〜side 語り部〜
烏巣の補給基地が燃え尽き、郭奉孝の喜声と自慢話しに前線へ進出した寿春総本営が煩わされていた頃。
捻り鉢巻きに鬼気迫る表情で地図と睨めっこしている青年がいた。
「893小隊は何処まで進出しているか? 大迂回をかけている731小隊に4番線の敵補給部隊を襲わせよ! 114小隊と514小隊でそれぞれ敵の追撃部隊を引き摺り回せ。」
多くの参謀をスケットに使いながら司馬仲達は情報の咀嚼と指示出しに集中している。
「光明に出来たのだ!私ひとりでも完遂して見せる。」
司馬仲達が行っているのはバグキャラ光明と同じMOB戦術の差配である。
光明が楽々こなしていた事を何故こんなに鬼気迫る雰囲気で行っているかと言うと、そもそもMOB戦術は諸葛光明、司馬仲達、龐士元、徐元直といった複数のチート級参謀が連携し総指揮と前線指揮を分割して実施する様に考案されていた。
だから徐元直も龐士元も各戦線で使わずに別の策を採用していたのだが、バグキャラがひとりで実施しちゃうからさぁ〜もう大変なのである。 平野が主戦場である中原ではMOB戦術は効果が高いのも確かにあるが『光明に負けん!』そんな意地の張り合いが司馬仲達にMOB戦術を選ばせていた。
優秀かつ無理をしないMOB隊長はある程度信用して判断を任せているが所詮は古代の通信技術、現場との伝達ラグは距離を縮めて補填するしか無い。 それでも距離の壁は先読みの的中率を低下させる。 司馬仲達麾下のMOB小隊で有効に動けているのは既に半数であったが
「ヨシ!よ〜し、来い来い来いこーい!」
次々に届く続報は策の完遂を示すもの、MOB小隊は狙った獲物・・・顔良をトラップの大本命、関雲長の元まで導いて行く。
劉備軍において顔良文醜の2枚看板を確実に屠る力量を持つ者は宿ヌシ殿、呂奉先、張益徳、関雲長の4名しかいない。宿ヌシ殿や飛将軍が居れば気軽にぶち当てたのであろうが二人は地の果て益州にあり、という訳でパピヨン及び参謀団は敵中の何処に居るか分からない2枚看板を必死に探していたのである。
そして徐州で見つけた文醜を張益徳が倒し、今!顔良も青龍偃月刀の錆となる!
んあーやっと終わったぁ、オイラもうグロッキーだぞぅ〜 そう言って倒れ込みたい身体と精神を奮い立てて司馬仲達は最後の締めに入る。
「画竜点睛を欠くわけには如何のだ!きっちりとやり切った光明に出来ることなんぞ大したことでは無いと示してくれる。」
こうして顔良撃破に全力を注ぐ司馬仲達には一部の区域の報告が先読みから大きく外れていた事に気がついていなかったのである。
〜fin〜