女好きの鬼使いは今日もどこかで恋をする   作:親友

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皆さん、初めまして。あなたの親愛なる友達、親友です。
処女作品という事もあって、ところどころ変な所があるかもしれませんが、よろしくお願いします。


プロローグ

両面宿儺。

 

千年以上前に実在した人間でその性格は残忍にして狡猾、尊大にして凶悪。

 

弱者の殺戮と強者との闘争を好み、己の快不快のみを指針に生き、呪術全盛の時代である平安の世に当時の術師が総出で挑んで敗れたという、呪いの王。

 

死後呪物として残った二十本の指でさえ、千年間誰も消し去る事が出来ないほどの力を持っている。

 

呪術師なら誰もが知る、最凶最悪の存在。

 

だが俺は両面宿儺によって生かされてきた。

 

あの日、あの時、両面宿儺(あいつ)に俺は救われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017年5月

 

東京都内某所、廃ビル。

元はとある会社が運営していたがその会社が倒産。廃墟になった後、このビルが元々あった墓を埋め立てて建設されたという事が判明。

以来、ここは心霊スポットとして噂になり、今ではかなり有名に。あと、最近、十数人が行方不明になったらしく、そんなわけで、今最もホットな心霊スポットなんて言われてたりする。

 

そんなところに、一人の女性がいた。

 

名前を有木 多利奈。

 

今、部屋の隅で丸くなり小さく震えている彼女は、所謂心霊系と呼ばれる動画投稿者だ。

だというのに、彼女の手にはスマホもカメラも握られていない。では、アクションカムか何かを装着しているのかと聞かれれば、それもノーだ。

彼女はカメラを所持していない。

 

入ってすぐ――一部屋二部屋を覗いたばかりの時だった。通路を歩いていると、背中に誰かからの視線を感じた。今まで感じた事のない悪寒と恐怖が生じる。

 

『こドも うマれタよぉ』

 

そして振り向けば、そこに居たのは異形の化け物。

 

彼女が動画を投稿し始めたのはかなり最近で、数ヶ月ほど前から。とはいえ、彼女は心霊系動画投稿者。ちょっとした心霊現象程度ならそれほど恐怖は抱かない。それに加え、元々スポット巡りが好きという事もあり『心霊スポット』には特段慣れている。

 

だが、これは違う。本物だ。死の予感がした。

 

だからすぐさま走り出した。落としたスマホを無視して。

 

そんな彼女を化け物は下種な笑みを浮かべ、ゆっくりと追い始めた。

 

心霊スポットには本当にヤバイ所も存在するというのは聞いたことがあったが、これまでの事もあってまさか本当に出るなんて思いもしなかった。

もしかして。…いや、もしかしなくとも、行方不明の人たちはあいつに殺されたんだ。

 

「ひっ……」

 

そんなことを考えていると、通路の方から何か物音がした。

 

どくどくと心臓がうるさくなり、体の震えが大きくなっていく。

 

ここに居たら殺される。そう感じた彼女はすぐに離れようとしたが――背中にあの時と同じ悪寒が走った。

そして同時に、ひたりとした感触が足首から伝わる。さらに、背中、腕、頭の順にその感触は増えていき、恐怖する彼女の顔を上から覗き込むように、その化け物は現れる。

 

だが――

 

(あ、死ぬ)

 

それは二度目の予感がしたその時だった。

 

「おい呪霊(ゴミカス)

 

――声が聞こえた。

 

化け物―もとい、呪霊が顔を上げる。

そこに居たのは真っ黒な制服に身を包んだ一人の青年。

 

「死ね」

 

燃え盛る刀が三本、眼前へと迫る。それが呪霊が最期に見た光景だった。

 

 

 

 

 

「助けていただき、ありがとうございました」

 

ビル内の呪霊を祓い終え出てきた青年に、多利奈は少々遅い感謝を伝える。

 

「どう致しまして、貴女が無事でよかった。私の名前は岐条佚崎。宜しければ今からお茶でも――」

 

「ハイハイ、終わったなら早く帰るっスよー」

 

「いっ!?ちょ、明さん!?わ、分かった、分かりましたから離してください!!もげます!耳もげる!あっ、もしかして明さんが――すいません!嘘嘘、冗談です――ッ!!」

 

それに対し、佚崎は突然のナンパ。だが、補助監督の新田明は慣れたように対応し、佚崎を車へと連れて行った。

多利奈は唖然としながらそれを眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそぉ、可愛かったのになぁ…」

 

耳をさすりながらそう呟く佚崎に、呆れながら明は返す。

 

「ほんと懲りないっスねー、佚崎君。救助者が女性だといつもじゃないっスか」

 

「ところで明さん」

 

「なんスか?」

 

「結婚してください」

 

「しないっス」

 

即答だった。最早二桁目の問答、当然と言えば当然だが。

とはいえ、明はそれほどこのやり取りを嫌ってはいない。

自分の事を好きだといってくれるのは嬉しいし、むしろ楽しいとすら思っている。

 

だが、相手は学生かつ浮気性。OKする訳にもいかないし、OKはしたくない(場合によるけど)。

 

「今日もダメかぁ…でも、絶対あきらめませんからね!」

 

バックミラー越しに見えるそんな佚崎に、明は小さな笑みを浮かべていた。




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