〜side 語り部〜
これは人々へ聴き取りを行い各地の報告書をまとめて分かった事である。
陛下より征東将軍へ任じられ権限と大義名分を整えると徐州救援に即応常備軍を持って出発した劉備軍1万5千は、道中の盗賊や叛乱勢力を根こそぎ殲滅、兵を吸収しながら州都の下邳へ至る。
劉玄徳一行は陶謙に恫か・・・もとい挨拶を行うと、今後の計画をたっぷりと時間をかけて分からせた後、曹操軍を止めるために最前線へと3万に膨れ上がった軍を持って向かうのであった。
一方その頃の宿ヌシ殿は大忙し、豊かで治安も行き届いているはずだった徐州は蓋を開けて見れば曹操軍と関係なしに盗賊蔓延る世紀末、護衛隊が西へ東へ大活躍!太史子義は望んだ業務に大歓喜!宿ヌシ殿は「なんで?どうして?」と繰り返すが、まぁ青州から追い出した賊の行き先はお隣であるから至極当然ではある。
そんな徐州に根付いていたとある一族では戦乱蠢く中原に嫌気がさして荊州への引っ越し準備が行われていた。
それまでは商隊や村々を襲う匪賊程度であったが、此度の曹操軍は全く行動原理が違うらしい。
富は元より民草の血を求めて果ては殺したりぬと家畜を鶏一羽残さず殺し尽くすと言う。
「まったく父上も大袈裟だよなぁ。 そんな無駄なことを軍を使ってまでやるはずが無いじゃ無いか。 おーい、均ーー、どこだー、抜け出したのがばれる前に帰るぞーー。」
彼は一族の次男坊、背も高く伸び盛りだがまだ成人には少し早いヤンチャなお年頃。
今は忙しい大人達に相手にされず不貞腐れていた末弟を伴い屋敷どころか街の城壁を越えた外まで抜け出している最中の悪タレである。
「あにうえーーー!、まだまだ遊ぶんだぞーー〜〜!」
帰宅を促す兄を尻目により遠くより速くと何処までも駆けていく末弟・・・どうやら兄より弟の方が始末が悪いらしい。
太陽が中天を過ぎた頃疲れ果てて寝てしまった弟を背負い家路へ向かう途中で少年は異変に気が付いたと言う。
夕餉の支度にはまだ早い頃合いなのに向かう先からは煙が上がっている。
しかも黒煙である・・・嫌な予感に周囲への警戒を強め丘を登ると、街が襲われていた。
少年から街を挟んで反対より攻め寄せたのであろう、今は左右に展開し包囲を完成させようとしている。
遠くには後続の本体らしい土煙が上がっており、万に届く兵ではないかと感じさせる。
少年には急襲された街が耐え凌げると思えず、今からでは街内に至ることも街内の父母の脱出を期待することも出来ないと察していた。
「こうなると均が眠っていることが幸いだな・・・」
そう呟くと踵を返して街から一歩でも早く離れようと足を進めた。 その頬を伝い涙を渇いた地へ落としながら・・・
さて早々に両親を見捨てた薄情な少年ではあるが、さりとて自立して生活出来る訳では無い。
必然的に無事な肉親を頼ろうと考える。
当ては引越し先の下見に先行して出発した長兄だけであり後を追う事にした。
だが身に付けていた貴重品を売っても路銀にははなはだ心許なかった。
途中で愚図る弟を宥めつつ先を急ぐ、最初の宿場(亭)は情報が伝わっていたのか既に無人。
まずは明るいうちに安全な場所へと次に向かって急ぐ、
しかし幼い弟を連れての子供の足ではさしたる距離を進めない。後方から物見の兵でも来るのでは無いかとか、街道から外れて身を隠し休憩を取るべきとか、野犬や野盗の類いに出くわすとか、心は不安を掻き立てていた。
夜の帷が降りた頃にはやっと辿り着いた明りの灯る宿場にホッと息を吐いたのも束の間、宿場に居るのが物々しい軍隊だと気が付いた。
曹操軍に回り込まれていたのだろうか?篝火の灯りは弱く軍旗がはっきりとしないまるで「M」という変な記号にしか見えないのだ。
しかも軍勢は夜半だと言うのに異様な熱気に包まれているようだ。
近くのは悪手・・・しかしここを立ち去り安全な場所へ向かうにはもはや体力の限界が見えている。
少年は一縷の望みを持って軍勢の様子を伺うために近づいていった。
「ぬはははは!良い!良いぞぉ!迸る汗と熱い吐息!オレは輝いているぅぅぅ!」
「「「ハイ!隊長!」」」
「絶妙な栄養バランスと適度な負荷!これがより筋肉を育てるのである!」
「「「ハイ!隊長!」」」
「さぁ!弛まぬ鍛錬と充分な休息!MEMちょ様の教えを守りより高みを目指すのだ!」
「「「ハイール!MEMちょーーーー!!」」」
「では!皆さんご一緒に!ふんぬぅぅ!マッスル「「「マッスル!」」」はぁぁぁ!マッスル「「「マッスル!」」」ここでぇぇぇ!サイドチェストゥゥゥ!「「「サイドチェストゥゥゥ!」」」・・・・・」
曹操軍とは別の意味でやべぇモンを見た少年は関わらないことを誓いそっと宿場を去るのであるw
〜fin〜
おかしいなぁ書き始める前のMはちゃんとMEMちょだったのに・・・どうして???