〜side 語り部〜
飛将軍の度肝を抜く見事な逃げっぷりの後に董卓軍は粛々と撤退を始めていた。
対する連合軍は総兵力を集結前の半数以下まで落とし、軍事的に壊滅していたため追撃など夢のまた夢である。
何せまともに集結前の統制を保っているのが劉備軍と戦闘に参加して来なかった曹操軍しかいないのである。
他の軍は兵こそそれなりの規模を維持していても率いる士官に一族の大半が華雄や呂布に首チョンパされていた。
そんな状況もお構い無しに曹操が熱心に追撃を主張する。
まぁ此処で叩いておかないと帝を押さえているはずの董卓に個別に討伐されて人生ジ・エンドと将来を悲観しているのであろう。
「諸将は腰抜け揃いか!? 天子様の御座す洛陽を目の前にして恥ずかしくは無いのか!?」
そっすね。でも帝は連合軍の中からしっかり状況を注視してるよw
「すまぬが我が軍は先の戦さの傷が癒えておらず・・・」
「無事な兵だけ引き連れて進めば良いのだ!」
「あいや待たれよ!無茶を言うな!そのような事をすれば戦わずに兵が逃亡し軍を保てぬ!」
「今まで戦いにも加わっていない貴公こそ腰抜けでは無いのか?」
「そうよそうよ、罪人を斬るばかりでまともな戦さの経験は無いであろう?」
「いっそ貴様が先陣をきればよいでは無いか? まぁ玉無しの宦官の孫には出来はせんかw」
「言ったな!ならばその目でしかと見よ!曹孟徳の戦いざまを見せてくれる!」
う〜ん短気w せっかく後方で美味しい思いしてたのに1番ダメなタイミングで先陣きるのですねぇ。
曹操軍5千を先陣に諸将が嫌々続く、汜水関に虎牢関と度重なる戦功を立てちゃった劉備軍はやっかみもあって最後方である。
連合軍は長蛇の列で洛陽目指して進軍している。
軍事的な常道から何処かで足止めの襲撃があるのでは?と郭奉孝は警戒を促すが・・・な〜んも無いまま遠くに煙が上がるのだけが見えていた。
「なぁ・・・すっごく嫌な予感がするのだが・・・」
劉玄徳のそんな言葉は大正解、辿り着いた洛陽の都は焼き尽くされ人影も無く瓦礫の山で見る影もない。
連合軍の諸将は大量の戦費を費やしただけで得る物無く、戦功も名声も無いことを理解するとみな膝から崩れ落ちた。
その中でブチ切れた先鋒の曹操軍は単独で更なる追撃をかけているらしいが、待てど暮らせど帰って来ない。
その他の諸将は完全にやる気を無くしてしまっている。
なんとかせねばと劉備軍は率先して救助と瓦礫の後片付けを始める。
財産を奪われた、家族を殺されて身寄りが無い、娘を妻を子供を連れ去られた。
僅かな生き残りはそんな人々ばかりで董卓軍の悪逆非道振りがかつての黄巾に重なる。
あー!あー! 宿ヌシ殿の中で董卓軍が人間枠から外れて駆除リスト入りしちゃったぞ・・・次に相見えた時を考えると吾輩wktkであるw。
そんな中で宿ヌシ殿は劉玄徳と共に帝のお供として街の惨状を確認している。
「宮殿も何もかも無くなってしまったな・・・」
「陛下、何卒気を落とさずに・・・」
帝の呟きに対して劉玄徳が励ましの言葉をかけようとするものの
「いや!全く清々しい!胸の支えが取れた様だ!思えばこの街にも宮殿にも良い思い出などひとつも無い!そうだ!漢朝など無ければ良かったんだ!」
「そうだよ!陛下、些細な事で思い詰める必要なんか無いんだよん。」
「俺は帝を辞めるぞ!MEMちょーーー!」
帝が晴れ晴れとした表情で、思いの丈をぶち撒ける。
劉玄徳は胃を押さえて卒倒し、宿ヌシ殿は元気が出て良かったと安堵の表情、吾輩としては今まで刷り込んだ滅びの美学が開花しご満悦であるw。
〜fin〜