ブルーアーカイブ ~青い空と黒い鳥~   作:謙虚なハペロット

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動いてないのにクソ暑いので初投稿です…。


Day.2-1b 運び屋と機械…?

 眼前に転がる物言わぬ…物五月蠅かった鉄塊は今し方心臓を打ち貫いたばかり。

ところどころ撃たれた箇所から火花が散っていて、心臓(コア)が終わっているにして動力は別で動いていることがある。何かの拍子でいつもの『便利屋68』みたいになりかねない。

 

 てなわけで、集中力が切れた私はそこらの瓦礫に腰掛け痛ぇ!尖ってんじゃねぇか! ……そこらの適当な、座れる、瓦礫に腰掛ける。

 

「はぁ…」

 

 今は風紀委員のアコ、イオリが指揮を取り調査を。チナツとセナが負傷者の手当てにあたっている。

 

「お疲れ様~ワタリガラスさん」

「おう、お疲れスーパードライバー」

 

 隣に座ってきたのは先程かなりの腕前を披露してくれたドライバー『佐々倉(ささくら)カコ』。 話せば、元は不良の一人だったが、セナが救急医学部へスカウトした2年生の元走り屋だとか。

 

「行かなくていいのか?」

「まぁ、他の子がやってくれるっしょ」

「そっか」

 

 疲れた…。軽口を返す余裕が無い。攻撃をもらった上に、少し『集中』し過ぎた。

エンジニア部にでも連絡してやれば文字通り飛んでくると考えたが、まぁ…。あれだけ派手に暴れたオートマトンがいたら噂になる、というか、既に『クロノススクール(やべぇやつら)』も嗅ぎ付けてるんだろうな。

報道規制だの何だのおかまいなしだからなあのマスコミどもは。

 ……すると、カコが自身の肩をポンポンと軽く叩いてみせた。

 

「寝るなら肩貸しますよ?」

「気持ちは受け取っとくよ」

「あ~ん♡ 遠慮なさらなくとも~♡」

「お前そんなキャラだったか?」

 

 やけに距離を縮めてきたな…。

 

 

「医学部はいつから水商売の真似事をするように?」

「まぁさか行政か~ん!ウチなりの距離の縮め方ってやつですよ~」

 

 いつの間にやらアコがこちらに来ていた。しかも苛立っているし。

 

「カザナさん。あなたにもあのオートマトンの解体と調査、それと、残骸を風紀委員会まで運んでもらいます」

「あいよ」

「ウチもお手伝いしていいですか~?」

「あなたは医学部の方に行きなさい」

「は~い。じゃあまた怪我したら医学部へいらしてくださいね~♡」

 

 アコの威圧も何のそのと躱して医療部の持ち場に戻って行った。

 

「まったく…。甘やかすのも運び屋の仕事なんですか?」

「まさか。で、何か分かったのか?」

「……現段階では何も分からなかったということが分かりました」

「解析不能?」

「解析はできました。しかし、部品も製作元も不明。暴走の原因が何だったのかが不明です。 ああ、何処かのカラスがコアを潰さなければもう少し何か分かったかも知れませんね」

 

 チクチクお小言と一緒に今分かる事を教えてくれた。

確かに心臓部を調べればまだ何かあったかも知れんからな。ただ、あそこで潰す以外の選択肢は…無かったハズだ。

 

「……すまん」

「…そう素直に謝られては。……無理そうならば医療部を…」

「いい。邪魔になる」

「……私はまた戻りますが、倒れないでくださいね?」

「ああ」

 

 何だかんだ言ってたが、少々心配そうに見てきたので大丈夫だと軽く手を上げて辞退する。

……ちょっと目を閉じて寝れば―――

 

 

 

 

〘 ████、████ 〙

 

 

 

 

「っ!」

 

 眠気と疲労が吹っ飛ぶ。

何だ今のは。この通信チャンネルを知ってるのは知り合い以外いない。

雑音の中に明らかな敵意。私を刺すような、探るような視線を感じる。

 周囲を見れば誰も何も感じ取っておらず、私個人に向けられたものだと察する。

 

(……なんだ、誰だ?)

 

 重かった身体も何処へやら。謎の危機感に突き動かされ、いつの間にか動かして持ってきてもらっていた車輌+リアカーの武器庫に駆け寄り、跳び乗る。……これと、これと、…これ持ってくとして。あとは風紀委員の子が拾ってきてくれたガトリング一丁でいいか。

 

 

「――カザナ先輩?」

 

 

 私が武器を漁りハンガーに載っけているのを目撃されたが、今はそれどころじゃない。

 

「カザナ先輩!」

 

「……」

〘 ████、████ 〙

 

 

「どちらに行かれるんですか!?」

 

 チナツの問いかけにも応えず、跳び出す。私を急かし立てる何かに向けて。

向かうのは……キルドーザーがいたあのビルの中。

 

 

 

 

 

 内部から昇るのは遅いと判断して、壁蹴りをしつつ目的地に到着。中は勿論目茶苦茶の荒れ放題だが……不可思議な空間だと感じた。

 

「……研究室、か?」

 

 まず外からでは判らなかった広さがある。オフィスとするには天井が高すぎるし、娯楽施設にしちゃ娯楽と呼べるものが無い。あのキルドーザーが両腕を振り上げても余裕な程広く見える。

次にオートマトンの整備なのか、様々なコードに部品、モニターの数々。

 

「2つ?」

 

 そして、オートマトンを整備するためのハンガー設備が『2つ』。1つは通常の。

1つは……各種様々な繋がれていないコードと、全て…いや、1つだけ死にかけている砂嵐状態のモニターが多数。

 

「もう一機いる。………ん?」

 

 画面が乱れていてよく読めない…。これは、オートマトンの機体名……コードネームか?

 

「…? ………い…イン――」

〚高エネルギー反応 回避〛

「――がっ!?」

 

 視界が溶ける。

 衝撃。

 何処から?

 身体が後ろへ飛ぶ。

 灼けるような傷み。

 背中に衝撃。激痛。

 折れてはいない。

 視界が回る。転がったんだ。

 

 

 

 

 

〚警告 機体被弾 機体被弾〛

〚バイタルサイン 危険域〛

 

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

カザナが現場に飛び込む姿を見たのはチナツと、チナツの声を聞き何事かと振り向いたイオリとアコ。

侵入してなかなか出てこないカザナを呆れ半分で探索隊と捜索隊を作ろうとした瞬間――聞いたこともないような音と共に現場から『カザナが吹き飛び、反対側のビルに激突した』。

 

 

「……は?」

 

 アコが間の抜けたような疑問を口にしたのは、カザナが何故か吹き飛んだのもある。そしてもう一つ。あの現場からゆっくりと姿を現したもの(・・)に驚愕したのもある。

 

「お、オートマトン…?!」

「二機目!?」

 

現れた赤錆びたようなカラーの機体はキルドーザーとは違う、線が細く、機体のラインが中央胸部から全身に向かって青い光が血液のように走っている駆体。

両肩には左右二門、上部に長身の砲、下部に細身の砲。計四門の砲台。背部にはプロペラントタンク型のブースターが二基。

両腕は……青白い剣のような物になっており、何かを掴むといった事は一切出来ない。

そして腰から下は戦車のような形をしている、が……。

 

「う、浮いた…!」

「この風圧…、フロート式?!」

「アコちゃん!」

「…っ! イオリさんはアレの牽制を! チナツさん、セナさんはカザナさんの救助を!」

 

一瞬呆気に取られはしたが、すぐに気を引き締め指示を配るアコ。

イオリはすぐさま風紀委員達と射撃開始。

 

「弾かれてる…!」

「気にせず撃って!」

 

「チナツさん。カコさん。全速力で行きますよ」

「はい!」

「了解!」

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 ―――耳鳴り。激痛に目が覚める。

 いかん、気絶してたようだ。

軋む身体を起こして周囲を確認してみれば、どっかのビルの中だった。……反対側にぶっ飛ばされたか。

 

「……っ、痛ぅ…」

〚バイタルチェック ...左肩部 ダメージあり 支障あり〛

〚右腹部 ダメージあり 内臓部ダメージ 軽微〛

〚背部 ダメージ甚大〛

 

 ダメージ箇所を見れば……左肩は衣服が焼け、皮膚は赤くなってるところと紫色が混じってる。脇腹はカス当たりだったのか、服が焦げてはいるが痛みは少ない。

背中はまだじんじんする。インカムが甚大って言うだけだから折れたり罅やら深刻な状態は無いようだ。

だが、ちょっと、完全には……立ち上がれない。

 

 

「………ふぅ…」

………じ……な…

 

 ああ、誰かが呼び掛けてきているが不安定なのか途切れ途切れで聞こえづらい。

 

「…クソが」

〚警告 識別不明機 接近〛

 

 インカムからの警告に重たい頭を上げて前を見てみれば、……やたらアンバランスなオートマトンがゆっくりとこっちに向かってきてるじゃないか。しかも風紀委員からの射撃をものともしてない。……そして風圧でビル内の書類やら何やらを巻き上げながら着地。

 

〚回避 回避〛

「――なろがぁっ…!!」

 

 両肩の砲身から青白い光が見えた。

横、には跳ばずに床スレスレを跳ぶように前へ出る。

光がさっきまでいたところが爆発四散。よくあれに当たって生きてたな私…!

 

「この距離ならっ!」

 

 懐に飛び込み右のガトリングを撃ち込――

 

〚回避〛

「っうぉっ!?」

 

 ガトリングの回転が上がり切る前に、徐ろに左腕の青白い剣を振り抜いた。

咄嗟にガトリングを手放し回避すれば、あのガトリングが真っ二つに斬られていた。

 

〚解析...高出力非実体剣 本機使用レーザーブレードと酷似〛

「何…!?」

 

 今度は右腕のブレードを振りかぶろうとしてくる。…克ち合うしかない!

 

「――っ!!」

 

 私の左腕に装着した赤く光る『ブレード』を伸ばして、迫るオートマトンのブレードを滑らせ躱し、斬り上げて右の砲身を斬り飛ばす。

 

「やれなかないな。急いで選んだ割に正解だったか…!」

 

 近接武装の1つで、非実体光波型レーザーブレード『MLB―HALBERD』をアイドリング状態にし、何時でも斬れるぞというのを見せつけて間合いを少し空け右側ハンガーの大型バトルライフル【AM/BRA125】を手に取る。

どうやらあの砲は連射が利かないみたいだが、威力はしっかりしてやがる。……レザブレで弾けるか? いや今の身体でやるべきじゃないだろ。

だがやつが斬れることは解った。

 

 ―――不意に、背後から何かが駆け上がってくる音が聞こえた。

まさか…誰か応援に来たのか。

するとオートマトンがこちらに向けていた後ろに照準を合わせた。

 

「っ! 機械が余所見かよ…!!」

 

 その隙を逃さずブレードを伸ばして斬りつけにかかる。お前のも長いがこっちも長いんだよ!

まずは脚と思われるタンクのような部分を右から左に斬り裂き、すぐ残った左肩の砲を腕ごと斬り捨てる。図体が仇になったなポンコツ野郎!肩が痛ぇ…!

 

〚左肩部 ダメージ甚大〛

 

 着地したら右のバトライで破損部分へ連射し内側からの故障を狙う。

ガツンガツンいってるが怯みはしている…!

 

「――撃ち方始め!」

 

 やや距離を取った刹那、室内の扉が吹き飛び、無数の発射音にそのまま後ろの壁際ギリギリまでバトライを撃ちながら思い切り跳び下がる。ふと視界に捉えたのは重火器で武装した風紀委員と医療部を従えたチナツとセナ、カコ。ロケランにグレランにショットガンにガトリングにと、ありったけの火力をオートマトンへと叩きつけていた。

……セナ、それ私が置いてったもう片方のガトリングじゃないか。

 

「怯んでる…ならコイツで……うぐっ…!?」

 

 あのポンコツ、流石に無視出来ない火力だからかあっちに向き直って、残った右腕で防御している。ジリジリとだが追い詰めてるぞ! 私も…とブレードをハンガーに戻して先に掛けておいたのを取ろうとしたら、さっき無理に動かしたせいか腕が上がらない。ちくしょう…、痛み分けになっちまったか。

 

「カザナ先輩!」

「…チナツか」

「はい! っ、怪我を…!」

 

 オートマトンが怯んでいる隙にチナツがこちらに来た。…左肩の痣を見て青褪めているが気にしてる場合ではない。

 

「構うな。コイツを撃てるか?」

「でも…」

「撃てるのか?撃てなきゃ私が撃つのを支えてくれ」

「…………っお借りします」

 

 左のハンガーに載せていた武装を外し、ロックを外してチナツに預ける。

 

〚承認 ロック解除〛

「そいつはヒートハウザー。榴弾を飛ばすショットガンとでも思えばいい」

「はい!」

「踏ん張れよ。クセのあるやつだ」

 

 チナツに預けたのは

 三連装式散榴弾銃ヒートハウザー

 【SHIRANAMI mdl.1】

見た目は3つ連なったミサイルランチャーだが、不思議な事に銃のカテゴリにされていたりする。だが威力は榴弾なだけありピカ1。ただ弾道が安定しなかったり。しかし今この状況と距離なら弾道なんざ気にする必要はない。

チナツが構え、私も構え直す。

 

「叩き込め!」

「っ!」

 

 風紀委員、医療部、チナツ、私の猛攻を受け仰け反り始め、遂には爆煙で見えなくなっても叩き込み続ける。

それでも撃ち込み続けるのは、今ここにいる全員が、『こいつを逃がしたらまずい』という思いがあるからだろう。私だってそうだ。

このオートマトンは、やろうと思えばキルドーザーと戦闘中だって、皆がキルドーザーの残骸を調べているときだって私達をやれたハズだ。

それを私を狙ったものなのか、態々ここで私だけを攻撃した。

なら『意思』が、『思考』があるということ。

 

 

 徐々に火線が少なくなっていく。

弾切れだ。私もバトライを撃ち切ったし、チナツに貸したハウザーも弾切れでトリガーがカチカチ言っている。

 

「……」

「……」

「……」

 

 この場にいる全員弾切れ。まだ細かいのは残ってるだろうが、私は左肩が痛むブレードのみ。……念のためバトライを捨て右腕に持ち替えておく。

 

 ……煙が晴れ、そこにあったのはあちこちボロボロに罅割れ、ところどころ回路がスパークしているオートマトンが。ダウンしているのかアイカメラらしき部分の光が無い。

 

 

「………」

「おお、やった!?」

「おいカコ!」

 

 ――鈍い駆動音が響く。空気が凍りつく。

 

「あ…あら~?」

「余計なフラグ立てやがって…!」

「もう重火器の弾薬は…。でも…!」

「……」

 

 カコは引き攣りながらも重火器を捨てサブマシンガンを構え、チナツ、セナ、風紀委員、医学部もめげずにそれぞれの得物を構えた。

私もいつでも斬りかかれるようブレードをアイドリング状態にしておく。

 

 

 

 

 

 

―――████修正…

「っ…!!」

 

 渾身の力を込めてブレードの出力を全開にし、左から右へと『胴体』を両断する。……しかし甘かった。

背部のブースターを吹かして逃げようとしている。わざと細い部分を斬らせて隙を作りやがった…!

 

 ――瞬間、動体下部から何かが射出されたような空気を噴き出す小さな音が2つ。

それは全力でブレードを振り切った私の足下に転がってきている。

……カチリ、と私の肝を零下に持っていく音。

 

 間に合わな―――

 

 

 

 

 

 

 

〚被害甚大 作戦続行 不可能〛

 

〚意識途絶 バイタルサイン 危険 危険〛

 

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

「っ! 爆発音!?」

「チナツさん、セナさん!応答を!」

「…あ、あれ!」

 

ビルの崩壊した部分からあのオートマトン……左側を失い半壊した上半身だけのオートマトンがブースターを吹かしながら離脱しようと姿を現した。

 

「逃がすか!」

 

明らかに逃げようとしているオートマトンに、イオリはライフルを向け集中し、一発目。

それは残された右腕を貫通。爆発を起こし体勢が崩れる。

すかさず二発目は頭部を掠めるが大きくバランスを崩し今にも落下しそうだった。

 

「墜ちろっ…!」

 

三発目。違えず胴体に吸い込まれ直撃……と思いきや、身を捩り残った右肩部に当て致命傷を避けた。

――チャンスと見たのか、背部のいくつかのパーツが開き、独特のタービン音が聞こえ爆発するように噴出し、恐ろしい速さで離脱し、あっという間に空の彼方へ消えて行った。

 

「う…嘘…」

「追跡不能…。何と言う意地汚さ…!」

 

 

 

………ア……………聞こ……

「っ! チナツさん!?聞こえますか!」

…緊………ナさ………す!

「チナツさん!? ああもう…!」

 

 

 

 

 

アコさん!イオリさん!聞こえますか!? カザナさんが…意識不明の重体です…!

 

 

 

◇   ◇   ◇

 

 

 

MISSION SUCCESS

 

 

 

RAVEN LANK C

 

 

 

新たなパーツを取得しました

左腕:レーザーブレード(破損)

肩部:レーザーキャノン(半壊)

脚部:HOVER TANK(破損)




ホバータンクってなんだよ(哲学)
フロート脚ってなんだよ(吹かし過ぎてエリアオーバー)(滑り過ぎてエアーホッケー状態)
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