〜side 語り部〜
こちら冀州より侵攻した袁紹軍の本営には今日も良き絶叫が響きわたる。
「嘘ダロ! どうすんだよ!」
恒久要塞と野戦築城された防衛線により鉄壁の守りを誇る平原を攻めあぐねていた袁譚顕思の元に烏巣の補給基地が壊滅したとの悲報が届く、糧食はことごとく燃え尽き守将の淳于瓊は生死不明、烏巣のいたる所に焼死体が転がり上級指揮官もほぼ全滅したため事故であるのか?敵の攻撃であったのか?それすら判らない。
「河北の民より更なる糧食を徴収するしかありません。早くせねば前線のご当主様の軍勢が飢えてしまい負けが確定いたします。」
「烏巣には冀州兵を除く全軍の糧食があっただろ?再び徴収して70万を養う量なんて確保出来ねぇよな。」
「出来る出来ないは、論じても仕方がありません。 少しでも糧食を集め送るのです。 それが出来ねば咎は顕思様におよびましょう。」
腹心の辛評仲治と方針を詰め、袁譚は非情の決断を下す。
領内から食料を根こそぎ集めて前線へ送る、兵の食を減らす・・・つまり食べる兵が減れば凌げる。
平原戦線の敵は固く守備に徹している・・・ならちょうど良いと口減しを兼ねた全面攻勢が決定されたのである。
変わってこちらの劉備軍は要塞線を使ってやりたい放題、恒久要塞は攻撃3倍どころか5倍10倍も跳ね返し、竹筋コンクリート製の高い城壁は梯子はむろん井闌車でもまともに届かない。
鋼で補強された城門は衝車であってもこじ開けれず、嫌がらせに大型投石で岩を投げ込めば10倍返しで壊される。
こりゃ駄目だと要塞間の野戦陣を袁紹軍は奪うものの、そこから先は何処に罠があるか判らないトラップゾーン、雑兵の命を費やし漢解除で進んだ先は各陣地からのクロスファイヤーポイントとなっている殺し間であり大損害!
損害著しい部隊を下げて立て直そうとすれば隙あり!とばかりに奪い返されやり直し!と袁譚軍団はこれまでに数万の被害を出していたりする。
それでもここで一斉総攻撃!ここを逃せば最早後は無い!引かぬぅぅって意思が透けて見えた。
つまり田国譲の待ち望んだ好機到来出会った。
「きたきたきたぁー、この勢いならちっとやそっとの損害で引かねぇだろ。 全戦線にサプライズの準備を通達しろ。」
「マジで使い切るのか?少し勿体無い気がするな。」
「こう言うのはケチったら駄目なんだよ。10年使って来なかったんだ。 パァーっと行こうパァーっとw」
そして猛烈な抵抗を見せる劉備軍の各地では恒久要塞の蔵より幾重にも紙を固く固く貼り合わせたまぁるい玉や太い棒が運び出される。 尻尾のような紐がゆらゆらとプリティ〜であるな。
マルイ玉や太い棒は大きいの小さいのと色々あり投石機や筒へレールへとセットされ指示を待つ。
そんな光景を見ながら簡憲和は平原に赴任した年を思い出していた。
「お祭りをしよう! 今はみんな苦しいけどそんな現実を忘れるぐらいのサプライズをするのよ〜。 そうねぇ夜空に花とか咲かせちゃったり〜、イイと思わない?」
復興に勤しむ中で姐さんが全くの善意から人々へ披露した催しは大成功、この世の物とは思えない光景に皆がウットリとしていた・・・一部例外を除いて。
「赤青黄色と色が違うのは温度の差か?如何なる高温なのか?さらにあの広がりはどれほどの力があるのか? これが地上で開いたら如何なる?」
物騒な想像をする奴が約一名、もちろん田国譲である。
「地上で爆発?駄目よー、大玉なんて街が吹き飛ぶ威力が出るから打ち上げ方法はしっかり守って砕心の注意をするんだよ。」
「なるほど成る程、是非ともご教授いただきたいです。」
「OKね〜」
それから毎年の祭りは華やかであり平原名物となっていった。
その陰で色々と研究も進む
「火薬だけで無く鉄片や陶器のカケラを仕込むと被害がよりgoodだ!」
「筒の出来栄えを揃えて打ち上げ高さを調整したいのですが?」
「旋盤で作るといいよー」
「より遠くに飛ばすには筒を鉄製に変えねばならんか・・・資源が足りない」
「そうか!玉を打ち出すのでは無く筒ごと燃焼させながら飛ばせば良いのか!」
こうして史実より1700年ほど早く降臨した火力集中ドクトリンは、平原全線で戦場音楽を奏でるのであった。
炎と爆発の中に消えていった袁譚軍団に合掌である。
〜fin〜