元憲兵の提督がブラック鎮守府に着任する話   作:レオパルト

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新しい小説、始めました。どうもレオパルトです。今回は艦これの小説に挑戦しました。正直、艦これ自体久しぶりにハマったのでちゃんとした設定が書けるか怪しいですが、モチベーションがあるうちに書きました。

あと、海軍は憲兵隊じゃなくて海軍特別警察隊らしいですが、艦これ界隈では憲兵隊なんでそういうことにしました。


第1話 立入検査

「憲兵隊だ、動くな!これから長官命令で、この基地に立入検査を行う!」

 

憲兵隊、それは軍隊の行動に内部から目を光らせ、規律に従っているかを確認し、違反者を厳しく罰する大臣直轄の部隊である。彼らは、部隊の特性上軍隊の中でも嫌われ役でもある。そして今日も一人の青年がいつものセリフを叫び、基地に憲兵たちがズカズカと踏み込んでいく。今回、憲兵隊が立入検査を行うのは、提督達の中でも評判が悪い「艦娘兵器論」を主張する提督、しかも中でも過激派の提督が管理する基地で、艦娘たちを酷使し非人道的な扱いをしているという内部告発によって、立入検査に繋がった。

 

「隊長、ホントによろしいのですか?いくら艦娘が虐待されてるからと言って、護衛の艦娘が私だけで」

 

黒い長髪を後ろで纏め、凛としたつり目の艦娘、矢矧が憲兵隊の隊長格と思わしき青年に尋ねる。彼女は、ここの提督が艦娘を使って抵抗する可能性を危惧しているのだ。憲兵隊はいくら訓練された軍人とは、人間であることには変わりないのだから、もし本気で艦娘に抵抗されるとひとたまりもない。

 

「矢矧、憲兵隊が相手するのは人間だ。艦娘には絶対に牙を向けてはならない。この意向は大臣や長官も同じだ。」

 

「でしたら、長官に依頼して増援の艦娘を派遣していただいたら良かったのでは?」

 

「万が一に備えたらそっちの方が良かったもしれないが、どうやら内部告発の件は本当のようだ。おや……」

 

憲兵隊の青年は無線機から聞こえてきた声に耳を傾ける。しばらくして無線機を外すと、軍帽を被り直す。

 

「矢矧の想定が杞憂で良かったよ」

 

どうやら彼の聞いた噂通り、艦娘側の反逆する意思は全くなく、どうやら悪の元凶たる提督とその他の一部の整備員や基地所属の憲兵が諸悪の根源らしい。

 

「そうですか……では隊長、ここの提督に真相を確かめましょう。こちらへ」

 

案内役の憲兵に矢矧と隊長格の青年、後ろに三人の憲兵が付き従うように基地の廊下を足早に歩いていく。こちらの姿を見て廊下の脇に避ける艦娘の目は疲れていたり虚ろなもので、どれも生気を感じない。

 

「どうやら、ここの艦娘たちは相当酷使されているようですね……」

 

彼女らを見た矢矧の怒りと心配の感情が半々に混じった声で静かにつぶやく。

 

「海軍もブラック鎮守府対策はいくつも手を打っているが、根本的な人材不足が解決しない以上、ここみたいな基地が現れるのは仕方がない。我々が存在するのがせめてもの救いだ」

 

「そうですね……」

 

青年の言葉に矢矧は俯き加減に、深く沈んだ声で小さく言葉を発する。

 

「着きました、ここが執務室です」

 

案内役の憲兵が執務室の扉の前で立ち止まる。

 

「ありがとうございます。隊長、それではお願いします」

 

矢矧の言葉に青年は頷き、扉に手をかける。この執務室の中に、今回の諸悪の根源たる提督がいるはずだ。後方で待機している三人の憲兵にも目配せをし、蹴破る勢いで扉を思い切り開ける。

 

「憲兵隊だ!動くな!」

 

しかし、この件はこれからの青年を語る上で序章に過ぎなかった。




艦娘紹介
矢矧
憲兵隊に所属する艦娘。元は海軍長官直轄の部隊で所属していたが、肥大化した艦隊を再編成する過程で、憲兵隊への素質を見出され、憲兵隊に転属となる。元々いた艦隊でも水雷戦隊旗艦を務めるなど実力は折り紙つきである。主に隊長である主人公の補佐を務める。
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