この素晴らしいエリス様と祝福を!   作:おふざけちゃん

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この素晴らしいエリス様と祝福を!六花の王女様!! 4

 

 

 

 「第四章 このイケメン義賊とお宝を!」

 

 

 

「久しぶりだなお前等、元気にしてたか?」

 

 あの後、ダクネスの後ろに居たクリスとめぐみんに抑えられ、俺は逃げるのを諦めていた。

 

「あぁ元気にしてたさ……どうやら、和真は私達よりも元気にしていたみたいだが。」

 

 ビックリするぐらいに真顔のダクネスと、呆れ顔のクリスとめぐみん。

 

「全く……帰って来ないから心配して来たものの、どうやら杞憂だった様だな。めぐみんなど、夜も眠れずに心配していたというのに…。」

 

「べ、別にそこまで心配していませんよ!?」

 

 慌てふためくめぐみんを尻目に、先程から部屋を見渡してキョロキョロしているクリスに声を掛ける。

 

「どうした?そんなに物珍しいのか?」

 

「ん?いやぁ、やっぱり貴族が済む所は凄いなって。」

 

 そう言って、またキョロキョロと周りを見渡し始めるクリス。

 

 ………そうか、もう一週間くらいここに居たから違和感なかったが、普通に考えると高価な物ばかりだしな。

 

「ほらさっさと立て和真、帰るぞ。」

 

 ま、そうだよな。

 

 ずっとここでアイリスの相手してる訳にはいかないしな、お別れの挨拶にでも行くか。

 

「ちょっと待て、アイリスに別れの挨拶してくるから。」

 

「お前王女様を呼び捨て………はぁ、まぁ良い。めぐみん、クリス、アイリス様の所へ行くぞ。」

 

 俺は立ち上がると、窓を眺めていたクリスに向かって___

 

「おいクリス、さっきから何してんだ?」

 

「ひゃっ!?き、急に耳元で囁かないでよ……。」

 

「クリスが反応しないのが悪いんだろ。ほれ、さっさと行くぞ。」 

 

 クリスを引っ張りダクネスに着いていこうとするが、未だ窓を眺めるクリスを引き摺る。

 

 全く、その窓にどんな魅力があるのやら。

 

 アイリスの部屋の前まで行くと、コンコンとノックし話しかける。

 

「アイリス様、入っても宜しいでしょうか?」

 

「………」

 

 ん?

 

 あぁそう言えば、今の時間はまだ授業中だったか。

 

「おいダクネス、そういやアイリスは今授業中だったの思い出したわ。」

 

「なんだと?なら最初から言ってくれ。」

 

「でもどうしますか?流石に授業を邪魔する気にはなれないのですが。」

 

「んー、あ!ねぇねぇ。あれ見ていこうよ!」

 

 そう言ってクリスが指を指したのは、白スーツ率いる騎士団の訓練風景。

 

 確かに、何かしら参考になるかもしれないしな。

 

「そうだな、ダクネスもあれを見て剣の魅力に気付くかもな。」

 

「フンッ!私には防御以外不要だ。」

 

 皆でワイワイ話して向かっている途中に、やっぱり道行く窓をチラチラ見ているクリスに視線がいく。

 

 もしかして、クリスは窓に対して何か深い関係があるのだろうか?

 

 まさか運と窓は一心同体とか……?そんな訳ないか。

 

 そうこうしている内に訓練所に着くと、丁度休憩している時間だった。

 

「ん?これはダスティネス卿、とそのお仲間。お久しぶりですね。」

 

「久しぶりですクレア殿、実は和真殿の迎えに来たのでな、その挨拶のついでに訓練の風景でも見ようかと。」

 

「そうですか、まぁ和真がずっとここに居る訳にもいきませんしね。」

 

「………」

 

 俺が騎士団の連中を見ていると、急にダクネスが此方ににじり寄ってきた。

 

 すると、耳元でボソボソと___

 

「おい和真、あのクレア殿がお前を呼び捨てするなど…一体何をした?」

 

「何をしたって、ただ一緒にボードゲームしてだけだよ。」

 

「…本当か…?」

 

「本当だよ。」

 

 すると、またクレアの方へ戻るダクネス。

 

 何だか後ろから冷たい目で見てくるめぐみんとクリス、おいおい一体俺が何をしたっていうんだ。

 

「………何だよお前ら。」

 

「いやぁ?べっつに〜?」

 

「えぇ、別に何もありませんよ?」

 

 そう言って、また俺を見てくるめぐみんとクリス。

 

 本当になんだっていうんだ……。

 

「さぁお前達、訓練再開だ!」

 

 二人の視線に悩んでいると、休憩時間が終わったのか白スーツが声を荒げる。

 

 すると直ぐ様立ち上がり自分の持ち場らしき場所へと戻っていく騎士団。

 

 ………凄いな、これ程連携がとれた連中は日本の軍隊を見たのが最後だ。

 

「良し!二人一組を作り、模擬戦を行え!」

 

 そう命令すると、何故か白スーツが俺の方へと寄ってくる。

 

 何だか嫌な予感がする。

 

「和真、どうせなら私と一戦やってみないか?」

 

 少し真剣で、尚且つ楽しみにしている表情で聞いてくる。

 

「別にもう疑っている訳ではないのだが、一度くらい手合わせしてみたくてな。」

 

 成る程、まぁ確かに剣士としての興味もあるか。

 

 ___が、

 

「別にそれは良いんだが、俺自身あまり剣術は得意じゃないぞ?」

 

「なら、バフ魔法を少し付与すれば良い、多少はましになるだろう。」

 

 まぁそれなら良いかな。

 

 二人で少し離れた場所へ行くと、俺は器用になるバフ魔法を掛ける。

 

「ん?それだけで良いのか?」

 

「あぁ魔法を使い過ぎてずるいと言われても嫌だしな。」

 

 すると、少し心外だと思っている顔をしたが、一瞬で真面目な表情に戻る。

 

 ふぅ…ここ最近はずっと休んでたからな、急に身体を動かして言う事を聞いてくれるかどうか……。

 

「良し、ダスティネス卿。スタートの合図を頼む。」

 

「ねぇめぐみん、これってどっちが勝つと思う?」

 

「そうですね……普通の剣術ではクレアでしょうが、まぁ潔く和真が負けるとも思えませんし…。」

 

 クリスとめぐみんがどっちが勝つか予想しているが、どうせなら俺が勝つって即答してほしかったな。

 

 てかこれ禁止事項とかあるのか?

 

 聞いてないから、まぁその時はその時だ。

 

「良し、行くぞ二人共?___よーい………ドン!!」

 

 ダクネスの掛け声と共に、此方に飛び掛かる白スーツを見る。

 

 一度白スーツの剣を受け止めて……なんて考えていたのは良いものの、これは集中しないとすぐ弾かれるな。

 

 白スーツの剣を受け止めていると、あちらには余裕があるのか不敵な笑みを浮かべる。

 

「どうした和真?まさかその程度とは言わないよな?」

 

 ………言ってくれるじゃねーか白スーツが。

 

「おい白スーツ、これって何か禁止事項はあるか?」

 

「いや?特にない、相手が気絶するか投了するまで続く。」

 

 成る程……なら。

 

 俺は白スーツの腹を蹴り上げると、白スーツが驚いた表情で俺を睨む。

 

 その隙に白スーツの剣を弾き飛ばし、顔の真横に剣を刺す。

 

「……どうした?まさか女だからって手加減してもらえるとでも思ってたのか?」

 

 俺もニヤニヤとすると、これまでに見た事のない怖い顔をすると___

 

 ………なんだ?このヒュッとする感覚は?

 

 恐る恐るその感覚のした下半身をチラリと見る。

 

 白スーツの膝が俺のエクスカリバーに思いっ切りめり込んでいた。

 

 と同時に、俺は意識が飛ぶ___。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!!………知らない天井だ。」

 

「ん?起きたのか。」

 

 俺は上半身を起こすと、辺りを見渡す。

 

 ここは……医務室か?

 

 何故こんな所に居るんだ、俺は記憶の飛ぶ前を思い出す。

 

 するとそこには、してやったりの顔で俺の息子を潰す白スーツ。

 

 そして俺の横で俺を見ている白スーツ。

 

「お、おお前何してくれてるんだ!?」

 

「何って……うら若き乙女にお前はナニ言わせようとしてるんだ…。」

 

 そう言うとクスリと笑う白スーツ、多分こいつはナチュラルサイコパスだ。

 

 ちゃんと付いてるか布団を捲って確認する………良かった、まだある。

 

「……あれ?今何時だ?」

 

「ん?あぁ今は丁度夕食辺りだろう、一緒に行くか。」

 

 呼んでいた本を閉じると、ほれと言って手を差し伸べる。

 

 俺は白スーツに引っ張られ立ち上がり、未だに違和感がある下半身を無視し歩き始める。

 

「………」

 

「………」

 

 何だか色んな意味で気まずい雰囲気の中、肩を並べ食堂に向う。

 

「…和真は、随分と独特な剣の使い方をするんだな。」

 

 気まずい雰囲気を取り除きたいのか、そんな事を聞いてくる。

 

「あぁ、それは俺が元居た国の剣道ってのを参考にしてるんだ。」

 

「ケンドウ…?これまた聞いた事のない形だな。」

 

 別にやっていた訳と言う事ではないが、俺が知っている剣が剣道だっただけだ。

 

「まぁ負けちゃったからな、剣道をやっていた人達に顔が上がらないよ。」

 

「フッ、まぁ私は強いからな…そう安々と負ける訳にはいかないからな。」

 

 ドヤ顔でこちらを見てくる白スーツに少し腹が立つ……が、まぁ負けた俺が何と言おうがそれは負け犬の遠吠え、何も言わないさ。

 

「ほら、着いたぞ。アイリス様が待っている。」

 

 俺は食堂の扉に手を掛け、少し深呼吸をして扉を開ける。

 

「あ!お兄ちゃん!!」

 

「「「お兄ちゃん!?!?!?」」」

 

 あ、こらアイリスここでそんな事言ったら___

 

「おい和真どう言う事だ!?お前まさか本当に王女様を妹にしたのか!!」

 

「カ、和真嘘ですよね…?あの発言は冗談ですよね…?」

 

「和真……まさかもうやらかしてたとは…。」

 

 ダクネスにガクガクと揺さぶられ、めぐみんはワナワナと震え、クリスは何故か全てを察した表情をしていた。

 

「おいこらどう言う事だ、別に、アイリスの方から呼んで良いかと聞かれただけだ。俺は悪くない。」

 

 そう弁明をすると、疑いの目で俺を見るクリス、わなわなと震えているめぐみん、絶望した顔で膝をついているダクネス……なんて奇妙な光景だ。

 

「さて、そろそろ食事に時間にしよう。」

 

 そう白スーツの掛け声と共に、ここでの最後の食事が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今は、皆で食事をしている最中。

 

 ここで言う皆と言うのは、俺達のptとアイリス達だけではなく、大規模で開かれた貴族も居る皆だ。

 

 なので、先程のアイリスの発言を不審に思った貴族らが俺をチラチラと見てくる。

 

 ………何だよ、なんか文句あるなら直接来い。

 

 そんな事を考えていると、クリスが骨付き肉を齧りながらこちらに寄ってくる。

 

「ふぃふぁふぃふりられ。」

 

「飲み込んでから喋れ。」

 

 口に残っていた肉を飲み込むと、壁にもたれ掛かってまた口を開く。

 

「久しぶりだね、和真。」

 

「そうだな。」

 

 ここ一週間、こいつらに何も手紙など送らずに城生活を満喫していた………少しくらい罪悪感が沸く。

 

 すると、こちらににじり寄って来たクリス。

 

「………和真は、女神様よりも、王女様を優先するんだ?」

 

 なんて事を言うんだこの性悪女。

 

 俺がギョッとした目でクリスを見ると、してやったりの顔で笑っているクリスと目が合う。

 

「…悪かったな、別にお前等を放っとくつもりは無かったんだ。」

 

 そう言うと、クリスはふるふると首を横に振り、またこちらににじり寄る。

 

「それは分かってる…けどさ。」

 

 クリスは肩をピタリとくっつけると___

 

「少し………ほんの少しだけ、寂しかったな…なんて。」

 

 ………どうやら、思ったよりも心配させてしまっていた様だな。

 

 まぁそりゃそうか、急に王女様に拉致られたと思ったら、一週間連絡が付かない仲間が居たら、心配しない方がおかしい。

 

 少しすると、クリスは俺から離れ振り返る。

 

「さて!辛気臭いのはここで終わり、ささ、ダクネスが何だか面白そうな事になってるよ!!」

 

 そう言って、ニコリと笑いながら俺の手を引っ張るクリス。

 

 ………やっぱり、俺達はこういう雰囲気の方があってるな。

 

 俺とクリスは、ダクネスの方へと歩き始める。

 

 さて、ダクネスが貴族の連中に取り囲まれている。

 

「皆様お上手ですこと。パーティーには不慣れな身なもので、どうかお手柔らかにお願いしますね?」

 

 誰だお前はとツッコミたくなる様な、穏やかな女性を装うダクネスは、頬の辺りがピクピクしていた。

 

 結構いっぱいいっぱいらしい………しかし、あいつはモテるなぁ。

 

「………なぁクリス、あれ、ちょっかい掛けに行かないか?」

 

「そうだね……なんでダクネスはあんなにモテるんだろ。」

 

 少し悔しそうなクリスと一緒に、ダクネスに近付く。

 

「おぉこんな所に居たのかララティーナ。おっ!モテモテじゃないかララティーナ、今日は特にドレスが似合ってるじゃないかララティーナ?」

 

「そうだよララティーナ、何時もこんな可愛いドレスを着たいって言ってたもんねララティーナ、でも何しても可愛いよララティーナ!!」

 

 ふらふらと近付いてきた俺達に突然ララティーナと連呼され、ダクネスは含んでいたワインを吹き出した。

 

「ゲハッ!ゴホ、し、失礼!」

 

 周りの貴族達が俺とクリスにギョッとした目を向ける中、むせて涙目になったダクネスをニヤニヤとしながら二人で見る。

 

「いきなりどうされたのですか?冒険者仲間の和真殿とクリス殿?このような場で名前を連呼されるのは困りますわ。相変わらず悪戯が好きですね。」

 

 外面の良い微笑みを堪えたまま、冒険者仲間という部分をやけに強調しながら言ってきた。

 

 ダクネスの言葉を聞いて、貴族達の雰囲気が和らいだものになる。

 

「はは、いきなりダスティネス様を下の名で呼ぶもので驚きましたよ。いやはややんごとのなき関係かと誤解する所でした。」

 

「ええ本当に。……そう言えば、ダスティネス様は婚約者はお決まりですか?もしお決まりでないのなら……。」

 

「いや、ここはずっと見合いの申し出をしてきたわたくしにどうか…!」

 

 再びダクネスを口説きに入った貴族達は、お互いを牽制しながらその場を離れるようとはしなかった。

 

 よほど自身があるのか、こいつらグイグイくるなぁ。

 

 ここはもう一発、爆弾でもぶち込むか?そうクリスと目配せすると、クリスも頷いたその時だった。

 

「___ここ近年、次々と多大なる功績を挙げているダスティネス卿には、もっと相応しいお相手がいるだろう。」

 

 そんな事を言いながら、突然割って入ってきたのは、見た事もないまるで王様みたいな男だった。

 

「あ、貴方様は!?」

 

 さっき、ダクネスを口説いていた貴族達が全員恐れおいている………なんだ?この男に何かあるのか?

 

 に、しても何故皆で続きを聞かない、ダクネスに見合う男が気になる。

 

「…それで、ダクネスに見合う男って言うのは?」

 

「貴殿は……、あぁダスティネス卿に見合う男など、一人に決まっている、以前から最前線で戦っている、ジャティス王子だ。」

 

 ジャティス……?あぁ確かアイリスの本物のお兄ちゃんだっけ。

 

「た、確かに……」

 

「お互い、これ以上にないお相手で……」

 

 それを聞いた貴族達が、渋々といった形で引き下がろうとする中。

 

 ダクネスが何か言おうとした、その時___

 

「おい、それじゃあ俺との爛れた関係はどうなるんだ。」

 

「「「!?」」」

 

 俺が発した言葉に、その男以外全員がギョッとする。

 

「おぉ、お前はまた、い、いきなり何を…!?い、いえ、またどんな悪戯を思いついたのですか和真様!!」

 

 言いながら、ダクネスがにこやかに肩をつかんでくる。

 

「いや普通に考えろ、毎日屋根の下で暮らす……密室に男女二人っきり、ナニモ起きない筈もなく……!」

 

「和真様、悪戯も度が過ぎますと、大変な事態になりますわ!!」

 

 なりふり構わず組み付いてきたダクネスに、俺は真っ向から手四つの体制で掴み合う。

 

「おおっと、良いのかララティーナ!?貴族のお偉方が居並ぶ面前で、お前の怪力を発揮しても!自分で邪魔しといてなんだが、お前貰い手が居ないんだあああああああああああああ!?」

 

「あらあら和真様、相変わらず演技がお上手ですこと!!」

 

「冗談が過ぎましたダスティネス様ー!」

 

 そんな茶番を繰り広げていると、突然に我に返ったダクネスが俺の頭を掴んで男の前で土下座する。

 

「し、失礼しました国王!!」

 

 ………え?国王?こいつが?……え?

 

「…良い。貴殿のその様な様子初めてみた、面白い物を観せてもらった……やはり、アイリスが認めるだけある。」

 

 え?つまりアイリスのお父様?……ん?不味いな、ここに来て俺はとんでもない、過ちを犯してしまったらしい。

 

 拝啓お父様お母様、先に逝く不幸な息子をお許し下さい………あぁもう一回逝ってた。

 

 そんなどうでも良い事を考えていると、国王はどっかに行ってしまった。

 

 俺とダクネスは起き上がると、ダクネスは俺の肩を掴み___

 

「頼むから………本当にやめてくれ……。」

 

 そう泣きながら言うダクネスに、俺は又土下座した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ___悪気はちょっとしか無かったのだ。

 

 と言うか、なんかモテてるダクネスにイラッとし、邪魔したくなったんだ。

 

 ほら、親しい女友達に彼氏出来たら嫌だろ?別に恋愛的に好きって訳じゃないのに。

 

 一応名目上では俺のお別れ会…といった事だったのだが、ダクネスが目立ってるお陰で俺は放置されていた。

 

 まぁ、貴族の兄ちゃん達にチヤホヤされても嬉しくないしね………めぐみんも、何時のまにか逃げ出していたクリスも、貴族の姉ちゃん達に囲まれて、どんな石鹸を使ってるのかとか、シャンプーはなんだとか…。

 

 まぁ見てくれは良いからな、めぐみんに関しては中身が少しだけ特殊なだけだ。

 

 ………まぁ、単刀直入に言うと、少し寂しいな。

 

「___こんな所でどうなさったんですか?」

 

 会場の隅っこで、皆がチヤホヤされる様子を見ながら、壁にもたれ掛かっているとアイリスが声を掛けてくれた。

 

「おぉアイリス、実はな、こういうパーティー自体初めてでな……声を掛けてくれるだけでも嬉しいんだ、流石出来た妹だよアイリスは。」

 

「そ、そんな……」

 

 俺が褒めると、アイリスはボソボソと呟き、頬を赤らめて俯いた。

 

 ……今日は随分と大人しいな。

 

 最近は、俺に喰いかかってきたり色々言ってきた物なのだが……。

 

「…明日から、このお城もお静かになりますね。城内で鬼ごっこをしてクレアを怒らせたり、何故かクレアも一緒に授業を妨害してレインを困らせたりする誰かさんが帰ってしまいますから。」

 

 アイリスが、壁にもたれ掛かってそんな事を呟いた。

 

「あの二人も、この一週間で多分仲良く出来たと思うよ………レインさんは良く分からないけど、クレアとは仲良くさせてもらったよ。」

 

 と、壁にもたれたまま俺の方をチラリと見たアイリスが、切なそうに微笑んだ。

 

 ………やめてくれよアイリス、俺はこんなにチョロい男じゃなかった筈だ。

 

「アイリスも、出会った時とは見違えたな。」

 

「あ、アレは少々事情があって…!」

 

 アワアワとしながら弁解するアイリスを見て、笑いがこみ上げる。

 

「な、何が面白いんですか!」

 

「いやぁ?やっぱりアイリスはそっちの方が良いなって。」

 

 アイリスが恥ずかしそうに俯き、手で顔をおう。

 

「まぁ……なんだ、結構楽しかったよ。ここに来て、良かったと思えたよ。」

 

「そうですか……なら良かったです。」

 

 ………たった一週間で、良くこれだけ懐かれたもんだ。

 

 これだけ自分を出せる様になれば、俺が居なくても前よりも楽しい日々がおくれるだろう。

 

 そろそろ時間だ。

 

 食事の時間も終わり、俺は自分の部屋に戻りふかふかベッドを噛みしめる。

 

 ………こいつともお別れか。

 

 結局スカートの中を除けなかったメアリーとも、セバスチャンともお別れか…。

 

 俺は布団に潜ると、目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部屋の窓の外を見ると、そいつは事もなげに二階の窓枠から縁に立っていた。

 

 月明かりの下、そこにいたのは銀色の髪の盗賊娘。

 

 俺は眠い目を擦りながら、何故クリスが変装して俺の部屋へと、それも窓から来たのか考える。

 

 俺が窓を開けてやると、クリスはするりと部屋に入って来る。

 

「…何してんだ?クリス。」

 

 そう言うと、キョロキョロと辺りを見渡すと、話し始める。

 

「良し、えーと和真。少し長くなるけど聞いてくれる?」

 

「短めで頼む。」

 

「………」

 

 

 

【原作のエリス様の説明をクリスが説明した感じなのでカット】

 

 

 

「…って、事なの。」

 

 …えーとつまる所なんだ?アイリスがつけているネックレスは、他人と君の◯はが出来る神器、それを回収するから手伝え……と。

 

「……まぁ別に良いけど、流石に危険だから、何か報酬でもくれるのか?」

 

「んー?強いていうなら、私からの称賛?」

 

「お休み。」

 

「わーッ!!ちょ、ちょっと待って!!」

 

 クリスがゆさゆさと横に転んで寝る俺を揺らす……が、残念だが俺は寝さしてもらう。

 

 報酬と難易度が釣り合って無さすぎる、流石に手伝えない。

 

「そ、そうだ!私が出来る事なら一つだけ、何でもやってあげるから!!」

 

 ……ん?

 

「今、なんでもって…?」

 

「え?ま、まぁ出来る事なら。」

 

「よーし!やる気出て来た!」

 

「ねぇちょっと何させるつもり!?出来る事だけだよ!!」

 

 クリスが何か言ってる気がするが………まぁ気の所為だろう。

 

 それに、何だかんだ危険な神器だしな、しないとは思うがもし悪用されようなもんなら、大変な事になる。

 

 クリスが諭すのを諦めたのか、ため息を付くと何か思いついたのか。

 

「ねぇ。キミって、王女様の遊び相手係なんだよね?」

 

 月の光を背景に、再び窓際に立ったクリスが笑う。

 

「今から王女様の所へ遊びに行かない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜の闇に包まれた王都の中で、俺とクリスは作戦を考える。

 

「……ねぇ、それって何?ちょっと格好良いね。」

 

 口元を黒い布てみ覆ったクリスが、俺がバニルから貰った仮面を見て言ってくる。

 

「これか?これはアクセルに居る怪しげな店員から貰ったんだ。」

 

 万が一見つかった時に備え、俺は正体を隠す為に着けていた。

 

「へー?それ私も一つ欲しいな、また今度お店教えてよ。」

 

「ん?まぁ、な。」

 

 まぁもう会った事もあるけどな。

 

「良し、それじゃ良い案も特になかったし、まぁ流れに任して行ってみよう!」

 

 そうあっけらかんと言うクリス………まぁ幸運の女神様だしね、何とかなる気もする。

 

 ___広い城内を進んでいくと、やがて最上階へ続く階段に出た。

 

 これを登るとアイリスの部屋がある。

 

 そちらの方へと向かおうとすると、クリスがクイクイと袖を引いてきた。

 

「ねぇ、出来ればこの城の宝物庫にいっておきたいんだ、二つ神器が流れたって言ったでしょ?もしかしたら、もう一つあるかも知れないから。」

 

「ん、分かった。しかし結界はどうする?罠はなんとかなるが。」

 

 宝物庫の入口には、俺ですら視認出来る強力な結界が張られていた。

 

 これを解けるのだろうか?

 

 と、クリスが懐から何かの魔道具をとりだした。

 

「じゃじゃん!こちら、結界殺しです。」

 

「そんなもん、何処で手に入れたんだよ。」

 

「ほら、紅魔の里で魔王軍幹部シルビア居たでしょ?あいつが持ってたのをこっそり……ね?」

 

 流石盗賊、盗賊の鏡だ。

 

 俺はライターを取り出すと、辺りを窺い火を付けた。

 

「おっとそこらかしこに罠があるね。お宝を動かすと、警報がなるみたい、目的の神器以外は触れないでいこうか。」

 

 クリスの言葉に頷くと、俺達はそれらしい物がないか探す。

 

 ま、何がなんだか分からないから、ただキョロキョロしてるだけだが……と、そんな事を考えていると懐かしい物を見つけた。

 

「どうやらここには無いみたいだね。………和真?」

 

「これは……漫画じゃないか。」

 

 そこには、日本こら持ち込まれたのか漫画雑誌が置いてあった。

 

 クリスは、懐かしい物を見る俺の表情に何か思う事があったのか、物欲しそうに漫画を眺める俺を見守っていた。

 

「その……。これを持っていこうとすると……。」

 

「大丈夫だ。それにもう見た事あるやつだしな、懐かしいと思っただけだよ。」

 

「………そうだ!神器の封印か、魔王討伐でも終わったら、一緒に日本の本を集めようよ!だから……」

 

 クリスがしんみりしながら何かを言う中、俺はエロ同人を見つけたので迷わずゲットした。

 

「和真ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___あっちだ、侵入者はあっちに逃げたぞ!」

 

「侵入者は二人だ!目的が分からんが、これ以上先に行かせるな!」

 

 兵士達の罵声が飛び交う中、俺とクリスは必死になって駆けていた。

 

「クソ、なんて恐ろしいトラップだ!この俺が引っ掛かるなんて……!」

 

「和真!後で色々と話があるよ!キミってばフリーダム過ぎるよ!」

 

「おい!本名はやめろ!それに今は喧嘩してる場合じゃない、ここを切り抜ける方法を考えないと…!!」

 

「それはそうなんだけど、キミが言うなよぉ!!」

 

 宝物庫の警報で目を覚ましたのか、城内の部屋に明かりが灯る。

 

「『クリエイト・ウォーター』!そして、『フリーズ』!」

 

 俺達は廊下を駆け抜け、ながらあちこちに氷を張る。

 

 やがて後方からは罵声と悲鳴が聞こえてきた。

 

「カズ……やるね!助手君!」

 

「誰が助手だ!それよりも、クリ………お頭も何か手伝ってくれ!」

 

 併走しながら呑気な事を言うクリスは、俺の言葉を聞き。

 

「お頭か………良いね!よーし!お頭の実力を見せてあげるよ!!」

 

 そう宣言すると同時に、クルリと後ろを振り向くと、ポケットから何かを取り出し。

 

「『ワイヤートラップ』!」

 

 クリスが叫ぶと同時に、金属製の細いワイヤーを投げる。

 

 投げれられた幾本ものワイヤーは、廊下の壁に触れると同時に鉄条網の様にピンと張った。

 

「時間稼ぎ程度だけど、これで十分逃げられるよ!さて……この騒ぎじゃもう無理だね、今夜は引き揚げるとしよう!」

 

 クリスはそう言いながら腰の後ろからダガーを抜くと、窓を割って逃げる気なのか、辺りをキョロキョロと見渡していた。

 

 ………が、俺はその手を上から覆い被せる。

 

「いや、今日中だ………今日中に何とかするぞ!」

 

「えぇ!?そ、そう言われても………てか、和真ってばそんなに頑張るタイプだっけ!?」

 

「本名はやめて下さい、助手でしょ?今は。」

 

 しかし、クリスの言葉はごもっともだ。

 

 何故に俺はこんなにも必死になっているのだろう。

 

 俺は熱血キャラでもなければ、選ばれた勇者でもない………でも、何故かアイリスの顔が頭から離れない。

 

 俺が適当に吹いたホラを信じて、自信満々に他の家臣達に話して回り、大恥を書いたと泣きながら怒鳴りこんできたアイリス。

 

 大人向けのちょっとエッチな話しを興味津々に聞くアイリス。

 

 ………あまりまともな事してないな、俺。

 

 そんな俺をお兄ちゃんと呼んでくれるアイリス。

 

 そんなアイリスの身に危険が直ぐ側にあるんだぞ?俺。

 

 兄貴が可愛い妹の為にすることなど決まっている___

 

「カ、助手君!やっぱりここは引き揚げよう!皆でアクセルに帰っても、必ず私が何とかするから___!」

 

「…お頭、俺……。」

 

 今までは、流されたり巻き込まれたりな俺だったけれど。

 

 今度からとは言わず。

 

 明日からとも言わず。

 

 異世界行ったら、なんて言わず!!

 

「たった今から本気出すわ」

 

「………助手、君?」

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