唸れ!マリンボール!!   作:銅英雄

1 / 14
※息抜き小説です。


プロローグ 前編

埼玉県新越谷高校。私は今日からここの高校に通う事になる。中学までは野球をやっていた訳だけど……。

 

(なんだかなぁ……)

 

中学時代にガールズチームに入って結果を残してきたつもりだけど、なんだろう……。どうにも微妙な気持ちになってくる。

 

「隣良い?」

 

「良いよ」

 

ボーッと考え事をしていて、隣の席の子に気付かなかった。不徳の至り……。

 

「私、武田詠深。よろしくね!」

 

「早川葵だよ。こちらこそよろしく」

 

「は、早川葵さん!?」

 

隣の席の武田詠深さんと簡単な自己紹介を済ませると、武田さんの左隣(私は右隣ね)の子がいきなり目の前に。す、凄い速度だ……。

 

「そうだけど……」

 

「神奈川の名門横浜ガールズの絶対的エースで、『マリンボール』と呼ばれるシンカーを決め球としている早川葵さん!?」

 

「ま、まぁ一応……?」

 

自分で絶対的エースとか言うのなんかやだなぁ……。あとマリンボールも別に私が言ってた訳じゃないんだよね。

 

「公式戦無敗の早川葵さん!?」

 

「詳しいね……」

 

というかその肩書き好きじゃないんだよねぇ……。

 

「ま、まさかこの高校に来てたなんて……!」

 

「葵ちゃんってそんなに凄い投手だったんだ……!」

 

なんだろう。ヨミさんと名も知らない金髪少女が羨望の眼差しを向けてくる……。実力にはそれなりの自信はあるけど、ガールズの野球と高校野球じゃまた変わってくるだろうなぁ……。

 

「こら芳乃!その子困ってるじゃない!」

 

「あっ、息吹ちゃん」

 

困ってるというか呆気に取られてるね。というか止めに入った子と似てるんだけど……。もしかしなくても双子ですか?

 

「知らない野球経験者にちょっかい掛けるなっていつも言ってるでしょ!」

 

「えへへ。ついね……」

 

(変わった注意の仕方をするなぁ……)

 

とかなんとか言いながらも、金髪の子達はヨミさんの手をふにふにと触ってる。

 

「葵ちゃんのおてても触って良い!?」

 

「良いけど……」

 

今度は私に回ってきた……。

 

手をふにふにと触られている間に軽く自己紹介を済ませた。予想通り双子らしく、突如私の目の前に現れたのが妹の川口芳乃さん、止めに入った(結局手を触ってる)のが姉の川口息吹さん。双子の割には似てないから、二卵性双生児かな?

 

「流石……。今でもめちゃくちゃ投げ込んでるね!」

 

「まぁ習慣だしね」

 

高校で野球をやらないとしても、投げ込みや素振り等の基礎トレを止める事はないだろう。習慣だもの。

 

ちなみに芳乃さんによると、ヨミさんは中学野球部のエースで決め球はカーブ系統らしい。本人は1回戦負けだと言ってたけど、なんか芳乃さんは絶賛してるし、かなり良い球を投げるんだろうね。

 

「ここに来たって事はもう野球はしないの?」

 

「うん……。野球はもう良いかな」

 

「まぁ不祥事とかで活動停止だったみたいだし、部員もほとんどいないらしいわ」

 

そういえば去年に何か不祥事を起こしたらしいね。正直当事者じゃない私からすれば『だから何?』って感じだけど。

 

「学校も制服で選んだようなものだし!」

 

「可愛いよね!」

 

制服……。そういう理由で進学する高校を選ぶ事もあるんだね。

 

「そういえば葵ちゃんはどうしてここに?」

 

「親の都合だよ。神奈川から埼玉に引っ越して、家から1番近いところに進学したの」

 

「葵は野球を続けるの?」

 

「どうだろう……。正直ガールズでは微妙だったし、諸説かな」

 

仮にここの3人が野球部に入るなら、その流れで私も野球部に入りそうな感じはするかも……。

 

「あっ、そろそろ入学式始まるよ!」

 

もうそんな時間か……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……で、入学式終了。今日はこのまま解散らしい。

 

「これからレイクタウンに行かない?行ってみたかったんだよね」

 

「じゃあそこでお昼ごはんにしましょうか」

 

レイクタウンはこの辺りで1番大きいモールだ。特にスーパーとかは今後お世話になるだろうね。

 

「良いねー。お話もしたいし!葵ちゃんも行くでしょ?」

 

「お邪魔じゃなければ……」

 

「決まり!ヨミちゃんと葵ちゃんの話を聞くの、楽しみだね!」

 

芳乃さんのテンションが高い。今日1番だ。

 

「レイクタウンってめちゃくちゃ大きいらしいね」

 

「そうなのよ。入口から端まで1キロ以上あるの」

 

「本気で回ると疲れそうだね……」

 

(今度の休日にレイクタウンをゆっくり見るのも乙かも知れないね……)

 

なんて話をしていると、1人の少女とすれ違う。あれ。見覚えがあるような……。

 

「ヨミちゃん……?」

 

少女はヨミさんを呼び止める。ヨミさんの知り合い?

 

「やっぱりヨミちゃんだ。珠姫だよ。覚えてない?」

 

「タマちゃん……!覚えてるよ!久し振りーっ!!」

 

「いっ!?」

 

ヨミさんがタマちゃんなる少女に抱き付いていた。昔離れ離れになった幼馴染的な関係?

 

「タマちゃんってば急に転校しちゃうんだもん。懐かしい……。昔よく遊んだよねぇ……」

 

本当に幼馴染だった……。まぁ距離が近いし、ヨミさんが相当山崎さんに懐いているのがわかる。

 

「成程……!確かにタマちゃんの匂いだ」

 

まぁ匂いを嗅ぐのはよくわからないけど……。同性じゃなかったら通報案件だよ。

 

「ヨミとは知り合いみたいね。……芳乃?」

 

「山崎珠姫選手……!葵ちゃんといいなんでこんな所に……!?」

 

山崎珠姫……。中学2年生の時に美南ガールズの正捕手だった選手だね。

 

「強気なリードと守備力が魅力的だった人だよ!」

 

「去年は強打者捕手の台頭で控えに回ってたけど私からすれば山崎さんの方が厄介だったから、敵側の私からすれば助かった節もあるね」

 

「私も美南の監督の立場だったら、絶対に珠姫さんを使うべきだと思ってた!つまり……!」

 

つまり……?

 

「ファンです!サインください!!」

 

つまりの後に繋がる言葉かなぁ……。

 

(そういえば私もさっきサインを求められたっけ……)

 

芳乃さんが相当な野球好きだというのがよーくわかるね。

 

「そうだ!タマちゃん、アレしよっか!」

 

「アレ?」

 

どれ?

 

「野球女子の再会の儀式といったら、キャッチボールしかないでしょ!」

 

(野球をしている人間同士が出逢うと、必然的にキャッチボール等の簡単で基本的な練習をとりあえず行う……か)

 

これ多分職業病の一種なんじゃないかと思うんだよね……。

 

ひょんな事から私達5人はグラウンドでキャッチボールをする事になった。

投稿内容を……?

  • 文字数短く毎日投稿!
  • 期間不定期でももっと文字数がほしいなぁ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。