Magic Create Online 作:よくメガネを無くす海月のーれん
フィールド:アフレンティア草原
「死ねぇ!」
「そういうお前が死ね!」
「うぽぁっ」
奇襲を仕掛けてきた雑魚を蹴散らす。いちいち突っかかってくんじゃねぇよカス。
「野蛮人だねぇ。やはり生まれは蛮族だったりする?」
話しかけてきたのは知り合いだが、今の俺はめっちゃイラついてるので、とりあえず殴りかかることにする。死ねぇ…!
「あ”?うっせぇ、テメェで蛮族文化味わってみるか?挨拶はこうだ。『死ね』意訳:こんにちは、死ね!だ。俺の異文化交流は直球だぜ。教わったら次は実践だ。リピートアフターミ―。死ね!」
そういいながら持ってる斧をカチあげて、脳天をカチ割ろうとする。すんでのところで魔法陣。ちっ、防御魔法は仕込んでるか…。
「はい先生!リピートアフターミー!死ね!」
満面の笑みでお返しと言わんばかりに、空いてる両の手に、三層交点三角図形式魔法陣を発生させて殴りかかってくる。クソがっ!人間の限界地点といわれる三層交点だ。こっから発生する魔法なんざひとつしかない。
「重力魔法なんざ、いくらでも対処してきたんだーよォ!」
斧を片手で持ち、空いた手で、四角形を描きながら回避する。大事なのはしっかり四角形を描ききること。それでいて、対象が四角形を認識していること!
これで重力魔法は役立たずのゴミになる。ただ、重力魔法を無駄にしても油断はできねぇ。ここは時間稼ぎに軽くペラついておく。
「重力魔法対策を教えてやんよ!重力魔法はその制約からどうしても三点を意識しないといけない。だからその三点を崩してしまえば重力魔法は発生しない!」
重力魔法は、制御がクソみたいな魔法だ。うまく使わないと自分ごと圧死する。それを防ぐために有識者が検証したところ、三つの点を意識しないと制御できないらしい。人間の空間認識能力に関わってるんじゃないかと言われているが、詳しいことは知らん。
「ご教授どうも!んでも残念!ボクのこれはぶっつけ本番で制御なんか考えていないのさ!無理心中しようぜ!」
「はぁ~!?カスがよォ!」
クソがっ、確実に殺さないといけない理由が増えた。
四角形で確かに重力魔法の制御は乱した。だが、鼻から制御なんか投げ捨ててるんだったら話は別だ。乱したところで、暴発することは目に見えている。
「『力isパワー』!」
ふざけてるだろ?身体強化魔法なんだぜ?このゲームは魔法を自由に作れるゲームだからこういうふざけた魔法だってあるし、三層交点三角図形式魔法陣とかいうイカレた魔法だってある。
「勝負を決めようとするの早くないかい?もっと楽しもうよぉ!『エンハンス・ジャイアント』!」
筋力を増強する魔法だ。1分間しか続かない代わりに莫大な筋力を与える。こちらは、自身の力を倍にする魔法だ。効果は10分とこちらの方が持続は長いが膂力じゃ負ける。
左足右足とステップを踏みながら、しゃがむように沈み、空いたどてっばらに斧を叩きこむ。相手叩き込む時のコツは腰ごと回すことだ。武術においてもよく言うだろ。身体全体をひねるってな。すんででカバーされたし威力減衰の為に後ろに飛ばれた。が距離を離せたので問題なし。
アイツは格闘主体だ。動きを止められて、攻撃を受けたらダメージレースで負ける。回避主体で戦うしかねぇ。
「めんどくせぇ魔法は使いやがってよォ!『スーパーウルトラハイパーミラクルバイオレンス』」
俺も後退しながら、同じくネーミングセンスがアレな魔法を使用。曲名から取ったらしい。効果はバカだ。魔法を発動してから最初に与える攻撃の威力が3倍になる。
「うへぇ…それ使うのぉ?まぁいいや」
距離は10数メートル。フィールドは草原な為遮蔽物はない。周りにプレイヤーが集まってきている。厄介だ。横やりが入る可能性がある。
「殺す。気分がわりぃ所に来やがって…!」
重力魔法は必ず人を殺す魔法だ。ほぼ呪いといってもいい。制御に失敗にすると、周りにいる奴らを強制的に巻き込んで圧殺する。ブラックホールになると考えればいい。それを防ぐためには、暴走させた術者を殺すしかない。
「ごめんて…。ちょっと用があったんだよぉ。まぁ殺しあいは久しぶりだから大歓迎だけどね」
クソがっ。こういう戦闘狂がいるから日頃から俺が苦労するんだ。どいつもこいつも俺を見るたびに嬉しそうな顔で近づいてきやがってよぉ。いい加減うぜぇんだよ。ったく。
「何で俺ばっかりかまうんだよ!他にいんだろ!教授とか、卿とか、あと…学院の先生方」
「彼ら彼女らは忙しそうじゃないか我らが僭王。ベータ版を忘れられないんだよボクたちは」
俺の黒歴史を掘り返してきやがるコイツ等はすべからく抹殺しなければいけないと改めて誓った。じゃないと俺に平穏はねぇ!
唐突だが、このゲーム『Magic Create Online』は魔法を作れる。自由に何でもだ。
そして、誰もが自由に魔法を作れるなら、誰だって自分だけの切り札を作る。俺だってそうするぜ。
俺だけの固有魔法キッチリ味わえ…!
「7,4,5,4,7,7,5,6,2,6,5,9,10,11,2,2,5,4,7,8,3…」
虚空にサイコロ2つが転がる。そして出た目がひたすらに羅列されていく。俺の魔法、システムに干渉する魔法。理論上ラスボスをワンパン出来る魔法。
今日は調子いいなァ!7が四回以上出てるぜ!
「切り札を切ったね!ならボクも切ろう!スゥ…」
杖を虚空から生み出し始めた。半ばまで生成された杖を虚空から引き抜くようにして、杖先をだらんと下に向ける。そして優雅にお辞儀する。原作再現に忠実なこって。
コイツの切り札は知っている。とある魔法使いが題材の作品に影響を受けて、死の呪文を放つのだ。
だが、俺の魔法の方が強い。見極めろ。ダイスを見つめて。女神の抱擁をかなぐり捨てて。中指立てて。確率を味方に付けろ!
そして素早くヤツと俺が叫ぶ。
「魔術:石ころは神をも殺す!」
「死の呪文:アバダケダブラ!」
俺はヤツに直進する。魔法にぶち当たってもいい。大丈夫だ。見てりゃわかる。
死の呪文、緑色のあやふやな光が俺の体にぶち当たろうとする。原作再現が凄まじい魔法だ。当たったらマジで死ぬぜ。まぁ当たればの話だがな。
死の呪文は俺の体を当たって弾ける…ことなく
「ハッハー!俺の勝ちだ!」
斧をカチあげる。『ハイパーウルトラスーパーミラクルバイオレンス』の効果は続いている。
相手がとっさに両手を掲げて、防御魔法を展開する。残念だな。俺の切り札は
斧が防御魔法をすり抜ける。唖然とした顔をしてるな?だろうさ。俺は今までこれを
「死にさらせよァー!!!」
唐竹割り。一刀両断。色々言い方はあるが、まぁ真っ二つになったてこたぁな。
「ぺっ、俺の邪魔すんじゃねぇよカスが」
つばを吐き捨て、光の粒子になって消えていくヤツの姿を尻目に俺は肩に斧を担ぐ。まぁこの世界はゲームだ。とりあえず一回殺してすっきりしたから、街で事情を聴きに行くか。
フレンドリストを開いて、さっきのヤツに連絡を取る
《オイ、サンマ?さっきの要件なんだよ?》
《あぁさっきの要件~?街で合流したら話そう~》
さっきまで殺しあった相手とやり取りしながら歩を進める俺を、遠巻きに観察していたプレイヤー達は不思議な動物を見るかのような目で見つめていた。見せモンちゃうぞコラ!ガンを飛ばす俺は動物園にいるパンダみてぇな気分になった。これだから俺の風評被害が広がっていくんだよ…!クソっ。
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