宇宙歴800年代の技術レベルになったネオ・ジャパンの常識で考えてはいけないぞ
〜side 語り部〜
『100均コンパクトぐらいでナニ騒いでんの〜?』な宿ヌシ殿は、アクリルにアルミ蒸着した安物どころか、ガラスに銀メッキした骨董品ですら存在しない、『銅板磨いて頑張って作りました♪』と小学生の自由研究に匹敵する技術レベル世界である事を理解出来ていないのである。
「何と鮮明な!」
「世にも不思議よ!?」
「まるで魂魄が吸い込まれているようじゃ。」
安物ミラーがお偉いさんの間でグルグル引きまわされている中で、ケバ女がグッと眼力込めて宿ヌシ殿を凝視する。
「商うと言っていたわね? あの鏡も取り扱っているわね。」
断定口調は困るのである!?宿ヌシ殿はノーと言えないネオ・ジャパン人なるぞ。
「えっと、あの鏡は高貴なお方には釣り合わない品です。 ふさわしい材料さえいただければ明日にでもご準備いたします。」
「陛下!私のおねだり聞いていただけますか?」
明日とかw
とんでも無い事を言い出した宿ヌシ殿の言葉に劉玄徳は青い顔、郭淮は卒倒しかけておる。
「ふむ、良いぞ・・・その方、城の蔵から必要な物を持ち出すが良い。」
あーあー、変なお墨付きを与えてしまったのである。
「期待しておるぞ」のお言葉で締め括られ、本日の謁見は終了。
会話に置いて行かれた劉玄徳は義勇軍の将ではなく、商人の夫として顔を覚えられてしまったのである。妻?誰が勘違いされているかは語らぬ。
「まずい不味いぞ。」
「せっかくの機会が・・・義弟達になんて説明しよう。」
想像の埒外の責任に胃を抑える郭淮と名乗りも出来ず項垂れている劉玄徳を連れた宿ヌシ殿はひとり楽しげで
「あーしよっかな〜、これも良いなぁ」
宮城の蔵を次々と開け放ち黄巾の如く略奪もとい物色中である。
「ルビーにアクアマリン、ダイヤモンドとおー!良さげな珊瑚ゲット! ベルベットかな?この反物と〜砂金に銀塊、銅板に〜、あ!木材はそこからここまで全部ね〜」
清々しいほど遠慮なくて宦官達は忙しい。
荷物は馬車に乗り切らず、劉玄徳も郭淮も嵩張る荷物を背負って帰宅とあいなった。
館でぐったりとした男どもの介抱は家人に任せて、宿ヌシ殿は製作に取り掛かる。
「ここはこうして〜、砕いてアクアマリンを敷き詰めて〜ルビーとダイヤはカッティングで輝かせて〜」
途中で主人に言われて覗きに来た戯志才が「この世に在らざる物を見た!」って顔で青ざめていたが宿ヌシ殿は全く気にせずオーパーツを作り続ける。
朝までぶっ通しで作業を行い、ようやく出荷・梱包に家人と共に呼ばれた劉玄徳も郭淮も「余りの事に声も出ない」と呆けていたのである。
〜fin〜