インフィニット・ファイター   作:神無鴇人

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推奨BGM・ストリートファイター3 3rd strikeより、まことのテーマ。


Round1 一夏vsまこと

「正面に、礼!お互いに、礼!」

 

「「押忍!!」」

 

審判の指示に従い、一夏とまことはそれぞれ形式に則って一礼。

しかし、その目つきは二人とも既に獰猛な獣のようにギラついたものとなっている。

 

「構えて!・・・始めっ!!」

 

「チェストォッ!!」

 

試合開始の合図と同時に、まことは一瞬で距離を詰め、一夏の顔面目掛けて正拳突きが放たれた!

 

「で、出た!まことの十八番、高速正拳突き!!」

 

まことの母校側から歓声が上がる。

まことの流派である竜胆館空手の誇る突進正拳突き【疾風】。

準決勝までの大抵の敵はこの技で沈められてきた必殺技だ。

 

「甘い!」

 

だが、一夏はこれを跳躍して回避。

そのまま腰を捻り脚を振り上げる!

 

「な!?」

 

「竜巻旋風脚!!」

 

「うぐぁっ!!」

 

錐揉み回転しながら繰り出された連続蹴りがカウンター気味にまことの顔面に打ち込まれた!だが・・・

 

「まだじゃあっ!!」

 

「ガッ・・・!?」

 

クリーンヒットを喰らいつつも、まことは踏ん張ってダウンを許さず、即座に体勢を立て直して両手で一夏の喉下を掴み首を締め上げる。

プロレスのネックハンギングツリーにも似た絞め技、吊るし喉輪【唐草】だ。

 

「ググッ・・・このぉっ!!」

 

「させるかっ!」

 

蹴りを繰り出し引き剥がそうとする一夏だが、まことはこれを見越して先に手を離し、一夏の身体を床に叩き付ける。

 

「アガッ!」

 

「貰った!!」

 

マウントポジションを取って殴りかかり、まことは一気に勝負を決めにかかる。

 

「グッ、ガアァッ!!」

 

連続で顔面に叩き込まれるまことの拳。

加えてマウントポジションという圧倒的有利な体勢に、観客達の誰もが早くもまことの勝利を確信し始める。

 

「とどめじゃ!!」

 

「っ!!」

 

そして繰り出された渾身の一撃。

しかし、その時同時に一夏の目が鋭く光った!

 

「そう来ると思ったぜ!」

 

「な、何ィっ!!」

 

下顎目掛けて放たれた拳を間一髪で受け止め、一夏は不敵に笑う。

 

「とどめ刺すなら、顎狙ってくるのは定石だから、なっ!!」

 

そしてそのまま一気にまことの腕を引き寄せ、彼女の顔面に頭突きをぶち込んだ!!

 

「グアアァァッ!!」

 

鼻っ柱に頭突きを喰らい、鼻血を飛び散らせながら後退るまこと。

そんな対戦相手に一夏は今度は俺の番だとばかりに近付き、その拳を振るう!

 

「はあぁーーーーッ!!」

 

「っ、グァッ!アグッ!ガハッ!!」

 

連続して繰り出される拳の連打を諸に喰らい、まことの身体はより一層ふらつき、後方へとぐらついていく。

 

「貰ったぁっ!竜巻旋風脚!!」

 

ふらついたまことの姿を好機と見た一夏はフィニッシュとばかりに再び跳び上がり、竜巻旋風脚を繰り出した!!

 

「ウチを・・・嘗めんなぁーーーーっ!!」

 

だが、まことは倒れそうになる身体を奮い立たせ、自らも跳び上がった!!

 

「ッ!?」

 

「どりゃァァァッ!!」

 

迫る一夏の回転蹴りに対し、まことは縦に一回転し、その勢いに乗せて踵落としを・・・竜胆館空手が体術、閃空カカト落とし【剣】を繰り出し、一夏の蹴りを文字通り蹴落とした!!

 

「うおぉぉっ!?」

 

「今度こそ、終いじゃあ!!」

 

床に落下し体勢を崩す一夏目掛け、まことは渾身の力を込めた手刀を振り下ろす。

打ち下ろし手刀【颪】・・・大地をも揺るがすパワーを誇るその手刀が一夏を襲う!

 

「一夏!!」

 

セコンドの弾が思わず大声を上げる。

竜巻旋風脚を防がれ、床に着地したばかりの一夏の体勢ではとても避けるのは不可能。

誰もが手刀の餌食になると確信していた。だが・・・

 

「昇龍・・・」

 

握り右拳に力を込めながら、一夏はまことを見据え、そして・・・

 

(けぇぇぇぇん)ッッ!!」

 

手刀を避ける事なく、逆に自ら跳び上がり、アッパーを繰り出した!!

 

「なっ・・・グアァァァッ!!!!」

 

左肩に手刀が食い込み、『ゴキッ』という嫌な音を立てるのも無視し、打ち上げられた一夏の右拳はまことの顎を直撃し、彼女の身体を場外まで吹き飛ばした!!

 

「あ・・・ぐ・・・」

 

手刀の勢いそのままにカウンター同然のアッパーを顎に喰らってはさしものまことも意識を保てず、場外で倒れたまま意識を失ってしまった。

 

「そ、そこまで!勝者・織斑一夏!!」

 

「へへっ、やったぜ・・・痛てて・・・!!

これ、嵌め直すの絶対痛いだろうなぁ・・・」

 

審判の勝利宣言に観客が歓声を上げる中、一夏もまた無事には済んではおらず、外れた左肩を押さえて勝利の代償を噛み締めていた。

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

「どう?箒ちゃんと烈じーさんから見て、いっくん達の強さは?」

 

試合後、会場の片隅にて、行われる表彰式を眺める3人の男女の姿があった。

まず、一人目はISの開発者にして、天災の異名を持つ若き女性科学者・篠ノ之束。

 

「ワシが見た感じ・・・お互い本気の本気を出せん試合だったから一概にゃ言えんが、あの若さであの強さは大したもんだ。

まぁ、少なくとも・・・箒、ヌシと互角にやり合えるぐれぇの実力は間違いねぇだろうな」

 

二人目は剃髪したスキンヘッドに法衣を纏った僧侶と思しき体格の良い男・・・元少林寺拳法師範の破戒僧・烈。

 

「今から4月が楽しみですよ。一夏にせよ、まことにせよ、進学先であるIS学園に強い奴が集まって戦えるんですから・・・」

 

そして最後の一人、束の妹・篠ノ之箒は笑みを浮かべてその場を後にする。

 

「どこに行くの?」

 

「無粋な真似をする連中・・・姉さん風に言うならゴミ共がいるようなので、摘み食いにもなりませんが、ちょっと掃除してきます」

 

「うわ・・・こんな所にも居たんだ。束さんの負の遺産・・・」

 

ウンザリとする束を尻目に、箒は獰猛な笑みを浮かべながら控室へと足を進めたのであった。




次回予告
大会を終え、再戦を約束し合う一夏とまこと。
そんな二人の前に現れる箒、束、烈の三人。

姉妹の口から語られる意外な縁と、烈の知る武道の高み。

三人の言葉は一夏をIS学園へと導き、一夏は来るべき戦いへ期待を膨らませ、同時に守るべき家族達のためにより強くなる事を誓う。

次回『愛する女と我が子へ』

一夏「ただいま。千冬、(しゅん)
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