紅き閃光 赤髪美少女ウマ娘ちゃんになったんだからレースもライブもセンター目掛けて駆け抜ける話 作:一般TS希望ウマ娘くんさん
──気が付くと、俺は……ウマ耳付きの美少女になっていた
そんなよくある漫画か何かの話ではなく、実際に自分がなるとは思っても居なかった。
どうやら『転生』とかいうやつなのだろう。
遠いところから前世さんが教えてくれている気がする。
ピコピコ動くウマ耳に尻尾。一瞬で人を引き付ける赤髪。
だが、身長は同学年の子とも比べても大きい部類だった。大人びた背格好の中に、タレ目なこともあって幼さを出している。
体格に嘘偽りなく、身体能力も高くて驚いた。
まだ小学生ぐらいの年齢なのに脚は速いし、力はあるし……今までの自分とは全く違って大変だ。
両親が結構自由にしていたからか、公立の小学校などは全く行かず家庭教師の人とマンツーマンレッスンだ。
いや……行けなかったのが正しい。
この身体で出せる速度が、力強さが、普通とはちょっとかけ離れていたからだ。
周りの子と比べて速ければ、正直友達もそんなに多くは増えない。
男の子だったら足が速いでモテたかも知れないが、今はそういうことも全くない。
更に赤色なんて特殊な髪色をしていることからか、異質ですぐに孤立してしまったのが正しいだろう。
何となく両親にも気付かれていたのか、無理に学校にも行かそうとせず、見守っていてくれた。
代わりにと言っては何だが、家の中では十分に学校のように過ごせていた環境だと思う。
勉強に走り方、基礎トレーニング、テーブルマナー、歌、ダンス…………前世では全く経験してないくらいの超スペシャル待遇だ。
そして勉強をしていく傍ら、自分が『ウマ娘』という種族に転生したこと、レースとライブで盛り上がる習慣があること、トレセン学園が憧れの舞台であることなど……この『ウマ娘世界』での常識を学んでいった。
ウチの家が多分他の一般家庭に比べれば……凄く立派なんだろう。あまり気にしたことも、考えたくもないけれど。
確かによく考えてみれば、家の中に家庭教師が来たり、小さ目ではあるがコースやトレーニング施設もあることを考えると、いくら走ることが中心のこの世界でもスケール感が違ってくる。それが東京の中で起こっていることだから驚きだ。
そんな思い出も、小学校低学年のことである。もうすっかり中等部まで成長したのだから、家の中であった色々な出来事を振り返るとこれからの舞台である建物が目に入ってきた。
「──日本ウマ娘トレーニングセンター学園、これから過ごしていく学校か……めっちゃ広いし」
通称トレセン学園とも言われる名物学園。ウマ娘専門の中高一貫校であり、全国に複数あるウマ娘専門校の中でも文句なしに日本一の学校であることは、今まで調べてきた中でも分かっている。
当然入学試験も難しく、学力試験、走力試験、面接試験の三つの総合評価で入学の成否が決まるのだが……ほぼ推薦枠のような形で受かってしまった。
というのも…………
「──ほら、しっかりとしなさいな? アナタの才能は私も一番体感してるんですから」
「そうは言っても、『マックイーン』は本物のお嬢様だからいいじゃんか……ウチなんかもうメジロの家に比べたら大したことないんだって」
隣にいるウマ娘、『メジロマックイーン』からの推薦を受けたからだ。
彼女はウチなんかよりも立派な家だし、お嬢様である。彼女との付き合いは小学生の頃、家庭教師と一緒にメジロ家での合同トレーニング参加が急遽決まってからの付き合いだから、それなりに長い。
その後、普通にトレセン学園を受けてみようかと今年の3月ぐらいに参考資料を取り寄せようとしたら、いきなりマックイーンから電話があって、そのままマックイーン似た長身のウマ娘に連れ去られて即試験、最後の走力試験はマックイーンと一緒に競争だ。
急にバタバタ動いて疲れ切った後に、そのまま合格通知。彼女は決して言わなかったが、半分ぐらいはメジロ家の推薦ありきな気はしていたのだ。
──見た目は美人で大人しそうなのに、動くときは激しく凄いのがマックイーンの良いところなのかもしれない。
「さて、と…………取りあえず寮は別室みたいだから。良いトレーナー見つけられると良いね?」
「それはお互い様ですわ。ここまでは一緒に来れましたけど、ライバルですからね?」
寮の説明板を読むと、私たち二人は別れることになる。
どうやらここからは先輩ウマ娘と二人一組の同室暮らしらしい。
どんな先輩に出会えるかを楽しみにしつつ、マックイーンと別れたのだ。