この素晴らしいエリス様と祝福を!   作:おふざけちゃん

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この素晴らしいエリス様と祝福を! 爆裂娘の故郷へ!! 3

 

 

 

 『第4章 この痛ましい里で休息を!』

 

 

 

 オークの縄張りの平原地帯を抜け、森の中に入った俺達は、そこで小休憩する事にした。

 

「よしよし……、怖かったんだねカズマ……大丈夫、もう大丈夫だよ、皆で守ってあげるからね…。」

 

 そんな事を言いながら頭を撫でてくれるクリス、かなりのお母さん味を感じ、心は赤ちゃんへと戻りかかっていた。

 

 ダクネスは相変わらず落ち込んでいて、めぐみんは何やらゆんゆんと話をしていた。

 

 こちらをチラチラと見てはすぐめぐみんを見返す、ゆんゆんさんは何か言いたそうだが、こちらがお礼を言いたい位だ。

 

「えーと、所で皆さん大丈夫でしたか…?かなり危険な様子でしたが………特に貞操が…。」

 

「なんですか、急に貞操だなんて……やっぱりゆんゆんはむっつりなんですね。」

 

「ち、違うわよっ!!」

 

 めぐみんの言葉にゆんゆんがすぐに否定する………なんだか、あんな感じのめぐみんは新鮮だな。

 

 俺はクリスの膝枕から顔を上げ、コーヒーが入ったマグカップを皆に配ると、皆の顔を見渡すと………。

 

「………お前ら、揃いも揃って美人だよな……。」

 

 街道沿いの森の中、俺の言葉に皆が固まった。

 

「………何だか褒められてる気がしないね…。」

 

「お、落ち着け!カズマ正気を取り戻すんだ!!」

 

「………ゆんゆんナニ照れてるんですか。」

 

「て、照れてないからっ!!」

 

ダクネスに肩を揺さぶられコーヒーを溢しながら俺はまた……

 

「お前らって、本当に美人だよな…。」

 

「おいエリス、こいつに回復魔法を早く!!」

 

「わわわカズマ!!!早く横になって!!」

 

「ちょ、ちょっとカズマさんっ!!!…、ん?今エリスって…。」

 

「……どう言い訳しましょうか…。」

 

 バタバタと騒がしい三人、そして赤くなって俯いた後、何か疑問に思っているゆんゆんさんを眺めながら、俺はしみじみとオーク達から逃れられた喜びを噛み締めていた、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___めぐみんは、学校生活時代は魔法学でも魔力量においても、常に一番の成績で……。里の人達もこぞって、天才だ天才だ……って、期待してて。そんなめぐみんが爆裂魔法しか使えない欠陥魔法使いに成り下がってただなんて知られたと思うと……。」

 

「おい欠陥魔法使い呼ばわりはよしてもらおうか、我が人生のほぼ全てを捧げている爆裂魔法の悪口はやめてもらおうか!!」

 

 休憩を終え、里へと向かう道すがら先程からゆんゆんさんが、めぐみんに何かと絡んでいた。

 

 何でもめぐみんは、里の人達には爆裂魔法しか使えない事を内緒にしているのだそうな……それで、ゆんゆんさんがボロが出ない様にと散々釘を刺しているのだが…。

 

「………言ってくれますねゆんゆん、言ってはいけない事を言いましたね…。」

 

「な、なによやる気?勝負なら受けて立つわよっ!!」

 

 ゆんゆんは警戒しながら、めぐみんから距離を取る……めぐみんは、そんなゆんゆんを一瞥すると……!!

 

「カズマ。ゆんゆんの恥ずかしい秘密を教えてあげましょう………実は我々紅魔族には、生まれた時から何処かに入れ墨が入っているのですよ。個人によっては入っている場所は違うのですが………ゆんゆんに刻まれている入れ墨の場所はなんと……!!」

 

「やめて!!ちょっとカズマさんに何を言うの!!」

 

 半泣きのゆんゆんが突っかかっていくが、それをめぐみんがヒラリとかわす。

 

 ………喧嘩する二人の大声が呼び寄せたのだろうか。

 

「___おい、こっちだ!やっぱりこっちから、人間の声が聞こえてきやがる!!」

 

 耳障りな甲高い声が、森の奥から聞こえてきた。

 

「おい二人共静かに!!どうやら嗅ぎつけられたらしい。」

 

 ダクネスが身を屈めながら、二人わ鋭く叱咤する。

 

「短気なゆんゆんが、何時までも大声を出しているからですよ!!」

 

「私よりもめぐみんの方が短気じゃない!昔から後先考えないからよっ!!」

 

「二人共いい加減にしろっ!大声を出すと見つかると言っているだろう!おいカズマ、お前もなんとか言ってやれ。」

 

 まだ喧嘩を続けるめぐみんとゆんゆんの頭を押さえ付きながら、ダクネスが茂みに隠れる。

 

 声こそは出さないが、未だ無言で取っ組み合う二人に俺は叫んだ。

 

「おいお前ら静かにしろ、ダクネスはゆんゆんさんを押さえて……クリスは敵感知を使ってくれ!めぐみんはこっち来て耳元で入れ墨の場所を詳しくっ!!」

 

「見つけた、ここだ!こんな所に人が居るぞー!!」

 

 クリスがタガーの持ちてで殴ってきた直後、早速見つかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅魔族を二匹見つけた!残りは冒険者風の人間だ!おい、こっちだ、こっちに来い!!今がチャンスだっ!!」

 

 それは一匹の鎧を着たモンスター、耳が尖り、赤黒い肌をした筋骨隆々ではなくスリムな鬼。

 

 額に一本の角を生やし、ギラつく視線をめぐみん達から離さない。

 

 その姿を見て、茂みに隠れていたクリスが徐ろに立ち上がり……!

 

「ん?あれ、なんだ下級の悪魔モドキじゃん。下級悪魔にすら昇格出来ないのになんでここに居るの?そんなに私に殺されたいの?」

 

 光を灯していない目で詰め寄られて、鬼みたいなモンスターが少しビビりながらギリッと歯を食いしばる。

 

 それを見てダクネスが無言で大剣を抜いて前に出た、鎧を着ているのを見るに、コイツは紅魔族と交戦中の魔王軍だろうか。

 

 手に短めの槍を握っていたそいつは、赤黒い顔を更にドス黒くして怒りをあらわにこちらを睨む………と、その後ろからバラバラと似たような連中が現れた。

 

 ………なんか多すぎね…?

 

「……おいそこの銀髪男、俺様の事を良くもコケにしてくれたなっ!!おいお前ら、八つ裂きにしちまえッ!!!」

 

 その鬼の後ろには、二十を超える同じ姿のモンスターが………!と、ゆんゆんが一歩前に出て……!

 

「『ライト・オブ・セイバー』ッ!!」

 

 叫ぶと同時に、手刀で斜めに空を切る……!恐ろしく早い手刀、俺でなきゃ見逃しちゃうね………ッ!!

 

 光が通り過ぎると同時、数匹の鬼が体の一部を切り落とされた。

 

「かっ、囲め囲め!!周りを囲んで一度に襲えばどうにも出来ねぇ!!」

 

 仲間の崩れ落ちる姿を見て、激昂した鬼が叫んだ。

 

 ゆんゆんを囲もうとする鬼を牽制するかの様に、ダクネスがゆんゆんと鬼達の間に立ち塞がる……クリスが攻撃を受け流しながら反撃し、ダクネスがめぐみんとゆんゆんを守る中。

 

「ゆんゆん、先程はよくもネタ魔法と言ってくれましたねっ!?そんなネタ魔法と破壊力を貴方に久々に見せつけてあげますよッ!!」

 

「えっ!?ちょ、ちょっとまってよっ!!」

 

「ヤバい!!お前ら伏せろッ!!!」

 

「『エクスプロージョン』ーッッ!!!」

 

 慌てるゆんゆんさんを無視して、めぐみんが遠巻きに見ていた魔王の手先を大量に巻き込んで爆裂魔法を炸裂させた。

 

 辺りの木々が根こそぎ吹き飛ばされ、その威力を目の当たりにした鬼が目を見張る、未だに興奮冷めやらぬクリスを押さえ付け、粉塵が現れた頃には、巨大なクレーター以外には何も残っていなかった。

 

「見ましたか、我が奥義爆裂魔法を!さぁこれでもネタ魔法と言いますか!?どうですカズマ、今の爆裂魔法は何点ですか!?」

 

「0点!」

 

「えぇっ!?」 

 

 魔力を使い果たして地面に転がるめぐみんを、俺は無理やり抱き起こしながら……。

 

「おいダクネス!クリスを抱えて走るぞ!ゆんゆんさんも着いてきてくれ!」

 

 俺が魔王軍に背を向け、皆に撤退を呼びかけ逃げようとすると、脇腹に抱えたクリスが小さく呟いた。

 

 その声に振り向くと、遠くに見えるのは必死の形相でこちらに向かって来る新手の魔王の手先だった。

 

 それらが皆、武器を構えるのではなく、その場に武器を投げ捨てながらこちらに向かって駆けて来ていた………!?何事だと思ったその時。

 

 ___突如として、何もない空間から黒いローブを着た四人の集団が現れた。

 

 持っている武器や服装もマチマチだが一つだけ、その連中に共通して言える事があった………それは、彼らの瞳が紅い事。

 

「肉片も残らずに消え去るがいい、我が心の深淵より生まれる、闇の炎によって!」

 

「もうダメだ、我慢が出来ない!この俺の破壊衝動を鎮めるために贄となれっ!!」

 

「さぁ、永久に眠るが良い…!我が氷の腕に抱かれて……!!」

 

「お逝きなさい…貴方達の事は忘れはしないわ。そう、永遠に刻まれるの……、この私の魂の中に……!」

 

 それは、魔法の詠唱………なのではなく、きっとそれぞれの決め台詞か何かだったのだろう。

 

 彼らは魔法で身体能力を強化しているのだろうか、あっという間に魔王の手先き追い付くと……。

 

「「「「『『『『ライト・オブ・セイバー』』』』ーーッッ!!」」」」

 

 次々と叫ぶと同時、彼らの手刀が輝いた。

 

 その輝く手刀が魔王の手先に向かって、次々と振るわれる。

 

 ………その場には、ズッタズタにされた魔王の手先の残骸があるだけとなっていた。

 

 凄い………これが紅魔族か、しかし、こんな紅魔族を追い詰める魔王軍とは一体、…?

 

 ……と、一人の紅魔族が俺達に視線を向けた、先程魔王軍の手先に肉片も残らず消え去るがいいとか言ってた奴らだ。

 

「遠く轟く爆発音に、魔王軍遊撃部隊隊員と共にこんな所まで来てみれば………めぐみんとゆんゆんじゃないか、なんでこんな所にいるんだい?」

 

 そんな普通の口調で気さくに話しかけてきた。

 

 めぐみんがそれを受け、俺な背中から降りると。

 

「靴屋のせがれのブッコロリーじゃないですか、お久しぶりです。里へのピンチだと聞いて駆けつけてきたのですよ。」

 

 めぐみんの言葉に、『ピンチ?』と首を傾げるブッコロリーさん。

 

 ………ん?

 

 と、そんな中他の紅魔族も、こちらを興味津々といった感じで眺めている。

 

「ところでめぐみん、こちらの人達は君の冒険仲間かい?」

 

 と、そんな事を尋ねてきた。

 

 それに少しだけ嬉しそうにはにかみながら、めぐみんがコクリと頷く。

 

 それを見て、ブッコロリーがいたく真剣な表情をうかべ、ローブをバサッと翻し。

 

「我が名はブッコロリーっ!!紅魔族の靴屋のせがれ、アークウィザードにして…上級魔法を操る者………!!」

 

 突然そんな自己紹介を始めるブッコロリー。

 

「おぉこれはどうも丁寧に、我が名はカズマっ!!数多のスキルを自由自在に扱い、魔王軍幹部と渡り合った者……、どうぞよろしく。」

 

「「「「おぉぉぉおーっ!」」」」

 

 突然、紅魔族の人達がそんな驚きの声を上げた。

 

「素晴らしい、実に素晴らしいよ!普通の人は俺達の名乗りを聞くと微妙な反応をするものなんだけど……まさか外の人がそんな反応を返してくれるとは!!」

 

 ブッコロリーの言葉に、他の紅魔族がウンウンと頷き。

 

「めぐみん……素晴らしい仲間を持ったねッ!!ここからだと里までまだ距離がある、さぁ案内するよ外の人。テレポートで送ってあげよう!」

 

 ブッコロリーはそう言うと、テレポートの魔法を唱えた。

 

 いきなりのテレポートに視界内がグニャリと曲がり、立ちくらみと共に辺りの景色が一変する。

 

 そこはのどかという言葉が似合いそうな小さな集落………呆然と里を眺める俺達に、ブッコロリーさんが笑顔を見した。

 

「紅魔の里へようこそ外の人達、めぐみんとゆんゆんも良く帰ってきたね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、俺達は哨戒任務に戻るから」

 

 ブッコロリーさんは、そう言って俺達から距離を取る。

 

 そして他の三人と寄り集まると何かを唱え……!

 

「それでは!」

 

 そのまま小さく魔法を唱えると、ブッコロリーさん達は忽然と姿を消した。

 

 すっげぇカッコいい魔法使いみたいだったな………テレポートでまた戦場へと戻っていったのか!!

 

「なんか………あの人達格好いいな!」

 

「そうですか、それを聞いてきっとその辺で四人も喜んでますよ。」

 

 めぐみんが、少し呆れながらそんな事を……その辺で喜んでいる?

 

「光を屈折させる魔法で消えたんですよ。テレポートの魔法は魔力を大量に消費します、戦闘の後に日に何度もテレポートなんて使ったら魔力は殆ど残りません、格好良く立ち去る為の演出だと……あいたっ!?」

 

 突如、先程まで彼らがいた所から小石が飛びそれが、言いかけていたゆんゆんの頭にコツと当たった、余計な事を言うなとばかりに………そこにいるのか…。

 

「因みに、光の屈折魔法は術者の指定した人や物の、数メートル内に結界を張りその結界内を周囲から見えなくする魔法です………なので、近くに寄れば見えますよ。」

 

 めぐみんが何気なく言ったその言葉に、クリスが無言で踏み出した。

 

「………ッ!?」

 

 息を飲む様な音と共に、何かをがズザッと後ずさる。

 

 突如、クリスがそちらに向かって走り出すと同時に、複数の足跡がどたどたと去っていった。

 

 クリスがニヤニヤとしながら去っていった方をじっと見ていた………あいつはドSなのだろうか。

 

 取り敢えず、あの手紙の内容を聞く為、ゆんゆんさんとは別れめぐみんの家へと案内してもらう事にした。

 

「ねぇ、あの人達足早いね……私結構足の速さに自身あったのに。」

 

 先程の事を思い出してか、少しニヤニヤしながらこちらに問いかけるクリス。

 

 確かに、クリスの足は結構速かったはずだ…もし小学校にこんな子が居れば確実にモテていただろう。

 

 ……それに、あの人達はきっと紅魔の里のエリート達なのだろう、そう思っていた俺の憧れじみた幻想を、めぐみんがあっさりと破った。

 

「肉体強化魔法でドーピングでもしたんでしょう、日頃ニートしている集団に、そこまで体力があるとは思えません。」

 

 ニート集団だったのか………何かシンパシーを感じるな。

 

 ……でも、そんなニートの集団ですらあんなに高スペックなのか?一気に遠く離れた存在に思えてきたな。

 

 そんな事を考えて居ると、めぐみんが足を止めた。

 

 ………何と言うか、失礼ながら一般家庭よりも貧乏そうな家だ。

 

 魔力が少ないせいで少しだるいのか、めぐみんは疲れが滲んだ表情で玄関のドアをノックする。

 

 やがて、家の中からドタドタと駆けてくる音が聞こえてきた。

 

 玄関のドアがそっと開けられ………中から、めぐみんに良く似た小学校低学年ほどの女の子が現れた。

 

「ほう、めぐみんの妹か?随分と可愛らしい子だな。」

 

 ダクネスが少し笑顔になる。

 

「なんかちっちゃいめぐみんが現れたみたいだね、ねぇ妹ちゃん、飴ちゃん食べる?」

 

 クリスがどこからともなく飴を出す中……。

 

「こめっこ、ただいま帰りましたよ。良い子にしていましたか?」

 

 杖にしがみ付きながら、その子に優しい声で話しかける。

 

 こめっこ……先程のブッコロリーさんと言い、やはり紅魔族の名前は個性豊かだな。

 

 ………と、こめっこがめぐみんを見た後、俺に目を向けると、驚いた様に目を見開き息を大きく吸い込むと。

 

「おとうさーん!!姉ちゃんが、男ひっかけて帰ってきたーーッ!!!」

 

 ちょっと待てお嬢ちゃん!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほーら見ててね?このタガーをこうやると………ほら!ロボットになった!」

 

「すごいすごい!!どうやって?ねぇどうやってやるの?銀髪のお兄さん、どうやってるの!?」

 

「姉ちゃんだよー。」

 

 めぐみん宅の居間において、クリスが見たこともないナイフを既視感あるロボットへと変更させ、それをこめっこが食い入るように見、ダクネスが希少物を見るかのような目でみていた。

 

 凄いなあのタガー、一体何処で売ってたんだ。

 

 俺が目を奪われ、そちらに注意を取られていると………。

 

「あー……、ゴホンッ!!」

 

 眼の前の人物が、わざとらしく咳払いをした。

 

 おっといけない!

 

 居間に敷かれた絨毯の上に、何となく雰囲気に呑まれて正座している俺の前には、厳しい顔でジッと俺を見るめぐみんの親父さん。

 

 凄い黒髪で、日本人かと思ったがそんな訳ないだろう………ここ最近、普通の髪色を見てこなかったからな。

 

「……家の娘が日頃から世話になっているそうだね、それについては心から感謝する。」

 

 言いながら、ひょいざぶろーさんはペコリと軽く頭を下げた。

 

 そして、その隣には何処となくめぐみんの面影がある、黒く艷やかな長い髪の、若干口元や目元に小じわのある綺麗な女性。

 

「本当に家の娘が大変お世話に……娘から手紙で、良くカズマさんの事が書かれていまして……、貴方の事はよく存じておりますよ……?」

 

 めぐみんの母親、ゆいゆいさんも深々と頭を下げた……どうしよう。

 

 俺は本来なら、一番この場を収めてくれなきゃいけない奴に、チラリと視線を送る。

 

 この部屋の隅には布団が敷かれ、そこには先程の爆裂魔法のせいで魔力を使い果たしためぐみんが深く眠っている。

 

「………で。キミは家の娘とどのような関係なんだね?」

 

 俺は三度目となる同じ質問を投げかけた。

 

「何度もいいますが、俺はただの友人で仲間です。」

 

 それを聞いたひょいざぶろーさんは、もう堪えきれないとばかりにクリス達が遊んでいたちゃぶ台の前に移動し、手をかけた。

 

「なあぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!!」

 

「やめてぇええええええ!!ちゃぶ台をひっくり返して壊すのはもう止めて下さい!今月は特にお金がないのよ!?」

 

 紅魔族と言うのは、本当に個性豊かな人達で面白い。

 

  _____ひょいざぶろーさんが、奥さんの淹れてくれたお茶をすすり息を吐く。

 

「失礼、取り乱した。いや、キミが白々しくもただほ友人だなどと抜かすものだからね…。」

 

 ………何故そこまで認めないのだろうか、俺は話題を逸らそうと、アルカンレティアで買ってきた饅頭の詰め合わせを渡した。

 

「あのこれ、つまらないものですが……。」

 

 と、差し出した饅頭の箱をひょいざぶろーさんと奥さんが同時に掴んだ。

 

「母さん、これはカズマさんがワシにくれたものだろう?」

 

「あらあらやだわあなたったら、これは今日の晩御飯にするんですよ?」

 

 奥さんがそんな笑えない冗談を言い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 _____奥さんが淹れてくれたお茶をすすっていると、俺の持ってきた饅頭を両手に一つずつ持ち、それをせっせとリスみたいに頬張るこめっこ。

 

 そんな可愛らしい風景を見ていると、やがて奥さんがお茶をすする俺にやんわりと笑みを見せながら。

 

「そう言えば、カズマさんは何時家の娘と籍を入れるんですか?色々と準備したいので早めに教えてくれると助かるのですが…。」

 

「………だから、なんでそんな話になるんですか……俺とめぐみんは唯の友人ですよ。」

 

 すると、奥さんが首を傾げると……。

 

「なぜって、娘から送られてくる手紙を読むと、余程親しい間柄としか思えなかったので……。」

 

「……因みにその手紙には何書いてあったのか、聞いてもよろしいでしょうか…?」

 

 俺が聞くと、ひょいざぶろーさんと奥さんが、二人して顔を見合わせた。

 

「例えば……何時もデートしたり、落ち込んでる時に励ましてくれたり、魔力を使いはたしたとなるやすぐ安全な場所に避難させる為に我先にと動いたり、ソファーで無防備に昼寝をしているとチラチラとスカートの中身を見るか悩んでいたり、下着を放ったらかしにしていると、恥ずかしながらも手に取り片付けてあげたり……と、そんな良くある付き合いたてのカップルな間柄で……。」

 

 ………あいつあの時起きてたのか…?危ない、あの時はクリスのせいでサキュバスの店に行けなかったからな……理性が勝ってくれて本当に良かった。

 

 しかしこれはまずい、さっさと謝らないと……!

 

 俺はそこまで聞いて、ご両親に土下座した。

 

 そんな俺に、ひょいざぶろーさんが後を引き継ぎ、

 

「そんなちょっとスケベな所もあるけど、自分を必要としてくれて、自分を救ってくれた恩人だから、私はあの人に着いていく……なんて言うから、きっとナニかあるのだと思っていたが…。」

 

 そんな嬉しい事を言ってくれる反面、途中のソファーに関しては少し心の中に閉まってくれた方が良かった。

 

 俺は思わず眠っているめぐみんを見る。

 

 それまで深い眠りをしていためぐみんは、俺に目を向け寝返る。

 

 ………こいつ、起きてるな。

 

「他にもまだまだありますが……貴方の仲間の事が沢山書かれていて、かなり楽しそうな事も伺えましたよ。」

 

「………だがまぁ、カズマさんがそこまで否定するのなら違うのだろう、今日はもう遅いから泊まっていきなさい、母さん、料理の準備を。」

 

 そう言って、俺達はめぐみん宅へと泊まる事になったのだった……。

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