〜side 語り部〜
平原、濮陽、許都、汝南、そして寿春
袁紹軍との全ての戦線でそれぞれに敵をコテンパンに叩きのめす事に成功した劉備軍は総反撃に転じていた。
一部最初から守りじゃなくて攻めていた気がするのはご愛嬌である。
水鏡門下が頭おかしいだけである。
青州軍団に後詰めを任せ濮陽から黄河流域を川上へ昇る徐州軍団は河北と中原を分断する気でおり、逃げ場が無くなった袁紹軍を荊州軍団と揚州軍団が北上しながら殲滅を図る。
後はそんな流れ作業だと気を緩めた司馬仲達は放心しながら、ここ総本営の作戦室にてMOB戦術で茹で上がった頭脳をクールダウンさせていた。
「あ〜〜ぁ〜、もうな〜んも考えたくねぇ〜。」
やり切った司馬仲達の頭の中はただそれだけで現在開店休業中だよって感じである。
そんな様子を周囲が見守っているとヒトの心無いんかさんが鼻歌混じりに入って来る。
「ふんふふ、ふ〜んっと今日もオイラの策は順調に冴え渡ってるっすねぇ〜 仲達くんご苦労さん。 陛下、玄徳様、先ほどパピヨンより袁紹本初を仕留めたと連絡がありました。 このまま河北まで切り取り乱世を終わらせるのもありっすよ〜。」
「それは僥倖、戦乱などあるべきでは無い。」
「しかし治世は治世で問題がなぁ〜、外戚宦官腐敗とまたゾロポコポコ出て来そうだ。」
「まぁそれはそれで対策を講じるしか無いっすねぇ〜、まずはきっちりと袁家にトドメを刺しましょう。」
そう言って郭奉孝は参謀達に最新の情報を戦略盤へ記載させていく。
「うん? う〜ん? あれ〜? 仲達くん ちょいと許都から陳留、汝南、ここ総本営の一帯に居た軍勢の動きを勢力ごとに3日分ほどまとめて、大至急!」
やっと重労働から開放され知恵熱をクールダウンしていた司馬仲達へ再び過労死ヨロ!の指示を出す鬼上司はまさにヒトの心がないようであるw
「陛下、玄徳様、至急ご避難下さい! 寿春よりも下邳まで下がった方がよろしいかと存じます。 安全が確認出来ねば戦力を動かしていない平原へお急ぎを。」
「参謀ども、情報の処分を始めよ!最悪は総本営ごと焼き払うつもりでやれ!」
「ちょっとちょっと、話が見えんぞ? 何が起こっている。」
頭の回転が戻らない司馬仲達を置いて郭奉孝の簡易説明が始まる。
「最初はココ 3日前に許都から出発した騎兵千騎が高覧を追いかけている情報があります。 ただし一隊で終わっていません。 許都の監視からは3隊以上の情報が上がっています。」
「次はココ 昨日に同じ騎兵と思われる者達が高覧に合流せずにここ総本営を目指していたためMOB隊によって妨害、引き摺り回されています。 その数は5隊・・・編成も旗印も同じである事から本命を隠す囮が同じコースで総本営を目指していた危険性があります。」
そんな話の横で戦局を再整理していた司馬仲達顔が青ざめていた。
「馬鹿な・・・何故気が付かなかった。」
「結果が出たなら報告するっす!!」
「至近3里より所属不明の騎兵隊の報告が重複してありました。最悪は3隊、3千ほどが早くて半刻でここへ来ます。」
「総反撃で戦力が出払って居る総本営には防げないっすね・・・殿を率いる将も居ないと有れば仕方ないっす。 責任者として俺っちが残ります。」
そんな郭奉孝の言葉に劉玄徳は首を振る。
「済まないが奉孝に実戦指揮の機会は無いよ。 今居る者で実績も実力も囮も熟せるのはひとりしかいまい。 叔至!陛下と参謀達を連れて至急脱出したまえ。 ここは私が残る。」
「「義父上(玄徳様)!」」
回りが騒然とする中で親衛隊長の陳到叔至は副官の廖化元倹にテキパキと指示を出し皆を避難させていく。
「叔至、君も早く行きたまえ」
「私は親衛隊長ですから、居ないと囮としての格好も付かないでしょう。」
「そうか・・・では付き合え!」
「ははっ!」
こうして劉袁決戦の最終局面は動き出したのである。
〜fin〜