ブルーアーカイブ ~青い空と黒い鳥~   作:謙虚なハペロット

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運営様に復旧していただけたので初投稿です。
先生辞めなくて済みましたずっとブルアカします。


Day.1-2 運び屋のお仕事

 

 『連邦生徒会』

このキヴォトス全てを統轄していると言ってもいいD.U.(District of Utnapishtim(ディストリクト オブ ウトナピシュテム))に聳える世界の中心部。

白と青を基調とした建物は、人を寄せ付けないような厳格な雰囲気を醸し出している。正直、用事があろうが無かろうが普段近付かない方が良い。現在でも行方不明の生徒会長もそうだが、なかなかに胡散臭いものの巣窟のように思えてならない。

 

「まぁ、それでもお得意さんなんだよなぁ…」

 

 何故かは分からんがよく指名され、指定場所に書類やブツ(あやしいものにあらず)を届けたりと。ここ最近は特に多く、事務用品を真新しい無人の建物(・・・・・・・・・)へ運ばせたりと、報酬はしっかり貰えるがやる事に明確に説明がされないことが多い。

生徒会長代行である『七神リン』も仕事に追われ二、三言やり取りしたらすぐ仕事に戻ってしまう。まぁその後お礼のメールを律儀に寄越すあたり流石という。

 

 

 

「我々と繋がりを強くする好機ですよ? 貴女にとっても、悪い話ではないと思いますが?」

「”我々“、ね…」

 

 

 

 ……前に一度、糸目のピンク髪で一見人が良さそうな生徒会の人に勧誘されたことがある。勿論断った。

 そいつの名前は知らない。……何となくだが、踏み込んだらヤバそうではある。

通されたあの部屋から見えた窓の空に烏が現れ、こちらを見ていた。ああ、そういう時は大概碌でもない何かがあったりするんだ。

 あの時はあれやこれやと当たり障りない会話をした後に断りを入れたら何処か不満げな表情をし、書類やら何やらを財務室と調停室に届けてくれとの雑務だけ請けただけに収まった。

 ただ単に連邦生徒会にならないかと言われたのか『子飼い』にならないかと言われたのかは判らない。

 

 

 して、件の依頼者である七神代行委員長との部屋に到着。軽くノックをして静かに入る。返事を待たないのかって? そこはアレよ。既に話は通ってるってやつ。

 

 中では相変わらずというか、岩櫃(いわびつ)アユムが忙しなく運んできた山のような書類を粛々と淀みなく捌いていっている。その姿はある意味溜息が出るくらい凛々しい。嫌味にあらず。

 

「――あっ、カザナさん!」

「どうも。運び屋ワタリガラス到着。アユム、これ届け物」

「はぁい。確かに受け取りましたぁ。いつもありがとうございますぅ」

 

 アユムがこちらに気付き、ぱあっと華のような笑顔を向ける。

やった!仕事仲間が助けに来た!とでも思っ……てないだろうな。純粋に知り合いが来て嬉しいのだろう。

 兎も角依頼の品をアユムに手渡し、受取のサインを貰う。これで依頼は完了だが……

 

「…まだ仕事があるのか?」

「ええ。今回運ぶのは物ではありません」

 

 一通り捌き終えたリンが話し始める。まぁ直接来いと言われたのだから何かあるだろうとは思ってたけど。

 ……物じゃない、とは?

 

「率直に言いましょう。

 カザナさん。あなたには、新たにキヴォトス外からいらっしゃるお方―――『先生(・・)』をここまで護衛していただきます」

 

「…………何?」

 

 

 

 

 

 

―――――

―――

 

 

 

〈依頼内容を説明します。

 依頼主は私達連邦生徒会。

 目的はキヴォトス外から赴任される『先生』の護衛と、敵集団の撃退です。

 何処から漏洩したのか(・・・・・・・・・・)、先生が我々連邦生徒会の重要人物であるという情報が不良集団に渡ってしまっているのです。

 彼らは先生を拉致し、こちらに無理難題、或いは金品を寄越すよう画策しています。

 ……疑問はあると思いますがお応えできません。

 詮索の必要は無い、とだけ。

 貴女の実力を疑う訳ではありませんが、流石にたった一人だけでの護衛には不安があります。ですので、他の学校にも護衛を依頼した生徒が合流予定です。

 そして注意していただきたいのは…先生は、キヴォトスの者ではありません。

 キヴォトスに生きる我々には何でも無い一発の銃弾が、先生には致命傷となります。細心の注意を払ってください。

 説明は以上です。報酬は既に財務室の『扇喜(おぎ) アオイ』を通して振込済みです。

 よろしくお願いします。〉

 

 

 

 

 

(冗談じゃねぇまったく…)

 

 現在、あのとんでもない依頼…と呼ぶのも烏滸がましい命令から三日。件の先生とやらが駅に到着する時間、場所、ルートなどなど私が断る間もなくここまで来てしまった。何故私に護衛なんかやらせるのか全く解らんが、あの感じ。先生とやらは余程なくてはならない人物のようだ。

 

 詮索無用と言う。こちらの意思を無視してあれよあれよと進む話に、それは私を生徒会の都合の良い駒か何かと勘違いしてないか?と半ギレして机を蹴り飛ばし、話せる範囲でいいから先生について教えろと。さもなくば依頼は断ってあちら側に付く。金は戻すし、今後一切連邦生徒会には関わらないと詰めたところ……。

 リンが渋々といった様子で話し始めた。落ち着くまで秘匿事項にしたいのは理解できるが依頼を頼もう、わざわざここまで呼び出して件の重要人物を護衛させようってのに一切情報無しってのは納得できない。他の生徒にも同じように話したのだろうか。……いや、『私が向こうに付くかも知れない』という懸念があったんだろう。……所詮替えの効く運び屋だ。敵に回してもさして問題ないのかもな。

 

 

「あらゆる所属、あらゆる学籍、あらゆる勢力の垣根を越え、キヴォトスに暮らす生徒の顧問。

 『超法規的機関 独立連邦捜査部S.C.H.E.A.L.E(シャーレ)』か…」

 

 連邦生徒会に属してはいるが、完全独立の部らしい。…そんな強権をたった一人に持たせていいのだろうか。

連邦生徒会でも介入が難しい問題にもメスを入れられるようになるたぁヤベェな。可能ならその生徒会自身にも噛み付けるんだから。

 

 ――時刻は昼11時半をやや過ぎた辺り。私は予定時刻の1時間早く現場に到着している。

暇だった訳じゃない。噂の不良集団が待ち構えていないかの現地確認さ。ここらは私が仕事でもあまり来ない場所だから周囲の建物と地形の確認。逃げ込める場所、身を隠せる場所など。

 当たり前だが護衛が依頼なら護衛対象を護らなければならない。しかも聞けばヘイローが無いキヴォトス外からのヒトらしい。なら私らみたくスナライで肩をぶち当てられても普通より痛いだけでは済まない。

 

 一通り見たところ普通の駅前。特に変わったところはなく、どの程度暴れるかは不明だがここらのものは良いバリケードになりそうだ。

 

 

 

 

「……ん?」

 

 いつもより一回り大きいバッグを背中から降ろし、改札近くのベンチに腰を降ろしてゆっくり待つか………とした矢先、奇妙な光景が目に入ってきた。

 

 

 

「あのー、宗教に興味ありませんか?」

「宗教? …ふむ、聞きたいんだけど、キミの信じる神って宙に浮かぶ逆さまの赤子だったりしない?」

「は?」

「それとも白い月の蜘蛛だったりしない?」

「………」

「そうだったら悪い事は言わないからすぐ辞めた方がいいよ?」

 

 

 

 フルフェイスのヘルメットを被った不良生徒の怪しい勧誘を

逆に妙な問い掛けで怯ませる大人という光景。…何なのだあれは。

 

というかあの服装からして連邦生徒会の関係者だろう。傍から見たら訳の分からない戯言を真面目な顔して学生に詰め寄る不審者だ。

小さく痛みだす頭に軽く頭を振り気を取り直し、接触を試みる。…正直関わりたくない気持ちがあるがこれも雇われ運び屋の仕事だ。

 

 

 

「まず怯ませて相手の脇腹に手刀を捩じ込んで…」

「ひえぇ…」

 

「もしもし、そこの御仁」

「…ん? 私?」

「た、助かった………げぇ!?運び屋ぁっ!?」

 

 まだ追撃しようとするのを止めるため声を掛ける。するとすぐ気付きこちらに振り返ったナゾオトナ。そしてヘルメット不良は私の事を知ってるようだった。

 

「知ってるなら話は早いな。私はこの御仁に用がある」

「そ、それは……」

 

 こいつ、こいつらか?とにかくリンの話していた不良集団の斥候か。早めに到着したのは相当運が良かった。あのまま……でも大丈夫だったかは分からんが、下手したらしびれを切らした本隊に強引に連れ去られたかも知れない。

 

「ごめんね。連邦生徒会に行く用事があるんだ。見逃してくれないかな?」

「何でアンタが謝んのさ…。意味解んない…。と、とにかく!それはダメだ!」

 

 大人の妙な雰囲気に呑まれかけていたヘルメット不良は気を取り直しつつ直ぐ様肩に下げていた銃を大人…先生に突き付ける。こちらも身体をヘルメット不良と先生の間に割り込ませ銃口から盾になる。

 先生の背が高いため私の後頭部がちょうど胸元ぐらいしか盾になれていないが、無いよりはマシ。……身長、ハスミといい勝負だな。

 

「どけよ運び屋!」

「悪いが仕事だ。撃つのなら相応の礼を届けてやるが?」

「むむむ…」

 

 ――ふと突き付けられている銃に違和感を覚える。

通常キヴォトスでは既製品の銃でも自分好みにカスタマイズ、オーダーメイドすることができる。このアサルトライフルもちょっとしたデコレーションをされていたり、元には無い赤のラインが施されている。

 ただのアサルトライフルならさしたる脅威ではない。だが今突き付けられているものは……そこらの不良が手にするには少々値の張る品に見える。おそらく『カイザーPMC』辺りの横流し品か?

 あの連邦生徒会から情報を盗み取ってるんだから良い物も回せる、かは分からん。

 それにこいつ、身長と銃の大きさがやや噛み合ってないところから見てまだ中学生くらいじゃないのか?

 

「ぐぬぬ…」

「睨みあいも結構だがどうする。今お前をのめしてもいいんだぞ」

 

「…カザナ」

「…何で私の名前を? で、何か?」

 

 この硬直状態をどうするか思案していたところ、口を挟まなかった先生が私に話しかけてきた。今取り込み中ですが?

 

「私に彼女と話をさせてもらってもいいかな」

「………」

 

 話し合いで解決したいと。

今はまだ悪くない手ではある。どうにかしてこの場を切り抜け、他の生徒と合流できれば御の字だ。

 

「は、話すことなんかないぞ!」

「少しでいいからさ」

「クモのモツ抜きのやり方とかブタの仕留め方なんて聞きたくない!」

「先生もう口挟むな」

「いや、カザナあれはね。ヤングな生徒の心をキャッチする流行りのね…」

 

 ……逆にこの不良を遠ざけた方がいいような気がしてきたぞ?

 

「とにかく、少しだけでいいから。私の話を聞いてもらいたいんだ」

「……クモの話しない?」

「勿論」

「………」

 

 渋々といった感じだが撃つ姿勢が柔らかくなった。私達もそっと銃身に触れ、銃口を下に向けるようにするとゆっくりと下げてくれた。 まずは落ち着けた。

 

「ち、ちょっと、だけだぞ」

「ありがとう。…あっ、そこのクレープでも食べながらでいいかな?」

 

 とりあえずの了承を得た先生が周囲を見渡し、移動販売しているクレープ屋を見つけた。ナンパかな?

 

「奢って!」

「勿論だよ。カザナも一緒に食べようよ」

「…仕方ないか」

「よし。じゃあ行こうか」

 

 もう護衛どころじゃないが、おそらく潜んでいるだろう他の不良達が行動を起こさないのなら良しとしよう。

 

「まったく何なん…………っ!」

 

 人がこれからどう先生を護衛、運ぶか悩ませて溜め息を吐こうとした瞬間。

よく見ればあの不良のヘルメットの後頭部に、たくさんのエンブレムシールが貼られている。

 

その中心に『忘れたくても忘れられない』エンブレムに目が釘付けになった。

 

 

 黒地に金の六角形が3つ

 記号にデフォルメされた『蜂』

 

 

 

 

 

 

「―――”『ビーハイヴ』”」

 

 

 

 

 私が中等部の頃、怒りに任せて壊滅させた外道共(クズ野郎)の組織のエンブレムだ。




??「水着ハナコ!(石が尽きる前に)早く来てくれ!」

下書き中に水着ハナコが来てくれた(30連)ので「これが今度の実験体かね?」にはならずに済みました。


・Tips2
 カザナが現在持ち込んでいる装備的に『SPECIAL』枠。
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