初戦闘なのに長すぎ?申し訳なく…。
このキヴォトスで爆発が起こることは日常。不良が何かやらかして風紀委員会に爆破されたり、妙な奴らが徒党を組んで道を封鎖したら正義実現委員会にふっ飛ばされたり、銀行に『覆面水着団』なる妙ちきりんな
「っ、RPG!」
「エルカ、撃てる?」
「あらよっとぉ!」
「…ほぼ曲芸だね」
「グレぇ!」
「ほいほーい」
「投げたグレネードを撃ってお手玉するとかお前タダモンじゃないな?」
現在私を最後尾に先生と不良娘チームで良い位置まで後退戦の真っ最中。こちらで対応できないやつは高い位置からハスミが狙撃を。シスターヒナタが爆撃で蹴散らしてくれているため押し込まれて苦戦することはない。……が。
「…っ!」
〚シールド耐久値 残り59%〛
数が減った感じがしない。
弾幕は弱くなりつつあるとは思うが、それでもこれはおかしい。
「リ↓ロ↑ード!」
「ブフォッ!?」
「エルカ!今カスミ笑わせんのはよせ!」
「ヤバ。先生、なんかデカいの来たよ」
「この…!」
「ヒカリ待つんだ。あれに手を出しちゃいけない」
ありゃあ盾持ちのオートマトンか…。通常よりも2倍くらいデカい体格と装甲に大盾と来た。
〚スキャンモード スキャンモード〛
…盾しか持ってないのか。防御全振りとは逆に厄介だな。
「ハスミ、何発ありゃ抜けそうだ?」
≪流石にあれは厳しいですね≫
「やるとして、だ」
≪……正直、やるだけ無駄かと≫
「無理を言ったな。すまんが、引き続きハスミは他の面倒な奴を頼む。ヒナタ、アレの後ろを飛ばせるか?」
≪それが…あの大きいのを何とかしないと、射線が通らなくて…≫
するとヒナタからのグレネード弾が降り注いだ。爆発でやったか!?と思ったが案の定盾持ちがバリアの範囲を拡大して守りやがった。クソったれが。私のシールドにもバリア機能仕込むか?
「ふむ、あれをどうするか」
「撃ち続ければいつか割れるでしょうけど…」
「まぁこっちの弾が無くなるよねぇ」
「………」
……実を言うと、後先考えなければ状況を打開できるかもしれない武装が2つバッグに入っている。
1つは必殺用、1つは殲滅用。…殲滅用は組み立てる時間が無いし、必殺用は今この状況じゃ無意味だ。……一手足りずか。せめてあれを出す時間をーー
≪閃光弾、投擲します≫
≪近くにいるなら注意して!≫
「っ!フラッシュバン!」
瞬間、インカムから新たに聞こえた2つの声に姿勢を取れと声を上げる。ブンブン団も先生も姿勢を低くしてバッチリ。私もシールドをやや引いて視線をそむける。まぁ疑似モニターが起動してるから目を閉じてても周囲は見えるんだが。
すると何処からか投げ込まれた閃光弾が、壁に跳ね返り…跳ね返り……盾持ちの後方に落ち、爆破炸裂……爆破?
≪よし。計算完璧!≫
≪流石ですね、ユウカさん≫
≪スズミこそよくあんな上手く投げられたわね≫
今の声……トリニティ自警団の『
背後からの衝撃に怯んだ盾持ちのバリアが切れたのを見て、エルカが盾の上端を撃って弾き、浮いたところに、カバーで投げ込まれて来た手榴弾をすかさずマイオが緩やかな動作で足元へ蹴り返し、炸裂して体幹が崩れたところにハスミが唯一貫ける位であろう頭部にズドン。あとは私らがバカスカ撃ちまくり撃破。
更にすかさず後方からの援護が飛んできた。
「こちらB班。目標と合流しました」
「…チナツ? チナツも来たのか?」
「お久しぶりですカザナ先輩」
「ああ。先生を頼むぞ」
「了解しました」
素早くバリケードの後ろに隠れ直ぐ様応戦した彼女はゲヘナの……今は風紀委員会の救護担当をしている『
「こちらユウカ!合流!」
「スズミ。合流しました」
「よく来てくれた。助かった」
「運び屋のあなたでも守りながらであの数は厳しかったかしら?」
「まぁな」
「弾薬は大丈夫ですか? 我々が援護に入ります」
「私は大丈夫だが、そっちの娘達が足りんかも知れん。スズミとユウカは先生に付け。こっから押し返すぞ」
一気に形勢がまたひっくり返ったな。あれさえいなければ―――今何か射出音がしなかったか?
≪っ!前方、上空から再度盾持ち!しかも2機!≫
〚警告 敵機 接近〛
「はぁ!?」
事はそう上手くいかない。ハスミが視認したのは打ち出されてきたあの盾持ち。
さっき聞こえた音はこいつらをカタパルトか何かで追加投入してきた音だったか。地響き立てて降り立ちやがって…。
「あんだよチキショー!やり直しかよー!」
「二度目は流石に無理ですね」
「いいから隠れろお前ら!」
ムキになりスナイパーなのに前に出たエルカと冷静に分析するスズミをシールドの後ろに隠すと同時にまた銃弾の嵐。ユウカは別のバリケードに身を隠し打開する再計算を始め、先生もヒカリ、カスミ、マイオと再思考中。ハスミとヒナタも無駄弾を抑えなきゃならんから手が出せない。
(どうする……)
〚警告 シールド損耗率 危険域 耐久値 残り48%〛
シールドももう保たない。
なら……、覚悟を決めるしかないか。盾をいつでも預けられるようにして、
〚警告 未確認物体 急速接近〛
「これ以上何が来るってんだ!」
「っ!カザナ、左だ!」
……エンジン音?
瞬間、派手な音と共に車がオートマトンを蹴散らすように現れ、盾持ちに体当たりをかまして弾かれスピンしながらUターンし、オートマトン側から私らを遮るように停車した。……この車なんか見覚えあるぞ?
すると、助手席に座っていた何者かが立ち上がり長い髪を差サラリと片手で優雅に流した。
「あら? ご機嫌よう皆様」
「お前、美食研究会の『
「カザナさん方。このような場所でどうされたのです?」
何と乱入してきたのはあの悪名高き『美食研究会』の面々……と、後部座席で簀巻きにされ猿轡までされ目を回して気絶しているゲヘナの『給食部』部長『
「び、美食研究会!?」
「噂のテロ集団が何故こんなところに…」
≪……撃ってもよろしいですね?≫
「待て待てハスミ! 撃つのは後にしろ!」
ユウカとスズミが困惑と警戒度を上げ、インカムからいつもより強めに弾を込める音とともに今にも狙撃しそうなハスミを落ち着かせる。このクソ忙しいときにこいつら何しに来やがったんだ!
「ハルナぁ!ヤバいって!」
「いたたたたっ!? もう!何あいつらー!」
「取り敢えず反撃しておきますねぇ〜」
運転席の『
「あら、何やらお取り込み中でしたか?」
「見りゃ判んだろうが!」
「ふふっ。なら、貴女に貸しを作るというのも面白いかもしれませんね」
「なにいってだ!」
「これも真の美食へ到る道程、合縁奇縁。解りました、あれが厄介なのですね?」
ハルナが何か勝手に納得してスナイパーライフルを構えあの盾持ちに照準を合わせた。――そして一発。スナライからの音とは思えない発砲音と衝撃に軽く驚いた。……盾持ちの盾にこれもスナライの弾では出来ない風穴が空いていて、その背後にいたオートマトンもまとめて消し飛ばされていた。
やべー集団の頭だけあり実力はマジである。風紀委員会であのヒナ委員長が(色んな意味で)特に警戒するくらいにはある。並の風紀委員じゃマトモに相手取れない。それはトリニティの正義実現委員会もしかり。さっきのハスミが(やたらめったら騒ぎを起こすから)憎悪するほどだ。
かく言う私も、対峙したら一方的に赤字にされて大迷惑したほど。
ああ…前に虎の子のスナイパーキャノン【USC−26 H/SALEM】と撃ち合いになって一方的にお釈迦にされて思わずキレ散らかして泣いたっけか…。撃った弾ごと貫通して破壊されたのは流石に理不尽だろう。
「貸し1つ、ですね」
再度こちらに向き直り可愛らしくウィンクをしながら人差し指を立てるハルナ。元が美人でそれやったら犯罪だろうが。
てか有り難いが貸しを作りたくねぇぇ…!!!
「では、私達は用があるのでお暇致しますわ。アカリさん」
「は〜い。発車オーライ✩」
「うわわわっ!?急に出さないでよぉ!」
「あっ!運び屋さん、またねー!」
騒がしく走り去って行く美食研究会の面々。去り際にフウカと視線がかち合った。……すまん。今はお前を助けることはできんのだよ…。
「何だったの…?」
「まさに嵐でしたね」
「……はっ。カザナ!」
あっ。呆気に取られていたが二度目のチャンス到来。
動揺してる隙にシールドを地面に突き立て、ハンドガンをラックに掛けて、素早くバッグの『切り札その1』を
〚安全装置 解除〛
気合を入れ直し、グリップを握り締め、バッグから抜き取る。
「ふっ――」
疑似モニターに残った3機目の盾持ちへのルートラインが表示される。これは…、先生か。ほぼ私が飛び込んで行ければいいと思ったルート通りだ。壁やらに点があるのは蹴って跳べってことだ。
一気に、一息に、跳び上がり、壁を蹴り、オートマトンを足場に。見ようによっては空中を走るように盾持ちに飛び込む。
「ッッッ――!!!」
殴るのではなく。撃つのではなく。
袈裟懸けに 叩っ斬る。
「な…、馬鹿な!? 撃たれたならまだしも…し、新素材の盾が…あんな
私の右腕に装着した折り畳み式の大型ブレード。
ゲヘナで『温泉開発部』が偶然発掘した鉱石に、ミレニアムの『エンジニア部』が製作発案し、『百鬼夜行』が鋳造・鍛造したこの世に一振りしか無い業物。
「この【MURAKUMO】はただのナイフじゃねぇんだよ」
斬られたオートマトンはスパークも出さずに倒れ伏した。
??「砲台大破!」
??「いかん! そいつ(美食研究会)には手を出すな!」
今回持参した切り札その1は皆さま大好き「MURAKUMO」ちゃん。
護衛にそれ必要?
「はい。そのためのMURAKUMOです」
今回短い?ですがシーンの区切りに調度よかったので…ご勘弁ください。