この素晴らしいエリス様と祝福を!   作:おふざけちゃん

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この素晴らしいエリス様と祝福を!六花の王女様!! 5

 

 

 

 「第五章 この本気の男に幸運を!」

 

 

 

「ワイヤーが切断できました!賊は……あそこに居ます!」

 

 道を阻んでいたワイヤーが撤去され、俺達と兵士達を隔てる物がなくなった。

 

 抜き身の剣をぶら下げた、隊長格の男が俺達の前に立ち塞がる。

 

 ___今夜の俺はどうしたのだろう。

 

 本気を出すという覚悟を決めたからだろうか?

 

 何故か今夜の俺は絶好調だ。

 

「おい賊共、今投降すれば痛い目に遭わなくて済むぞ?場合によっては、命も助かるかもしれん。さぁ…大人しくッ!?」

 

 何か喋っていた目の前の男の顔を思いっ切り殴る。

 

「き、貴様ッ!!」

 

「『スティール』!」

 

 男の剣を奪うと、もう片方の手で顔を掴みドレインタッチを使う。

 

 最初は藻掻いていた男も、直ぐ様動かなくたった。

 

「「「なっ!?」」」

 

 その場に居合わせたクリスと俺以外の全ての者が、その光景を見て声を上げる。

 

 崩れ落ちた隊長の姿に、他の兵士達が後退る。

 

 それを見た俺は、何だか面白く感じてきた。

 

「フハハハハ!絶好調!絶好調!!今夜は俺の本気を見せてやるよッ!?」

 

「じょ、助手君!?さっきから様子が変だよ!何だか悪魔臭いよぉ!!」

 

 俺は兵士達に襲いかかった___!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お頭!最上階への階段はそこの角を右です!」

 

「う、うん分かった。それよりも助手君?何だか何時もと雰囲気が……。」

 

 クリスと併走していると、先程と同じく背後から罵声が飛んでくる。

 

 だが、さっきと少し違うのは……。

 

「賊だぁっ!凄腕の賊が侵入中だ!腕利きの冒険者を呼び集めろ!」

 

 漲りまくっている俺に、兵士達が異様に怯えている事。

 

 おおっと!前方に敵発見!

 

 俺は前方で剣を構え、腰が引けている兵士に向けて……!

 

「『ウィンド・ブレスッ!』」

 

「ぐぁっ!?畜生、小賢しい真似しやがって、……っああああああああ!?」

 

 手の中に握り込んだサラサラの土を、風の魔法で吹き散らす。

 

 視力の奪われた兵士の首を掴むと、思いっ切り蹴り上げドレインする。

 

 と、そうこうしている内に俺達は……。

 

「あぁっ!?不味いぞ、最上階に行かせるな!」

 

 アイリスがいる、最上階へ続く階段を駆け上ると。

 

「『ワイヤートラップ』!」

 

 クリスが階段の入り口に、ワイヤーを張りまくる。

 

「よし、これで暫くは誰も通れないね!さぁ、あとは………!」

 

 と、クリスがホッと息を吐いたその時。

 

「___後は君達を捕らえ、侵入した目的を聞き出すだけだね。……君達は何者だ?」

 

 背後から掛けられた声に振り向くと、そこには完全武装の御剣が。

 

 そして………。

 

「自分達で退路を断つとはな。侵入者共め、もはや逃げられないと思え!」

 

 そう宣言してくるのは、険しい顔をしたクレアとレイン。

 

 更には遠巻きに此方を見守る貴族と共に、多数の騎士がそこにいた。

 

「………どうしよう助手君、この数を相手にするのは流石に無理があるよ…?」

 

 上擦った声でクリスが囁く。

 

 ザッと見渡した感じ、この場にレイン以外の魔法使いはいない様だ。

 

 御剣を先頭にしながら、クレアが勝ち誇った顔で此方を見ていた。

 

 他の貴族達も、既に決着が付いたと思っているのか、この捕り物劇を楽しげに見物している。

 

「よし、お頭。こういうのは一番強い奴を無力化させてビビらんすです。絶好調の俺が、今更あのイケメンに負ける訳ないんで……まぁ後は周りが怯んだ所を突っ切りましょう。」

 

「き、聞こえてるよ君…。それにしても、随分と舐められたものだね?良いだろう、僕の本気を……!」

 

 御剣が何か言う前に、俺は魔剣に手を向ける。

 

「その仕草はスティールかな?残念だが、ある一件以来対策はしているんだ……さぁ、大人しく投降するなら…。」

 

「何も学んでねーな。『フリーズ』」

 

 御剣の言葉に被せ、俺は凍結魔法を発動させる。

 

 居合い抜きを放とうとしていた御剣は、ツバと鞘の部分を凍結され、抜けなくなった魔剣に驚愕していた。

 

 俺はその一瞬の隙に御剣の鼻と口を片手で掴み……!

 

「『クリエイト・ウォーター』!」

 

「ッ!?」

 

 口内に無理矢理水を生成され、溺れそうになった御剣が、俺の手を慌てて掴む。

 

 そんな御剣を驚愕の表情で呆けていたクレアとレインに手を向け、剣と杖をスティールで奪う。

 

「「しまッ!?」」

 

「さて、負けを認めて引き下がるか?」

 

 俺の呼び掛けに、口を閉じて喘いでいた御剣は、歯を食い縛りながら拳を握り……!

 

「『フリーズ』」

 

「カッ!?」

 

 その拳が俺に届く前に、鼻と口内を凍結させられビクンと震えた。

 

「御剣殿ッ!?」

 

 クレアが悲鳴を上げる中、俺から解放された御剣が喉を押さえて膝をつく。

 

 そんな御剣の様子を見て、騎士達が動揺し後ずさった。

 

「今直ぐ急いで解凍しないと窒息するかもね!?あーあお前らが舐めプしてるから御剣やられちゃった!!良しお頭!今の内に行きましょう!!」

 

「………助手君、助手君はずっと私の味方だよね…?」

 

 何だか少し怯えた様子で俺を見るクリス、何を言ってるんだ当たり前だろう。

 

 俺は少し申し訳なく思いつつも、レインの杖を叩き折り、クレアの剣をそこら辺に投げ捨てるとクリスと走りだす。

 

「この先にはアイリス様がいる!このまま行かせるくらいなら、二人共殺して構わん!レインは多少手荒で良いから御剣殿の解凍を!!」

 

 クレアがそこら辺にいた騎士の剣を奪い取ると、俺達へと斬り掛かってきた。

 

 あの模擬戦の時とは違い、かなり焦った表情で剣先が荒い。

 

「助手君!後ろから何かくるよ!」

 

 クリスの警告を受け後ろを見ると、御剣の治療を終えたらしいレインが折れた杖の先を向け、魔法の詠唱を行っていた。

 

「お頭、背中は任しましたよ!」

 

「ん!まっかせてよ!!」

 

 俺は背中から弓を取り出し、杖の先目掛け矢を放つ。

 

「『狙撃』!」

 

「ひっ!?」

 

 杖の先端を砕かれたレインが、小さな悲鳴を上げ動かなくなる。

 

 クリスの方へ振り返ると、丁度剣を弾き飛ばして蹴りをお見舞いしている所だった。

 

「クッ!あやつらは本当に何者なのだ!何故あれ程の手練れが盗賊など…!」

 

 クレアは悔しそうに呻きを上げ、逃走する俺達を見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___この先がアイリスの部屋だ。お頭、ここにワイヤートラップを頼む。」

 

「了解。そろそろ魔力がキツイから、一度だけね。」

 

 アイリスの部屋へと続く廊下に出た俺達は、後続の騎士を防ぐためのトラップを張る。

 

 逃走スキルをフルに使い、結構な距離を稼いだおかげで、追ってくる連中とはまだ距離がある。

 

 俺達はアイリスの部屋の前へと立つと、ドアを開けた………。

 

「良くここまで辿り着いたな侵入者よ…。国を守り、そして王族を守るのがダスティネス一族の使命…!この私がいるからには……!」

 

 俺達はそっとドアを閉めた。

 

「閉めるな!貴様らは、一体なんのためにここへ……!?」

 

 ダクネスがバンとドアを開け、俺達を見て動きを止める。

 

 ………あ、ヤベ。

 

 目があっちゃった。

 

「おお、お頭!俺はお頭の頼みだからと仕方がなくこの手伝いをしているだけであって、実はやりたくないこの俺とお頭には、この国を守るためにやる事が!」

 

「なッ!?そっちこそ!最初は渋ってた癖に、何でもやるって言ったら乗り気だった助手君!!と、言うか最後ら辺は助手君の方が乗り気だったよね!?」

 

「あ!テメェ女神の癖に信者を犠牲に売りやがったな!?」

 

「何を人聞きの悪い事を!!」

 

 言い争う俺達に、ダクネスは思いっ切り顔が引き攣っているが、大丈夫。

 

 ダクネスは心気高い騎士だから、全てを察してくれる筈!!

 

「と、取り敢えず助手君!部屋の中に突入するよ!後で一緒に謝ろう!?ね!?」

 

「そうですね!なに、事情を話せばクリ……じゃなくて、親方一人の犠牲で済む筈です!」

 

「この後に及んで裏切るのかい!?」

 

「お、おい………!お前達は……!?」

 

「ダクネス、どうしたのですか?戦闘の前の口上は必須だと、あれ程言ったじゃないですか。」

 

 ダクネスが立ち塞がっているせいで見えないが、部屋の中にはめぐみんまで居るらしい。

 

「どいてください!賊の一人や二人、この私が捕まえてあげます!魔法など無くとも…喧嘩には自信があります………か………ら………?」

 

 と、部屋に押し入った俺達を見て、杖を振り回していためぐみんと動きを止めた。

 

 大丈夫だ、まだ大丈夫!

 

 めぐみんは頭が良い、だからきっと分かってくれる筈!!

 

「か、格好良い……!」

 

 ………えっ。

 

 俺の顔を真っ直ぐに見つめためぐみんは、頬を赤くして震えている。

 

「どうしましょうダクネス!あの盗賊、良く分かっています!!」

 

 ………コイツは本当にバレていない様だ。

 

 目を輝かせためぐみんにゆさゆさ揺さぶられ、ダクネスがハッと我に返る。

 

「お、おのれ賊め……。その…ここから先にはこのダスティネス一族が……。」

 

 わざとらしい棒読みで、ダクネスが力無く身構えた。

 

 どうやら此方の意図を理解し、俺達に協力してくれる様だ。

 

 ダクネスは握った拳を震わせて、何かを必死に耐えている。

 

「えーと……、『バインド』ッ!」

 

 俺がダクネスに向けスキルを放つと、ロープに巻き付かれたダクネスが、安心ちょっとした様に息を吐く。

 

 良し、これでダクネスは言い訳が出来た。

 

 と、その時。俺達の後ろから罵声が響く。

 

「早くワイヤーを切れ!賊はアイリス様を狙っている!!」

 

 これはいよいよ時間がないな!

 

 もしかしたら、失敗するかも知れないが………ここに居るのは世界で一番運が良い男と幸運の女神。

 

 今更確率で怖がる必要などない!!

 

 隣では、まるでヒーローでも見るかの様な憧れの目で俺達を見ている。

 

 そして俺達が目指す部屋の奥から、装飾が施されたレイピアを右手に下げ、左手を此方に突き出したアイリスが現れた。

 

「侵入者よ!この私も、代々勇者の血を受け入れ、その力を揺るぎないものにしてきた王族の一人です!簡単に事が運ぶ………とは………?」

 

 戦闘態勢だったアイリスが、俺達を見ると驚愕に目を見開き、段々と声が小さくなっていく。

 

 今がチャンスだ!

 

「「『『スティール』』ッッッッ!!」」

 

 俺とクリスのスティールが、アイリスが身につけていた物から何かを奪う。

 

「アイリス様!ご無事ですかっ!?」

 

 それと同時に、俺達の後ろから聞こえるクレアの声。

 

 クソッ!何かを盗ったかのか確認している時間がない!

 

「助手君!このままテラスに踊り出るよ!彼処は確認済みだ、下にプールがあるから、彼処に飛び込むよ!!」

 

 クリスが何かを手にしながららアイリスの隣をすり抜け叫び……!

 

 俺とクリスは、真っ暗なプール目掛け、テラスから飛び降りた___!

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