〜アクアマリンこと 三法師〜
「さぁ三法師、おじい様へ会いに行こうね♪」
俺の目が開き、首も座った初めての春
上流階級らしく一族や家臣へのお披露目が行われた。
そこは平地に突き出た険しい山城・・・では無く特徴的な城を見上げる広く大きな庭を伴った屋敷である。
大きな広間には軽く摘める料理と酒が膳に載せられ、厳ついオッサンどもと艶やかな衣裳を纏ったご婦人達が談笑していた。
父上の後ろにアイが続きさらに俺を抱いた侍女が最奥の上座へ向かっていく。
道中は父上へ挨拶し頭を下げる人々を観察する。 オッサンは烏帽子を被り、腰に短めな刀を佩いて、和服を重ね着しており誰も彼も大河ドラマのエキストラかとみまごう姿。 ご婦人方も同様に単色の着物を幾重にも纏っている。お
素材の光沢から絹を纏っている人も見られるが大半は良くて木綿だろうか? 俺の知識ではよくわからない繊維で出来た着物を纏っている人も見えた。 全体的に服飾技術は低い様で多色染めは見えず、布への装飾は刺繍っぽい。 時折り見れた柄物はパターンが少なく、染めた糸を織り合わせた布や紐だろう。 小物類は漆の木椀や燻んだ焼き物の湯呑みが見られる一方で白く輝く磁器陶器も絵付けの焼き物も目に付かない。
素材の高級感に対して色々と残念にチグハグなのは技術レベルの拙さと貧富の格差が大きいのだろう。
今のところナーロッパとかSF異世界って線は無さそう。 これが地球の過去なら知識チートって奴が使えるか? それならいっそ魔法とかとんでも技能が出てこない方がやり易い。
「父上、お待たせ致しました。」
父上が畏まって上座の初老のオッサンへ挨拶をしている。
つまりこの人が俺の爺さんだな。
父上と爺さんはよく似た顔立ちをしているが、なんかどこかで似顔絵でも見たことがあるような・・・デジャブ?
「であるか。 それより三法師をこちらへ寄こせ、爺のひざで宴を楽しもうぞ♪」
「はぁ・・・大殿は変わりませんねぇ」
アイが呆れたように呟き、俺は胸板も硬いじいさんのひざの上にシュート・・・いっそ大泣きしてやろうかしら?
まぁここは気に入られて損は無いし適度に愛想振り撒いておこう。
「きゃっきゃ・・・」
「おお!ワシを見て笑うておる。 よしよし爺は好きか、三法師。」
う〜ん、チョロい。
これは孫バカ甘やかし爺ちゃんの雰囲気。
「ゴホン! 父上、そろそろ皆も待ちくたびれておりますゆえ。」
「ふむ、それでは皆!こたびの主役である我が孫、三法師の初節句を祝いに遠方より集いたるは誠にご苦労、さらに今宵は常の働きの労いも兼ねて宴を催す! 京より人気の澄酒も肴もたんと用意した故、心ゆくまで楽しむが良い。」
爺ちゃんの音頭が終わると、オッサンどもが挨拶のため並ぶ、厳つい毛むくじゃらを始め酒臭い奴らばかりで乳飲み子は泣くぞ
「大殿、若殿。 この度は誠に目出度い! 三法師様はお元気で将来が楽しみでござる。お家は良き跡取りに恵まれましたな!」
「楽しんでおるか? 権六。 その方の活躍も聞き及んでおる。不識庵も居なくなり北は幾分やり易かろう、このまま坊主どもを押し込めよ・・・」
爺ちゃんたちの会話に聞き耳を立て、この時代や家の立ち位置を理解しようと情報を一生懸命集めてるんだが・・・判らん! 爺ちゃんや家臣の名前が「うふさま」や「さちゅうじょう」に「ひゅうがのかみ」、「ちくぜん」、「いぬ」、「はげねずみ」と互いに呼んでるから誰それである? もっと有名どころプリーズ!織田信長や上杉謙信に明智光秀や豊臣秀吉の名前が出てこないかしら、それと「たいじゅ」ってなんぞ? 爺ちゃんも家臣のオッサン達も忌々しそうに名前がでるのだけど・・・
とりま長い内乱が続いているようだから戦国時代かしら? 有名どころの名前が出ないってことは戦国初期か中期じゃね? であれば桶狭間の合戦から信長がのし上がるまでに知識チートで国力上げまくるのがきっと鉄板! コウメイって奴も「今度のサポートはばっちりです!」って言うのだから幼児の間は成長に全振りで良いはず! アイも父上も爺ちゃんも織田家の魔の手から俺が守れるように頑張ってみよう!
~fin~
頑張れアクア!
前回みたいに三歳児で対処しないと手遅れってならないようにね♪