インフィニット・ファイター   作:神無鴇人

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集う強者達

先の格闘大会から約3ヶ月後。

この日、世界最大のIS操縦者育成機関・IS学園では、一般生徒及び特別枠である『格闘IS』の操縦者達の生徒と教員の入学・就任手続、加えて特別枠の生徒・教員には、推薦・志願者問わず新型を持つに相応しいか測る為の実戦式の試験が第1〜第3アリーナにてそれぞれ行われていた。

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

「オラァッ!!」

 

「ガァッ!・・・う、あ・・・・・・」

 

一般生徒達が観客席で観戦するアリーナ内か困惑と驚愕に包まれる。

実力テストの一番手として出た織斑一夏だったが、試合開始早々対戦相手の教師に急接近し、顎に右フックを一撃叩き込み、それで決着だった。

顎を殴られ、脳を揺さぶられた対戦相手は白目を剥いて気絶し、アリーナの地面に倒れ伏してしまった。

 

「やべ・・・やり過ぎたか?」

 

『そこまで!勝者・織斑一夏!!』

 

 

 

「す、凄い・・・あの男子ってアレでしょ?この前の格闘大会で優勝した中学生で、織斑千冬の弟の?」

 

「ええ。・・・まさかIS学園(ココ)に入学するなんて・・・」

 

「たったパンチ一発で気絶させるって・・・絶対防御はどうしたのよ?

それに、空手部の講師に呼ばれた竜胆まことって・・・あれより凄いパンチを生身で喰らったんでしょ?それなのに五体満足って・・・」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!私、竜胆さんの試験担当なのよ!?」

 

観客のみならず、試験官を担当する教師や2〜3年生は大いに戦慄した。

 

 

 

当然ながらまことも次戦にて完勝。

先の大会のツートップの二人は早々と合格を決めた。

 

織斑一夏(マスターズ流格闘術)

 

竜胆まこと(竜胆館空手)

 

合格!

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

一夏、まことが合格し、次にアリーナに出たのはIS開発者、篠ノ之束の妹である篠ノ之箒だ。

 

『試合開始!』

 

「・・・行きます!」

 

守りを主体とした構えを取り、対戦相手と向き合う箒。

そんな箒の構えを見据え、対戦相手の3年生、桜井は内心ほくそ笑む。

 

(聞いてた通り、スタイルは少林寺拳法・・・だったらイケるわ!

少林寺拳法は護身に秀でた守主攻従の格闘技。地上戦なら厄介だけど、これはISによる空中戦闘!地上戦とは訳が違う!!

怒涛の攻めでカウンターなど許さず攻め立てれば、勝てる!!)

 

開始早々マシンガンで牽制しつつ箒の頭上を飛び越えて背後へと回り込んだ桜井は上空から日本刀型のブレードを振り下ろすが・・・

 

「ふっ!」

 

桜井の動きに合わせ、バク宙の要領で跳んだ箒は上下逆さまの体勢でブレードを受け止めてしまった。

 

「なっ!?」

 

「甘い!」

 

そのままカウンターの要領で放たれた正拳突きが桜井の胴体に打ち込まれ、彼女の身体を吹っ飛ばした!

 

「カハッ・・・く、クッ!まだよ・・・!!」

 

吹っ飛ばされながらも桜井はマシンガンを構えて反撃に移ろうと試みるが。

 

「我流・波動拳!」

 

桜井がマシンガンの引金を引くより早く箒の左手が光を放ち、気の弾丸が発射された!

 

「ふぐぁっ!!」

 

放たれた気弾は桜井の顔面を直撃し、桜井はバランスを崩して墜落。

間髪入れずに箒は桜井に接近して、桜井の腕を掴み、足で身体を押さえつけながら腕と肩の関節を締め上げた!!

 

「があぁぁぁっ!!」

 

「どうする?まだやるか?」

 

「ま、参った!降参よぉっ!!」

 

桜井が大声でギブアップを宣言した事で試合終了のブザーが鳴り、箒の勝利となった。

 

「痛みは激しいだろうが、骨折はさせてないし関節も外れる手前で留めている。

5分も経てば普通に動かせるようになる筈だ」

 

「うぅ・・・!?」

 

「守主攻従と甘く見る事なかれ、あらゆる間合い・方位に対応し、勝利を掴む。

これが私の師から学んだ拳だ」

 

静かに合掌しながら一礼し、箒は試合場を後にしたのだった。

 

 

 

篠ノ之箒(.少林寺拳法・亜流)

 

合格!

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

「流石だな、箒!」

 

「前に戦うた時より強うなっちゅーやいか

こりゃもう一回戦うたら危ないかもしれんぜよ」

 

「フフッ、まぁな」

 

出迎えた一夏とまことからの賞賛の言葉に笑顔で返し、箒は二人とそれぞれハイタッチを交わす。

 

「それより、他のアリーナの方はどうなったんだ?」

 

「さっき映像が送られてきた。向こうも束さん推薦のメンバーは殆どの試合が終わったみたいだぜ」

 

携帯端末を起動し、送られてきた映像を覗き込む3人。

そこには各国選りすぐりの戦士達の雄姿が映し出されていた。

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

第2アリーナ

 

「イッツ・ショータイム!!」

 

「ひ、ひいぃぃぃっっ!!」

 

最初に映し出されたのは濃金髪の少女。

軽やかな身のこなしも然る事ながら、その華奢な細腕からは想像もつかない膂力で相手の胸ぐらを掴んで軽々と振り回す。

 

「メキシカンタイフーン!!」

 

「グエェェッ!!」

 

そのまま勢いに乗せて相手を地面に叩きつけ、ノックアウト。

ブザーと共に自身の勝利宣言がなされると、少女はパフォーマンスが如く腕を高々と掲げて人差し指を天目掛けて突き立て、勝利ポーズを決めた。

 

「I'm No.1!!」

 

フランスの華麗なる女子プロレスラー、

シャルロット・デュノア(プロレスリング)!

 

 

 

 

 

「な、何がどうなってるの?う、腕が・・・」

 

試験官の教師は目にした光景が信じられなかった。

目の前に対峙する小柄な銀髪の少女・・・その小柄な身体故にリーチは短いと思っていた矢先、信じられないものを見た。

少女の、腕が伸びた(・・・・・)のだ。

比喩でも誇張でもなく、実際に伸びたのである。

 

「火の神、アグニよ・・・我に力を!ヨガフレイム!!」

 

そして更なる現実離れした光景。

少女の口から吹き出されるは灼熱の火炎!

 

「ギャアァァッ!!熱っつぅぅ!!ギブ!ギブアップよ!!だからこれ消してぇっ!!」

 

インドより来訪せしゲルマンの血を引くヨガファイター、

ラウラ(ヨガ)!

 

 

 

 

 

試合開始直後、試験官の顔面に打ち込まれたジャブの一撃・・・それで終わりだった。

その一撃を繰り出した薄金髪の少女は自身の拳の手応えを確かめると背を向けて出口へと歩き出す。

 

「ちょ、ちょっとアンタ!どこに行って・・・あ、あれ?」

 

追いかけようとする試験官の視界に異常が生じる。

 

(な、何コレ・・・じ、地面がこっちに向かって迫って・・・、

あ・・・違う、コレって・・・私の方が、地面、に・・・)

 

「申し訳ありません。本当はもう少し手加減するつもりでしたが、他の方々の強さを見ていたら・・・つい、抑えが効かなくなってしまいましたわ。

フフ・・・素晴らしいデュエルの予感がしますわ」

 

イギリスのエリート女性拳闘士、

セシリア・オルコット(ボクシング)!

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

第3アリーナ

 

「は、速い!速すぎて、捉えきれない!?」

 

「そろそろ決めるわよ・・・天昇脚!!」

 

屈んだ体勢で相手の懐に飛び込み、跳躍と同時に頭上目掛けて繰り出される連続回し蹴りが、容赦無く試験官の意識を刈り取った!

 

「あ・・・ガ・・・っ」

 

「どうよ?伊達に功夫やってるわけじゃないのよ!」

 

中国の拳法娘、

凰鈴音(中国拳法)!

 

 

 

 

 

「このぉっ!や、やっと捕まえたわよ!!」

 

試験官担当の二年生は機体を傷だらけにしながらも、対戦相手である少女を捕まえる事に成功してガッチリとホールドする。だが・・・

 

「自分から掴んでくれてありがとね〜♪」

 

のほほんとした表情に獰猛な笑みを浮かべながら、少女は試験官の身体を掴み返す。

それと同時に、少女の髪の毛が不自然に逆立っていく。

 

「え?な、何?」

 

「下手に触ると、ビリッとするよー!!」

 

直後に少女の全身が発光し、バチバチと音を立てて電流が走った!

 

「アガガガガガガ!!??!!」

 

全身を巨大なスタンガンをぶち込まれたかの如く、奇声を上げて気絶する試験官。

そんな姿を尻目に、少女はのほほんとした雰囲気に戻って墜落しそうになる試験官を優しく抱き止めて快活に笑う。

 

「あはは!ちょっとやり過ぎちゃったかな?」

 

ブラジル帰りの野生児、

布仏本音(野生)!

 

 

 

 

 

「う、ぐ、うげえぇぇっ・・・!!」

 

鳩尾を抑えて胃液を吐く試験官。

その様子を腕に鉤爪を着けた青い髪に眼鏡の少女は冷徹に見据えている。

 

「・・・絶対防御があると思って余裕かましてたみたいだけど、わたしの属する流派の技には無意味。

対IS用の操縦者を殺す技なんていくらでもある。

まだ続ける?・・・私達をただの隠密組織と思ったら、死ぬよ?それでも良いなら、続けるけど?」

 

「い、いえ・・・降参よ」

 

戦闘忍者集団『激』所属、

更識簪(忍術)!

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

「こりゃまた、凄い奴らを集めたねや」

 

「ああ。けど、相手にとって不足は無いぜ!

鈴まで参加してたのはびっくりしたけどな・・・」

 

束が直接スカウトした面々の強さに感嘆しつつ、闘志を燃やす一夏達。

そんな中、箒は一人首を傾げる。

 

「妙だな姉さんから聞いた話だと、スカウトしたのは私達を含めて11人だった筈だが?

残り二人・・・一人はこの学園の在校生と聞いていたが、あともう一人は『そいつは、手続の関係で順番的に最後の試合だ』・・・え!?」

 

不意に声をかけられ、振り向いた先にいたのは、現役からリタイアして久しい筈の一夏の姉にして内縁の妻でもある女性・・・織斑千冬だった。

ちなみにその背には息子の春をおんぶ紐で背負っている。

 

「千冬、さん・・・!?どうしてココに?」

 

「実は4月からこの学園で事務員兼臨時講師として、住み込みで働く事になってな。

流石に戦うのは無理としても、基礎操縦なら教えられるからな。

春も、一夏の側に居させてやりたいから『うえぇぇん!』・・・あ、スマン。オムツを替えないといかん」

 

「あぁ、俺も手伝うよ」

 

「・・・・・・」

 

泣きじゃくる春のオムツを慣れた手つきで替える千冬。

昔の彼女とはまるで違うその箒は唖然とする他無かった。

 

「お〜可愛えのお。一夏!おまん、こじゃんと可愛い甥っ子おったがか?」

 

「あ、ああ。まぁな・・・」

 

唯一事情を知らぬまことからの問いに、まさか父は自分ですとは言えぬ一夏は目を逸らしながらそう答えた。

 

「千冬さんの後輩と聞きましたが・・・強いのですか?」

 

「ああ。仮に私が現役の頃にあいつが今のスタイルを確立していたなら、間違いなく私は代表の座を奪われていただろうな」

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

そして、1時間後。

この日最後となる試合にて、その女は姿を現した。

 

「どすこーい!!」

 

緑髪に眼鏡をかけ、見る者の目を引く巨乳の女性。

その女性は気合十分な掛け声と共に高々と上げた足を、まるで邪悪なものを踏み殺すかのような勢いで振り下ろす。相撲の四股踏みである。

幼さの残る童顔の顔つきながら、その姿は威厳を放っている。

 

彼女こそ特別枠受験者最後の一人にして千冬の後輩、新任教師の山田真耶である。

 

「ISで相撲?ふざけてんの?

相撲なんてちょっと早く動けるだけのデブの格闘技でしょうが」

 

「ちょっと早く動けるだけで済むかどうか、試してみますか?身体の保証は出来ませんが」

 

試験官担当の教員、岩波は嘲笑を浮かべて真耶を挑発するが、真耶は仕切りの構えを取りながら受け流す。

 

『試合開始!』

 

開始のブザーが鳴り、岩波は即座に武装であるアサルトライフルを展開。

近づく前に仕留めようと考えていたが・・・。

 

「どすこぉい!!」

 

ライフルを構えるよりも早く真耶の突進・・・否、頭突きが岩波のどてっ腹にぶち込まれた!

 

「ぐ、げぇ・・・!?」

 

まるで大砲の砲弾のような、そのあまりの衝撃に岩波の呼吸が止まる。

しかし、胃液を吐く間も無く、真耶にがっしりと身体を掴まれる。

 

「どっせえぇぇいっ!!」

 

「グヘェッ!?」

 

そのまま真耶は岩波の内股に膝を差し込み、吊り上げるかのように持ち上げ、豪快に地面に叩き付けた!相撲における大技、櫓投げだ!

 

「あが、が・・・っ!?」

 

叩き付けられ、グロッキー状態の岩波。

そんな彼女が見上げた先には脚を振り上げた真耶の姿が・・・。

 

「ちょっ、待っ・・・!」

 

「墳っ!!」

 

言い切る前に四股踏みで踏みつけられ、岩波は成す術なく失神。

 

IS学園教師、岩波明日香・・・全治2ヶ月の怪我により通院を余儀なくされる。

ISの絶対防御が無ければ、全治半年〜1年はしただろうと、医師は予測したと言う。

 

「相撲は力のみならず。瞬発力も一流なんです。それを理解してもらえましたか?」

 

IS界の横綱、

山田真耶(相撲)!

 

 

 

かくして束推薦の闘士達がIS学園へと集まった!!

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

試験終了後、学園長室

 

「如何でしたか?更識さん・・・。

唯一在校生の中で篠ノ之束博士から格闘ISの乗り手にスカウトされたアナタの目から見て、集められた他のメンバーは?」

 

「申し分無し、ですね。

ただ、それ以上に一般生徒や教員の実力水準の低下が問題ですね。

第二回モンドグロッソ以降落ち気味ではありましたが・・・コレからの時代、IS操縦者は技術のみならず圧倒的なフィジカルも必須になってきます。

それを知らしめる為にも、一度私達がそれを示すのも一つの手と思います」

 

IS学園学園長、轡木十蔵は目の前にいる青髪の少女・・・先の受験者の一人、簪の姉である更識楯無に問いかけ、楯無はそれに毅然とした態度で答える。

 

「やはり、アナタもそう思いますか・・・。

先日アナタが提案したクラス対抗戦での模範試合(エキシビション)の追加ですが、前向きに検討しましょう」

 

「ありがとうございます」

 

「それはそうと、やけに嬉しそうですね」

 

轡木の言葉に楯無は押し殺していた笑顔・・・いや、笑顔と呼ぶには余りにも獰猛な表情で笑う。

 

「学園長、私は自分の未熟を恥じます。

学園のレベル低下を嘆くよりも、あの二人が・・・私に敗北の屈辱を刻んだ二人に雪辱を果たす機会を得られた事を悦んでいるのですから・・・!」

 

そう答え、楯無は徐に手荷物の中に入っていたおやつに用意していたリンゴを取り出し、それを空中に放り投げ・・・

 

「ハアッ!!」

 

華麗な動きでサマーソルトキックを繰り出した!

 

「織斑一夏、そして簪ちゃん・・・私に黒星という汚点を付けた借り、そしてより強くなるキッカケをくれたお礼に・・・」

 

鋭い蹴りによってリンゴは綺麗なまでに真っ二つに割れ、落下してきたそれを楯無は両手でキャッチした。

 

「ばっくりと、平らげてあげる。このリンゴみたいに、ね」

 

そう呟いて楯無は半分に割れたリンゴの片割れに齧り付いた。

 

「学園長も如何です?」

 

「・・・頂きましょう。

あと、飛び散った汁はちゃんと拭いておくように」

 

「・・・ごめんなさい」

 

IS学園次期生徒会長、

更識楯無(マーシャルアーツ)

 

兎にも角にも、若き格闘士11名が出揃った・・・!!




箒の技はMUGEN版でのスパコン実装烈の技をベースにしてます。

次回予告

集った11名の格闘士達。
それぞれ学園生活で親交を深める中で、それぞれ実力を確かめ合いつつ闘志を高めていく。

そんな折、突如として生徒会室に集められたメンバー達はある一大イベントを聞かされる。

次回『エキシビションマッチ』

一夏「早速面白い事になってきたな」

鈴音「で、誰と戦えば良いの?」

シャルロット「こーんな素敵な人達がゴロゴロいるんだから、目移りしちゃうね♪」



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