え? 

 

 竹内さんの手に……血が…………

 

 あ! そうか! あの時の鼻血が綺麗に拭き取れていなかったんだ! 早く教えてあげないと…………

 

 

《視点切りかえ》

 

 そういえば庵はどうしてるんだろう? 先に帰ったりしたのかな。

 

 リョウとばかり話をしていたし、ぼっちとも何か会話もしたいからもう一度俺から声を────

 

「あっ!!!」

 

 と声をかけようとぼっちの方へと視線を向けた瞬間に彼女は大きな声を突然発した。

 

「うおっ!? びっくりした……」

 

「え、あ、えっと……すみません……」

 

「いやいいんだけどさ……どうした?」

 

「えっと…………あの……」

 

 ぼっちは多分人と話すのが苦手なんだろうな。朝も一言も喋らなかったのってきっとそこが理由だろうし。

 

 もしかしたらずっと今日睨んできてたのも、朝の件で声をかけてくれようとしていたのかもしれない。

 

 ぶっちゃけ不気味さがかなり勝ってたけど。

 

「う、腕…………」

 

「腕?」

 

 ぼっちに指摘された場所を見てみると、特段変なところは無い。が手の部分に血糊が着いており、すっかりと乾ききってしまっていた。

 

 そうか、これを教えてくれようとしてたのか。

 

「血が……拭き取れてなかったんだな。ありがとう、教えてくれて」

 

 ぼっちに怖がられないようにできるだけ優しく言葉を返して、バッグからウエットティッシュを取りだし、血を拭き取る。

 

 その途中で、伊地知さんが部屋に戻ってきた。

 

「やったよ〜! お姉ちゃんが2人ともバイトしていいってさ〜!」

 

 ぼっちの事はまだ伝えてなかったのかよ。あんなに承諾貰った雰囲気を醸し出してたのに。

 

「やったね、ぼっち、レン」

 

 その言い方だと俺がぼっちな人みたいになりますね。

 

「レン……うん! じゃあ改めて蓮君に紹介するね! 今お姉ちゃんが来てるから!」

 

「え?」

 

 あっそうか。流石に挨拶くらいはしておかないといけないよな。ここで働かせてもらうんだし……

 

 あの綺麗な金髪の人とも挨拶って名目でまた会えるのか。

 

 ちょっと嬉しみ。

 

「あ! ほら! この人があたしのお姉ちゃんね!!」

 

「はじめまして、よろしくお願────」

 

 明るく紹介されたその先に視線を向けると、いつか改めて挨拶出来たらなと思っていた女性が相も変わらずの雰囲気で現れる。

 

 今度は顔だけではなく、その身体全体を見られるこのタイミングで。

 

 ファッションセンスも抜群。

 

 ヤバい。

 

 可愛い。美しい。

 

 神。

 

「ん、あぁ……鼻血の君が────」

 

 

 

「お美しい〜〜〜♡♡♡♡」

 

 

 

「鼻血を放射した勢いで吹き飛んだッ!?!?!?」

 

「レン、面白い」

 

「ちょっと!? 面白がってる場合じゃないでしょ!?!? あたし人間がロケットみたいに吹き飛んでいくの見たの初めてだよ!?!? これ大丈夫なの!?!?」

 

「あ……えっと…………ティッシュを……」

 

「もうそんなレベルじゃないでしょ!? ちょっとちょっと! 大丈夫!? てかどんだけお姉ちゃんに弱いのこの人!?!?」

 

 

「…………」

 

「店長よかったね。モテて」

 

「いや……コイツこんな状態で仕事出来んの?」

 

「て……天使が……迎えに……」

 

「なんか変なこと言い始めた!?」

 

 

 

「……私完全に空気ですよね」

 

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