〜side 語り部〜
荊州軍団の先鋒がノリノリで異常な戦いに精を出している頃、こちら徐州軍団も普通は無理じゃね?って綱渡りを行なっていた。
5年前の劉備軍でも同じだがブートキャンプで鍛え上げられた古参兵は他勢力の将軍並みに戦術理解度が高い、統率も武力も劉備軍基準で3流(ステ70前後)の奴らが小隊長クラスなのだが、ぶっちゃけ袁紹軍にはそんな奴らは10人もいない。大勢力でも両手に足りないような強者が100人を率いる小隊長として劉備軍には千人以上居たりする。
ひとつひとつの兵数は少なくとも将軍レベルが率いる部隊が1000と強力な諜報網を合わせて運用し、更に超一流(ステ90以上)の指揮統率と頭脳を合わせ保つバグキャラ達は、囲碁将棋で100手先を読むように華麗な未来予測を行なって、この時代ではありえない浸透戦、MEMちょ Operation Blitzkrieg 通称MOB戦術を可能にしていた。
「おいおい逢紀さんよぉ〜、本初様から預かった軍勢20万が今やバラバラでどいつもこいつも何処に居るかわからねぇじゃねぇか!? どうするつもりだよ!」
袁紹より濮陽の軍勢を預かっていたのは逢紀元図、 この男は何進大将軍と宦官の争いより袁紹麾下として努めて来た古参として袁紹の信頼厚く重責を任されていたものの田豊・沮授と対立し戦略と言うよりも政治権力的な知見で自身の栄達を邪魔する者を排除する。 劉備軍にとって、まっこと頼りになる敵であった。
『大軍と勇将を持って当たれば徐州など直ぐに平らげまする。』
な〜んて啖呵を切り挑んだ敵軍は神出鬼没で捕まえられず、糧道は各地で絶たれ、別働隊に追わせれば迷子になって行方不明に、街や他軍団との連絡に放った伝令も帰って来ない。
気が付けば20万だった軍勢も手元に残るは2万ほど・・・『もう帰りたい・・・帰っちゃおうかな?』が彼の本心であったが目の前の文醜には本心を伝えたら『斬るぞ、クソが!』って怒気がありありと見えていた。
「報告致します!前方に敵軍、およそ5千、張の旗と徐州刺史の旗を確認、敵軍大将と思われます。」
『あー、さいあくー(>人<;)』と逢紀は悪寒をヒシヒと感じていたのである。
今までまとまった数を見せずにこちらを引き摺り回して散り散りにして来た敵が美味しそうな数で大将旗まで見せている。 どう見ても罠ですよ? パクっといく準備出来ましたwっとしか思えない。 でも目の前の文醜は許してくれないよね?
「かっかっかぁ・・・イイねぇイイねぇ! 見え見えの罠を実力で食い破れってこったぁ 行くぜぇー全軍出撃!俺に続け!」
『ほぉらぁー、そしてまだ許可出して無い(T . T)』
こうして濮陽軍団の残存兵2万は文醜を先頭に徐州軍団へ向かい突撃して行ったのである。
そして此方は徐州軍団、小高い丘にさっと野戦築城し待ち受ける。 有名な八門遁甲をアレンジした防御陣は総大将旗が見えているのにぐ〜るぐるっと引き摺り回されるめんどくさいモノである。
暇を持て余した張益徳は諸葛光明と即興でサイコロ賭博に興じてたりした、軽く空に放ったサイコロ2つは回転し再び手のヒラ目掛けて落ちて行く。
「2・5の半!」
「3・3の・・・益徳殿、手を動かすのは反則ですよ。 5・2の半ですね。」
「ちぃったぁ、外せよ光明!面白くねぇだろ。」
訂正、賭博じゃ無くて動体視力の訓練だったようである。
回転を見切ってサイコロが頂点に達した時に着地の目を当てるとか異常にも程があるのである。
そうした暇つぶしが功をそうして、張益徳が睡魔に負ける前に文醜がようやく本陣へ辿り付く
「おぅ!やっと敵が来たか? おい!弱っちそうな雑兵にようはねぇ!さっさと文醜って奴を出しな!」
「誰が!雑兵かっ!俺が袁紹軍が誇る武の頂!文醜よ!」
「・・・影武者? 覇気も感じねぇし・・・いくら何でも弱すぎねぇか?」
「誰が影武者かぁーーー! この文醜は武人である!そのような真似は不要!」
「っあ! ・・・これは失礼仕った。 俺は燕人張飛、字は益徳、徐州刺史をやらせて貰っている。 まぁなんだ・・・勝負にもならなそうだから降伏するなら受け入れるぞ・・・弱者を痛ぶる趣味はねぇし。」
「ファっはっはっは・・・、コロス!」
怒気を纏って文醜が馬を駆る、その顔に1発入れぬと気が済まん!そんな内心が垣間見える。
その時に張益徳は左手に握っていたサイコロが邪魔だったので牽制がてら放ってみた。 張益徳のぶっとい指で弾かれたサイコロは文醜の眉間に向けて飛ぶ、打ち払うか?首を振って躱すか? まぁ相手の反応に合わせようと一手分の得を有効利用しようと張益徳は考えていた。
二人の距離は至近、馬が駆ければ僅かな時で打ち合う事になる・・・そんな中で張益徳の指弾である!その初速は秒速800メートルに達する。
普段訓練で相手している連中は余裕で躱すのだが、『そう来ると思ってました。』と手札を読み切って躱す光明とか『見てから余裕♪』と躱す貂蟬とか、慣れてはいけない訓練相手を基準にしたらダメなのである。
パン!空気を弾く音に合わせてパン!と弾ける文醜の頭、まだまだ張益徳までは距離がある。
「「「「「あっ・・・」」」」」
「えぇぇーーよっわ」
「「「妖術だぁぁぁーー あんな距離から文醜様が殺されたぁぁーーー!」」」
「えぇぇ〜 唯の指弾だぞ?」
「威力があり過ぎですね。 出来れば訓練で使って欲しく無いのですが・・・ さて貴様らの大将は死んだ!降伏なさい!断るならば張徐州刺史の妖術を味わう事になるぞ!」
「いや、俺使えねえし・・・」
こうして徐州方面は決着が着き、張益徳の遠当ての術は伝説となったのである。
〜fin〜