転生先がわからない!ここはどこだ!   作:rapas

117 / 185
【MEMちょとガチムキ】

~語り部~

 

青州の州都斉国が臨菑県、政務所の中庭ではちょっとした催し物が開かれていた。

庭の東屋には立派な一枚板で出来た重厚かつ頑丈そうな木製のテーブル。

対面に自称か弱くキュートな宿ヌシ殿とガタイが良いガチムキさんが付き、州兵の鬱憤ばらしか孔文挙の無聊の慰めか、力比べの腕相撲で勝負となった。

 

絶対にまけぬぅと柔軟ストレッチに余念の無いガチムキさんと顔に「どうしてこうなった?」とデカデカ書いてありそうな宿ヌシ殿ではやる気が天と地ほどに違った。

「さぁさぁまだまだ時間があるよー、賭け率は7:3!姐さんの名誉のため俺たちゃ財布まるごと空っぽになるまで張ってるぜ!そこのあんたもどうだい青州のガチムキに賭けたって俺りゃぁ構わねぇ賭けは公平に受けるぜ! そうだ!賭け率が負けてちゃ姐さんに申し訳ねぇからもっと仲間を呼んで来い!」

「がってんでさぁ兄貴!」

ここが儲け時と欲の張った州兵(鴨)とごっそりかっぱぐ気まんまんの周倉たち護衛兵。

そんな会話を盗み聞きながら、分け前をふんだくろうと宿ヌシ殿は心に誓っていた。

 

「さて覚悟はよいか!?」

「・・・判ったよ~」

宿ヌシ殿は渋々と手を重ね、ガチムキさんはその手の細さと柔らかさに握ったら潰れね?って表情が顔に浮かんでいた。

「それでは・・・はじめい!」

孔文挙の合図とともに勝負は一瞬!

それは力と力のぶつかり合い・・・などでは無く、電光石火!合図に合わせて「ぱたん」となんの抵抗も無く腕はテーブルに着き予定調和をただこなした・・・そんな感じであっさりと宿ヌシ殿の勝利が決まったのである。

「はっ?・・・」

「やったーーー!おおもうけーーー♪」

「なにやってんだーーー!!」

ガチムキさんの間抜けな声と護衛隊の喜色満面な叫びと州兵の絶望の怒号で会場は大騒ぎである。

「まっ・・・まて!これは・・・そう!ウォーミングアップだ!あまりに細く柔らかい腕であったので加減を図っていたのだ! だから本番はこれからだ!」

あー、泣きの一回入りました。

確かに合図とともに常人の反応速度を超越した速度で決めてしまった宿ヌシ殿の大人気なさはやり過ぎとは思う・・・愉悦的にw

「ふむ・・・MEMちょ殿、済まぬが今一度お願いしても良いか?」

孔文挙が「プププ」と漏らしながら宿ヌシ殿へ再び付き合えと促す。

次はまけぬぅーーーと暑苦しガチムキさんに宿ヌシ殿はかなり引きながらおずおずと手を出した。

「よしよし・・・では、はじめい!」

「キエエーーーィ・・・」

「うわっ!うるせ」

フライング気味に全身全霊!絶叫すら上げたガチムキさんは渾身の力を宿ヌシ殿の手に注ぎ込む!

今回はちょっと受けてあげようと宿ヌシ殿の仏心に・・・耐えられなかったモノがいた。

『バキバキッ!』っと良い音たてて重厚で頑丈そうだったテーブルさんは真っ二つ「ぼくぁもう堪えられません!」とリングとしての職務放棄で廃材逝きとあいなった。

なお手は既に地面まで落ち、ガチムキさんの手の甲が地面にしっかりと触れていたのである。

二度目の賭けでも大勝ちしてフィバー状態の護衛隊が上げる歓喜の声をバックに

「今のは根性なしのテーブルが壊れたから無効だーー!今一度!今一度!勝負のやり直しを要求する!」

宿ヌシ殿は『もう私の負けでいいよう』って顔しているが周りは誰も許さない。

特に賭けで大負けした連中が負けを取り返すまで続けろとプレッシャーをかけて来るのである。

「本当に最後にしてよねー。」

仕切り直しに選ばれた会場はデッカイ庭石・・・これも割れるんじゃね?と分かってるメンバー内では別口の賭けが成立している。

「ふふふ、三度目の正直!今度はこれまでと同じでは無いぞぉ!」

「もうどうでもいいから早く終わらせてよぅ」

何処までも納得いかず暑くるしいガチムキさんと最初から帰りたいオーラ全開の宿ヌシ殿は噛み合わない。

「ほれほれ、はじめよ。」

孔文挙がいい笑顔で開始の合図を送る。

「ふんぬぅーーー!!!」

ガチムキさんは全体重を乗せて折れよ!とばかりに力を込める・・・それは武の極みのひとつ自らの出せる最高の速度で重い一撃を繰り出すための技法をたかが腕相撲に応用した・・・してしまったので、すってんコロリと・・・まぁ見事に全身で裏返り、手の甲より先に頭から地面に着地した。

いくら生産職相手とはいえLv差40、しかもゼロ vs 40ではステータスの暴力で当然の結果である。

誰の目にもさすがに勝負ありだろうとガチムキさんの反応を伺う。

「えっとね・・・そろそろ私も次の予定が推しているから、ここはあなたの勝ちって事で終わりにしたいかなぁ〜って思うの・・・」

最初に動いたのは静寂に耐えられなくなった宿ヌシ殿である。

その時!ガバっ!と起き上がり土下座し直すガチムキさん・・・と慌てたじろぐ宿ヌシ殿。

「MEMちょ殿、いえMEMちょ様!数々のご無礼誠に申し訳ございませんでした。 オレ、いや私は感服いたしました! この太史慈子義!今後心を入れ替え尽くさせていただきますゆえ何卒あなた様の下僕となる事をお許しください!」

宿ヌシ殿が「えー、いらねぇ」って答える前に孔文挙の言葉が遮る。

「その覚悟は誠に天晴れ!!この孔文挙が差し許すゆえ誠心誠意MEMちょ殿へ尽くすがよい!」

「有り難き幸せ!!」

毎度毎度のことながら宿ヌシ殿が目の前に居るのに全く無視して物事が決まっていく様は良い愉悦である。

「だ・か・らーーー勝手に決めるなーーー!」

 

〜fin〜

 




フレイバーテキスト
太史慈子義 統率86 武力93 知力67 政治58 魅力79
孔融文挙  統率30 武力5 知力72 政治76 魅力65
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。