高評価、感想、お気に入り登録、誤字報告マジ嬉しいです。
今回の話は、少しだけオリ主の性格、考え方に変化が起きています。
次回からは多分戻ります。
明日投稿できるかはわかりません。
すみません‥
後、高評価、お気に入り登録、感想、ください(強欲)
なんて思ってますが読んでくれるだけでも嬉しいです。
人生で、たった一度だけ走ることになる、『人気』が存在しないレース。
選抜レース。
その、選抜レース本番。
私の出走するレースは、最後のレースで、トウカイテイオーの出るレースのひとつ後。
パドック……自分の仕上がりを見せる場所にも観客は数人しか居らず、大半がトウカイテイオーのスカウトにいそしんでいるだろう。
コースに立つと、案の定地下道の方に群がるトレーナーらしき人たちが見えた。
観客席は人が見当たらない。
いるにいるけど、それも数人。自分をアピールしたいウマ娘にとっては最悪の状況。
自分を知ってくれる人が減るからだ。
……たった6つの、はずれくじ。
そんな呼ばれ方をしている。いつの時代も、彗星の後にはチリしか残らないように、スターの後ろは知られずに終わる。
でも、私にとっては当たりくじになる。
恐怖の対象であるトレーナーという存在が少ないというのは、好都合な状態。
スカウトも受けなくてはいけない。
だが、レースぐらいは精一杯やりたい。だから、この状態が一番とまではいかなくとも、良い状況といえる。
そもそも、私は人混みが苦手だ。
好き、嫌いではなく、苦手。我慢はできるけど、あまり長居はしていたくないな、と思うくらいのもの。
ただ、レースにはそう言った、本当に小さな心の変化すらも大きな影響を及ぼす。
だからこそ、これがベストコンディション。
「皆さーん、ゲートに入ってくださーい。」
指示に従って、かなり狭い、暗いゲートの中に入る。
後ろが閉まれば、中はほぼ完全な暗闇となる。隣のウマ娘が、息を飲んだ音が聞こえた。
緊張しているようだ。
無理もない。というか、緊張して当然。私だって、多少は緊張しているのだ。
ただ、その度合いが違う。
私は、まだ負けていない。レースをしていないから、でも。その無敗という言葉は、心のひびを埋めてくれる。私の緊張を消してくれる。
負けていないから、自分は正しい。
自己肯定とは、そういう事。
生きている上で、大切な事。
自己肯定とは、自分を信じ抜く事。自分を疑わない事。それは、俯瞰を得意とする私にとってはそこまで難しくはなかった。
自分が嫌いでも、自分は正しい。
矛盾しているようだが、それぞれには別と裏表がある言葉同士だから、成立する。
私が信じるものは、積み重ねてきたもの。
私が自己を高め続けたあの数年間を疑わない。自分の進化を、理解して、受け入れる。
自分の変化を、俯瞰する。
努力したからこそ、今があるのだから。
『ウマ娘は想いを乗せて走る』
そう言われている。
けど。他人に夢を託してはいけない。夢とは、自分で叶えてこそ意味がある。
想いは、他人に預けてはいけない。
自分の考えは、自分だけの、いわゆる自己を形成する要素の一つ。一人に一つだけのものだから。
あくまで、自分のために。
走るのは、誰かの思いなんて背負っては行けない。
夢も思いも、努力すらも。自分が積み重ねたもののほうが上だと信じていなければならない。
頂点に立つものは、常に一人。
そして、独りなのだ。
山の頂上は、玉座は一つ。
私は、その玉座に座る。
生きるため。自分が生きていいと、納得するために、私は走る。勝利を狙う。それでたとえ他人の夢が潰えようとも。
どれだけ嫌われようと、私が私を嫌ったまま終わらないように、と願って。次は、勝利を積み重ねる。
『選抜レース 3日め 最終R 芝2000m、ただいま開始いたします。』
ついにゲートが開く。
息を吸って、構える。見据えるのはゲートの扉と扉の間、そこから少し漏れる光。
余分な力はいらない。
ゲートが軋む音。
トレセン学園のゲートは古い。まあ、レースでも使われるゲートは総じて古いものが多いのだが。
まあ、だから。
完全に予想だ。
でも、それで他のウマ娘よりも0.何秒得をする。
1秒ではない。
0.1秒、その世界。一秒で20mがすぎる戦いにおいて、0.1秒は大きな有利となる。
それは、人間で言う陸上競技と同じ世界。
ウマ娘は、アスリートの一種だ。アイドルの側面も持っている。けど、その本質は競技者。
『妥協』だなんて、できない。
レースに人生がかかる。
この先の人生が変わる。そのようなところでは、誰もが最善を目指して走る。
だから、最強とは、勝ちきれる実力を持ち、最善の状態をいつでも持ってこれるようなウマ娘だと思う。
きっと。
私は、多分どこかで負ける。
私には、才能がない。
天才は凡人の友情に憧れる。
秀才は天才の才能に憧れる。
凡人は秀才の努力を尊敬する。
天才は、周りよりも常に先にいる。
秀才は、その差を努力で埋める、努力を疑わない。
凡人は、自分の身の丈を一番理解している。
では私は何だ?……答えは出ない。
でも、決して天才じゃない。だって私には。
神業と呼ばれるようなスタートも。
『暴風』と言われるスピードも。
『刀』と表現される末脚も。
『機械』と言われるような正確さも。
『無尽蔵』のスタミナも、
レースを運ぶ知識も、運さえも。
そのすべてが与えられなかった。
だから、努力した。本当は、ずっと昔からわかっていたんだと思う。私は、おじさんの入った家を知っている。
シンボリ家。
そして、
シンボリを冠する者、メジロの名を持つ者に、私は絶対に勝てない。
二人の天才に。
だけど、負けず嫌いだった私は、努力をした。
ときに、肉体は魂を超える。才能とは、魂に刻まれているものだ。本能でわかること。
それを信じて、努力した。
それでも、負けるだろう。
私の近くには、
でも、その時のことを後悔しない走りをする。
今はそれの第一回。はじめの一歩、この先に大きく関わる、小さいようで大きな一歩。
ガコン。
案外軽い音で、ゲートが開いた。
『無音』のスタート。
スタートの影響でゲートが揺れるだとか、そんなことは一切ない、余分な力のすべてを抜いたスタート。
スルリ、と。
抜け出すようにすぐに先頭を取った私は、一定のペースで走る。
一切ペースは落とさず、後ろとのウマ娘との差を広げる。これだけで、メイクデビューや、選抜レースではペースを崩してくれる。
おそらく二番手との差は現在4バ身ほどか。
まだ、足音の聞こえる範囲。聞こえる限界距離としては、大体15バ身。普段なら、もっと遠くまで聞こえるが、レース中はそればかりに気を回せないし、風もある。
まあけど、15バ身でも、かなり広く聞こえる。
レース中に相手の足音から聞き取れることは多い。
相手のペース。疲労具合。
精神状態。
相手との、距離。
それらを合算して、ペースを調節するのが、逃げの基本形。
大逃げでは、その足音を、相手と自分との距離を測るために使う。もちろん、相手が掛かっているかどうか、の判断にも応用するけど。
それと同時に、自分のことも。
耳と、感覚。それと、心。
耳で、自分の心臓の鼓動、血の流れを意識すると、酸素がより巡る。心臓と肺の動きは、自分の体力をよく表している。
心拍数を測る、という行為をレース中に。
感覚で、自分の体に異常がないことを確認する。
足の痛み。体の歪み。そういったことだとか。爪の違和感も、故障の一つ。
どこまでも、徹底的に。
心で、自分を俯瞰する。
俯瞰は私の得意なことだから。俯瞰というのは、違う視点から見ること。
私は、完全に違うもう一人の自分、という立ち位置から俯瞰をしている。そばで、自分を見る。そうすると、自分も分からないことが見えてくる。
現在、二番手との差は9バ身。
バックストレートを一人で独走している状況だ。中団に3人。足音の聞こえない、後方に一人。
見事なほどに掛かっている。
走りを恐れてしまっている。
レースにおける大逃げの役割、それは、破壊。
逃げや、先行の……調律、管理のすべてを無に帰す走り。
それを全うする。
幸い、このレースに天才はいない、誰一人。
第三コーナーに入った。
私だけが大きく前に出ている。
この後すぐの、第4コーナー。
私は独りだけ、早くもそこに入る。
……いい出来だったと思う。
私には、明確な勝つ条件があった。
独りで、第四コーナーに入ること。
誰かが掛かっていること。
それだけ。
でも、それは難しい。
大逃げだからこそできる芸当であり……これから私が行うのは、走る前に思いついたこと。
思いつきだ。
でも、それは、極めれば名家にも引けを取らぬ。
私だけの走りになるだろう。
自己肯定と、下剋上。
少し走るだけで、私にはある思いが芽生えた。
『才能を否定する』
才能は、努力を否定する。
生徒会長は、努力をした。だから今、あそこに立っている。
でも、玉座じゃない。
自身のうちに秘める炎と、怒り、不安、責任と、自分自身の凄まじいまでに自己中心的な、獅子と呼ばれた顔を。
日本の玉座に縛り付けた。
才能があるものが努力をした高みと、
才能無き者の努力の高みは、どうしても高さが違うから。
私は、誰よりも早い時期から、独学で体を、走りを作った。『才能を作った』。
だから、私は人が作った、天才。
……ここで苦戦する訳にはいかない。
「ッ……!加速したぁっ……!」
そう、後ろからその声が聞こえてくる。
逃げる。大きく。
でも、それだけじゃない。
名家は、名家のウマ娘は。この差なんて一瞬で埋めてくる。
だって、強いウマ娘は、シンボリルドルフは。後ろから、吹き荒れる風のように、飛んでいくから。
確実に、相手の息の根を止めるための走りを。
その走りを思いついた。
誰かが息を呑んだ。
誰も、私なんかマークしてなかった。シンボリルドルフのときとは違う。
注目されない。観客もいない。
『誰も知らない物語。』
孤独に生きる私に、お似合い。
他の5人には、悪いとは思わない。
気がつけば、レースは終わっていた。
名家のウマ娘への、シンボリルドルフというウマ娘への、嫉妬と尊敬。従姉妹という存在を初めて許容した。
名家のウマ娘に、なりたいとは思わない。
でも、才能に否定されない。才能を否定する走りは身につけたのだから。
私は、恵まれなかったけど。
走れないことは不幸じゃない。病気でも、怪我でも。
真の不幸は、壊れることだって、私が一番良くわかっていることだった。壊れているのは、私だけ。
レースの間にも、ずっと、レース以外のことを考えていた。
私よりはるか上にいる存在を。
頂点たる玉座にいる者のことを。
ずっと、考えていた。そして、それらを倒せば、私の心は、ヒビは、満たされるのだろうかと。
私の走りは、逃げ差し。
『異次元の逃亡者』という走り。
弱者である私が使う、最強だったEclipseの走りだ。Eclipseは、人にすら恐怖された。
あのウマ娘に追いかけられれば、逃げられない。
夢にまで見る、出てくるほどに、鮮烈な末脚。無限に等しいスタミナ。
差しも、追い込みも。
そのすべてを超える末脚。
自他ともに認める頂点だったEclipse。
そんなウマ娘に憧れていたらしい。
でも、末脚がないから、先に速くなることにしたのだ。
弱者である、ということに気づけた、いいレースだったように感じる。
…今は何故か生徒会長と三者面談しているわけだが。
弱者は、強者に近づこうとする。
でも、強者の強さとは、当たり前なことを誰よりも完全にできること。
弱者はそれに気づけないから弱い。
強者とは、その当たり前なことが、できないことに疑問を持つもののことである。
弱者は、強者を真似る。
でも、絶対に気づかない限り、差は縮まらない。
誰との絡みが見たい?(いずれ書く)※選択肢にないウマ娘は、ストーリーが思いつかないか、作者が書けないです。すいません。
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