・通常のISと違い、浮遊機能は特殊な専用ユニットが搭載され、空中でも地上と同じ感覚で戦える。
・エンジンには丹田エンジンを搭載。乗り手の気を増幅させている。
・シールドエネルギーは操縦者の気(体力)と直結しており、シールドエネルギーの枯渇=体力切れによる戦闘不能となる。
IS学園・第4アリーナ
通常の授業で使われる他の訓練用のそれとは違い、大規模なイベント用にと今年の頭に篠ノ之束からの資金援助と技術提供を受けて急遽設立された大型アリーナの観客席には、その日の朝から多数の人が集まっていた。
学園の全生徒、全教員はもとより、来賓席には一般からの観客や、IS委員会や格闘技界の重役や実力者といった者も多く集まっており、皆が皆その時を今か今かと待っているのだ。
「たかが模範試合だというのに、凄い盛況ぶりだな?」
「それだけ、皆私達に注目してるって事よ。
何て言ったって格闘ISの華々しい初公式戦なんだから」
呆れたように口を開く箒に楯無は笑いかける。
「良い?さっきも言ったけど、これから入場セレモニーだから、初戦の二人は好きにアピールして頂戴♪
せっかくのお祭り騒ぎなんだから、盛大に盛り上げてやりましょう」
「ったく、ウチらは戦いに来たちいうに、最初にやる事はパフォーマンス合戦か?
委員会も訳わからん注文してくるのお」
「委員会としては、ISの人気再燃が掛かってるからな。出来るだけ派手に行きたいのだろう」
「ま、良いんじゃないの?戦う事には変わりないし」
ため息を吐くまこと、冷静に分析するラウラ、呑気に構える鈴音・・・皆それぞれの反応を見せつつ、その時は近づいてくる。
「そろそろ時間です。入場お願いします!」
かくして、2人のファイター達はアリーナへと歩を進めた。
・ ・ ・ ・ ・
『観客の皆さん、大変ながらくお待たせしました!
実況は私、新聞部2年の黛薫子がお送りします!
これより、IS学園・格闘ISエキシビションマッチの開会式を始めます!!』
司会のアナウンスに会場中が歓声に包まれ、大いに湧き立つ中、スポットライトは入場口へと向けられた。
『まずは第一試合、一人目はこの人だ!』
スポットライトが一点に集中し、ある人物を照らし出す。
『土佐の名門・竜胆館空手師範!空手部顧問の竜胆まこと!!』
選手紹介、そのトップバッターはまことだ。
「パフォーマンスなんざ柄じゃないけんど、やっちゃるよ!!氷持ってこいや!!」
一旦ISを解除し、入場口側へと合図を送る。
同時に空手部員達が二人掛かりである物をもってやって来る。
身の丈はあろうかという巨大な氷柱だ。
『こ、氷だ!』
『まさか、割る気!?生身で!?』
『嘘!?どうみても冷やしたてよ、アレは!?』
「その、まさかじゃ。セイヤァッッ!!」
気合い一閃の掛け声と共に放たれた正拳。
その一撃は轟音を立てて氷柱へと叩き込まれ、一瞬にして氷の塊は砕け散った!
「かあぁ〜〜〜〜っ!冷たぁ〜〜〜〜っ!!氷柱割りなんざ久々にやったが、
『うおぉぉぉぉっ!!』
『す、凄っえぇぇぇっ!!』
『な、生身でこんな・・・つ、続きましては中国拳法界期待の新星!鳳鈴音!!』
呆気に取られる薫子だったが、すぐに気を取り直して2人目・鈴音の紹介に移る。
「実況が呆気に取られてどうすんのよ?
ま、私は全力を尽くすだけだけどね!」
ゆっくりと構えを取り、師匠直伝の中国拳法、その演舞を披露する。
しなやかに、華麗に、それでいて力強く、拳と蹴りを交えた演舞にして演武。
見る者を魅了するその舞は、まことのものとは真逆の魅力を醸し出していた。
『う、美しい・・・!何て美しいんだ!・・・貧乳だけど!』
『あの小さい身体でこんな美しい舞が・・・!』
「おい・・・!今貧乳とか小さいとか言った奴出て来い・・・!
蹴り潰してやる・・・!!」
これでコンプレックスに敏感過ぎなければ完璧だったのだが・・・。
『それでは第一試合、竜胆まことvs鳳鈴音!
勝つのは名門の空手か、歴史ある中国拳法か!?今、ゴングです!!』
・ ・ ・ ・ ・
「まぁ、失礼な事言った奴らへのお仕置きは後で良いとして、竜胆館空手か・・・春麗先生やユン兄達から噂は聞いてたけど、相当強そうじゃないの?」
「・・・何か、聞き覚えのある名前じゃのぉ。
一夏と言い、箒と言い、おまんと言い、世間は広いようで狭いぜよ。
でもまぁ、今はそがな事どうでもええ。思いっきりやっちゃるよ!!」
『第1戦 竜胆まこと vs 鳳鈴音 始め!!』
二人が身構えると同時に試合開始のゴングが鳴り響く。
真っ先に動いたのは鈴音だ。
「箭疾歩!」
踏み込みと同時に拳を突き出した突進がまことの懐に迫る。
「フンッ!」
対するまことはこれを気合いと共に受け止めてみせる。
「まだまだぁっ!天昇脚!!」
続けて繰り出される上空へ向けて繰り出される連続回し蹴り。
その威力と鋭さに、防御して尚まことの身体が宙に浮く。
「舐めんなぁっ!!」
だが、ここでまことが反撃に打って出る。
一夏との対戦で見せた閃空踵落とし『剣』が鈴音の脚を蹴り落とす。
「うわっ!?・・・クッ!!」
バランスを崩しながらも着地し、即座に鈴音は体勢を立て直し身を翻す。
「スピニングバードキック!!」
「っ!?うぐあぁっ!!」
僅かに遅れて着地したまことに狙いを定め、繰り出される鈴音の蹴り。
プロペラのように回転してまことを襲う。
「貰った!一気に畳み掛ける!!」
体勢を崩した相手に好機を見出し、鈴音は一気呵成に攻め立てる!
「旋円蹴!!」
「ガッ、ア・・・!!」
倒立からの前方宙返りと同時に繰り出される踵落としがまことの肩に食い込むように入り、『グキッ』という嫌な音が鳴る。
『ちょっ!?い、今の音!まこと選手の肩が外れた!?』
実況席で薫子が顔を青くする。
それを意に介さず、鈴音は更なる追撃の体勢に入る。
「これでトドメよ!」
両手に集められ、練り上げられる高密度の気。
それを両掌に顕現させて巨大な気弾が放出され、そして・・・
「気功掌!!」
「グアァァッ!!」
ゼロ距離から放たれた巨大な気弾がまことに叩き付けられた!!
「ぐ・・・ぁ・・・」
直立不動のまま、まことの口から力無く呻き声が漏れる。
観客の誰もがこの時、鈴音の勝ちを確信していた。
(手応えはあった・・・だけど、何なの?この違和感は・・・)
ただ一人、鈴音は何かの違和感を感じ取っていた。
その時だった・・・。
「まだじゃあ!!」
「っ!?しまっ・・・ガッ!!」
突如として獰猛な笑みを浮かべ、復活したまことは鈴音の髪を鷲掴み、鈴音の額目掛けて頭突きをぶち込んだ!!
「おまんの技、耐えちゃったぞ!今度はこっちの番じゃ!!」
「グガッ・・・!!」
額にダメージを受けてふらつく鈴音、その顔面・・・延いては人体の急所の一つたる人中に、まことの突進正拳突きが打ち込まれる。
・ ・ ・
「嘘でしょ・・・アレを耐えたの?」
選手控え室にて、鈴音の気功掌を諸に喰らいながらも、それに耐え切り反撃に転じたまことの姿に本音が感嘆と驚愕入り混じった声を上げる。
「
まことの奴、鈴の気功掌を受けた時、三戦の構えで防御に徹したんだ」
画面を鋭く見つめながら一夏は解説する。
三戦・・・空手道に古くから伝わる守りの型。
呼吸のコントロールによって完成されるこの型は完全になされた時にはあらゆる打撃に耐えると言われる。
「まことは若手でこそあるが空手の腕前は黒帯級。その中でも最上位クラスと言っても良いレベルだ。
そんなアイツが守りに徹すれば簡単には崩せまい」
「気功掌を喰らっても吹っ飛ばされなかった時点で鈴は気付くべきだったな。この隙は致命的だぞ」
「でも、まことさんだって肩外されてるなら、まだ凰さんにもチャンスが・・・いえ、無理ね」
箒も交じえて、冷静に分析する一夏達。
思わず意を唱えた楯無だったが、すぐに閉口する・・・。
かつて同じように人中を攻撃されて隙を晒した経験があるからこそ解るのだ。
「ああ。肩を戻すには十分な隙だ」
・ ・ ・
「フンッ!!」
再び『グキッ』と嫌な音が鳴る。
ふらつく鈴音を尻目に、まことは地面に手を付き、無理矢理外れた肩を嵌め直したのた。
『ヒィッ!む、無理矢理肩を・・・』
実況の薫子かより顔を真っ青にして怖気付く。
余談だがこの時、控え室ではシャルロットが、
「痛いんだよねぇ、アレ・・・」と、苦笑いを浮かべていたとか。
「今度はこっちが決めさしてもらうで!ハアァァァッ!!」
気合いの掛け声と共にまことの身体に変化が起こる。
体中の気が高まり、全身の肌が赤く変色する。
これぞ竜胆館空手が奥義の一つ、丹田練氣・攻めの型だ。
「狙いは・・・正中線じゃ!!」
「!!」
咄嗟に構える鈴音の防御も虚しく、まことの拳は鈴音の下腹部・・・股間(釣鐘)に的確に打ち込まれ、そこから打点を上部へと擦らし、二発目三発目、四発目と続け様に正拳突きを見舞う!!
「ガアッ、ハッ!?」
「ダァァーーッ!!」
そしてトドメに渾身の一撃が顎を打つ!!
「正中線五段突きぃっ!!」
「ガハッ!!」
強烈な正拳突きを急所に五連続で喰らい、鈴音の身体は成す術なく宙を舞い、地面に落下すると同時にISが解除された。
パイロットの体力と直結する機体のシールドエネルギーが尽き、乗り手がノックアウトされた証拠だ。
『そこまで!勝者・竜胆まこと!!』
「見たかや!これが竜胆館空手じゃ!!」
試合アナウンスによって告げられるまことの勝利。
そして威風堂々と勝ち名乗りを上げるまことの姿に、観客席から大歓声が鳴り響いた。
次回予告
まことの勝利で終わった第一試合。
続く試合はセシリア対真耶。
セシリアのボクシングが真耶の牙城を崩すか?
真耶の相撲がセシリアの拳を捌き切るか?
次回『Round3 セシリアVS真耶』
セシリア「私の、このパンチで、どんなものでも砕いてみせますわ!!」
真耶「全身全霊を懸けて、ぶん投げる!!」