〜side 語り部〜
門を超えたその先で宿ヌシ殿が見たのは賊軍の増援、馬に乗った将らしい偉丈夫がうるさく喚いている。
「何だか知らないけど、あんたが賊の頭目だね!? 迷惑被った街の人々に変わってMEMちょが説教してあげるんだよ!」
細え事はまずぶちのめしてから!敵と思わしき者は無力化してから対話しましょうって軍事教練で習った(習って無い)
と無い胸張って宣言する。
「ちょっと待て嬢ちゃん!俺らは義勇軍であって賊じゃねぇ!この街が襲われていると聞きつけて助けに来たんだぜ!」
「ウッソ!おつー、そんな汚らしくて見窄らしいのがちゃんとした軍隊な訳ないんだよ!(ネオ・ジャパン基準)素直にごめんなさいして、お縄にツケやコラ!」
そう言って宿ヌシ殿は、剣を携え偉丈夫へと走り寄る。
「アー、もう、人の言うこと聞かねぇ跳ねっ返りだな!ちいと痛くするが自業自得だぞ!」
偉丈夫は少し困った表情をしながら矛を振るう、どうやら柄による一撃で宿ヌシ殿を気絶させたいようだ。
ブンッ!と振るわれた矛は力強くかつ繊細で、手心を加えようと意思が垣間見える。
しかし現実は無情である。
「邪魔だよー」
宿ヌシ殿の細腕から振るわれた一閃は矛の柄を易々と切り飛ばした。
「なんだとぅーー!?」
偉丈夫はあまりの予想外にびっくり仰天、矛と重ねられた小娘の剣など容易く弾き飛ばすつもりだったのであろうが、武器を失ったのは自分である。
ついで宿ヌシ殿に致命的な隙も晒す。
馬の頭を踏み台にした宿ヌシ殿の綺麗なアッパーを顎に受け、偉丈夫もめでたく気絶者リストへ仲間入りである。
そして今!街の門前に正座して整列する2千余の賊軍
責任者だとばかりに偉丈夫が1番前にへ座り、
お前も道連れだとばかりに黄色の頭巾を投げ捨てて逃げようとした達磨体型の男が、ワイは義勇軍の副官です!大将に従っただけで何も知りませんって顔して正座していた。
いい一撃を顎に貰って会話も苦労している偉丈夫と澄まし顔の達磨は、「オマエなんか知らねぇぞ?」「そんなこと言わずに助けてや」と必死に無言でアイコンタクトをとっている。
そろそろ説教が2刻を超えて足の感覚も無くなり意識朦朧としてる奴も出ている。
最初は五体投地で誠意を見せてたが、「説教受けるのに、ナニ寝転んでいるんだよ!」と怒られて時間延長が確定してしまったので、全員恐怖から大人しく正座となっている。
遠巻きには近づいて良いのか?見捨てるのが正解か?と戸惑っている自称義勇軍の後続らしいのが来ているが宿ヌシ殿の気が済むまで待って貰うのである。
〜fin〜