あの衆人観衆の前であれはすごい。あれが花火師…。
他のイレギュラー達の映像も観たかったなぁ…!
◆ ◆ ◆
彼女、カザナがこの砂漠に来ていたのは大きな誤算だった。しかもカイザー側に護衛として就いていることも。
「来るのが遅い!」
「援護はしてやったろうが」
「あんなものが援護であってたまるか!しっかり狙わんか!」
「狙ってアレなんだよ!文句はメーカーに言え!」
カイザー理事と言い合いをしている彼女は、片方の背に4枚の翼の様な物、両肩、両腕に銃を装備して完全武装している。
しかも話ぶりでは既に依頼された後、先生達が来る以前から手を回していた可能性がある。
「…カザナ」
「ああ、悪いな先生。これも仕事でな。先に言っとくが騙されたとか脅されたとかじゃない。求めるものがあっただけだ。……まぁ有無を言わさず雇われたけど」
求めるもの…。まさか、カザナも同じ宝を?
「先生、それにお前達。ホシノの言う通り今は分が悪い。撤退した方が良い」
「烏貴様、捕らえろと言っただたろう!」
「私はお前の警護を依頼されてんだ。わざわざ不発弾みたいな奴らを抱え込むようなことはゴメンだ。 いいか、私は面倒が嫌いなんだ」
「…相変わらず生意気な烏め!」
「嘘でしょ、運び屋とやり合うっての…!?」
「アイツ…!誰のせいで砂漠まできてると思ってんだか!」
「やれなくは無いだろうけど、他の奴らとやり合う体力が無くなるかも」
「……確かに。人数では勝ってるけど分が悪い」
セリカが焦り、イオリが憤り、カヨコ、シロコが分析をする。
先生も遮蔽物に隠れて勝機を探るが、シッテムの箱のアロナからは
『この場ではカザナさんが一番の難敵です! 今いる生徒さん達総出で戦えば、まだ…なんとかなるとは思いますが、それでも必ず被害が出ます…!』
「……」
◆ ◆ ◆
ああ、気が重い…。
宝探ししてる理事にテキトーにサボタージュして情報得たらとんずらして、後で風紀委員会と一緒にオートマトン捜しだと思ってたのになぁ。……とにかく、ここから退いてもらうのが先決。あと聞かなきゃならんのは……。
「ああそうだ。理事、お前今さっき『ゲマトリア』とか言ったよな?」
「それがどうした。今重要な事か?」
「……そうだな」
カイザーとどういう繋がりがあるかは判らんが、裏で取引があったことは分かった。……それなら今理事を撃っても良い理由としては十分だが、それでは裏で暗躍してるゲマトリアとか言う連中の情報が遠ざかってしまう。
とすれば、私の行動は――
「それより、まずこの包囲してる奴らをある程度退かしてくれ」
「何だと?貴様、正気か?」
「邪魔だって言ってんの。今だって圧され掛けてたじゃないか」
「……」
「巻き込まれてこれ以上無用な被害は出したくないだろ? こんなふうにさ!」
言い終わって直ぐ、背負っている傍から見ると4枚の翼のように見える兵器
小型四連ミサイル【MP−O901】を90°回転させ、発射口を下から上へと向け、後ろを固めてる奴らを捕捉する。
〚ロックオン〛
「通り雨ッ!」
「っ!皆伏せて!!」
先生達に当たらぬよう注意しつつカイザーの兵士達にミサイルの雨を降らせてやる。牽制、威嚇にしちゃ派手かも知れんが、これくらいやらんと理事も納得はしないだろう。
「ほら、今こういうのがあるんだ。流れ弾、流れミサイルでこうなりたくないだろ」
「貴様…」
「裏切るつもりはない。さっさと下がらせろ。ほら、標的が逃げてくぞ」
「そうしたのは……っ、ええい下がれ!」
よしよし、互いに下がってくな。あとは私が追って、追い出せば任務完了だ。今先生側にゃ理が無いし、私としては情報が2つ手に入ったから良いんだが。 おまけとしてもう一度ミサイルを降らしてやる。
おーっとぉ!ミサイルが兵士やら戦車やらを巻き込んじまったなー! かー!先生のおかげでか避けるのが上手いなぁー!かー!
〚肩部 残り90%〛
……さぁて。あいつらと正面切ってやり合うのは気が重い。しかしそこそこ戦わないと任務にならない。今の私が何処までやれるか、理事に見せる必要もある。 距離がある程度離れたところで私も跳び先生達を追う。
(はぁ…運び屋なのになぁ…)
〚識別マーカーを一時的変更 敵マーカーをセット〛
疑似モニターに映る先生達が薄い赤い枠に包まれる。おっと、先生個人には万が一に備えて緑のサードパーティマーカーをセットしておく。 して少し距離置いて着地。いや皆の視線が痛い痛い。
「っ! 来た!」
「うへぇ。やっぱタダじゃ逃がしてくんないか~」
「私としても逃がしてやりたいが、こっちも一応の仕事は熟さないといかんからな」
「何が仕事よ! こっちはあのオートマトン追ってんだぞ!」
「こっちもそれに関しての情報を手に入れたんだよ」
「カザナ先輩なりに追っていたのですか」
「ほぼ偶然だがな」
「やっほー運び屋ちゃーん!」
「おうボンバーガール」
「は、運び屋さん…アル様を殺そうと…!」
「んな訳あるか」
「……まぁ、仕事ならね」
「カヨコなら理解できてるか」
「ひぇぇ…。ほ、本当に、し、死ぬんじゃないかしらこれ…!?」
「抜かせ社長。そっちには先生がいるんだぞ。死ぬ訳無いって」
「……カザナ」
「先生、こっちは仕事さ。気にする必要は無い」
「私じゃ、きみの力になれないかい?」
「さあね。今回はあっちが早かったってだけだ」
「………」
「ほら、先生がそんな顔すんな。生徒達の綺麗な顔が砂まみれになっちまうぞ」
〚最終安全装置 解除します〛
…お喋りはここまで。
シロコとカヨコが先生を下がらせ、ホシノとハルカが前に出てくる。
「うへぇ。こんな形で撃ち合うことになるとはね〜」
「ホシノ、お前バカな事考えてないか?」
「……何のことかな」
「ふん。そうなら、今のお前だけになら負けないな」
「ありゃ。本気?」
「ああ。そんなんじゃこの先生き残れないな」
腰部に装備した『滞空型RICON Re−X−A07』を頭上に飛ばし、開戦の合図にする。
◆ ◆ ◆
カザナとホシノが睨み合う中、先生は安全圏まで下がる。下がるしかない。
その瞬間、カザナが動く。
パシュンと何かを撃ち出す音がしたと思えばカザナの頭上に青く点滅する何かが現れ、背中のミサイルを乱射しながら、右手のSFチックな銃を使い弾をバラ撒きながら後退する。
ホシノが瞬時に盾を展開し、隣のハルカを引き寄せて防御した。
「だあぁ!あれ反則でしょ!」
「…これじゃドローンを使えない。落とされるかも」
「社長さん、狙い撃てますか?」
「む、無茶よぉ!あんな変なステップ踏まれてちゃ狙いが定まんないわ!」
カザナは撃たれる度、砂の上を滑るように回避するが、明らかに突然加速したように避ける瞬間がある。そのせいでアルとイオリの狙いが定まらず、中衛に構えるシロコ達は当てるのが難しく、前衛のホシノとハルカは防戦を強いられている。
「どうしたホシノ! そのままじゃ穴だらけになるだけだぞ!」
「っ…」
「ひぃぃ…!?」
ホシノの盾に鋭い弾丸が直撃し削られていく。ショットガンらしいが撃たれる度にホシノが押される。ちゃんと抑えないと吹き飛ばされてしまうほど。
しかも抜け目無く中衛への牽制も忘れず、左手の大きなライフルでギリギリを攻めてくる。優先的にアル、イオリ、ノノミへ狙いを付け、必要ならミサイルもバラ撒いてくる。
「全く、弾切れを気にしない戦い方か…」
「こちらを退かせるためとはいえ、敵対するとこんな…」
「先生…!」
「………」
◆ ◆ ◆
くおぉ…!?ホシノのやつ、固めてるハズなのに合間狙ってショットガン捩じ込んでくるとか
それに後ろのメンツの相手も忙しくて堪らん!ARチームと狙撃チームにミサイルとマシンガンを撃ち、浴びたらヤバいノノミのミニガンや付近に当て軌道を逸らさせる。そうしなければアルとイオリの抉るような狙撃、セリカの牽制、シロコとカヨコとムツキの正確なステ狩り+爆弾とドローンの追撃祭り。豪華特典に先生のアシスト付き。
もう頭パンクしそうだっての!!
〚回避してください〛
〚右腕 残弾70%〛
〚回避してください〛
〚回避してください〛
〚左腕 残弾50%〛
〚肩部 残弾30%〛
〚回避してください〛
インカムからひっきりなしに「やべぇぞわかってんのか」の情報の嵐が来ている。
生徒達のバイタル、装備性能、射撃警告など。普通のやつ相手ならまずこんな事にはならない。これで四方八方から来てたら確実にBREAK DAWNして偉そうな口叩いておきながらそこら辺を転がっていたかも知れない。いや今現状そうなりそうなんだ。
このホシノとの削り合いの均衡が崩れたら不利になる。無理して潜り込もうものなら懐にいるハルカの暴力的なショットガン鬼連射でピーピーピーボボボボボして作戦続行不可能。
即席にしちゃ皆良い連携してんねぇ!どおりでねぇ!!
ぶわっ!?モロに当ててきやがったなホシノぉ!!
(今更愚痴っても仕方無いが、イクシードオービット持ってくきてればなぁ…!)
「―っ」
「っ! 隙ありァッ!!」
「うはぁっ!?」
その隙は見逃さんぞホシノぉ!
恐ろしく素早いリロードと構え直しだったがそこを見逃す私じゃない!すぐさま撃たれるが、弾が当たる瞬間右脚を地面に引っ掛けぐるりと身を翻し、その勢いで回し蹴りを叩き込み盾ごとホシノとハルカを中衛チームに向けぶっ飛ばす。
〚機体がダメージを受けています 回避してください〛
激突して混乱してるところへすかさずマシンガンを左肩ハンガーのヒートハウザー【SHIRANAMI mdl.2】へ持ち替え、ショットガン【AM/SGA−204】と肩部のミサイルとをやや下に向け、当てないようまとめて叩き込む。
爆音爆煙と巻き上がった砂で何も見えなくなるがそんな事はどうでもいい。理事も見ているだろうから、後はあいつらの演技力と空気を読む力頼りだ。
〚右腕 残弾無し〛
〚左腕 残弾無し〛
〚肩部 残弾無し〛
(…これだけやれば問題無いだろう)
……煙が徐々に晴れる。
するとあちこち煤だらけ砂だらけになり、(傍から見れば)ボロボロになった(ような)皆が見えた。
「ここまでだ。気は済んだだろう」
一応の勧告は言っておく。
後は捕まえるフリしてジープか何か手段があるならそれで逃亡してもらうのが良いか、それとも一旦捕らえて夜まで待ってアビドスまで運んでくか。どうす――
〚未確認反応 急速接近〛
『先生!カザナさん!何か来ます!』
「っ!?」
今インカムから聞こえたのは…誰の声だ?
いやそれより、未確認反応だと!?
義務モニターが示す方に視線を向けると、光の帯、ブースターの軌跡と共に廃墟に降り立った、
(見たことないオートマトン…! あいつじゃないが、仲間か!?)
「今度は何よ!」
「チナツ、オートマトンだ!」
「あの二機とは完全に姿が違いますけど、おそらく同種です…」
「…あれが、風紀委員会とカザナが追っているオートマトン?」
「アルちゃん、あれ脚がくの字になってる!」
「頭もなんか…エイリアンみたいな感じね…」
〚システム スキャンモード ...完了 前回戦闘を行なったオートマトン二機と装甲素材が似通っています〛
「そうか。手掛かりが向こうから来たか!」
≪何だあのオートマトンは…。あれが
ほう、少なくともカイザーは関わり無し。ゲマトリアは警戒してるのか。
どうやらあのオートマトン、私を狙っているようだ。両腕が腕じゃなく、前に真っ直ぐ伸ばした3つの爪のようなもの。脚は膝部分が後ろに折れるくの字型、虫のような逆関節。頭部は鳥のように長い首にアンテナをそのままくっつけたような異様な形。
カラーリングは赤とくすんだ銀色という目立つような色をしている。
〚解析完了 コードネーム ゲルニカ・ゲド〛
イベント戦からのイベント戦。
AC3から 干 ことゲルニカ登場。