〜side 語り部〜
『どうしてこうなった?・・・どうして?』先日までは許都方面軍団長の高覧が熊のように室内をぐるぐる回りながら頭を抱えて呟いていた言葉は、今は別の人物が発している。
その人の名は荀彧文若、曹操から袁術に鞍替えして更に今は袁紹へと取り入っている。 『王の器に在らず!』と見限ったはずの人物に裏切ってまで再び使えるとか、コイツの審美眼はほんとーにあてにならないと思うのである。
何故こんな事になっているか?であるが、荊州軍団に対して4倍の兵を向かわせた高覧の元には陳留の袁紹から『須く大軍を率いて寿春へ出陣せよ!』とやいのやいのと催促が届いていた。
許都方面軍団には20万の兵があり、荊州軍団に8万、留守番に2万を置いて半数の10万を率いて寿春へ向かう算段であった・・・のだが、汝南から向かわせた韓当隊は壊滅して散り散りバラバラ・・・韓当の首無し遺体が帰って来たのみ。
許都から南の密林を抜けて荊州を目指した黄蓋隊も音沙汰無し、南で大規模な森林火災と袁紹兵の焼死体がいっぱい見つかったと聴こえて来るから結末は推して知るべし・・・殲滅するどころか汝南郡も許都郡も各地で敵軍が大暴れして手に負えないと助けを求める報告ばかりであった。
そこで正しく報連相が出来る切れ者だったら良かったのだが高覧くんには無理だったw
「ワシは本初様の指示に従い10万の兵を持って寿春へ向かうゆえ、お主はここを死守せよ!敵と同数の2万は預けるゆえ、稀代の知恵者と触れ込んで参ったお主なら造作もあるまい。」
必殺のマル投げが荀彧へ向けて放たれたのであった。
「8万で向かい負けた敵に2万でどうしろと言うのだ!! 袁術配下だった奴らは全く役に立たん!少しは敵を減らせ!」
自らの事は高く高く棚上げして、期待を裏切った味方を罵るのに一生懸命となり敵への対応は全く出来ていなかった。 まぁこの男は知恵者と言っても派閥政治に辣腕を振るうタイプであり、ぶっちゃけ郭図・逢紀と同タイプ!自身が王の傍で寵愛を受けていれば、その余裕で良い仕事をしたであろうが追い詰められた自勢力を救うとかには向いて無い。 さらに王の信頼信用の足りない今は以下に味方を出し抜くか?と考えちゃう!まっこと頼りに成る敵へとペンフレンドを育て上げた『ヒトの心ないんか!』さんは良い仕事をするのであるw
そんな荀彧の元に宛の張繡から援軍の申し出があった。
近頃の涼州では馬騰の傘下にモンゴルの優れた騎兵を連れた軍師が加わり遂に長安を手中に収めて董卓残党を統一したと言う。
しかし董卓の悪行噂高い地域のため復権に苦慮している。
ここは袁紹大将軍のお力に縋って中華の一員に返り咲きたく手土産に騎兵1万を持って嫡子馬超が訪ねて来たのだと言う。
「これぞ天運!私が正道に帰るための計らいですね!馬超殿を早く此方へ。」
その後、許都留守番の許可証を得た騎兵1万が更に東へと向かったらしいのである。
〜fin〜
ここまで『ヒトの心ないんか!』さんを書いてて思った。
そらこんな奴が曹操の軍師やってれば曹操が勝つな(・_・;