今はガウと共に盗賊のアジトに向かっている。
クレリア達を次の休憩ができる広場で待機させ盗賊の監視をお願いした。
「気をつけて、今のガウは冷静さを失ってる…。アランがいれば大丈夫だと思うけど。ガウ、無理なことはしちゃ駄目よ。」
「………」
ガウに返事はない。
道中も会話はなかった。
「ガウ、今は落ち着け、落ち着いて助けに行こう。冷静さを欠いて行動すれば助かるものも助からないぞ。」
ギッ!と俺を睨みつけ鼻息を荒くする。駄目だ。失言だった。ガウはネガティブに受け取ってしまったな。
無茶しないようしっかりとサポートしなければ…探知魔法に4人の反応だ。
「姉ちゃん!」
そう叫びガウが走る。くそ、追いつけないぞ。急いで洞窟に向かうと血を流して倒れる2人の見張りがいた。
こいつらは後にして洞窟に入る。
中にはワンワン泣いているガウとそれを抱き締めているガウの姉らしき人がいた。よかった。お互い無事だ。
今は落ち着くまでそっとしておこう。
一番奥の部屋にいたもう一人の50代と見られる商人に声をかける。
「お騒がせしてすみません。仲間が捕らえられていたので救出しに来ました。貴方ももう自由です。安心してください。」
そう言って手枷をナイフで切り落とす。
「ありがとうございます。私はゴタニアの雑貨商のタルスです。貴方は命の恩人です。
実は商談の道中、盗賊に襲われて仲間を失いました。恐らく利用価値がある為、私は生かされたのでしょう。
その娘さんは慰みものか奴隷として利用価値があったのでしょう…。嘆かわしい事です。」
話を聞くと従業員1人と護衛の冒険者数名が犠牲になったそうだ。拘束された際には獣人の娘は既に捕らえられていたと聞いた。
その後タルスさんと盗賊の引渡しや盗品についての相談をする。
タルスさんは全て盗品は討伐した俺達に所有権があると言われたがそのほとんどがタルスさんの持ち物だった。
気が引けたのでタルスさんが自分の持ち物ではないといった鍵付きの宝箱をいただくことにした。
おお、何か豪華な宝飾のナイフも入っている。後はアクセサリーの綺麗な石か、どちらも売れば結構な金額になりそうだ。タルスさんの持ち物ではないのでありがたく貰おう。
タルスさんの荷物は今は持っていけない為、後日商会に引き取ってもらうこととなった。
「ガウ、姉ちゃんを助けたんだな。偉いぞ!」
ガウに声をかけると
「ガ、ガウ、ね、姉ちゃん助けた…。アラン、ありが、とう…。ガウ、嬉しい。」
もう一人の美しい獣人の女性が平身低頭で出迎える。年はクレリアより少し若く見える。
「アラン様、私は狼人族のララと申します。
この度は弟をお守り下さり、狼人族を代表して心より感謝申し上げます。
また悪漢から助けて下さり重ねてありがとうございます。アラン様にこの身を尽くさせて頂きます。」
ガウとは違う丁寧な物言いに驚いた。その凜とした所作は神々しささえ感じるが俺に忠誠を誓ってもらっても困る。
「いや、ガウとはひょんな事から出合っただけだから、構わないよ。それに次の街のゴタニアで詳しい話を聞きましょう。」
盗賊の2人をひきづりクレリア達の元へ向かう。
「アラン!あぁ…。ガウ…よかったわ…。」
クレリアはガウを抱きしめ笑顔を向ける。
「さっきはゴメン。アランもリアも無視して。ガウ、姉ちゃん助けることで頭いっぱいだった…。」
うんうんと頷き抱擁する。
皆ににタルスさんとララを紹介し、ベックとトールに盗賊を縛り連行するようお願いする。
タルスさんがクレリアを見て驚いていた。
「もしやあのお方は※※では…?」
タルス村のザックにも聞かれたがクレリアはもしかして高貴な生まれなのか?
「まあ、色々と訳ありで…ゴタニアに着いてからお話ししましょう。」
「そうですな。それとゴタニアについた際は歓迎させてください。宿が決まっていなければ是非我が商会にお泊まりください。」
ララは涙を流しながらクレリアにお礼をした後、ベックとトールにも律儀に1人ずつ丁寧にお礼をした。
おいおい、美人にお礼を言われ2人共顔が真っ赤になってるぞ。
気合が入ったのかその後の盗賊の拘束された手は真紫に変色していた。
あ、これ絶対ヤバいやつだ…。
[ミッションコンプリートA+判定です。]
(コンプリートなのか…まあいいか。)