山田リョウと左門くん   作:ssを読む程度の能力

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前回までのあらすじ!


薔薇のブロンズでデコレーションをした盾と剣を胸元に、結束バンドのボーカル担当喜多郁代を人質に左門たちを待ち構えていた男の正体。

…その正体はかつてマステマの配下へと回り左門たちと一戦を繰り広げた、雷鳴の敗北貴公子、堕天使バラキエル。

あと2話でバトルを終えるか…酒呑童子ですらバトルは3回に渡って行われてたから


左門くんはまだまだ掻き鳴らす

 

バラキエル「そこまで彼女に会いたいか。ならば、一旦彼女には起きて貰う。」

 

   パッチィィィィーーンッッッ…

 

バラキエルが人差し指と親指を重ねて軽快に弾くと辺りに圧の強烈な電流で生み出されたコーナーリングが辺りに張り巡らされて迸る。

時計に縛り付けられていた喜多郁代の瞼がクワッと見開いた。

 

虹夏「喜多ちゃん!起きたよ!私だよ!助けに来たの!」

 

リョウ「虹夏。静かにして。」シッ

 

興奮気味にまくし立てる虹夏を制して眉毛をハの字に心配そうに尋ねる山田。 

 

 

山田「いく…よ?喋れる?」

 

 

喜多郁代「……あの…バラキエル様…この人たち…どなた?」

 

あたりをキョロキョロと見回して初めて会いましたという顔で縛られながら見下ろす喜多郁代。

 

虹夏「へ?喜多ちゃん、冗談がすぎるよ!結束バンドのドラマー伊地知虹夏だよ!喜多ちゃんを助けに来たんだよ!なのに、覚えていないって…そんなのあんまりだよ!」

 

…………??

 

今、バンドメンバーに向かって何ていったよこのボーカル。

思わず面食らった虹夏は悲しげな声で必死に訴えかけるも彼女には届いていなく耳の中を隙間風が通っていったような表情で幕し返される。

 

喜多郁代「お言葉ですが、私はあなた達のような人、知りません。私は生まれてから死ぬまで一生天使バラキエル様のお膝のもとに犠牲と忠誠を共にすることを誓います。以上、あなたたち、それ以上の攻撃はなりません。下がれ。」

 

 

結束バンドの面々は言葉を詰まらせた。長時間、寒い中紐で縛られてたから精神に異常をきたしてたのだろうか。これは冗談ではなく本当にバンドメンバーのことを覚えていないようである。

 

喜多郁代「天使バラキエルさに代わりのワタシからの命令。去りなさい。」

 

 スマートフォン片手にキタキタ声を出している核弾頭陽キャ女子高生と、同じ声優とは思えない程低い低い低音が響き渡る。

 

さすが声優さん。ご苦労さまでーっす。

 

 

ぼっち「あの、改めて後藤ひとりです…助けに来ました…また…。ギターの練習してくれますよ…ね…」

 

喜多郁代「ヒィィ!ジメッとした汚らわしい生き物をなぜバラキエル様の眼前に!早くそれをバラキエル様の前から消してください!」

 

 

ジメッとした生き物!後藤一人は一万ダメージを食らった!効果は抜群だった!

 

山田リョウ「…もしかして、洗脳されている…ガチでバトル漫画らしくなってきやがった。郁代!いい加減に思い出せ!私だ!お前の生き別れたお姉さんだよ!」

 

山田はまぁ置いといて結束バンドの必死な声も聞こえない。

 

喜多郁代「バラキエル様。あの者たちを追い払いください。」

 

 

 

バラキエル 「この私が元の天使に復帰する日もあと僅か、その前に左門少年、貴様を討伐致す。命を捨てて大人しく五臓と腸を我が前に差し出せぃ!」

 

ネビロス「ウィスプよ!輪っかになれ!結界を結束バンドの三名の周りに貼っておくぞ。」

 

無数のウィスプが回転して結束バンドの周りに結界を貼り尽くす。

 

 

左門「一応ここからは動けないけど会話ならある程度できるよ。何かあったら結界をノックしてね。」

 

 

山田リョウ「なるほど、この結界は無闇矢鱈に行動できないから安全。本当に頼むよ左門くん。」

 

 

今、因縁の戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

左門とネビロスはひたすら、宙に浮かび上がった魔法陣からウィルオウィスプを連射して、バラキエルに弾丸のように打ち当てる。 

 

 下手な鉄砲も数打ちゃ当たるとはよく言うがバラキエルは人魂の弾丸を全部見きったように、ヌルヌルと全てを躱し尽くす。

 

 バラキエル「なかなかやるな。だがあれから霹靂一閃の如き速さを身に着けた私には造作もないな。」

 

両手に構えた、薔薇から雷の閃光が不規則な動きで大蛇のようにジグザクと、ネビロスの脛に直撃。

 

あの時の戦いでもよく振りまいていたな。こんなもの訓練で鍛えた足腰であっという間に避けられ…

 

 

     バァァン!!!!!

 

 

ネビロス「ウグぁぁ……!こいつ、攻撃が速いし強い!」

 

以前とは比べ物にならないスピードの様だ…脛が痺れて引き裂かれそうだ…。この堕天使、時間をかけて修行をしながら復讐の時を待っていた様だな。

 

虹夏「ネビロスさん!!」

 

結界越しに叫ぶドラマー。雨がたった今できた傷の上に追い打ちをかけるように降りかかり、痛みがどんどん増してきている!

 

 

 ネビロス「な…なかなかやる。しかし、受ける直前にもう片手で人魂をあいつに放った。だから相討ちのはず…」

 

そう、確かに彼もダメージを食らう音をしっかりとこの耳で聞いたはずだ。

 

バラキエル 「相討ちだと?ふ、ふ……ふふふ…ハァーッハッハ!相討ちかぁ?これを見てもそう言えるかな?」

 

そんなありえないことが…バラキエルの指先には時計に貼り付けられたまま肩を痛めている喜多の姿が…。

 

 

 

喜多郁代「い…痛い…バラキエル様に…攻撃をしないで…」

 

 

 

リョウ「どういうことなのクビロスさん!」

 

 

 

ネビロス「何?貴様ァ!人質に何をした!!」

 

 

バラキエル「確かに私は食らった!なので私に攻撃をかけると、彼女にもダメージが当たる呪いの保険魔呪文をついでにかけておいた。さぁ!攻撃はできない!」

 

左門「ご丁寧に説明をどうも。なんで女性を拉致ったの?」

 

 

バラキエル「フン、しれたこと。この人間は私の信者として共に昇天する運命だ。洗脳は万端だ。私を守る道具として一生働いてもらう。」

 

虹夏「はぁ!?手を出したら天使と言えども許さないよ!」

 

バラキエル「まぁ乱暴なことはしていないから青筋をたてるな。そういえば少将様とやら。以前私を打ち破った宰相はいないのか?」

 

ネビロス「宰相…あ…あのルキフグスフォカロス宰相なら、一人で人ごみの中に入ると意気込んで0.5秒で気絶。たった今担架で運ばれたから不参加だ。」

 

ぼっち(宰相さん…仲良くできそう…)

 

バラキエルは実際、赤い龍第1柱の引きこもりオタク宰相ルキフグスの一太刀により負けたことがあった。

 

しかもその敗北内容はルキフグス認定の《自分が勝ったら愛しの天使河原桜にキスをしてもらう》という条件を背負った彼に敗北をしてしまったのだ。うん確かに納得いかない。

       

       バシュッッッ

 

バラキエルは避ける左門に畳み掛けるように雷撃をぶつけ倒す。

バラキエル「貴様のような腰抜けがこの女を助けられると思ってるのか?」

 

 左門「こっちだって人助けは嫌々渋々なんだよね。本当ならそんなボーカルどうなってもいいんだけど、こっちには成功達成の報酬として、スイパラのとろける甘味の活火山を奢ってもらうんだよね。人の財布で食べるスイーツは旨いからさ、悪いけど人質返してくれない?」

 

左門の頭の中は、甘い活火山ことチョコフォンデュの事で頭が埋め尽くされているようだ。

 

それ見たことか、彼には慈悲の心も正義の心も己の信念ですら何一つ入っていない。

 

 

アガリアレプトとネビロスと左門は、以前なんかよりも比べ物にならないくらい強くなったバラキエル相手に苦戦を強いれていた。

 

      …バシュッ

 

ネビロス「ウィルオウィスプが尽く弾かれている!連射するなよ左門!」ダンッ

 

      バシュッ

 

 

 

左門「はいはいっと。」

 

  ……………………ヴァチリチリチリチリチチチ…

 

アガリアレプト「ひいぃ!雷撃だぁ!なぜか俺の方に来る雷だけ威力すげえな!」ガタブル

 

  屋上の遊具が次から次へと黒焦げになっていく。

 

左門(いったん集まれ。作戦を練るよ。)アイコンタクトパチ

 

ネビロスはアイコンタクトを返す。

 

ネビロス(いい作戦はあるのか?)パチ

 

 雷撃から逃げるアガリアレプト。

 

アガリアレプト(俺あんまり肉弾の戦闘向いてないからさぁ〜!頼むよ!左門くんだけが頼りなんだからね!)

ブルブル

 

左門はまだダメージを受けていない乗り物の陰に2人を引きずり込んだ。

 

バラキエル「…おいおい、隠れるのか?作戦でも立てるなら時間を5分だけ与えよう。まぁその間この女は豪雨で体温がどんどん下がるだろうな。」

 

不安な顔をする結束バンドメンバー。

 

虹夏(早く助けてあげてよ…)

 

山田(左門召介くん…)

 

ぼっち(………私にできることはないのかなぁ)

 

後藤ひとりはたまたま持ってきてしまったバックを探りふとあるものが手についた。

 

ぼっち「こ、これは…!」

 

左門「雷撃を放つのはあのバラを幾多にも重ねてデコレーションされた盾と剣。運の悪いことに、今は雷雲が空を覆い尽くして雨が降っている。  

それに加算して、たくさんのバラから放たれる電力を掛け合わせて造ったから、1本のバラの何倍もの雷を通すってわけか。でも、どっちも物理的に破壊すれば勝機は上がると思うんだけど。」ヒソヒソ

 

 

アガリアレプト「左門くん!ベースの女の子から連絡!!」

 

 

山田リョウ「左門くん!幾代を助けるための悪魔は使わないの!?」

 

 

左門「あぁ。もう魔法陣の用意はしているよ。ただ、雨の威力がすごいせいで溶けかかっているんだ。それにアイツのことだ。バラキエルに攻撃したら喜多郁代さんにももっとダメージを気がする。何かダメージを受けない時間稼ぎを…」

 

    ドンッドンッドンッ

 

 

???「ネビロスさん!一瞬だけ結界を外してください、!」ドンッドンッ

 

 

 

後藤ひとりが結界を激しく叩く。

 

ネビロス「駄目だ!攻撃をしてくるかもしれないんだぞ!」

 

後藤ひとり「この私の香りがついたこれを彼女にぶつけます!」

 

虹夏「ええ!?危ないって!」

 

リョウ「………どうしても…やりたいんだな。」

 

後藤ひとり「はい!」

 

リョウ「私からもお願いだ。ネビロスさん。一度だけのワンモアチャンスを!」

 

彼女がカバンの中から出したあるものをみて頭を抱えるネビロス。

 

 

ネビロス「はぁ…どいつもこいつも…仕方ない。一度だけだ。外すなよ。」

 

解除された結界から一人の少女が一歩ずつ前進して時計台に縛られた少女へと近づく。

 

 

 

ぼっち「もっとやりたいことがあったのに…!喜多ちゃんに洗脳…許せません…!」

 

手に持ったあるものを構えて〜投げました!

 

喜多郁代「…何のことです?さっさと帰ってくだ…オブォアッ⁉️く…臭ぁぁあっ!」バサッ

 

 

喜多郁代の顔面にピンク色のあるものがクリーンヒット。

 

それは後藤ひとりがいつも着ていた、湿気一〇〇%のピンクジャージだった。

 

このジャージ…なんだろう…変な臭いがするのにあったかい…?

 

常に嗅ぎ慣れた誰かの香りがする

 

急に彼女の頭にかすかな走馬灯が駆け巡る。しかしそれはすぐ霞に押しつぶされてしまう。

 

虹夏「見て!堕天使さんが…!」

 

 

その攻撃の被害を受けた者はボーカルだけではなかった

 

 

 

バラキエル「ん…う…グゲェェェェ!」

 

なんと、それまで余裕に浸っていた彼の顔が苦悶の表情へ変貌。咄嗟に手足が痙攣。剣と盾を自ら捨ててのたうち回りながら苦しみだした。

 

 

左門「まさか…喜多さんとバラキエルの痛覚感覚がリンクしているということは逆もまた然り!

後藤さんのジメッとしすぎた匂いを思い切り吸い込んでしまった事で苦しんでいるのか!天使は汚いもの、汚れたものの匂いが弱点と聞く!」

 

汚いもの扱いされてショックを受ける後藤ひとり。

 

 

ぼっち「へ…?汚れたもの…!?」

 

予想だにしなかった攻撃は時としてピンチを打ち砕く。後藤ひとりは、彼へ攻撃の隙を与えたのだ。

 

虹夏「なんかよくわからないけどナイス!」

 

山田「ぼっち…考えたな…。」

 

脳裏に一瞬駆け巡った、凄まじい量の記憶の数々。

 

惑わされかけた喜多郁代は叫び問いかけた。

 

喜多郁代「ウ…グァァ…脳裏に分からない記憶が!何故です!なぜあなたたちは先ほどから…」

 

ぼっち「そ…そんなの…の…結束バンドを支えてくれる仲間だからに決まってるじゃないですか!

また声を聞きたい!また一緒に歌いたい!また一緒に笑いたい!泣きたい!ケンカもまぁ時々はしたい!そして一緒に遊びに行きた…いです! 

だから…たがら…戻ってきてください!ボーカルの喜多郁代!」

 

 

喜多郁代「…………………!」

 

頭を漂っていた靄がゆっくりと消えていく。

 

 

今度ははっきりと思い出せる。

 

 

あぁ…ギターヒーロー…

 

 

 いつもそばにいてくれたギターヒーローの声だぁ…

 

 

 確か…これは初めて高校の物置場であった時…

 

  これは…一度逃げ出したメンバーとの誤解をヒーローさんが修復してくれたとき…

 

  これは夏休み中引きこもっていたヒーローを引っ張って鎌倉まで遊びに行ったとき…

 

 これは弱音ばかり吐く私を最後までコーチしてくれた時の…

 

        これは…

 

 

 これは…

 

 逃げ出したバンドに復帰してから、泣いて笑って喧嘩して過ごしてきたメモリーが空を流れる流星群のように彼女の脳裏に映し出されていき、瞳孔が沈んだ青から徐々に緑色を経て元のキラキラと輝く黄色に戻りかけている。

 

喜多郁代「ひ…ひとりちゃ…ん?リョウ先輩…?左門さ…ん?ネビロスさ…ん?助けに…きて…くれた…の?な…なんで…私時計に縛られているの!?」 

 

 

しれっと忘れられている虹夏。

 

 

虹夏「私もいるよ!?」

 

 洗脳が解けたことに気づいたバラキエルは彼女にもう一度呪を賭けようと両手に蒼紅のバラを構えて呪文を呟き始める。

 

 彼に隙が生じた!

 

左門は地面に落ちたパーカーを拾い上げた。

 

左門「後藤さん!このパーカー借りるよ!一か八か!いけ!バルバトス!ボディス!」

    

      パッチィン

 

乗り物の影から指パッチンをした左門の掛け声に、用意されていた魔法陣から男女の悪魔が飛び出してきた。

 

 

弓矢を構えた悪魔が左門に話しかける。

 

 

バルバトス「何だ左門か!またしょうもない要件じゃないんだろうな!」

 

左門「ボディス!剣技の特訓だ。あの堕天使と剣の撃ち合いをしてくれ!直接肉体に触れてはいけない!バルバトスはあの弓矢に後藤さんのパーカーをゆわえてっと…喜多さん!口で受け取ってくわえてくれ!」

 

暴れ牛のような角を生やした女悪魔が剣を片手に臨戦態勢を構え、バラキエルに襲いかかる。

 

 

彼女は悪魔界の剣豪、ボティス。公爵の地位に処する悪魔だ。

 

ボディス「承知いたす。」

 

 

バラキエルは刀で彼女の一太刀を受け止め頭上から一本はたき落とす。

 

 

地面に拗られるボディス。

 

ボディス「ガッ……!」

 

 

バラキエル「剣の撃ち合いか!クソ悪魔が私に勝てるか!?こちらには雷撃があるのだ!…なに!?」バチバチバチ

 

彼の周りの電力が徐々に薄まっていく。

 

アガリアレプト「………おいおい。あともう少しで雨も止むって。ありがとね。アバオシャ!」

 

 

アバオシャ「ヒヒン」(走れ走れアクマオー!豪雨も雷鳴も乗り越えて!)

 

彼のスマホから飛び出してきたのは天を駆ける小さな子馬。彼は旱魃を引き起こす程度の能力を持つ。

 

左門「後藤さん、ありがとう。もう少しだけ結界の中でゆっくりしていてくれ。」

 

 

後藤ひとりは慌ててラボラスの上に登る。

 

左門が指を弾いたことで、再び沢山のウィルオウィスプが出現してバンドメンバーたちの周りを包囲する。

 

さぁ、反撃開始だ!




次回……決着?

虹夏「(左門くんは線路の終着地を探す)長いなタイトル。」
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